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学園生活

子供達の相手は本当に大変だった。

しかしまぁ、日曜日は終始のんびりとし、軽く宿題も終わらせた。

そして月曜日…学校が始まった。


「リオ先輩!」

「ん?」


俺が行っているのは女子中学、アルルが無理矢理ここに入れた。

共学などあり得ないのです! リオさんは女子校へ! との事。


「え、えっと、今日、一緒にお弁当を」

「あ、駄目よ! リオ先輩は私と食べるんだから!」


…何故か、この女子中学では、妙にモテてしまうという現実。

なんだろう、本来なら喜ぶべき所なのだろう。

学園でモテモテ生活だとか、全男子の夢だからな。

しかし…しかし! 身体が女なんだよなぁ!

なんで女になったら女にモテる? うぅ、悲しいような嬉しいような…


「え、えっと、今日もミロル達と食べようと思ってて」

「うぅ、ざ、残念です…」


こんな断り方をすれば、ミロル達が怨まれそうな物だが

あいつらもこの学園では人気者だから問題は無い。

小さな戦士達と言う肩書きは今の年代になっても十分通る。

と言うか、歴史の教科書で俺達の活躍とかが載ってたりするから

風化する所か、ドンドン浸透して行っている。

しかし、歴史に関しては、もうなんか当事者だから

学ぶというか、昔を思いだしてる感じでしかない。

一応、俺達が小さな戦士達だと言う事は公には明かされてないはずなのだが。

学園の子達は既にその事を知ってる…噂ってすごいよな。


「相変わらずモテモテね、リオ」

「女子集団から逃げてるお前が言うなよ」

「ミロル様ぁ!」

「ばっか! 来ないでって! 言ってるじゃないの!」

「…と言うか、憧れてたんだろ? 喜べよ」

「これは違うわよぉ!」


そんな感じで、ミロルはいつも女子集団に追われての登校だったりする。

いやまぁ、俺も結構女子集団に囲まれてるんだけど…まぁ、誰も道は阻まない。

俺が歩いていると、周りから集まってくる女子達は

全員道を空けて付いてきてくれる…なんか偉い奴って感じでそこは気分良い。


「ウィング先輩、どうすれば胸が大きくなりますか?」

「え? えっと、栄養バランスの良い食事をしてたらきっと大きくなるよ」

「はい! 頑張ります!」


ウィングはその大きすぎる胸から、学園中の胸の小さい女子からの

相談を受けていたりする…が、ウィング自身、何故胸が大きいかなんて知らないから

自分がしてることを教えるだけで、それで効果があるかは別なんだよな。


「ウィングちゃん! どうすればおっぱいが大きくなりますか!」

「…え、えっと」

「諦めろって言えば良いよ」

「トラちゃん酷い! おっぱいあるからって!」

「運動を少し減らせば良いだろ」

「駄目だよ、私が抜けたらこの学校の部活動はかなりの大打撃だよ。

 総合格闘とか、CQCとか、後、野球だっけ、サッカーとかもあって」

「お前は運動しすぎだろ」


フレイはかなりの運動部を兼部してたりする。

その全てでトップクラスの実力を持つのだから流石フレイだよ。


「リオちゃんも総合格闘に来れば良いのに、そうすれば張り合いあるよ」

「いやだよ」

「部活の子も、たまにリオちゃんが来るときをすごく楽しみにしてるんだから」

「どう楽しみにしてるんだよ」

「私達の全力が見れるからって!」

「そうか、総合格闘部全体でもお前の相手になる学生は居ないのか」

「いないよ、誰1人、半分の力も出せないよ」

「まぁ、俺の部活は張り合いある相手が居るから楽しいけどな」

「ミロルちゃんだよね、羨ましい!」


俺は射撃部と弓道をやってたりする。

やっぱり今まで戦争ばかりをしていたからなんだろうな。

部活動と言っても、物騒な物が多い。

因みに、俺達全員が入部している部活はスポーツ戦争部という部活。

やはり戦争がメインだった国家だ、そう言った要素は残る。

スポーツ戦争部は、言わば模擬戦争を行なう部活だ。

平和な世界でなんという、なんて言う意見も出るには出たが

このスポーツは戦争をスポーツにしてしまおうというメア姫の意見だった。

苦しい歴史、悲しい歴史しか無かった戦争をスポーツとして

戦争その物を完全に根っ子から消そうとしている。

そう言う戦いもルールの中でしよう、と言うのがメア姫とリサ姫の考えだった。

戦争で親を失った人も沢山居るし、子供を失った人も居る。

当然だが、戦争の歴史においてそれは必ず付きまとう。

だが、その歴史を再び起さないためにも戦争その物をスポーツにする。

本当、滅茶苦茶な考えだ。

だが、悪意なんて物は一切なく、あの2人は本気でそれを目指している。

その熱意が本物だったからこそ、スポーツとしての戦争は受入れられてきた。


「そう言えばリオちゃん」

「なんだよ」

「…ずっと気になってなんだけど、学校に来る時って胸が小さいよね」

「……いや、まぁ、うん」


外出する時は、いつも包帯でキツく縛っている。

やっぱり、胸があると、どうも違和感が残るからなぁ…

でも、締め付けられてる感覚が強いから、あまり好きじゃない。

だから、家じゃ包帯なんて巻いてない、隠しても意味ないし

隠す必要なんて一切ないんだからな。


「あ、分かった! 服を着たら小さくなるんだね!」

「そ、そうだ、そうそう、着痩せって奴だよ、うん」


とりあえず、そういう事にしておこう。

色々と騒がれると面倒だからな。


「そう言えばフレイ」

「何?」

「今日って確かクラブ強化日だったっけ」

「あ、そう言えばそうだね」

「あぁ、そうなのか」


このトロピカル女学園は週に2日、クラブ強化日という日が設けられている。

クラブに力を注いでいると言う事だろう。

まぁ、スポーツ戦争部では全国1位だからな、この学園。

理由は語るまでもないだろう、当然の結果だ。

むしろ戦争を経験してない甘ちゃん学生に負けるとかあり得ないし恥ずかしい。

このスポーツ戦争は一応、男は男と、女は女と戦う事になっている。

筋力の差だとか、そう言うので男子の方が有利だからな。

だがまぁ、ここは相手が男でも女でもプロだろうとも勝ってる。

エキシビションマッチで戦ったが、勝つことが出来た。

ハルさん達に勝てたのは素直に嬉しかったよ、魔法無しで戦ったわけだしな。

と言っても、あの人ももう結構な歳だからな。

でもまぁ、クリークも参加してたら勝てなかっただろうなぁ。

まぁ、性別統一だったし、クリーク達の参加はあり得ないけど。


「と言う事は、午後からずっとクラブか、面倒くさいな」

「総合格闘に来てよ、戦おうよリオちゃん!」

「だからいやだって、お前と戦ったら怪我するだろ」

「怪我しないじゃん」

「…しんどいだろ!」

「あ、確かにいつもゼーハー言ってるね」

「お前が異常だからな」

「それに付いていけるリオも異常だと私は思うよ」

「じゃあ、スポーツ戦争? 確かにそっちに力入れないと

 ファース女学園に負けるかも知れないしね」

「…いや、多分…いやでも、危うい…か?」


ファースは元ファストゲージ国の地方名。

今はミストラル王国に吸収され、ファース地方に変った。

だが、統治者は相変わらずスティールが行なっている。

そのファース女学園は本当に強いんだよな。

何てったって、フェミー達が居るんだから、油断してたら負ける。

上位を占めているのが1位がトロピカル女学園。

2位がファース女学園、3位がミストラル女学園だ。

女学園ばかりなのは、魔法使いが女性の方が多いと言う理由だ。

だから、戦争の当事者である子供達が魔法の解き方を知り成長を始め

中学生ほどの年齢になるから、スポーツ戦争は女子組が圧倒的に強い。

当事者が多いんだから、当然ではあるがな。

でもまぁ、それでも俺達がいるトロピカル女学園は相当だが。


「うーん、ここの子達、経験があまり無いから弱いんだよね」

「それもまた、奇異な話だけどな」


トロピカル女学園の戦争当事者は非常に少ない。

他は40%ほどが当事者だったりするのだが。

ここは8%しか当事者が居ないという状況だからな。


「それでも1位って言うんだから、本当にすごいです!」

「皆の頑張りだ」

「そうですね!」


この大会は結構前からあったらしく、その時のトロピカル女学園は最下位だった。

兵士なんて居ないし、そもそもそこまでガチでもなかったからな。

で、俺が1年で参加して、滅茶苦茶だった部活を小さな戦士達全員で復興させた。

そして1位、中々に大変だった、接近格闘術を教えたり

銃器の扱い方を教えてみたり、刃物の扱い方を教えて

潜伏方法、戦車の操縦方法、ヘリの操縦方法、戦術の組み方やチームプレイ。

サインやら何から何まで全て教えた…思い出すだけで懐かしくてしんどい。

まぁ、ミロルが居てくれたお陰で、俺に負担が全て来ることはなかった。

接近格闘はフレイに任せたが、あいつは駄目だ、教えるのが下手すぎる。

完全に実際に戦えば分かるよ方針で、部員を全てなぎ倒してた。

そして最後に、勝負にならなーい! だからな、そりゃならねぇよ。

だから仕方なく俺が教えた…アルルに教わった技術を教えた。

完璧に覚えた部員は1人だって居なかったが、なんとか形になってた。

銃器も10発に1発は当るようになったし、まぁ、頑張ってる。


「ま、今日はとりあえずスポーツ戦争を中心にやっていくか。

 射撃部や弓道部もそこでやろう、で、総合格闘の方もCQCの方も」

「うん! 伝えとくよ!」

「俺の方は伝えなくても良いんだけど、強化日はそこでやるって言ってるし」


なんかいつの間にか部長になってて苦労したりしてる。

本来、こう言う役目は3年生がするべきだと思うんだけど。

それが残念な事に、3年生も俺達のファンだって言う現実。

実質的にこの学校の最高学年は俺達だからなぁ。

まぁ、中身的には最高学年ぶっ飛ばしてるし別に良いんだけど。


「それじゃあ、まずは授業だな」

「うぅ、やっぱり勉強かぁ、いやだなぁ、退屈だよ」

「お前は身体を動かすことしか出来ないからな、頭良いくせに」

「頭は悪いよ?」

「どの口が言う」


勉強もろくにしてないのに中の上位なんだ、頭は絶対良い。

と言うか、授業で習ったことは大体全て覚えてやがるし。

マナに教わった技を1発で覚えるほどだし、頭は良いんだろう。

ま、その頭の良さは全てスポーツ関連に振り分けられてるみたいだけど。

そして授業…いつもの退屈な授業。


「ミストラル王国は、今では世界を統一した国家ではありますが

 昔、27年前はすぐにでも滅びてしまう程の弱り切った国家だったのです」


今回はこの国が昔は滅び掛けてたって話しか、初めてだな、これは。

まぁ、先生はシルバーだし、ちゃんと記憶してるって事だろう。

にしても、シルバーもノエもアルルも大した物だよ、あの3人。

本業の合間合間で学校で授業だからな、しかも分かりやすい。

そう言えば、今日はアルルの授業もあるのか。

じゃあ、今日のリリスさんは仕入れとかをしてるって感じか。

本当、あの2人の料理屋は休日が多いのに、大人気ってんだからすごいよ。

そして、アルルの授業。


「はい、では今回ですが、今回は手術の軽い流れを」


…普通の中学校だったら、絶対にあり得ない程の授業だ。

現実世界なら大学レベルの授業をアルルは行なう。

と言うか、大学レベルの授業を越えてるほどの授業だ。

だが、アルルの教え方は尋常じゃなく上手でちゃんと子供達は理解してる。

最初は包帯とかの結び方や身体の話し、臓器の話と、普通に保険をしてたのに

どうしてこうなったし。


「はい、授業お終いです、分かりました?」

「はい!」

「では、次は…そうですね、簡単な薬でも作りましょうか」

「薬!?」

「……」


さらっとえげつない事を言うな…マジ怖ーよ、アルル。

普通授業で薬なんて作るか? 危ないって。

でもまぁ、それが出来るだけ施設は整ってるんだけど。

小さな戦士達の活動資金を全部学校や幼稚園とかそう言う育児関係に回したからな。

俺達には一銭も残ってないが、何不自由なく過せてる。

アルル達の収入も相当だし…問題は無いからな。


「ではまぁ、退屈な授業はここまでです、次は皆さんお待ちかねの昼休憩ですよ

 その後はクラブを行なってください、しっかりと休憩をしてくださいね」

「分かりました!」


…さて、昼休憩の後はクラブか…面倒な事にならなきゃ良いけど。

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