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幼女に転生した腹いせに狙撃チートで戦場を荒らしてやる!  作者: オリオン
第3部、最終章、悲劇を終わらせるために
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盲信的な信頼

破壊魔法とやらと魔法が使えない兵士達。

実際、接近戦オンリーだった場合は撃破は不可能だろう。

だが、こっちは基本的に遠距離魔法、相性は良い。


「そら!」

「く!」


こっちの攻撃は確かに相手には効果的ではある。

だが、向こうはどうも弾丸を破壊しているように思う。

恐らくだが、接触した攻撃を破壊していると言ったところだろう。

これは厄介だな、攻撃特化の魔法を防御に無理矢理転用した形か。

恐らく付け焼き刃…それでもこれだけ効果的だというのだから驚きだ。

このまま正面からの攻撃では危険というのは間違いないな。


「ひ、卑怯者! 近付いて戦え!」

「それじゃあ、お前も魔法を使うなよ? それなら近付くから」

「なぁ!」


当然、こちらとしても自らの優位性を捨てるはずもない。

元々魔法を奪われている状況なんだ、元々フェアではない。


「でも、リオさん…このままだと時間が」

「分かってる、アルルと俺以外はフェミー達を追ってくれ」

「2人だけで…大丈夫ですの?」

「元々、こいつ相手に複数での攻撃はあまり意味が無いだろう」

「…ですが」

「フェミーの保護を優先してくれ、人質を取られたままだと不利だからな」

「分かりました」

「行かせないし!」

「いや、行かせて貰うぞ!」


俺は彼女の近くにあったスイッチを撃ち抜いた。

ちょっとの衝撃でも反応し、彼女の足下から針が出る。


「痛! この!」


彼女の足に針が少しだけ刺さったが、少しして針が破壊される。

これなら破壊に少しは時間が掛かるんじゃねぇの?


「こんな針!」


彼女は針を破壊していくが、どうやら一気に破壊は出来ない様だ。

触れた針だけが砕けている、確定だな。


「今のうちだ!」

「分かりましたわ」

「こんのぉ! 卑怯者共めぇ!」

「人質を取ったあげく、魔法まで奪ってる訳なんだし

 どっちかというと、お前らの方が卑怯者だと思うがね」

「僕はあまり関係ないし!」

「知らねぇなぁ、そもそも戦争にフェアも何もないだろ?

 どんな手を使おうとも! 最終的に! 勝てば良かろうなのだぁ!」

「リオさん、すごく悪役っぽいです」

「言ってみたかったんだよなぁ、ラスボスって感じ」

「小物臭いですけど?」

「なぁ! 超強いんだぞ! 最強なんだぞ!?」

「いや、何がですか」

「このぉ! ふ、ふ、ふざけてぇ! 強敵! 僕は強敵!

 なのになんでそんなに余裕そうなわけ!? なんで当たり前に話をしてるの!?」

「あぁ、やっと針を全部壊したか」

「この…な、舐めちゃってぇ! 許さないぞ! ぜ、絶対にぶっ壊す!」

「そら!」

「う! ま、まだまだ!」

「えりゃ!」

「う…あ、ありゃ?」


アルルの弾丸は当らない、だが、彼女は防御の動きを取った。

そして、何も当らないことに違和感を覚え、自分の腕を眺めている。

まぁ、アルルの攻撃は最初から当らない、そして、ただの囮だ。


「当ってない? あれ、おかしいな、あ、壊したのか。

 壊した感覚無かったけど、多分壊したんだね、きっと」

「……何となく思ってたんだけど、お前って馬鹿?」

「はぁ!? 馬鹿じゃないし!」


なんだろう、気が抜けるというか…スゲーからかいたい。

いやでも、あまり時間も無いし、遊んでる暇は無いか。


「ほら、追撃だ!」

「ふふん! 当ってな、いた!」」

「直接狙うだけじゃ芸が無いだろ?」

「なんで…私の横から…」

「一応、お前の弱点は分かった。

 意識してない場所からの攻撃には反応出来ない」

「そ、そんな訳!」

「足下から不意に出て来た針を破壊できず

 ちょっとだけダメージを受けたろ」

「う…」

「それで分かるって、隠せてないぞ?」

「ふ、ふん! 僕の弱点が分かったからってなんだってのさ!」

「弱点が分かるってのは、大きいぞ? アルル」

「うぇ? あ、はい! え、えい!」

「効かない、痛!」

「あ! 当りました!」


適当に撃った弾が跳弾して彼女に当ったと、運が良い奴。


「うぅ……うりゃぁあ!」

「お?」


このままだと不味いと判断したのか、彼女は近くの扉をぶち破り、逃げた。

と言っても、出血の後があるし、何処に逃げたかは分かる。

俺達はその血痕を辿り、逃げ出した彼女を追いかけた。

隠れているようだが、隠れられていない…尻が見えてるし。


「……り、リオさん、ど、どうしましょう…すごく、戦いにくいです」

「いやうん、それは俺も思った」

「痛たた…うぅ、僕が怪我しちゃうなんて…もう、どうなってるんだよ。

 と、とにかく今は隠れてチャンスを待たないと…ふ、不意打ちって嫌だけど 

 でも、勝たなきゃ不味いし…そ、それに、あいつら2人だもん。

 あいつらの方が卑怯なんだ、だから、僕が卑怯なことをしても良い!」


隠れてる筈なのに、独り言が妙に大きい…えっと、大丈夫か? この子。

きっと、今まで防衛としてしか戦ってなかったんだろうな。


「お、おじさんに助けて貰った恩を返さないといけないんだ。

 もし、僕が負けたら、おじさんが殺されちゃうよ。

 触れた物が皆、壊れちゃってたんだ、それを助けてくれたんだもん。

 ど、どんな酷い事をしてでも…お、おじさんを助けないと…」


性格からして、兵士っぽくないとは思ってたが、なる程そう言う。

この子もフェミーの父さんに救われた立場の女の子か。

だから、ここまで必死になってたのか、なんかマジで悪役っぽい。

それでも…止める為には、やるしかないだろう。


「り、リオさん…ま、ますます戦いにくいです」

「いやほら、この子の為にも戦う方が良いだろう。

 俺達の目標はフェミーの保護と国王を止めること。

 全体的に見ても、俺達が戦う方がこの子達の為だ。

 説得して理解するようなタイプじゃないだろうしな」


止めるには無理矢理にでも止めるしかないだろう。

フェミーが死んだりしたら、全てが水の泡だ。


「よ、よし、そ、そろそろ…チラリと見て」

「よぅ」

「ひ!」


彼女が顔を出した瞬間に引金を引いた。

狙いはワザと外し、彼女の頬を擦らせるように撃つ。

しかしながら、衝撃に対するダメージは十分。

彼女はその場で意識を失った。


「よし、行くぞ」

「あ、悪役っぽいですねぇ」

「悪役なら殺してるから」

「それはそうですけど…とにかく、急ぎましょう」

「あぁ、無効化魔法をどうにかするぞ」

「はい」


俺達は急いでシルバー達の後を追いかけた。


「…やれやれ、あの子も役に立たなかったか」

「無効化魔法のお嬢さん、この状況、どうするつもりだ?」


追いついた時には既にシルバー達が彼女を壁際にまで追い込んでいた。

戦う手段もない無効化魔法なんだ、こうなるのはある意味では当然。


「…はぁ、仕方ない、これは苦肉の策だけど

 このままだと私は負けるから…無効化、解除」


お、力が元に戻った、何でだ?


「そして、これが私の無効化魔法、本来の強さ。

 範囲も限られるし、少し強すぎるから使ってはいなかったのだけど。

 この状況なら、その破壊力は十分よね、デリート!」

「下がれ!」

「へ? わぁ!」


俺達が一歩下がると、さっきまで俺達がいた場所周囲の壁が消えていた。

と言うより…そこには何もなかったかのようになっていた。


「……こ、こりゃぁ」

「私の無効化魔法、本来の力、消去魔法」

「か、壁が…何もなかったかのように」


あの子から一定の範囲が消去、消滅している。

これは、制御が出来なきゃ…迷惑を通り越して天災だな。


「この力は制御が出来ない、範囲の狭めたりも出来ないし

 範囲を伸ばすことも不可能、指定した物だけを消去させる事も出来ない。

 だから、今まで使わなかったし、使わないように言われていた。

 あの人からは魔法の使い方、制御のしかたを教わって無効化魔法に変えた。

 制御が出来なかった私の力を止めてくれたのは、あの人よ」

「だから、その恩に報いるために戦うと」

「勿論!」

「…その行動が、その大事な人を苦しめる選択だとしても?」

「な、何を言ってるの?」

「お前の大好きなその恩人様はお前が戦う事は望んじゃいなかったはずだ」

「あの人が戦うと選んだなら、私は戦う。

 ここで負けることは許されない!」

「その為なら、その人の大事な娘を殺すと?」

「…それが、勝利の為なら」

「……お前の恩人が戦う事を選んだ理由は、その娘の為だぞ」

「な!」


動揺した…なる程、知らなかったと言う事なのか。

と言う事は、国王が戦うと選んだ理由を知ってる子供達は少ないのか。


「……そんな」

「さてどうする? 大人しくフェミーを返してくれれば

 お前の大事な恩人を助けてやる、だが、逆に…もしも

 フェミーが死んだら…国王を生かす理由がなくなる」

「どう言う…」

「最初から、俺達はお前らの恩人を殺すつもりは無い。

 そんな事をしたら、フェミーが暴れるからな。

 だから、フェミーが暴れない様にする為に、殺しはしない。

 だが、フェミーが死んだ場合、暴れる奴は居なくなるから殺す」

「……じゃあ、わ、私達がしてきたことは、ぜ、全部…無駄だったって事?」

「……そうだ、お前らだけじゃなく…お前らの恩人がしてたことも

 全て無駄だった、むしろ悪化させているだけだった」

「……そんなの、違う…違う、違う! 嘘だ!」

「な…」

「あの人が間違ってる筈が無い、あの人は正しい!

 お前達は嘘を付いてる! だから、許さない!」

「ち、冗談だろ…」


まさか、ここまで心酔してるとは…こりゃ、ヤバいな。


「無効化魔法が消えたとしても、この消去魔法を突破出来る気がしない」

「ど、どうします?」

「…ひとまず、誘導するしかないだろ、あいつは俺狙いだ」

「お、お前は…死ねぇ!」

「うぉ!」


ちょ、ちょっと待てよ、制御出来ないんじゃ無いのか?

なんか、ピンポイントで俺を狙ってる気がするが!


「うわぁああ!」

「うぉ! ちょ、クソ!」


よ、避けられて居るのが不思議だ…このままだと不味い。


「リオさん!」

「お、お前らは逃げろ! 急いでくれ!」

「何を言っているのですか!?」

「お前らが居ても、何も出来ないだろうが!」

「うぅ…」

「…逃げるしかない」

「逃げながらでも、なんとかフェミーを保護しろ!」

「…わ、分かりました」

「他を逃がすの? いや、それはどうでも良い。

 お前さえここにいれば、お前は絶対に殺す!」

「う、怨まれちまったな、本当の事を言っただけだぞ?」

「うるさい!」

「クソ! フランみたいに頑固な奴だな」


このまま避け続ける訳にはいかないだろう。

こっちもウィンチェスターを召喚しての狙撃をするが。


「許さない…」

「…ち」


どうやら、無条件で攻撃は消去してくるみたいだ。

あぁもう! なんかフランと戦った時みたいだ!

だが、あっちの方がまだ良心的だったぜ…攻撃出来たからな。

でも、こっちはどうだ? 雰囲気は似ていても攻撃不可って。

どう考えてもこっちの方が難易度高いだろ!


「うがあぁあ!」

「危!」


服が破けるじゃなく消滅するって…しかも、ちょっと擦った。

くぅ、擦っただけでも血が噴き出す…痛いって。

触れたところが完全に消えるんだ、擦るだけでも不味いぞ!


「死ね! 死ね!」

「おい待て! 危な! マジで、うぉ!」


た、体力が切れるのが先か…あの消去魔法に飲まれるのが先か。

このままじゃ、ライブオアダイじゃなく、デットオアデッドだな。


「死ね!」

「って! 馬鹿な事考えてる場合じゃねぇ!」


畜生、これ、どうすりゃ良いんだよ!

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