ちょっとした疑問
「…い、痛い…お尻が痛い…」
「え? な、何があったの?」
「調子に乗ったから仕置きをしただけだ、ギャグ漫画とかでよくある奴で」
「お、お尻に筆をぶっさすとか普通します!?」
「大丈夫だ、変態キャラのお約束だから」
「どんなお約束ですか!?」
でもなんか、アルルの尻から筆が尻尾みたいに動いているのを見て
何か自然と笑顔が漏れた…痛がってるし、何かからかい甲斐がある。
面白いし、うん、意外とこう言うのも面白い気がする。
「はぁ、もうお尻が…うぅ、これお尻から血が出たりしませんかね?」
「しらね」
「無責任すぎませんかねぇ…」
「うっさい、さてまぁ、とりあえず尋問訓練の指導は受けたから。
あーっと、誰か受けるか? 実演しようと思うんだけど
いやまぁ、恥ずかしいから誰も出て来ないとおも」
「私が…やろう!」
周りが身じろぎして居る中で、堂々と俺の前に立ったのはフランだった。
フランは俺の方を見て、ニヤッと笑ってみせる。
えっと、何か自分が何をされるか分かってないのか
分かっているのにこんなに余裕そう所か楽しそうと言うか。
そもそもなんでドヤ顔? 何で得意げなの?
マジで最近は大人しくなったと思ったが
こう言うときは妙な積極性を見せるのか、この間抜けは。
「えっと…良いの? 超恥ずかしいと思うけど」
「問題無い、恥ずかしさなど、私の前では無意味」
「……ま、まぁ、やると言うならやってやるけど…」
「ふふ、絶対にリオ何かには負けない!」
「そんな風に挑発されたら、マジでやるしか無いけど…?」
「…あれ? 何だろう、寒気? 馬鹿な、この私が…いや、違う!
これは…あれだ、武者震い的なあれだから大丈夫!
さぁ、何処からでも掛かってきて! リオの攻めは全て私が受け止める!」
「良い度胸だ、やってやろう、その口振りが嘘じゃ無いと言う事を願ってるよ。
ほんの数分でやっぱりリオには勝てなかったよ…的な事言うなよ?」
「私は負けない!」
と言ってもまぁ、数分程度で
「やっぱりリオには勝てなかったよ……」
「早いよ、まだ10分行ってないぞ?」
「む、無理…しにゅ…たしゅけて…」
「う、うーん、見た目そこまで強く攻めては無かったのに…」
「リオさんは私が育てた!」
「ドヤ顔するな! まぁ、とりあえずこんな感じか?
まだアルルほどには出来てないだろうけど」
「いや、正直リオさんのささやき攻撃恐くないですかねぇ…」
「耳が幸せぇ~」
「…う、うーん……脅した筈なんだけど…」
でも、本当にアルルのアドバイス通りにやったら凄まじいな。
いや本当……いや待て、と言うか俺は、この攻めよりも強力な
アルルの攻めを30分間も受けていたと言う事になるのか?
わ、我ながら、た、大した根性だ…伊達に大怪我をしてないのかもな。
でも、怪我とこっちは違うと思うけど…あ、中身が男だから色々違うのかも。
「まぁ、こんな感じで、さて、次はどうする? もう一度実演するか?
それとも、もう全員でやってみるとか?」
「……」
「まぁ、あんな光景を見た後じゃ、誰も出ないよな」
「よ、よし! リオちゃん! 私私! 私がやるよ!」
「…おいフレイ」
「色々な面でリオちゃんには勝ちたいし、ここは!」
「リオに勝ちたいのは私も同じ、わ、私もする」
「はぁ!?」
「…や、やってあげたら? 2人同時に」
「何でだよ!」
「あ、2人同時に攻める場合は焦らし等も効果的です。
恐怖を与える事で相手に精神的ダメージを与えるのです。
上手く行けば、片割れを攻めること無く情報を聞き出せますよ。
例えば、片方を徹底的に目の前で攻めて、脅しに掛かる
と言うのも情報を奪うときには効果的になります。
もしくは、片方を徹底的に攻めた後に、もう片方を少しだけ攻撃。
その時にそれなりのダメージを与え、さて、本番を始めるか。
的な事を言えば、結構効果的になりますよ」
「少なくともそれは周りに人が居ない状況でやるべきだな。
まぁいいや、2人まとめてやれば良いんだよな」
「どんと来い!」
「……こ、こい!」
俺は2人を同時に尋問してみる、でもやっぱりこう…悪い事をしてる気がする。
おかしい…これは尋問なのでは無いのか?
「うぅ…ま、負けましたぁ…」
「か、身体が…うぅ…」
「……背徳感がすごいんだけど、何か罪悪感も酷いし…
おかしいな、ただ部活の訓練をしているだけなのに…」
「……うぅ、な、何かいやらしかったわ…ただの尋問だったのに」
「まぁ、尋問の映像は公開されないらしいですけどね…」
「そう言う問題なのか?」
元々結構問題視をしていたようだな、それでも尋問は外さないのか。
確かに情報を相手から奪還するというのは面白い要素ではある。
「まぁ、確かに相手から情報を奪うってのは面白いと思うが」
「それは思うわね、拷問とかは割と…でも、やっぱりエグいしね。
爪を剥いだり、歯を抜いたり…骨を折ったり」
「何それ恐い!」
「戦争だったら結構普通の事だ、勝つために手段は選べない」
「…リオちゃんはしてないじゃん」
「相手が子供だったし、そんな真似できるかよ」
それに、子供は口で誘導することも出来るしな。
「まぁ良いか、とりあえずこの話は無しで行こう。
んでまぁ…そうだな…拷問の方法って分かったか?」
「は、はい、い、一応は…」
「じゃあ、ひとまずだけど、チーム作ってくれ、あ、2人ね。
そんで、各チームで尋問訓練、で、タイムを計ってくれ。
攻守1回ずつ交代でな」
「タイム? 何でタイムを?」
「まぁ、すぐに分かるって、それじゃあ、スタート」
「は、はい!」
そして、しばらくの間、尋問訓練を開始した。
俺の相方はまぁ、自然の流れで副部長であるミロルになった。
「……え、えっと、や、優しくしてね?」
「…な、何か、ちょ、超やりにくいな…」
「だ、大丈夫よ、他はやってるのに私だけやらないわけにもいかないし。
かといって、正直あなた以外が相手って言うのも…何かいやで…」
「ど、どう言う…」
「あ! な、何でも無いわ!」
う、うぅ…やりにくい…フレイ達の相手は問題無かったのに…
「え、えっと…じゃあ、や、やるぞ、限界が来たら言ってくれよ」
「わ、分かってるわ、さ、さぁ好きにしなさい!」
「じゃあ…遠慮しながら」
「あふ!」
「…や、やっぱ無理だ!」
「な、何よ、わ、私相手だと無理だって言うの? フレイ達は大丈夫だったのに」
「うぅ…そ、そう言われると…よ、よし、ふぅ…こ、後悔するなよ?」
「え、えぇ」
そのまま、何だか罪悪感に苛まれながらもミロルの尋問をした。
結果はまぁ…10分以上は耐えた。
「はぁ、はぁ、け、結構キツいわね…」
「も、もうなんかいやだ…はぁ、実戦訓練したい」
「これも…実戦訓練よ…」
「何かちがくね?」
「まぁ…でも、こ、今度は私の番よね…か、覚悟しなさい!」
「な、何かスゲー楽しそうだな…」
「だって、久し振りじゃない、全力であなたをいじれるの」
「ちょっと違うだろうが…まぁいいや、逃げはしない」
「よ、よーし、覚悟なさい!」
……ふぅ、け、結構キツかったが耐え切れたぞ。
「な、なんて耐久力…わ、私の攻めが一切通じないとは…」
「い、いや、け、結構辛いけど…」
まぁ、そんな話の間に、全員の結果が出ていた。
そして、1番相手を早く落とせた部員と1番長い間だ耐え抜いた部員を集めた。
で、そのメンバーを合せて訓練、そして、最も優秀だった部員を集めた。
尋問は4人、耐久は10人の部員を集めた。
「よし、じゃあ、お前らは尋問の訓練をしてくれ
尋問要員は2人居れば良いからな、2人は保険だ。
で、耐久の10人は戦闘訓練もする。
一応、前線に配置するからな、拘束されたときに耐えられるように」
「はい…え、えっと、部長は…」
「ん、いや、俺は指示をしないと」
「でもリオ、あなたが1番危険な立場になるんだし」
「ん、んー、た、確かにそうなのかも…じゃあ、俺も耐える方で訓練するか。
じゃあ、ミロルは部員全体の指示を頼もう」
「任せなさい」
そして、今日の時間はずっと尋問の耐久訓練を行なった。
最初は苦労したが、1度アルルのあの攻めを受けた後だと
大体の攻めが軽く感じる…痒いだけって感じになった。
あいつの攻めがどれだけ強烈だったのか…この身をもって痛感した。
「さて、こんな所かな」
「うぅ…」
「痛くないのに辛い…」
「ぶ、部長…全然余裕そうですね」
「そりゃな、この程度へでもない」
「アルル先生の攻め…と、とんでもないですね」
「あぁ、30分でダウンしたからな、あいつはヤバい…
まぁ、お前らの攻めはなまっちょろいぞ、部活の残り時間
全部使ったくせに、俺を誰1人ダウンさせられなかったからな」
「耐久組は…部長以外全滅なのに…」
「これで結構死角無くなったかもな、痛みも平気、この攻めも耐久出来るし」
「部長は、何故痛みにも強いのですか? 弾丸を受けても意識を失いませんし」
「それを聞くか? 愚問だな」
「でも…リオ部長は華奢ですし、スタイル良いですし
胸ありますし、背も高いですし、本当に美人さんでイケメンで」
「いきなり何を言い出す」
恥ずかしい様な、そうでも無いような…イケメンの部分は素直に嬉しかった。
後、背も高いと言われるのも嬉しい、そこ以外は別にあまり嬉しくは無いな。
中身男なのに美人とか胸があるとか華奢とかスタイル良いとか言われてもなぁ。
なんでこう、ゴリゴリって感じになんねぇかな、めっちゃ鍛えてるのに。
いや、それを言ったらフレイも筋肉質ではないか、怪力だけど。
成人男性と腕相撲したら、余裕で圧勝できるほどの怪力だけど。
100㎞程度なら片手で持ち上げる化け物だし…それでも筋肉はない。
力を入れたときだけ、ちょっとゴリっとなるけど、その時以外はあまり変化が無いし。
「その…先輩が昔、戦ってたって言うのが不思議に感じて」
「そうか? まぁ、そうだな、俺は正直戦闘向けの身体じゃなかった。
病弱で貧弱で、よく気絶しててな、あまり兵士って感じじゃなかったかもな。
まぁ、それは最初期なんだがな、よく歴史で教わる追い込まれてた時期。
あの時以降は割と体力も付いたし、病気もあまりしなかったんだ。
他のほぼ全員が病気でぶっ倒れてる中でも病気にならなかった程だ」
まぁ、それは魔法の対象外だったからでしかないんだけど。
それでもまぁ、あまり病気にはならなかった。
理由は大体分かる…あの変態のお陰だろう、不本意ながらな。
「そうなんですか!?」
「あぁ、それと制服とかの上だとあまり分からないだろうが、下はすごいぞ?
見てみるか?」
「は、はい! 着替えの時もいつも部長は居ませんでしたし」
「まぁ、あまり見せびらかしたい物じゃないからな、でも、今回は特別だ。
ちょっとだけ見せてやろう…ほれ」
俺は自分の服を若干ずらし、肩の傷痕を見せてみる。
「わ、わぁ…す、すごい傷痕…」
「よく驚かれるんだ、ま、見た目は普通だしな。
それなのにこんな傷を持ってる、だから見せれば大体驚く」
「あ、ありがとうございます…部長」
「これで俺が痛みに強い理由とか分かったか?」
「はい、こんな酷い怪我と比べたら…模擬弾での痛みなんてたかが知れてますね」
「そうそう、優しいもんだぜ」
まぁ、この怪我は軽い方だが、別に他の怪我をほのめかす必要は無いだろう。
この怪我だけでも何で俺が痛みに強いか位は分かるだろう。
ドMとか思われたらいやだしな。
「さて、それじゃあ、全員集合してさっさと挨拶終わらせて解散といくかな」
「はい!」
俺は全員を招集し、解散の挨拶を行なった。
しかし、生徒達の殆どがまだやりたいとごねる。
…もう学校の完全下校時間が近いんだし、これ以上は無理だと説得し
今回はこれで解散をした…だがまぁ、部活好きなんだな。
「ふぅ、終わった終わった、と言ってもまだ動き足りないんだけど。
何か短いわよね、部活の時間、不完全燃焼よ」
「後で自主練でもすれば良いだろ?」
「銃の持ち帰りは禁止されてるでしょう? 自主練のしようも」
「格闘訓練なら自主的に行えるぞ? 尋問耐久訓練とかも」
「よーし! やろうやろう! 格闘訓練!」
「い、いや! その両方ともいやよ! 何悪い笑顔でそんな事言ってんのよ!」
「むー、何だ、仕方ないなぁ、じゃあ、マナとしようかな」
「そ、それが良いわ…と言うか、マナかリオしかあなたの相手にならないし」
「…そうだリオちゃん! 2人でマオを倒そうよ!」
「は?」
「まだ私、1度もマナに勝ってないからさ。
2人がかりならもしかしたら勝てるかもだし、連携の練習もした方が良いし」
「フレイ、ハッキリ言うぞ…接近戦はお前1人で片が付くから必要無い!」
「なんで-? リオちゃんは1度もマナと戦ってないんだし丁度良いじゃん!」
「断る! マナと戦うとか正気の沙汰じゃない! あんなのに勝てるかよ!
そ、それに、マナも2人と戦うなんて流石に!」
「私はかまいませんよ? 2人がかりでも、可愛がってあげますとも」
「何かお前…格闘訓練って話しになると性格変るよな、普段は静かなくせに」
「マナは強すぎるからね、戦える相手が居るとテンション上がるんだよ」
「メルトさんもどうです?」
「え、遠慮しとくよ、私は格闘じゃなく武器での戦闘が得意だからね」
「武器ありでも私は」
「お? 良いの? 異種格闘戦してみる? それは面白そうだね」
「あ、ありゃ!? 何か意外な所で面白そうな話が始まったぞ!?」
「め、メルトとマナの異種格闘戦…だと」
「何それ面白そうじゃないの!」
「うぅ、りょ、料理の用意で見られません…悔しい!」
「アルルさん、私も我慢しますわ」
何か謀らぬ所で面白そうな話が始まったぞ!
マナもメルトも相当強いからな、どんな戦いになるのか楽しみだ!




