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幼女に転生した腹いせに狙撃チートで戦場を荒らしてやる!  作者: オリオン
第3部、第7章、戦況を変える戦い
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意外な提供者

……最悪だ、最悪だ、最悪だ…まさか、こんな事になろうとは。

何でだよ、何が悲しくてあんな…うぅ、ちょっといやだ。


「リオさん、随分と暗いですね」

「誰のせいだと思ってる」

「もぅ! 喜ぶべき所じゃ無いですか!

 私とリオさんのラブラブトークが皆さんに聞かれたんですよ!」

「喜ぶべき所な訳がないだろ! ただの畜生会話だ!

 警戒心を持っていなかった俺が悪いのは認めるが。

 うぅ、まさか全員に聞かれるという事態になろうとは…

 最悪だ…正直、死にたい、貝になりたい」

「アルルの言葉を引用するほどに好きなのね」

「うっさい! 耳に残っただけだ! 誰がこんな奴!」

「むふふ~」

「くっそぉおお!」


うぅ、最悪だ…最悪だぜ…はぁ、失敗した…失敗したなぁ。

こんな事になるんだったら、自粛すれば良かった。

自制をすればよかった、感情の赴くままに言わなきゃ良かった。


「でも実際、相当気に入ってなかったら

 あんな恥ずかしいセリフ言えないでしょ?

 例え誰からも見られていなかったとしても」

「はぁ…失敗したな」


…でもまぁ、1度くらいは良いかも知れないな。


「クソ、なんかなぁ…」

「でも、リオさん」

「んだよ」

「私は楽しかったですよ! リオさんにああ言えて良かったです!

 あのまま言えなかったら、私、後悔してました!」

「…後悔?」

「…えっと、実は私、結構いやな事ばかり考えてるんです。

 それは多分、今も変わらないと思いますけどね」

「あー?」


いやな事ばかりってのは、また随分と暗い奴だな。


「私達って…戦争の中で生きてますからね、嫌な事くらい考えますよ」

「おい待て、折角回復したってのに、また暗い話に持ってくのか?」

「暗い気持ちから蘇ったついでに、今まで思ってたことを言います。

 1度くらいは言ってみたかったんですよね、だから言います。

 暗い気持ちにしちゃうでしょうけど、ごめんなさい」

「……でもまぁ、自覚しておいた方が良いことではあるな、ここの全員が」

「…では、私達は戦争の中で生きてます、それは皆さん同じです。

 戦争では、簡単に命が消えてしまう、私達は本来、そんな位置にいるんです。

 本当なら、簡単に相手の命を奪ってしまう立場…今はちょっと違いますけどね。

 相手は人形、私達的にも、それは本当にありがたいですけどね」


人形が相手なら、間違っても相手の命を奪う事は無いだろうからな。


「でも、私達は簡単に命を奪われる立場であるという事は変わらない。

 次の戦争で、私達が全員揃わなくなるかも知れない、そう考えてます。

 例え国が戦いに勝ったとしても、その危険性が付きまとっているのは変わりません」

「そうね…今までその自覚は無かったけど」

「ですから私は…どんな時でも、この時間を楽しみたいと思ってます。

 皆さんと一緒にお話しして、馬鹿な事をして、笑って。

 そんな毎日を当たり前と処理しないで、どんな状態でも楽しみたいと。

 今回の事で、改めてそう思いました、リオさん」

「んぁ?」

「改めて、ありがとうございます…そして、ごめんなさい。

 リオさんがいつも言ってる事なのに、私はその事を忘れていました。

 どんな罪を背負っても、生きてその罪を償えって、死んで償える罪なんて

 たかが知れてるって」

「…言ってたか?」

「私に言ったことはありませんけど、皆さんから聞きました」

「……また随分と懐かしい言葉を引っ張ってきたな」

「それに、最小限の犠牲で最大の戦果を残せ。

 私が死んだら、無駄な犠牲ですし、無意味な犠牲です。

 いや、犠牲じゃありませんけどね」

「…自殺とかは許さないぞ」

「しませんよ、する理由も…もうありません…いや、最初からありませんけどね

 死を選ぶ理由なんて、私には最初からありませんでしたし」


自分を責めすぎてしまった結果、そんな選択をしかけただけだ。


「もう私は無責任な女の子になりますね!」

「それはそれでいやだな」

「適度に無責任になります、無駄な責任は負いません!」

「それで良いんじゃね? 無駄に責任感持ったら

 どうでも良い事でも責任感じるからな」

「はい!」

「やれやれ、なんかのろけ話を聞かされただけだったわね」

「あれの何処がのろけだよ」

「全部よ」


どこら辺にのろけの要素があったんだよと言うツッコミは無しにしよう。


「…さて、ちょっと気になったんだけど」

「何?」

「…いや、前来たときは聞きそびれたから、今回聞くけど。

 今来たのは、あれか? 俺が倒れたって聞いたから来たのか?

 それとも、何か別の理由があってきたのか?」

「……両方よ」

「両方? じゃあ、何か別の理由があるのか?」

「…えぇ、昨日言おうとは思ったけど、どうも無理そうだったから」

「……重要な話だな」

「勿論よ、私は重要な話しかしないわ、真剣な表情の時はね」

「……深刻か?」

「深刻と言えば深刻だけど、そうでも無いと言えばそうでも無い。

 無責任になれば、何も責めることは無いわ」

「……言ってくれ」

「…まず1つ、これは良い報告になるのかしら、そうね

 魔法を捨てる方法が…分かったわ」

「は!? この短期間で!?」

「えぇ、そうよ、本当に凄い短期間よ、ちょっと足下に目を向ければ

 すぐに見付かるくらいに簡単な話だった。

 そしてもうひとつ、その話を聞いたフェミー達3人が…全員、消えたわ」

「な!」

「ショックだったんでしょうね、そりゃぁそうよ、ショックに違いないわ。

 あんな話を聞かされて、ショックを受けない方がどうかしてる。

 あそこまで、自分の父親を大事にしてたこが聞けば、そりゃあね。

 本当に、なんて皮肉で、なんて残酷な事実かしら」

「…教えてくれ、どうすれば魔法を捨てられる」


そんなにも簡単に見付かるだなんて事…そんなはずは。

だって、研究を行なったフェミーの父親が

国民を、全てを犠牲にしてでも見付けることが出来なかった方法だ。

それを、この短期間に発見して、方法まで見付けてくるなんて。


「……そうね、本人から聞いてみれば良いわ、来て頂戴」

「はい」


ミロルが呼んだのは、あの時、リ・アース国の奴隷の少女だった。

だが、姿は全く違っている。

ボサボサだった髪の毛だが、その髪の毛は綺麗に整っている。

ボロボロだった服も変わっており、薄緑のドレスみたいな豪華な服。

髪の毛にも可愛らしいハートのヘアピンを付けていた。

生気を殆ど感じなかった表情は力強く、幸せそうに変わっていた。

死んでいた目も変わり、眩しいくらいに輝いている。

ぱっとみで分からないレベルで変わっているのに分かった理由は髪の毛だ。

あの子の真っ白い髪の毛はそのままで、顔の傷も残ってる。

それでも彼女は生き生きとしており、希望に満ちあふれているように見えた。


「お前…そう言えば、名前聞いてなかったけど」

「ミリア、お姉ちゃんに教えて貰って」

「ほぅ、また可愛い名前だな、で、お姉ちゃんって事は…再会できたのか」

「うん! 今はお姉ちゃんを買った人のお世話になってて」

「…ど、奴隷を買った奴のお世話に?」

「うん、確か凄いお金持ちだけど、子供が出来なかったから

 里親を探してる子供を探してたらしいんだけど

 その途中に酷い怪我をした女の子を見付けて、それがお姉ちゃん。 

 その人は、お姉ちゃんを可哀想だと感じて買ったんだって」

「なる程な、で、妹は?」

「妹は皆が奴隷を解放した時に近くに居た女の子が助けてくれたって。

 その子が倒れてるところを街の人達が見付けてくれて

 親を探してくれたみたい、で、その人が通っていたのが

 僕達を買ってくれたお金持ちの人の使用人さんで、偶然に」

「狭いなぁ」


まぁ、あの騒動の後、貴族とかそう言った金持ち達は何人も引っ張られたからな。

部屋の至る所を捜索されて、そう言う施設がある貴族家は罰を受けた。

だから、貴族の家は少なくなって、遭遇の可能性も増えたって感じかな。

彼女を買った貴族はグリーンだったなら、残ってるだろう。


「で、なんでここに? この子の無事を俺に伝えたかったってだけじゃ無いんだろ?」

「えぇ…重要なのはこの子の姉の方ね、来て頂戴、リリア」

「はい」


今度、俺達の前に出て来たのは俺達よりも背が高い女の子だった。

髪の毛は薄い青色で瞳は黄色だった。

ミリアと同じ様な服の色違いで、黄色色だった。

髪の毛にはミリアと同じヘアピンを付けている。

だが、顔と手の甲に僅かな傷が付いている、奴隷だったときの名残だろう。

恐らくだけど、年齢は13歳くらいだ、予想だけどな。


「実は調査の時、思ったの、ミリターク国は調べ尽くした

 それなのに見付からない方法。

 なら、自分達の場所を探せば良いんじゃ無いかってね。

 だから、調査班に無線でその事を連絡して捜査に言って貰ったの。

 で、その時の調査班にウィンも当然加わってたのよ。

 そして、この子と出会った場所に移動して、確かその時を思いだしたのよね」

「うん…ちょ、ちょっと、あの子、元気かなって…そしてら見付かったの。

 元気そうにしてるのを見て安心したら、お家の人に見付かって招き入れて貰ってね。

 少しの間だお世話になって、調査の続きをするからって出ようとしたら

 ミリアになんの調査って聞かれて、話をしたの、全部。

 そしたら…ミリアのお姉ちゃんが聞いてたみたいなの」

「…で、心当たりがあるからって事か?」

「はい、ちゃんとお話ししますね」


…見た目は13歳、魔法の適性がS以上なら成長が止まるはずだが。


「…私は生まれた時、適性がSでした、魔法の内容は転移魔法。

 でも、私は自分1人しか移動が出来なかったんです。

 便利だけど、無理に使う必要も無いと感じて、2歳から使いませんでした。

 そしたら、奴隷商の人に捕まりました。

 その時、まだ2歳だったミリアと生まれたばかりの妹、アリア。

 私達は捕まって、私とミリアは酷い調教という拷問を受けていました。

 私は何度も自分の魔法で逃げようとは思いましたが

 私の魔法は1人しか使えない…大事な妹達を置いて逃げられるはずが無いと。

 そのまま5歳になるまで全員で逃げる隙を模索しましたが、無理でした。

 下の妹、アリアが何処に居るかも分からない状況では逃げられなかったのです。

 そのまま、私は5歳でお父様に買って貰いました。

 その時、まだミリアは3歳、オークションには出ていなかっため

 離れ離れになってしまいました、私はお父様にお願いをして

 なんとか妹をと…お父様は調査をし、私の妹がオークションに出される日を特定。

 必死にお金を上げたそうですが、当時、あまり金銭的に裕福では無かったため

 断念したそうです…まさか奴隷を相手に2000万も出す人が居るとはって。

 2000万って相当見たいですよ、奴隷の相場は聞いた話だと400万だとか

 それに、その人は既に奴隷を買っていたそうで、その子はボロボロだったって

 だから、悪い人に買われたって…急いで取り返す方法を模索したそうですけど

 その人が居た家を特定して、扉を叩いたらこの子が出て来て

 その家はもぬけの殻だったとか、それにこの子、沢山のお金を持っていたそうで」

「……あ、あぁ、そ、そうか、す、凄いな

 その人、凄いなー、何処に行ったんだろうなー」


ヤバい、俺達だ! 俺達だ! あの子には一応、このお金を持って

好きなところに行ってくれ、出来れば一緒に居てやりたいが、立場上難しいからな。

あ、この家はお前にやるよ、売るなり好きにしろ。

とは言ったが、まさかずっとあの家に居たとは。


「でも、本当に誰だったんでしょう、そんな酷い怪我をしてる奴隷が居るのに

 折角買ったこの子に何もしないで、そのまま何千万ものお金を残して

 家まで渡して消えるなんて…そんな事」

「この人達だよ?」

「…え!?」

「僕を助けてくれたのはこの人達なんだよ」

「…え、えっと、その…マジでごめん、いや、本当。

 最悪のタイミングで買っちゃったようで」

「……そ、そうなの!?」

「うん、それと、奴隷って言うのはこの人、演技だったみたい」

「え? え、演技で体中に怪我をしたの!?」

「いや、怪我は演技じゃ無いんだけど…あ、因みに怪我ってのはこれね」


ちょっとだけ服をずらして肩の怪我を見せてみた。


「そ、そんな酷い痕が…」

「まぁ、兵士だからな、これでも…で、続きは?」

「あ、はい、すみません、脱線し過ぎちゃいました。

 えっと、実は私…適性S以上が成長しないって初めて知ったんです」

「は!?」


なんでだ!? 成長の停止なんて、確実に分かるだろ!

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