いつものお遊び
王様ゲームも無事切り抜けることが出来た。
戦況も拮抗状態、動くことは無かった。
しかしながら、まぁ、まだ油断は出来ないレベルだと言う事は違いない。
「状況はどう? 大佐殿」
「スティール、いきなりそう呼ばないで欲しいな」
「まぁ、それは良いとして、どうなの?」
「そうだな、悪くは無いが、良いとも言えないレベルだ」
「つまり、普通なのね」
「拮抗状態って方が正しいかもな」
「まぁ、あの勢力相手に戦力を拮抗まで持って来れただけで相当ね」
「あぁ、向こうは減ることが無いからな」
向こうの戦力は人形兵、倒してもすぐに戦力を補給できる。
流石に大量の人形が切れたら戦力は減っていくだろうが
相当の人形をストックしていると予想できる。
しかも、向こうは他の国との交戦も終わり、こっちに集中できる状況だ。
一気に戦いを挑んだこの勝負で敗北したのは向こうには相当な痛手だったはず。
11人の魔法使いの一角を投入したが敗北し、拘束されている。
かなりの殲滅力を誇る魔法使いの拘束、これは大きい。
と言っても、他に何がいるか分からない以上
まだ圧倒的な殲滅力を誇る魔法使いが残ってる可能性はある。
「最悪の状況から拮抗状態に持って来れたのは大きすぎる戦果よ
やっぱり、あなた達に降って正解だったわ」
「結論は早いと思うけどな、まだ勝ったわけじゃないしな」
「そうね」
「リオさん、報告です」
「なんだ? 動いたか?」
「いえ、フレイさんが遊べと叫んでます」
「わざわざ報告に来るほどじゃないだろ! 驚かせやがって!」
「…あなたって、かなり大変なのね」
「まぁ、仕事にあいつらの相手もしないといけないしな
中々に面倒で大変だ」
「あはは…因みに、どっちが大変なの? いやまぁ、言うまでも無いでしょうけど」
「勿論、あいつらの相手だが?」
「は!? 仕事じゃ無いの!?」
「いやぁ、仕事はまだ…体力使わないし、書類の整理は面倒ではあるが
見た目的には子供だから、そこまで沢山の仕事は無いんだ。
報告書とかもアルル達がやってくれてるし、お金の管理もあいつらの仕事だからな。
だからまぁ、あいつらの相手をする方が大変なんだよな」
「へ、へぇ…」
「後、怪我もするし」
「大変なのね…」
まぁ、あいつらの相手は本当に大変だからな。
「フレイさん達の相手はリオさんにしか出来ませんしね
私達が代わりに相手をする事は出来ませんしね」
「ふーん、でもまぁ正直、アルル達に相当な信頼を寄せてるわね」
「そりゃな、何だかんだで長い付き合いだし」
「リオさんの熱い信頼は!」
「まぁ、日常生活では信頼してないけど」
「がふ!」
「いやまぁ、そこは仕方ないと思うけどね。
あなたってリオに対して相当やらかしてるし」
「うぅ、やり過ぎなんでしょうかね…」
「間違いないな、だから反省しろ」
「無理です!」
「死ねぃ!」
「うばぁ!」
「あなた達のコントも何だか見慣れたわ」
「コント言うな!」
「夫婦漫才ですね!」
「死ねぇ!」
「ふ、甘いですよ!」
アルルが俺の腕を掴んだ
「おら!」
「あだぁ!」
でも、ウィンチェスターを召喚して攻撃をした。
掴んだ程度で止められるほど甘くないんだよ。
「く、やりますねリオさん。
何だかドンドン接近戦に強くなって行ってる気がします。
一体何故ですか!? 実際は遠距離が得意だと!」
「お前とフレイのせいだよ!」
「つまり、リオさんは私が育てたと言う事ですね!」
「なにを師匠みたいな事言ってるんだよ! テメェが師匠とか嫌だね!」
「に、日常生活でも鍛えられているとは、なんか大変ね」
「全くだよ、替わってくれても良いんだぞ?」
「いや、良いわ、私だったら数日でダウンしそうだし」
「子供よりも体力無いとか恥ずかしくないのかよ」
「いや、あなたの体力が異常なだけよ。
一応、私は体力自身あるし、お姫様と言っても
これでも戦えるのよ? でも、あなたの代わりは無理ね」
「姫騎士の癖に」
「姫騎士って今更だけど無謀よね、なんか最近分かったわ」
「…大佐幼女はセーフなんでしょうかね?」
「いや、実際は無しね」
「目の前にいるだろうが、そもそもお前が原因だからな?」
「いやほら、そもそも幼女軍人って相当レアよ?」
「…そうか?」
滅茶苦茶いると思うんだけど、レアなのか?
と言うか、俺の周りは大体幼女軍人だけども。
「まぁ、幼女大佐の周りは当然幼女軍人だけども」
「後、幼女言うなし」
「幼女じゃないの?」
「幼女だけども!」
まぁ、魔法が子供しか扱えない状況だし、仕方ないんだろうけどさ。
「はぁ、いや良いか、とりあえずフレイに合流してくる」
「えぇ、そうね」
「…お前も体験してみるか? あいつらとの遊び」
「いや良いわ、死にたくないし」
「あっそ」
とりあえず俺はフレイとの遊びに参加することにした。
今回の遊びは鬼ごっこだそうだが…まぁ、当然と言えば当然だが
フレイが鬼になった結果、すぐに決着は付く。
いや無理だろ、あいつから逃げるのもあいつを捕まえるのも普通は無理だ。
足速すぎるし、そもそも大人だってあいつには追いつけない。
シルバー達も参加したけど、逃げ切ること出来てないし。
「皆足遅いよ~」
「お前が…速すぎるんだよ、自覚しろ」
「むー」
「いや本当、あなたなら車からも逃げられると思うわ…」
ミロルも参加、まぁ当然だがフレイには振り回されてばかりだった。
「でも、あと少しでリオちゃんに捕まりそうにもなったし」
「正直ね、前から思ってたけど、フレイの相手が出来るのってリオくらいよね」
「いや、トラとウィングも相手できるぞ」
「そう言えば、あの2人もあと少しでフレイに追いつけそうだったわね
いや、正確には追いつくとは違ったけど」
フレイを捕まえるには、フレイの死角に隠れての捕獲しかない。
俺達3人はフレイの行動パターンが多少は読めるから
結構な頻度で不意打ちを仕掛け、あと1歩で捕獲できる所までは行ってる。
それでもフレイには追いつけないし、捕まえることも困難だがな。
捕獲できる距離までフレイが接近したら、気配で気付かれないように接近して捕まえる。
フレイと足で勝負するのは無謀だからな。
「私達も同じ様にフレイさんにバレないように近付いても
すぐに見付かってしまうのですわ」
「あいつって結構勘が良いからな、足音立てたらすぐバレる
因みに呼吸も駄目だ、緊張も駄目だぞ、心音でバレる」
「いやおかしくないですか!? フレイさんおかしくないですか!?」
「遊ぶときは異常なくらいに勘が鋭くなるからな」
「遊びに全力過ぎると思うわ…」
「子供は遊ぶのが仕事だからな、仕方ないって」
「それでもその能力は異常です」
実際、その能力を戦闘でも生かして欲しいとは思うけど
戦場だと色々な音が聞えるから一部を聞き取るのは難しいのだろう。
それは仕方ないと言う感じかな。
「とりあえず、このまま次だね、今度はフレイ1人対私達全員で!」
「ふふん、私なら逃げ切るもんね!」
「かなり異常な組み合わせだと思うけど、相手がフレイだからな」
フレイの足の速さは相当だからな、このメンバー分けでも逃げ切れそう。
「よし、行くよ!」
フレイはかなりの速度でスタートした。
フレイを捕まえるためにはやっぱり複数で連携しないと駄目だろう。
俺達は全員で行動する方法を共有し、行動を開始した。
あいつは足が異常に速いが、残念ながら隠密行動は出来ない。
あの能力に隠密行動が追加されたら相当だけどな。
だから、あいつが隠密行動を取るには俺達が一緒に居ないと駄目だ。
自分1人での隠密行動なんて絶対に出来ないからな。
「よし、じゃあ追うか」
俺達は全員でフレイの後を追い、フレイの場所を発見した。
「見付けたぞ!」
「げげ! 逃げるもんね!」
俺に気付いたフレイが異常な程の速さで走り出した。
「待った」
「げ! トラちゃん!」
フレイを捕まえるには複数人で行動しないと駄目だからな。
俺達は2人でチームを組んでフレイを追うことにしていた。
だから、今回はこんな風に挟み撃ちにしたと言うわけだ。
フレイを発見し、俺がバレないように接近、フレイが逃げる方向を予想して
トラが居る方向にフレイを誘導したと言う事。
「つ、捕まった…」
「フレイは足が速いけど警戒心があまり無い。
そもそも、リオが無鉄砲にフレイを追うわけが無い」
「そうだよね…あはは」
はぁ、とりあえずフレイもこれで満足してくれるかな。
「それじゃあ、今度は私が追いかける方だね!」
「…まだやるのか?」
「勿論!」
「お前…はぁ、少しは飽きろよ」
まぁ、フレイは飽きっぽい様に見えて、実は結構飽きにくいんだよな。
本当、人は見かけによらずって奴かも知れないな。
その後、俺達は日が暮れるまで遊んだ。
途中でシルバー達は仕事があると苦しそうにしながらも帰ったが
俺達子供はそのままのこっての遊びだった。
それでもまぁ、まさかここまで遊ぶ事になるとは思わなかったが。
「ふぅ! 遊んだね!」
「…お前は元気だよな」
「フレイの体力は…異常だと思う」
「うん…本当におかしい」
「…あ、あなた達も…ヤバいわ…なんで…まだげんきそ、あ、しんどい、足痛いわ
後、胸も痛い…お腹も痛いし…死ぬわ」
「……うぅ」
もう遊びすぎて、動けそうなのが俺達4人だけだった。
ミロルも辛うじて動けそうだが、フラン達はぶっ倒れてる。
ウィンも同じだし、やっぱりフレイの相手は辛いと言う事だろう。
朝からこの時間まで、一切休む事無く遊んだからな。
正確には休む事無く振り回されたのは俺達3人だけだったけど。
「あなた達の異常な体力の理由、やっぱりフレイなのね」
「いつも全力のフレイの遊びに付き合うとこっちも全力じゃないと駄目だからな
それを連続でやってたら体力も付くだろう」
本来病弱だったはずなのに、いつの間にか体力がかなり付いた。
病気だって殆ど掛からなくなったし、本当変わるな。
「あはは…流石にそこまでなると当然ね…病弱だったとか聞いたけど」
「過去の話しだしな、今じゃ軍人だし、病弱じゃ居られない…
と言っても、本当はアルルのお陰…なんだけど」
「アルルってやっぱりあなたにとっては恩人なのかしらね」
「俺達が健康なのはあいつらのお陰だしな
食事のバランスも完璧だし、眠らせる時間も完璧だからな」
「なんで軍人やってるのか、いつも疑問に思うわ」
「リオさんと仲良く出来るからですとも!」
「…何処から湧いたし」
「後ろから普通に」
「お前の隠密スキルも相当だよな」
「リオさんと一緒に行動してるとこうなりますよ」
「潜入捜査多いしな」
「そうそう、だから、これは普通なのです」
「…はぁ、そうだな」
いつも通りだな、とりあえず今日は風呂に入って寝るか。
滅茶苦茶運動したから、ゆっくりと眠れそうだな。




