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幼女に転生した腹いせに狙撃チートで戦場を荒らしてやる!  作者: オリオン
第3部、第7章、戦況を変える戦い
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強すぎる自責の念

…はぁ、まさか栄養失調寸前で入院とは。

一応、先生の許可を得て、風呂には入る事は出来た。

で、風呂から出た後は病室のベットでのんびりとはね。


「……あぁ、なんというか、病室自体懐かしいな」


前は結構な頻度で治療を受けてたからな。

小さい頃にも同じ事があった。

いや、今も小さいが、3歳くらいだったかな。

栄養失調で倒れて入院したの。


「お姉ちゃん、はい、バナナ、栄養あるって」

「バナナ…まぁ、栄養価が高いってのは良く聞くし、貰っとこう

 ……と言うか、このバナナ、ナナの為に買ってたバナナだし

 分類的には犬の餌じゃね?」

「バナナは美味しいよ?」

「いや、そりゃそうだけど…まぁ良いか」

「栄養失調久し振りだね、リオちゃん」

「そうだな…てか、久し振りって言うって事は

 お前もしかして、俺が栄養失調で倒れたの覚えてた?」

「当たり前だよ!」


忘れっぽいフレイがよくそんなどうでも良い事を覚えていたな。

…いや、どうでも良いと思ってたのは俺だけだったのかもな。

フレイ達はぶっ倒れた俺の事を本気で心配してくれていたんだから。

それなのに俺は、その出来事をどうでも良いと思ってたのか。


「まさか、リオさんが栄養失調寸前だったとは…うぅ!

 わ、私が付いていながら! うぅ! 私の馬鹿馬鹿!

 リオさんの体調管理をまともに出来ないなんて!」

「あ、あまり感情的になるなよ…ずっと引きこもってたし

 お前が気付かないのも無理ないって」

「それでも! 私のせいでリオさんが危うい状態まで行ってたのは事実です!

 リオさんの体調管理と言う、重大な仕事をこなせなかったのです!

 あ、そうだ…辞職しよう…兵士を止めて貝として生きていきます」

「おい待て! 早まるな!」

「止めないでください、私は貝になります」

「そんな本気で落ち込むなよ!」


ヤバい、ここまで落ち込んでるアルルを見るのは初めてかも知れない!

俺が怪我をして、泣き出しそうになってる姿は何度か見たが

ここまで落ち込んでるアルルを見たのは初めてだ!

今回に至っては泣き出しそうじゃ無くて、もう泣いてるし!

目とか真っ赤だし! 隈出来てるし!

アルルは自分の体調管理とかはかなり得意な方だから

そんな目に隈ができるような事態はそうそう…

しかも、髪の毛ボサボサだし! いつも手入れしてるのに!

それにアルルが普段纏ってる、覇気というか、そう言うのが無い!

こんなアルルは初めてだ! なんかこれから死にそうな勢いだし!


「わ、私は役立たずの無能なのです…」

「馬鹿! 普段の変態っぷりはどうしたよ!」

「そうです、私は変態です……だから、死にますね」

「待てよ! どんだけだよ!」

「だって…私はリオさんを…だから」


クソ面倒くさいな! まぁ、普段から面倒な奴ではあるが!

落ち込むと本当に面倒くさいな! てか、鋼のメンタルだと思ってたのに

意外なところに弱点あったよ! 普段はあれだから分からないけど

そう言えば、こいつって、責任とかには超真面目だった。

どんな事態でも俺に害が及んだ場合、自分を責める

スゲー日本人気質な奴だったな。


「……はぁ、おいアルル」

「はい、なんでしょう…あ、大丈夫ですよ、リオさんの手は煩わせません」

「あのな…もし、お前が俺を無理矢理部屋から連れ出してくれてなけりゃ

 俺は多分、部屋の中でのたれ死んでたと思うぞ。

 寝てる間にぽっくりとかもあったかも知れない」

「……」

「え、えーっと、そうだな…うーん、まぁ、あれだ。

 なんか、こう言うのはスゲー恥ずかしいんだけど。

 ……俺はお前のお陰で助かった、ありがとう。

 これからも一緒に居て、俺の面倒を見ていてくれ」

「…リオさん」


自分で言った後に思ったが、これ、告白みたいじゃね!?

普段のアルルなら飛んで喜ぶぞ! それって告白ですか!?

とかいって…でも、今のアルルは相当精神的に参ってるようだ。

俺のあの超恥ずかしい言葉に対し、激しい反応が無い。


「……う、うぅ」

「わぁ! だ、抱きしめるなよ…」

「ありがとうございます……もう2度と、こんな事態は起しません。

 リオさんの体調をしっかりと見て、リオさんの為に…

 私、頑張ります…頑張りますよから…」

「…ち、あのな、抱きしめてそんな事言うなよ」


普段のアルルが相手だったら、間違いなく突き飛ばしてるが。

なんか、今のアルルを突き飛ばす気にはなれない。

いやだって、肩が生暖かい、これは間違いなく涙だろう。

こ、ここまで弱ってる奴を突き飛ばせるはずも無い。

普段なら痛いと感じるほどに力を込めてるのに

今は…なんか、むしろ俺に寄りかかってるように感じる程に弱々しい。


「ほら、もう離せ、十分泣いたろ?」

「はい…ご、ごめんなさい、こんなに頼りなくて…」

「いやいや、お前の事は頼りにしてる、感謝もしてるさ。

 だから、そう気を落とすな、それに、自分を責めないでくれ。

 今回は完全に俺が悪いんだ、焦って無茶しちまった、ごめんな

 そんなになるまで心配させちまって…でも、もう大丈夫だから。

 無茶はするかも知れないけど、出来る限りしないよう頑張るからさ」

「……リオさんの無茶を止められなかった私が悪いんです…だから、リオさんは」

「あのな、お前は俺に対し責任を持ちすぎてる、確かに俺はお前の上司で

 お前からして見れば、まぁ、娘みたいな物なのかも知れない。

 だから、俺が無茶をしたのが自分のせいだと思っちまうのも分かる。

 でも、俺の行動の責任は俺にある…お前が悔やむ事じゃない…

 とは言わないが、そこまで苦しまないで欲しい。

 俺が精神的にやられちまったとき、テメェまでそんなんじゃ

 俺は更に病んじまうぞ? そんな事になったら、誰が俺を励ましてくれるんだよ」

「私!」

「私も…」

「あ、やっぱり私いらな」

「お前も励ましてくれよ!」


あぁもう、なんかアルルが精神的にボロボロで滅茶苦茶繊細になってる!

普段なら全然壊れない鋼の精神力を持ってるはずなのに

今のこいつは錆びまくった薄い鉄板みたいな耐久力だな!

1度錆び付いたら直らないとか、そんな感じじゃ無けりゃ良いけど…


「とにかくアルル、俺の世話が出来るのは多分お前くらいだからさ。

 これからもよろしく頼むって、本当に」

「……でも、私は…」


クソ! こ、こうなったら最終手段を使うしか無いか!

でも、あれはなんか…でも、このままだと困るし。

と言うか、あれで直るのか? 直らなかったら滑稽でしか無いけど。

でも、やらないと…うーん、出来れば使いたくない言葉なんだけど。


「あーもう、えっとな、元気を出してくれよ。

 そしたらホラ、俺がなんでも言う事を1つだけ聞いてやるから」

「な! 何でもですか!?」

「わぁ! アルルが一気に元気になった!」

「何でもですよね! 何でもなんですよね!」

「そ、そうだよ! 正し1つだけ! 1つだけだ!

 それと、あくまで俺が出来る範囲だからな!

 人を巻き込むようなお願いとかは無理だからな!」

「うへへ、大丈夫です! わー! 何をお願いしましよう!」

「…クソ、現金な奴め」

「いや実は、リオさんにこう言わせるための演技だったのです」

「は!?」

「実はリオさんがその言葉を言う1つ前で立ち直ってました。

 そうですよね、やっぱりリオさんのお世話が出来るのは私くらいです!

 リオさん、好き嫌い多いですし、すぐ無茶しますし、感情的になって

 周りが見えなくなって突撃してみたりしますし。

 きっと! 私以外だとリオさんを護れないと!」

「て、テメェ!」

「……なんて、冗談ですよ、リオさん」

「あ?」

「……ありがとうございます、私の為に色々と励ましてくれて。

 私が勝手に暴走して、勝手に自分を責めてたのに。

 リオさんはそんな私を必死に励ましてくれて…」

「原因は俺にあるんだ、当然だ…それにまぁ、お前の事だしな」

「それって、私の事が大事って事で良いんですか?」

「……まぁ、否定はしないよ」


心の中では何度か思っていた事…アルルは何だかんだで大事ってね。

でも、口に出す事は殆ど無かった、調子に乗りそうだったから。

でもまぁ、この際ハッキリ言っておこう、折角だしな。


「…いや、そんな風に曖昧な返事は止めておこう。

 今回はハッキリと言う…あぁ、俺はお前の事が大事だ。

 お前の事は何だかんだ言っても、大事な仲間だと思ってるし

 多分、切っても切れない縁だろうとも思ってる。

 そんで、運命共同体でもあるとも思ってる。

 お前が俺の事を大事にしてくれてるように、俺もお前の事は大事にしてる」

「…………」


アルルが口を開けたままで固まった、なんだ? フリーズか?


「リオさん」

「あー?」

「私、一生付いていきます!」

「…あっそ、まぁ、俺もお前が逃げない限りは捨てるつもりは無いぞ。

 お前が自分意思で消えるってんなら、俺は止めないがな」

「リオさん!」

「なんだよ」

「大好きですよ!」

「…お前からその言葉を単体で聞いたのは初めてだな」

「あ、お願い聞いて貰っても良いですか?」

「なんだよ」

「…ずっと、私と一緒に居てくださいね。

 2番でも3番でも100番でも良いです。

 私はリオさんの1番になる事は出来ないでしょう。

 でも、私は一生リオさんに付いていきます。

 なので…例え誰かのおまけだったとしても、私と…一緒に居てくださいね」

「……ふ、ふふ、くく、あはは! 良いぞ! 飽きるまで付いて来いよ!

 ったく、思いっきり告白じゃねぇか、ま、お前に告白されても嬉しくないがな!」

「えー! 酷いですよりオさん!」

「まぁ、さっき自分でも言ったとおり、お前は俺の1番にはなれねぇだろうよ。

 そもそも順位とか、そんなの付けられる場所にはいねぇんだよ、テメェは。

 居て当たり前。お前は俺にとってはそんな物なんだ。

 それじゃ、どう足掻いても1番にゃなれねぇよ!」

「…でも、私の中ではリオさんは1番ですよ!」

「お前の場合は一緒に居たい人だろ? 俺の場合は居て当たり前なんだよ。

 因みに、居て当たり前な奴はお前意外にもフレイ達だってそうだ。

 言っちまえば、家族みたいなものさ」


家族じゃ、どう頑張っても1番にはなれないだろうな。

だが、そこに居て当たり前で、そこから居なくなれば辛い存在だ。


「それに、さっきも言っただろ? 俺はお前から消えねぇ限り

 お前を捨てる事はしないって、お前がいやだと思わない限り

 俺はお前の側にいる、それだけの事だ」

「リオさん…もう! 大好きです!」

「でも、容赦なく迎撃はするがな!」

「あだ!」


…元に戻ってくれた、あぁ、これでこそアルルだよ。

クソ湿っぽいのはあいつらしくは無い。



一方のフレイ達はと言うと。


「…私達も混ざりたいなぁ」

「うん、でも、私達が入れる場所じゃ無いよ…」

「あら、あんた達、リオの病室前で座り込んでどうしたのよ。

 見舞いしてたんじゃ無いの?」

「…ミロルちゃん、この中には入ったら駄目だよ」

「え? いや……あぁ、なる程、こりゃ確かに入れないわね。

 と言うか、完全に告白じゃないの…う~…」

「で、いつ入ろうか」

「話が終わってからで良いと思う」

「…聞かなかった振りをしないとね」

「うん、分かってるよ」

「初めてアルルさんを応援したいと思いましたわ」

「いや、もう告白じゃん、相手女の子じゃん」

「中身は…男の人で…」

「アルル先輩…ファイトです」


と、言う会話をしていたらしい、フレイからきいた。


「………全員にバレてるじゃなぇかよ!」

「うん! ラブラブだったね!」

「忘れろぉお!」


うぅ! 今日は最悪だぁ!

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