尋問訓練
「よし、それじゃあ、今日も訓練だ!」
「はい!」
「今回の訓練は折角のクラブ強化日だからな
実戦訓練といこうか」
「おー!」
「でも部長、普通の実戦訓練だと飽きるでしょ?」
「あー? そうか? こう言う積み重ねって大事だぞ?」
「でもほら、私達って全然訓練出来てない物があるわよね」
「あったっけ…基本戦闘技術は大体叩き込んだし…」
「戦闘面じゃないわ、精神面よ!」
「ん?」
まぁ、確かにこう言うのでは精神面って大事だけどさ。
「新しい大会のルールも追加されたし、そろそろそっちもした方が良いと思うの」
「そう言えば、新しい戦闘ルールが追加されてたな。
確か奪還作戦だったっけ」
今までの作戦は殲滅戦、敵を全て排除すれば勝利の戦い。
拠点制圧、拠点を複数制圧した方が勝利の戦い。
ヘットハント、リーダーを排除することが目標の戦い。
現状ではこの3つしか無いが、去年からの新作戦で
指揮官奪還作戦という物が追加されたんだよな。
確か攻守で別れて、まずは相手チームに自チームの部長を渡す。
その部長を防衛チームは隠し、奪還されないように戦う。
攻撃チームはその部長を奪還するために捜索と戦闘を行なう。
勝敗条件として、攻撃チームの部長が降参を行なった場合は防衛チームの勝利。
部長を奪還することが出来れば攻撃チームの勝利だ。
戦闘は2回行なわれて、攻守共に1回ずつだったかな。
この作戦で勝利するために必要な要素は
情報収集能力、潜伏スキル、尋問スキル
尋問に耐える精神力、情報共有能力が主にあげられる。
尋問スキル、精神力は攻守共に必須だろう。
攻撃側で精神力が必要なのは部長なんだけど。
尋問は暴力禁止ではあるが、結構キツいと聞くしな。
で、防衛側は尋問されても防衛場所を白状しない精神力が必要だ。
これは全ての部員に当てはまる、バレたら一斉攻撃を食らうからな。
まぁ、必要最低限の人員にだけ情報を共有して
尋問による情報の漏洩を避ける方法もあるだろうがな。
「確かにこの新ルールは今までとは必要な部分が違うか」
少しだけヘットハントと似たところもあるが割と違うからな。
ヘットハントの場合、俺がリーダーとなって潜伏すれば大体何とかなる。
一応、隠れるのは得意だし、そうそう俺の場所は見付からない。
情報を共有しなければ尋問で場所がバレる心配も無いからな。
だから、尋問訓練はしてなかったが…でも、この奪還作戦では
その手が通用しない…尋問は必須だし、全部員の耐久力も必須だ。
「うーん、なる程な、確かに必須かも知れないけど…」
「と言う訳でよ、今回は尋問訓練を行ないましょう」
「尋問訓練ねぇ」
俺はあまり尋問って、乗り気じゃないし、出来ればしたくないしされたくない。
いやだってさ…あれだよ? 相手は女の子だよ? それも魅力的な。
もう中学生だし、女の子達は全員可愛らしい。
見た目は妙に可愛らしい俺でも、中身は男だからな。
そ、そんな女の子に触ったり触られたりとか…り、理性が保てるかどうか…
色々と暴走しそうだし、尋問訓練は絶対にしたくない。
と言うか、異世界は発育が良い子が多すぎるんだよ!
なんで中学生のくせに胸大きい子が多いの!?
でもまぁ、まだ大丈夫な類いなのかも知れないが…
中学生相手に欲情はしない…多分。
こ、高校生が相手だったら、流石に不味いかも知れないが
中学生が相手なら大丈夫だと思いたい。
いやでも…死ぬ前は童貞だったし…欲望の塊だった気がする。
い、今の状態でも、その可能性があるが…
いやでも、うーん、でも、小さい子相手にはなんも感じなかったが
これ位の年齢になると、流石に反応してしまう可能性が…
「う、うーん、うぅうーん…むぅ、うーん…でもなぁ…うーん、
ま、まぁ、そうだな、尋問訓練をしよう、だが、俺は参加しな」
「それが通るわけ無い、リオ」
「そう、リオを触るちゃん…あ、いや、部長だししっかり先導して」
「いや! でも無理だって! 俺には荷が重いから!
そこら辺は得意じゃないし! 先導も出来ないし教えるのも絶対に無理だし!」
「だったら余計にやらないと駄目だと思う…けど…だ、だって
その作戦が選ばれたとき…えっと、攫われる対象って…リオちゃんだし」
「うぅ…」
「ふっふっふ! 初めての事なら私に任せなさい! 先生が動きましょう!」
「アルル!」
そう言えば、アルルもこのスポーツ戦争部の顧問してたの忘れてた!
こ、こんなの…こいつが反応しないわけがない!
「お、お前は!」
「ちっちっち、先生に向ってお前などと言ってはいけませんよ?」
「うぐぅ…せ、せ、先生はそう言うのは駄目だ!」
「得意ですよ、私はね、だって、私は保険の先生です。
なので、人体の弱い部分は全て知り尽くしています。
そこを的確に狙うという事で尋問の実力も跳ね上がるのですよ。
つまり、この尋問訓練において、最も適役なのがこの私です!
弱い所を知っていれば、そこを守る手段も考えられますからね!」
「そ、そう言うのは、口で説明してくれれば良いから」
「口で説明できませんとも、なので、実演です」
「おい! こっちを見るな!」
「いやですねー、リオさん、これは訓練なのです!
それに、さっきウィングさんが言った通り、1番危険なのはリオさんです!
そして、あなたは部長さん、身を挺して部員達の犠牲になるべき立場!」
「よ、よせよせ、ち、近付くな!」
「さぁ! 教えてあげますよ! その身体にじっくりと!」
「止めろ!」
「危ない! ぼ、暴力は駄目ですよ!?」
「む、無理矢理ってのは反則だろ!?」
「ですが、適役なのは私とリオさんなのですが」
「まぁ、そう言う事だし…諦めた方が良いと思うわ」
「何でだよ!」
「いやだって…アルルの責めに耐えられそうなのって…やっぱあなただけだし」
「なんで!?」
「その身体に聞いてみなさい」
いや、確かに今まで結構酷い目には遭ってきたが、それはあくまで怪我であって
こう言う、あれな感じの責めを受けた記憶など一切ない。
「さぁ、諦めなさい!」
「ほ、本当に勘弁してくれ!
「リオちゃん、頑張って!」
「止めろよ!」
「もう皆、諦めてるわ、諦めてないのはあなただけよ」
「く、くぅ! なんで全員して俺をこんな目に遭わせるんだよ!」
「やっぱり、からかいやすいからかしら」
「おま! ふざけんなし! 俺の身にもなれよ!」
「と言ってもまぁ、ここでと言うのは恥ずかしいでしょうし、部室で」
「何? ただの尋問だよな! 恥ずかしい要素とか無い筈だよな!?」
「だって、声を荒げてる姿とか見せたくないでしょう?」
「そう言う優しさがあるなら、根本的な優しさを持て!」
「身体の弱いところとかは解説を与えながらリオさんに教えますので
それを皆さんに伝えるという感じで」
「2度手間!?」
「恥ずかしい思いをしても良いというなら、全員の前ででも」
「そもそも俺は容認した記憶は無い! ばっか! 止めろ! シルバー! 止めて!」
「……えっと、アルルさんの言っていることも正しいですし…」
「お前も諦めるなよぉ!」
「うふふ~!」
「にゃぁあー!!」
…………それから、30分くらい、散々な目に遭った。
「あ、あぅ…」
「痙攣しちゃって…やり過ぎました?」
「と、当然だ…ば、馬鹿…ま、マジで死ぬ…これは…」
「どうでした?」
「く、首筋が…あそこまでヤバいとは…知らなかった…」
「ゾクゾクするような感覚を与えることが出来ます。
それと、脇腹はくすぐりなどがありますから分かりやすいですかね。
そこには色々な神経が集まっているので弱いのですよ。
で、ももの裏です、足にも神経も多く、特にここは弱いです。
理由は…まぁ、口に出すような理由ではありませんがね。
耳も弱点です、ぞくっとする感覚を与えることが出来ますよ。
耳元で囁くとかをすれば、より効果的になると思います。
まぁ、これだけでも、色々な組み合わせをすれば、相手をノックアウトできます」
「どう言う意味だよ……意識飛ばすってヤバいだろ…」
「まぁ、抵抗が出来ない相手なら、どうとでも出来ますしね。
因みに、優しく触るのがコツです、強く触ると痛い方が強く出ますからね。
それだと、ただ痛めつけているのと同じなので大した効果はありません。
暴力禁止ですしね、あ、くすぐるのがありなら、こう言う羽根でも効果的です。
こう、脇腹とかここら辺を、こしょこしょーと」
「あひ! ば、止め! あははは! ま!
く、くすぐられるの、よわ、うはははは!」
「まぁ、羽根は簡単に優しく刺激することが出来ますからね、効果的です」
「う、うぅ…」
「苦手な物でダウンさせる方法もありますよね、熱々のおでんとか!」
「そ、それはヤバいだろ! リアクション芸人かよ!」
「はい、用意してます、因みに激辛おでんでもあります」
「は!? や、止めろぉ!」
「えい」
「うぁ! …あ、ありゃ?」
「まぁ、流石にこれは火傷しますしね、冷ましてあげます」
「え? あ、ありがと…う?」
お礼を言うべきなのか?
「はい、どうぞ、冷めましたよ?」
「え? あ、ありがとう、あむ…む、むぅううう! からぁああ!」
「はい、このように虚を突けばより効果的になります。
熱い+辛い、で、辛いを軽く伝え、熱いを目の前で消す。
そして、油断させて辛いをプレゼントすれば、相手は発狂物です
心の準備を相手から奪うという、虚を突く作戦、精神作戦です」
「み、水!」
「水が欲しければ情報を吐けー! とか言ってみたりして。
はい、どうぞ、お水です」
「むぐ、あ、あっつぁああ!」
「これも虚を突く作戦です、1度経験しましたっけ」
「も、もうなんか…な、懐かしい思い出がフラッシュバックした…
だが…た、多分…こ、今回の方が…酷い…」
「因みにこのお水、そこまで熱くないんですよ?
火傷するような熱さではありません、辛さの影響です。
なので、お口の中が火傷! と言う事にはなりませんよ」
「うぅ……か、辛いし…熱いし…最悪だ…」
「尋問って楽しいですね!」
「楽しむな! 立場変れ!」
「喜んで! リオさんに尋問されるならそれはご褒美です!
さぁ、実戦は必要ですよ! さぁ、お尻をひっぱたいてください!」
「いや、暴力発生してるだろ、訓練のいき超えてるだろ。
とりあえず、お前に触るのはいやだから筆で弄る」
「え!? 何ですかそのプレイ!?」
「ほれほれ、ここが駄目なんだったっけな~」
「あ、あぁ! リオさん、良いです! 最高ですぅ!」
「く、首筋を弄ってるだけなのに、何だろう、いけない事をしてる気になる。
とりあえずほれほれ」
「あはぁ♡ そ、そこです! も、もっと下、下をぉ!」
「……わ、脇腹を弄ってるはずなのに、やっぱりいけない事をしてる気がする」
…これじゃあ、どっちが尋問をしているのか分からなくなるな。
でもまぁ、とりあえず散々された仕返しに、散々やり返してやるぞ!
「あ、あぁああーー♡」
「…やっぱりキモいな、こいつ……と言うか、尻をこっちに向けるな」
「さ、さぁ、わ、私のお尻を!」
「そら!」
「うぎゃぁあああ!!」
よし、スッキリした。




