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幼女に転生した腹いせに狙撃チートで戦場を荒らしてやる!  作者: オリオン
第3部、第6章、戦争後の長い息抜き?
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奇異な真実

家に帰ると母親が待っていてくれる。

それはきっとトラにとってはとても嬉しいことに違いないだろう。

俺達としても、誰かが待っていてくれるって言うのは嬉しいしな。


「トラちゃん、良かったね!」

「ありがとう…でも、何だかごめん…

 私ばっかりこんなに幸せで…」

「なんで謝るの? あはは! 折角お母さんに会えたのに

 そんな暗い顔をしちゃいけないよ?」

「…うん」


ここにいる子供達は親が居ない子供達ばっかりだ。

それなのに自分だけ母親が待っていてくれるって言うのは

トラからしてみれば、少しだけ罪悪感を感じるのかも知れない。

トラは何だかんだ言っても優しい子だからな。

最初も抱きついたは良いけど、俺達の事が気になって

素直に喜べていなかったみたいだし。


「さて、もう1人の騎士さんに挨拶してくるかな、えっと、トラのお母さん。

 もう1人の…テキールって何処に居るか分かりますか?」

「2階でお部屋の掃除をしていると思います。

 それと、リブと呼んでくださっても構いません」

「あ、分かりました、リブさん。

 それと、下の名前を知りたいんですけど」

「あぁ、そうですね、リーザです」

「つまり、トラはフルネームで言うとトラ・リーザになるんですね」

「そうなりますね」


それがトラの下の名前だったんだな。


「ありがとうございます、これでようやくトラの本名を知れました」

「いえ、あの子の事、知ってくれようとしてありがとうございます」

「大事な家族ですし、当然です、それじゃあ、2階に行ってきます」

「はい」


俺達は一緒に移動して、2階にいるテキールの元に。

俺の部屋の掃除をしていたんだな。


「どうも」

「…あ」


扉を開け、顔を見せると、向こうもこっちに気付いたようだった。

向こうも作業の手を止め、こっちを向いた。

服装は鎧じゃ無く割烹服…斬新だな、日本かよ。


「ほぅほぅ、これは面白い服装ですね、お母さんみたいです。

 ここは、私もこれからはあの服装で家事をしなくては!」

「何でだよ…」

「リオさんのお母さんになるのです!」

「は、お前みたいなのが母親とかいやだね」

「ふふふ、きっとあの格好の私を見れば! 母性にやられますとも!」

「…えっと」

「あ、申し訳ありません、えっと、挨拶に来ました」

「はい、あなた達の事は聞いてます、これから皆さんが留守の間

 この家の清掃などを担当する、テキールです。

 元の所属はクリーク様が率いる特殊強襲部隊で」

「そこら辺は全部リサ姫様から聞きました」

「あ、はい、分かりました。

 えっと、皆さんが小さな戦士達の中枢ですね」

「まぁ、確かにそうなりますかね」


と言っても、まだ子供達の正式な指揮とかはしてないんだけども。

一応、俺達が指揮することになるであろう子供達は向こうには居るが

まだ大規模な戦闘をしていないから、指揮は執ってないんだよな。


「そして…えっと…フレイさん…ですね」

「え? なんでわざわざ私の事を?」

「…いえ、何でもありません」

「……」


もしかしてこの人、フレイの事を何か知ってるのか?

後で聞いてみよう、ちょっとだけ不安だし。


「えっと、これからよろしくお願いしますね」

「はい」

「…所でテキールさん」

「はい、なんでしょう」

「その服…何処で手に入りますか?」

「…え? あ、この服ですか? オリジナルです」

「オリジナル!?」

「はい、この格好なら掃除も料理も捗るかと」

「なる程! 確かに…そして、何処か母性も感じますし!」

「母性!? わ、私は未婚です!」


まぁ、そりゃここで住み込みで働くんだし、結婚はしてないんだろう。


「はぁ、本当いきなりそんな事言われてビックリしたじゃありませんか」

「冗談ですよ、冗談、ただその服が欲しいのは確かです」

「…えっと、作れば良いのでは?」

「確かにそうですね、作ります!」


そう言い、アルルはすぐに自分の部屋に移動した。


「…まぁ、うん…別に良いか」

「……あの方は確かあなた方の部下ですよね?」

「あぁ、不本意ながら」

「……まぁ、アルルさんの噂は私も聞いてますけどね。

 

ふーん、何だかんだであいつも有名人なんだな。


「よーし、じゃあ、私遊んでくるよ!」

「行ってらっしゃいっと、お前らはどうする?」

「そうですね、私達は自分達の部屋で待機しておきましょう」

「あぁ、そうか…リサ姫様は?」

「そうね…アルルの服作りをみてくるわ、興味あるし」

「裁縫に興味が?」

「まぁね、女子力鍛えなきゃ」


…確かにアルルは女子力は異常なくらいに高いからな。

あいつが何かをしている姿を見るだけでも十分勉強になるかな。

さて、全員が移動したわけだが…


「あなたはどうするんですか?」

「…そうですね、フレイの事…何か知ってますか?」

「え? な、何故そう思うのですか?」

「最初に気にしてましたしね、だから、フレイの事、何か知ってるかと」

「……えぇ、知ってますよ、あの子の事は」

「じゃあ、教えて欲しい…あいつの事」

「口調が変わりましたね…それだけ真剣だと言う事…でしょうか?」

「……はい」

「私はもうあなたの部下、敬語は必要ありません。

 必要あれば、私に命令してくれればなんでも答えましょう」

「…じゃあ、命令する、お前がフレイについて知ってること、全部話してくれ」

「了解しました」


フレイの事…フレイの話は俺も知らない。

詳しい話を先生に聞いても、結構はぐらかしてくる。

それは言いにくいからなんだろう。

まず間違いなく、フレイの前では言いにくいこと。

それがどう言うことかなんて…想像するのは容易だ。

だが、何があったのかは知りたい。

もしかしたら、こいつなら…知ってるかも知れない。


「……扉、閉めましょうか?」

「あぁ、そうだな」


万が一府令に聞かれたら困るからな。


「…では、お話ししましょう…私が知ってる事を全て」

「あぁ、頼む」

「……まず、結論から言います。

 フレイさんのご両親はもうこの世にいません」


あぁ、分かってたことだ…何となくだが、分かってたことだった。

先生がフレイの前で話せない事実なんてこれ位しか無いだろう。

本来ならこう言う話をするべきじゃ無いのかも知れない。

あいつの事に深く入るべきじゃ無いのかも知れない。

だけど、気になるんだ…あいつの大事な家族の事が。


「…そして、実を言うと私はフレイさんの両親の事を、少しだけ知ってます」

「何!?」

「お会いした事はあります、ただ、ほんの少しの間だけ。

 確か10年ほど前です。その2人は私と同じ特殊強襲部隊所属。

 いえ、あの時はその様な名称では無かったので、そうですね。

 分かりやすく言えばクリーク部隊、と言った感じでしょうか」

「……」

「クリーク部隊の数少ない兵士。ずっと生き残っていたのはその2人だけでした。

 その2人の実力はクリーク様だって認めていました。

 そして、その2人はクリーク様が心を許した数少ない人物でもあります」


クリークの指揮下にいて、死なない兵士か…結構珍しいのは間違いない。

あいつの指揮下に入った人間はことごとく死んでしまう。

生き残れるのは極一部、最初の迎撃戦においても

クリークの指揮下に入っていた兵士は死んだ。

生き残ったのは救護に走った兵士だけだった。


「ただ、このままだとクリーク様が原因などと言われかねないので

 クリーク様の事を話したいと思いますが…大丈夫でしょうか?」

「…あぁ」

「では、まずはクリーク様の事をお話しします」


クリークの過去も聞いたことが無かったな。


「クリーク様の事をあまり知らない人はクリーク様を悪人と言います。

 いつも1人で行動し、協調性も無いとか、指揮官失格とも言われてます。

 防衛戦も参加しないし、いつも会議にも出ないと。

 ですが、それには理由があります。

 クリーク様は過去、最強の兵士として国に君臨していました。

 その信頼も圧倒的で、重要国の防衛の指揮を任せられるほどに。

 当然、クリーク様はその場の防衛を行なっていました。

 そこにはクリーク様のご家族が居たんですから」


クリークの家族か…まぁ、いい歳だし妻が居ても不思議じゃ無いのか。


「ですが、その拠点は奇襲を受けてしまいました。

 仲間に裏切り者が居たのか、その奇襲を発見することは出来ませんでした。

 その結果、その重要国は壊滅…クリーク様の部下達も壊滅しました。

 当然…その重要国にすんでいたクリーク様の妻子は命を落としました」

「なん…」

「部下達も壊滅、生き残ったのは2人の兵士だけでした。

 この奇襲作戦を仕掛けてきた部隊は怒りに燃えたクリーク様により全滅。

 ですが、生き残ったのはクリーク様とその2人の兵士だけでした」

「国民は?」

「火が放たれ、1人残らず」

「……」


火攻めは基本だ、国を落とす際に確実に混乱を与える事が出来る。

だから、その手は何も間違っちゃい無い、戦争をする場合なら当然の手だ。

だが、その行為は確実に罪のない一般人を巻き込む。


「その日以降、クリーク様は誰とも協力を持とうとしなくなりました。

 ただその2人の兵士を除いて。

 クリーク様はその2人の兵士と一緒に過し、お互いに信頼をしていきました。

 そして、その2人は私がクリーク様の部隊に配属されたときには既に子を生んでいました。

 その子はフレイさんです…クリーク様は2人に兵士の引退を勧めていたそうですが

 クリーク様の部隊で長く生き残るほどの実力者。

 自分達が抜ければ大きな穴が開くと思っていたのでしょう。

 引退はせず、クリーク様の元で戦っていたそうです。

 …クリーク様も一緒に戦ってくれる仲間が居るのが嬉しかったそうで、

 あまり強くは止めろとは言わなかったそうです。

 そして、悲劇が起りました、クリーク様が遠征している時の事です。

 この日はただの捜索だったそうで、敵の姿なんてある筈が無かった。

 しかし、奇襲です、こっちの動きが読まれていたかのように奇襲を受け。

 その2人はクリーク様を庇い、命を落としたそうです」

「……何でだ? なんでそんなに動きを読まれた?」

「……セイル、奴が原因です」


あのクソ野郎か…ち、あいつ…ずっと前から…


「セイルに取って、クリーク様は邪魔者でしかありませんでした。

 自分よりも強い実績を持っているため、早いところ排除したかったみたいです。

 これは本人の口から聞いたことなので間違いはありません」

「……ち」

「クリーク様はその2人の死を自身が原因だと責め続けました。

 だから、クリーク様はせめてもの償いとして

 2人の間に出来た1人娘であるフレイさんを信頼ある孤児院に預けました。

 自分が育てることも考えたそうですが、前のトラウマがある。

 自分が居ては、親友達の大事な1人娘さえ殺してしまうかもと。

 だから、孤児院に預けたんです、そこがひまわり。

 カナンさんが運営しているというそこへ」

「…なぁ、なんでそこを選んだんだ? なんでカナン先生の名前を?」

「カナンさんは一時期兵士をしてたそうです」

「何!?」

「それを知ってるのは極一部みたいですけどね」

「嘘だろおい!」


…もしかして、前にレギンス軍団長が言ってた人が先生だったり…いやまさかな。


「とにかく、その日以降クリーク様は戦場では豹変しました。

 相手を殺す事を絶対として行動をする様になりました。

 相手を殺す事を楽しむようにも…自分のままで戦うのが辛かったんでしょう。

 でも、私の前では前のクリーク様のままでした。

 ここに私が移動することを許可したのも

 きっと私の身を案じてくれたからでしょう」

「…なる程な、ありがとよ…色々と分かった」

「いえ、ただこの事は出来れば他の方には伝えないでくださいね。

 信頼あるあなただから教えたのですから」

「分かった、信頼を裏切るわけにはいかないからな、黙っておくよ」


でも、この子とを知れただけで…何だかスッキリした。

まぁ、先生が元兵士だったってのは驚いたけどな。

本当、人ってのは見た目や中身から想像できない過去があるもんだな。

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