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幼女に転生した腹いせに狙撃チートで戦場を荒らしてやる!  作者: オリオン
第3部、第7章、戦況を変える戦い
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大規模戦闘

静寂を斬り裂く銃声を合図に、戦場からは力強い雄叫びが響く。

人形達は決して口を開くことはないが、そのうろたえ様から

俺達の攻撃は精神的に大打撃を与えたことが分かる。

視界には恐らくこっちの攻撃部隊は入っていたかも知れないが

まさか想定もしていない方向からの攻撃など考えていなかっただろう。

俺の攻撃程度は想定していたかも知れないが

これほどの大規模射撃は想定外だったと言う事だろうな。


「次弾装弾!」


俺の合図で狙撃部隊の兵士達は皆、弾丸を再び込める。

俺はその間、攻撃を仕掛けることはしない。

それは、俺の攻撃だけが先に来てしまうと

人形達にもしかしたら違う道具での攻撃だったのか? とバレてしまう。

だが、この間の沈黙ならば、向こうのうろたえは消えないし

何処からの攻撃かも分からないだろう。


「装弾完了!」

「再び狙いを定めろ!」

「はい!」

「よし、撃て!」


周囲を確認し、全員の構えを確認した後に狙撃合図を送る。

銃声は同時に響き、再び人形兵達に大打撃を与えた。


「撤退を始めたな」


実際、この判断は正しい、何処からかの攻撃か分からないと言うのに

ただひたすらに攻めるというのは愚行だろうからな。

だが、その人形達の撤退を阻めたのは攻撃部隊だった。


(逃がすわけにはいかないでしょ! )


無線の向こうから声が聞える。

戦況をリアルタイムで把握したいため、声は基本聞えるようにしている。


「奇襲部隊、攻撃部隊が動いたぞ」

(了解です、こちらもこちらで動きたいと思います

 さ、付いてきてくださいな)

(はいはい、分かってるよ)


奇襲部隊も動き始めるか。


「よし、急いで移動するぞ、メンバーは3つに分けよう。

 ワンチームはこのままの位置で攻撃を継続。

 他にチームは左右に大きく開く、魔法部隊は2部隊に別れて

 左右に分かれたメンバーに付いてくれ」

「はい!」

「俺は右方向に展開する部隊の指示を担当する。

 左方向はノエ、指示できるか?」

「はい、大丈夫です!」

「報告はこまめにしてくれ、で、動かない部隊を指揮するのはアルルに」

「え!? でも、それだとリオさんが!」

「この位置がお前の適役だ、観察眼を最大に生かせるのはここだからな。

 敵影の報告や動きはお前が俺達2人に連絡をしてくれ」

「…はい、分かりました」

「信頼してるんだから、頼むぞ?」

「…はい!」

「よし、あとケミーは俺の所だ、お互いが人質なんだし」

「分かった」

「ウィンも俺の方だ」

「うん!」

「フランはノエとだ」

「分かった」


動くのはちと危険だが、このままの位置で狙撃すると逃げられるからなぁ。

とにかく、俺達は3チームに分かれての追撃を開始した。

俺達が展開するまでの間だ、攻撃部隊は敵部隊の足止めをしてくれている。


「っと、俺達が移動してること、バレなきゃ良いがな」

「バレると私は思うけど」

「一応、ちょっとした賭けだな、だが、賭けに勝てばバレやしない」

「その賭けって言うのは?」

「子供が指揮をしてなければ、バレはしないだろうよ」


子供達が人形兵の指示をしているとすれば、攻撃に違和感を感じるはず。

さっきまで響いていた銃声が少なくなっていると言うのにバレるかも知れないからな。

だが、指揮をしているのが視線の先にいると思われる兵士か軍師だった場合

子供を道具として考えてない連中だ、違和感には気付かないかも知れない。

子供達の妙な動作に気付けたりすれば、違和感に気付けるかもしれないがね。


「ふーん、それがどうして賭けなのか分からないけど」

「お前は俺の経験とかもコピーしてるんだろ? なら分かるんじゃね?」

「今はしてないし、仮にコピーをしたとしても心が読めるわけじゃないから」

「そりゃそうか」


あくまでコピーするのは経験とかだったな。

それなら当然心までは読めないわけだ。


「っと、そろそろだな」


こちらは結構な速度で移動した訳だが

どうやら人形達は俺達の移動には気付いていないようだった。

運が良いことに、子供達が指揮をしているというわけでは無いのか。


「よし、構えろ!」

「はい!」

「魔法部隊も攻撃準備」

「分かった!」


この距離なら子供達の魔法も届くだろう。

問題は魔法の速度が遅く、位置がバレてしまう可能性だ。

でもまぁ、左右からの銃声って地点で俺達が左右に展開してるのはバレるか。


(こちらも展開できました、攻撃準備を始めます)

「分かった、準備が出来たら攻撃だ」

(はい! では、攻撃を始めます!)

「よし、こっちも行くぞ! 放て!」


俺の合図と同時に火炎魔法といくつもの銃声が響く。

正面からも同じ様な銃声と火の玉が飛んで来ていた。


「よし、動揺しているな」


ハッキリと動揺が分かった、順調だと言う事は間違いない。


(よし、大打撃みたいね! このまま攻め込め!)


俺達の攻撃はハルさんにも分かったみたいで

攻撃部隊の動きも活発化した。


「良い感じだな」


順調だ、人形兵達も激しく動揺し、動きがぎこちなくなった。

左右で押さえ込んでの攻撃…ここまでは順調だな。


「…良い感じだけど」

「どうしたんだ?」

「うーん、ここまで一方的に負け腰なんて…らしくない」

「そうか?」

「…私なら、いや、あなたならこの場面は正面に兵を集中させて

 別方向から別働隊を進めるんじゃ無いの?」

「ん?」


確かに俺ならそうするかも知れないな。

と言っても、俺は基本的に捨て駒をこの使うような戦術は執らないが…

いや待て、どうせ兵士は人形なら、捨て駒戦術も辞さないか。


「それと、人形の兵だけって言うのも、ちょっと違和感が…」

「確かにそうだな、身体強化魔法の子供達を使えば、正面突破は」

「あなたが指揮官だったら分かる、捨て駒が嫌だし

 子供達が危険な目に遭うような事は出来れば避けようと思うはず。

 でも、向こうは私達子供を道具としか思って無いはず。

 それがなんで…最善の手で確実な手に近い子供達を投入しない?」


……そうだ、あぁ、そうだ、相手は屑なんだ、それが子供達を投入しないのは。


「…ん? なんの…」

(リオさん! 緊急事態です!)

「なんだ!? どうした!」

(敵部隊の後方から、大量の影が…信じられないでしょうが

 大量の虫が姿を現しました! 大量の蚊です!」


く! そんな魔法が…ち! マズったな! 蚊が1匹程度ならまだしも

そんな大量じゃ、流石に不味いんじゃないか!?


「クソ! なる程、だから人形兵だけを揃えたって事か!」


確かに無機物である人形に蚊が興味を示すことは無いだろう。

じゃあ、この攻撃は無差別攻撃! つまり、この魔法の使い手は

この魔法を完璧にコントロールが出来ていないという訳か!


「不味いな、撤退するしかない!」

「蚊って!」

「急いで下がるぞ! 蚊の群れに包まれたりしたら流石にヤバいだろ!」


1匹とか何十匹程度ならまだしも・・・そもそも、どれだけの数がいるんだ?


「アルル、数はどれ位だ!?」

(…わ、分かりません…ただ周囲を黒く染めるくらいの数は居ます」

「じょ、冗談じゃねぇ!」


ただでさえウザったい蚊が、そんな凄まじい数だなんて…

さっさと撤退しても、なんとか手を考えないと…

だが、周囲を黒く染めるくらいの数って、半端な数じゃない!

小さい蚊が周囲を黒く染めるんだ、気持ちが悪すぎる!


「急いで下がる! 走れ!」

「は、はい!」

「ノエ! そっちも急いで撤退しろ!」

(は、はい!)

「ハルさん! 急いで逃げてください1」

(え!? なんで!?)

「敵の攻撃です、大量の蚊、囲まれたらどうしようもないです!」

(はぁ!? 蚊!? 何よそれ!)

「とにかく撤退してください!」

(わ、分かったわ)


今は走るしか手がないぞ! 移動手段は…あるにはある。

ウィンの魔法ならすぐに距離を取ることが出来るが。


「ウィン、お前はさっさと撤退しろ!」

「何言ってるのお姉ちゃん! それなら、一緒に!」

「馬鹿言え! 指揮官の俺がこの場面で逃げられるかよ!」


非常事態の際に移動するためにウィンには付いてきて貰っている。

例えば防衛部隊が奇襲を食らった際とかにな。


「ち、見えたな…気持ちが悪い!」


空を黒く染めるほどの蚊が見えた…恐ろしい程の数だ。

あんなのに囲まれたら…いくら蚊とは言え、最悪死ぬ!


(リオ! 何これどうなってるの!? あの黒いの何よ!)

「全部、蚊です」

(な! あの数は…冗談じゃない!)


ヤバいな、これはヤバい!


「メイル! そっちはどうだ!? 蚊が見えるか!?」

(えぇ、見えますね、でも、私達の方は大丈夫の様です)

「本当か!?」

(多分、あれは虫召喚操作魔法、11人の魔法使いの魔法だね)


ここで切ってきたか、ち、厄介な魔法だな、それは。

だが、その魔法で蚊を選んだのは何でだろうな…

もしかしたら、蚊を召喚するのが1番力を使わないで済むのかも知れない。

で、虫召喚操作魔法に操作とある事から操作も本来できるのだろう。

だが、操作するのにも魔力…だから、殆ど操作を使わないために

人形達だけでの攻撃を選んだ、と言う事か。


(この魔法はかなり厄介だね、蚊だけに!)

「くだらないし訳の分からないことを言うな!」

(連れないなぁ、まぁ良いけど)

「それで…何か突破方法はあるのか?」

(そうだね、結構危険なんだけど、私達奇襲部隊が叩く)

「出来るのか?」

(まぁ、出来ないことはありません)

(でもメイルさん、見付かった場合、私達の方に蚊が来るよ?)

(このままでは私達は敗北でしょう? たかが蚊とは言え

 あの数に包囲されてしまえば、人間も死ぬでしょうしね。

 当然、拠点も被害は免れません。

 正面から攻撃、狙撃部隊が挑んでもあの数は無理でしょうしね)

「…頼めるか?」

(お任せください、ただこっちにもお願いはあります)

「なんだよ」

(人形の足止めくらいはしてくださいね)

「分かってるよ」


蚊の脅威に怯えながら人形を排除していかないと駄目とはな。


「ち、なんとか蚊を振り払いながら、人形の足止めか…面倒だな」

「どうするの?」

「やるしか無いだろう」


はぁ、最悪蚊に吸い殺される状況とか早々無いだろう。

と言うか、蚊に殺されるって結構ヤバいだろ。

いやさ、感染病を運んできたりするかも知れないが

そうじゃなく、直接吸い殺されるとかあり得ないだろ。

あぁクソ、厄介極まりない! だが…やるしか無い。

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