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幼女に転生した腹いせに狙撃チートで戦場を荒らしてやる!  作者: オリオン
第3部、最終章、悲劇を終わらせるために
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ちょっとで変る運命

散々だった船旅も終り、なんとか国王に今回の事件を伝えることが出来た。

国王は今回の件を心から喜んでくれ、胸をなで下ろしたようだった。

そして、俺達小さな戦士達のメンバーに正式に英雄の称号を与えると言う。


「…国王様、お言葉ですが…その申し出は断らせて貰います」

「なんだと…」


だが、俺はその称号に興味は無かった…そんな物、最初から用は無い。


「…戦争は…今度こそ終わりました、だから、英雄はいりません。

 そして、今度こそ、自分達は兵士と言う肩書きを捨て

 ただの一国民に戻りたいと思います」

「…うむ、それは分かっていた事だ」

「そして、国王様、魔法の危険性とその対処方は伝えました。

 なので…兵士としての最後のお願いになるでしょうが。

 …魔法の使用は禁止にしていただきたい」

「あぁ、最初からそのつもりだ、尊い子供達の寿命を捨てるわけにはいかないからな」

「ご理解、感謝します」

「……しかし、リオ」

「はい、なんでしょう?」

「私からの願いを…聞いてはくれないか?」

「はい、何なりと」

「お前達は兵士としては戦いたくないと言うのは分かった。

 だが、君達ほどの兵士に何もしないまま兵士を止めさせる

 等と言うことを、国民達が許すはずもあるまい。

 例え、君自身の申し出だったとしてもだ。

 だから、君達には兵士という肩書きをそのままとして

 ただの一国民に戻って欲しい…当然、何かあったときに

 召集するという真似はしない」

「……しかし」

「お願いだ、リオ」


……もう兵士はいらない、しかし、国王が言うとおり

俺は、俺達は国に対して影響を与えすぎた。

だから、その兵士達を何もしないまま捨てるでは

確かに国民達の反乱を買いかねない。


「…分かりました、肩書きだけならば」

「感謝する」

「それでは、自分はこれで…長い間、お世話になりました」

「別れのような言い草は止めろ…また、来てくれ。

 メア達も喜ぶからな、その時はお前達を兵士としてではなく

 メア達の友人として、受入れよう」

「ありがとうございます、国王様」


俺はそのまま部屋を後にした。

これで全部終わった…もう、戦争は起こらない。

そう思いたい物だ…戦争ばかりの世界から戦争が消える。

それはきっと、何処までも喜ばしいことだろう。


「…さて、家に帰って、のんびりするか」

「…待って、リオ、あなたに伝えたい事がある」

「な! ケミー!?」


扉を開け、家に帰ろうとしたとき、俺の目の前にケミーが立ちふさがった。

ずっと行方不明だったこいつが、何でここに!


「おい、どうしてお前がここに!」

「付いてくれば分かる」

「…あ、あぁ」


ケミーは手招きをし、俺の案内を呼ぶ。

俺はケミーの後にゆっくりと付いていった。

なんでここにいるのかという疑問を晴らすために。


「…ねぇ、リオ…私達は本当にあなた達に感謝してるの」

「……お前に感謝される事なんて…1つもねぇよ」

「いや、沢山あるの、私の道を示してくれたし

 私に、自分で考えると言う事を教えてくれた。

 私達の為に、必死に戦ってくれて、あの人も殺さないでくれた。

 今は牢屋なんだよね、仕方ないとは言え、殺さないでくれて嬉しいよ」

「だが、フェミーは…」

「……それも感謝してるんだ」

「は?」

「もしも…もしも皆が居なかったら…フェミーはもっと辛い思いをした。

 きっと、自分の手で…自分が1番大好きなお父さんを殺してたんだから。

 でも、あなた達のお陰で…フェミーはそんな事をしないですんだ」

「死んじまったら意味ねぇだろうが…」

「……あはは! 縁起でも無いことを言わないでよ」

「え?」

「だって、フェミーは」


ケミーが病室の扉をゆっくりと開けた。

そこには…


「……やぁ、元気そうで何よりだよ、リオ」

「お、お前…死んだんじゃ!」

「あはは、いやぁ、実は私も死んだと思ったんだ。

 暗闇を見た、走馬燈って言うのも見た…でもさ。

 その走馬燈を見たからなのかな…死ねなかったんだよ。

 優しかった時のお父さんを思い出して、死ねなくなった」

「……」

「そして、重いまぶたを開けたら…そこには泣いてるケミーが居てね」

「じゃあ! お前は、あの後!」

「うん、ウィンちゃんの魔法をコピーして、こっちに移動したんだ。

 私は皆の経験をコピーできる、その中で知ったんだ。

 ミストラル王国にいる、治癒魔法使いの事を」

「じゃあ、お前の…怪我を治したのは!」

「その通り、私だ、リオ以外の怪我を治したのは久し振りだったな」

「マオ…!」


あぁ、はは、そうか…助かってたのか、全く。

本当に…良かった。


「だから、もう一度…いや、何度でも言わせて。

 ありがとう、リオ…私を…私達を助けてくれて。

 ありがとう…私達を見捨てないでくれて。

 あなた達のお陰で…私は、何も失わないで済んだ」


ケミーが涙声で俺に後ろから抱きついてきた。


「…あなたの…お陰で…私達は…私…達は…」

「……俺のお陰じゃねぇよ、馬鹿だな。

 お前らは…俺だけに助けられたわけじゃ…ねぇんだよ」

「…うん、分かってる…分かってる…でも、1番は…あなただから」

「……俺は殆ど、何もしちゃいねぇよ、1番はマオだろ」

「…リオ、ハッキリ言うけど、あなたが居なかったら私は居ない。

 あなたが居なかったら、この国は無かった。

 あなたが居なかったら…あなたの周りに居る子供達も死んでる。

 全部、あなたが居たから…戦争は終わって、私達は平和を噛みしめられた

 もう少し、自分に自信を持って」

「……そうか、役に立てたか…ふ、そりゃあ…嬉しい限りだよ」


完全にただの理不尽でこっちの世界に飛ばされた。

滅び掛けてた国の孤児として、こうやって生まれた。

ずっとあのクソハゲを怨んで…それでも、そうだな。

そのお陰で…俺は色んな奴の救いになれたって事か。

は、はは、あぁ、よく分からねぇ物だな、世界ってのは。


「…本当に嬉しいよ、ありがとうな…俺に出会ってくれて」

「違う、リオが私達に出会ってくれたんだ、お礼を言うのは私達だ」

「本当…子供とは思えねぇよ、お前」

「リオもね」


胸をなで下ろしたという感覚はこう言う物なのだろう。

そして、もうひとつ楽しみが生まれた。


それから、俺達が兵士を止めて1週間が経過した。

大して時間は経っちゃいないが、これが俺の楽しみの1つだ。

俺は無事動けるようになったフェミーを連れ、牢獄へ移動した。


「何? 私も牢屋にぶち込まれるとか?」

「まぁ、お前も結構散々してくれたからな。

 戦況をぐちゃぐちゃにしたのはお前だし」

「まぁ、わがままで無茶をしたし…それが罰なら心して受けるよ」

「……よし、付いてこい」


俺は牢屋の部屋を開け、フェミーを連れて奥の牢へ移動した。


「……ほら」

「…え? お、お父さん」

「フェミー!?」


ミリタークの国王はフェミーの姿を見て、一瞬の間に牢の近くまで移動した。

その目には涙がたまっている。


「お前…死んだって…」

「お父さん…生きてたんだ……お父…さん…」

「散々暴れて、散々状況を狂わせて。

 更には最後の終りまで狂わせてくるなんてよ…

 お前は本当に制御が出来ねぇよ、フェミー」

「……リオ」

「もう、大事な親父を殺す必要は無い。

 しばらくの間、こいつには豚箱で反省して貰おうとは思う。

 本当なら、処刑されてもおかしくないレベルの大罪を犯した大罪人。

 それが、国民達の意思と、ファストゲージの国民達の意思で

 こうやって、ただ牢にぶち込まれるだけで済んだんだ。

 ……感謝しろよ、クソ親子」

「……本当…何から何まで…助けられちゃったね…」

「本当にありがとう…ありがとう…」

「はん、お前の娘は俺が助けたんじゃない、こいつの親友が助けたんだ。

 持つべき物は友達だねぇ、それじゃあ、折角の再会なんだ。

 楽しめよ、馬鹿親子、もう変な真似はすんなよ。

 お礼もちゃんとして回ってこい、あ、俺にお礼はいらないぞ」

「勿論、リオにもお礼は言うよ…」

「…はん、俺にお礼をする必要なんて無いんだよ、じゃあな」


……あの馬鹿親子、本当に…本当に少しだけの違いだったな。

不運なバットエンドになるのも、幸福なハッピーエンドになるのも。

ただ1人の親友がその場に居たから…それだけでバットエンドから

ハッピーエンドに変わった…何処までも不運でも、何処か幸福な親子。

報われなかった努力、それが、ただ1人の少女のお陰で報われた。

こりゃあ、ケミーは幸運の青い鳥とかなのかねぇ。


「…リオさん、意外と意地悪ですね」

「なんの事だ?」

「助かったと分かった地点で、伝えれば良かったのに」

「直接あった方が喜びデカいだろ?

 後は死んだ目をしてる奴が報われたとき。

 どんな風になるかに興味があってな」

「結果…どうでした?」

「なんて事は無い、俺達と同じ瞳になっただけさ」

「キラキラですかねぇ、少女漫画みたいに」

「俺達そこまで目でかくないし、キラキラしてないだろ」

「瞳の奥がギラギラしてますよ、リオさんもね」

「俺はどっちかというと死んだ魚のような目の方が近そうだがねぇ」

「なーに言ってるんですか、滅茶苦茶輝いてますよ? 瞳の奥

 生き生きしてます!」

「…そうかい、まぁいいや、さ、戻ろう」

「はい」


俺達は自分の家に帰った、当たり前の場所に。






…そして、長い時間が経過した、戦争が再び始まると言う事は無かった。


「リオ! 学校よ!」

「…まだ寝かせてくれ」

「ほら! そろそろ体つきも女の子っぽくなってきたんだから!

 しっかりと女の子らしくしなさいよ!」

「うっさいな! 中身男だぞ!?」

「うふふ、動きのいちいちが女の子らしくなってきてるのに~?」

「何! 何処がだよ!」

「くしゃみするときとか」

「な! ありゃ前からで!」

「いやいや、余計に目立つようになったわよ」

「こ、こいつ!」

「リオさん、ご飯ですよ~」

「はーい、さ、リオ! 行くわよ!」

「もう止めてくれよミロル…」

「あなたの担当は私だからね、止めろと言われて止めないわよ」

「うぅ、絶対にフレイとかの方が朝弱いのになぁ」

「ほら、良いから来る!」

「はいはい」


今じゃ、中学生ほどの身体にませ成長した。

…ずっと5歳児の身体で過ごしていたから、少しだけ視点が高くなって

違和感ばかりを感じるようになった…だがまぁ、こう言うのも悪くないだろう。

長い戦争は終わった…後は、この平和な時間を噛みしめるだけだ。

……あのハゲに対する復讐は幸せに生き続けることで果たしてやるよ!

今回のお話で本編は終了となります!

長い間、ご愛読ありがとうございます!






次回からは番外編をお楽しみください!

予定では最低10話を予定しています!

殺伐とした戦争から解き放たれたリオ達の

のんびりスローライフをお楽しみに!

スローライフをするだけなのでハプニングは

無い…筈です!

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