依頼の処理
えっと、次はメア姫様の項目だな。
依頼内容は…まぁ、なんか綺麗な字だな。
えっと子供達の、教育方針について考えたいのです。
私が思うに、計算は大事だと思うんですけど、後は、文字とか…
他に、何かあったら、教えてくださいませ。
それと、子供達が、喧嘩したときとか、仲間外れが、出たときとか、は。
どうした方が、良いでしょうか、それとそれと、
魔法使い達の、子供達は、どうしましょう。見た目は、小さな子でも、
本当は、10歳以上という子供達は、多いですし。
見た目が、同じ子供達と、同じ所で、勉強させる方が、良いんでしょうか。
それとも、Sランク以上の、魔法使い達を、集めて、
そこで、教育の、方が良いんでしょうか?
でも、それだと、何だか、特別扱いしてるように、見えますし。
仲間外れを、感じるかも、知れません。
だから、一緒に、勉強させた方が、良いとは、思いますけど。
その、魔法使いの、皆さんの、身体の、年齢と、同じ場所だと。
その、子達は、十分達観してるでしょうから、同じレベルの、
勉強も、意味が無いんじゃ…
でも、その、人達の、本来の、年齢と、同じ場所で、勉強となると。
身長の、差で、仲間外れに、なってしまう、
可能性が、あるんじゃ無いかと、私は思います。
だから、どうした方が、良いでしょうか? 分けるべきか、同じにするべきか。
どっちと、同じにするか、とか…
それと、親が、居ない、子供達は、どうした方が良いかなと
「長ーよ!」
まだ続いてる…レギンス軍団長の手紙と同じくらい長い!
しかも、話題がころころと変わっているから、何をすれば良いか分からない!
これ、1つの依頼書の中にいくつもの依頼内容があるって感じじゃないか!
何を最初にこなせば良いか分からない!
それに、綺麗な字ではあるが点が沢山入りすぎだろうが!
単語単語に入れてるのか?
リサ姫、もう少しメア姫に文の書き方を教えりゃ良いのに。
「まぁ、10歳だし」
それにしても、本当に長い…あれだけ読んでもまだ3分の1か。
うーん、つまり何をして欲しいんだよ。
とりあえず解読していかないと、重要そうな所を読めば分かるかも。
「……っと、まぁ、こんな感じか」
ずっと読んで何となくメア姫が何をして欲しいかは分かった。
どんな内容の勉強を子供達にさせた方が良いのか。
勉強を教える際、魔法使いの子供達をどのクラスにするべきか。
孤児になってる子供達をどうすれば集めて不自由なく育てられるか。
戦争が終わった後、兵士である子供達をどのようにして日常に戻すか。
戦争で家族を失った子供達をどうすれば幸せに出来るか。
子供達の日常をどうすれば取り戻すことが出来るのか。
Sランク以上の子供達をどうすれば魔法の呪いから解き放てるか。
「……本当、1つの依頼書で随分とぶち込んでくれたな」
特に一番最後…それは俺が一番知りたい事だ。
俺ならなんでも知ってるって勘違いしてるのかもな。
俺は基本何も知らないんだけどよ。
「どうするかな」
この依頼をどうすれば達成できるか…あまりにも項目が多すぎて分からないな。
とりあえず、ある程度の報告書を書いて送り返そう。
どんな勉強を教えるかは出来れば向こうで考えて欲しい。
クラス分けの方は俺よりも他のS以上魔法使い達に聞いて欲しい。
俺は中身的にはもっと上だから、その疑問には答えられない。
孤児になってる子供達をどうすれば何不自由なく育てられるかってのは
俺よりも先生に聞いてくれた方が分かりやすいだろう。
戦争が終わった後、子供達をどうすれば日常に戻せるかは簡単だ。
国がその子供達を受入れる体制を作ってくれればそれで良い。
戦争で家族を失った子供達をどうすれば幸せに出来るか、なんて俺に聞かれてもな。
それはその子供達の気持ち次第だ、ただ、心の支えがあればきっと幸せだろう。
子供達の日常についても、俺に聞かれても分からない、その子達次第だ。
魔法の呪いを解く方法は俺だって分からない、今探してるから今は待て、っと。
ふぅ、沢山字を書いたな、あまり字を書くのは得意じゃ無いんだがな。
俺が普段書く字ってのは本当に汚いからな。
丁寧に書こうとすると、どうしても時間も掛かるし精神もすり減るってもんだ。
「ふぅ…アルル」
「はいはい、お呼びでしょうか~」
「お前はちょっと名前を呼べば出てくるな」
「ふふふ、私はリオさんの影、いつでもそこに居ますとも!」
「お前みたいな影、絶対にいやだな」
なんか忍者っぽいな、でも、忍者と違って存在その物が目立つが。
「それで、私を呼んだのはその書類を送り返すためですか?」
「あぁ、そうだよ」
「ウィンさんにお願いして、直接渡せるのでは?」
「まぁ、確かにそうだけど…でも、帰る必要は…」
「休みを取るついでに、って感じでどうですか?」
「…でもな、ちょっと前にも一旦帰ったし」
「国を1つ取れたんですし、多分許してくれると思いますけど」
「……そうだと良いがな、でもまぁ、そうだとすれば
リサ姫の依頼をこなした後にしようか」
「えぇ、それで同時に報告、と言う感じですね」
「それが良いか」
じゃあ、さっさとリサ姫の依頼をこなすとしようかな。
リサ姫の依頼は…まぁ、国興しなんだけど。
拝啓リオ様、お元気でしょうか…
とかかいてみたけど、正直面倒だから堅いの無しで行くわ!
えっと、私は依頼として、一旦国に帰って国興しをして欲しい訳よ。
あなたが不在ってだけで、国は結構シュンとするからね。
たまにこっちに戻ってきて、今の状況を国民に伝えて欲しいのよ。
あなたが報告してくれれば、国民達も嬉しいと思うしね。
一応、ミロルが用意してくれたテレビ、とか言うので状況は伝えてるけど
やっぱりほら、あなたが報告した方が信憑性もあるでしょうしね。
だから、一時的に戻ってきて、今のそっちの状況を伝えて欲しいの。お願いね。
PS‥あなた達がそっちに行く前に伝えた人財だけど、了承貰ったわ。
これからあなた達の大事な家を掃除してくれたりしてくれる人達なんだから
ちゃんと顔を見せて挨拶しなさいな、きっと驚くわよ!
…依頼内容、どっちにせよ向こうに戻らないと駄目なんだな。
それにしても、新しい人か…どんな人なんだろうな。
「リオさんには適切な依頼ですね、国民の皆さんはリオさん大好きですし」
「テレビ出演のオファーって感じだな、依頼じゃなくて」
「依頼と同じでは?」
「いやまぁ、そうだけど」
…まぁ良いか、どっちにせよ達成するには一旦戻るしかないのか。
「じゃあ、ウィンに頼んで向こう行くか…でも、その前に話をしないと」
「そうですね、勝手に帰ってはスティールさんが困りますし」
俺はスティールにもう一度一時的に帰国することを告げた。
スティールは結構あっさりとその話を了承してくれた。
国を1つ新たに取った事で精神的余裕が生まれて居るみたいだな。
それと、たまりにたまった書類もなんとか出来たことが大きいだろう。
俺達は帰国のことを伝えた後
ウィンに頼み、ミストラル王国へ一時的に帰還した。
「と」
「あん!」
俺が到着すると、既にナナがこっちに顔を向けて尻尾を振っていた。
魔法で転移してきたのに、既に俺達が来ることに気付いてたのか?
だとすると、犬の勘って言うのは侮れないな。
「あんあん!」
ナナは俺の元に駆け寄り、頭で俺の足を軽く撫でる。
「ふふ」
俺は体勢を低くして、ナナの首元を下から撫でた。
ナナは幸せそうな表情で俺にされるがままだ。
そして、しばらく撫でていると、寝転がりお腹を俺に見せてきた。
…なんか可愛いな、犬なんて大っ嫌いだが、こいつは好きになれる。
「へへ、ほらほら、可愛い奴め」
「はっはっは! クゥン!」
俺はナナのお腹を撫でた…なんとも手触りが良いな。
柔らかいし、撫で心地が良いな、可愛らしいもんだ。
「リオさん、ナナさんの事、本当に好きなんですね」
「な! アルル! もう来たのか!?」
「えぇ、ウィンさんが運んでくれましたとも!
そして、なんとも幸せか! リオさんがナナさんと
楽しそうにじゃれ合ってる姿!
普段は凜としているリオさんがナナさんのお腹を
幸せそうな笑顔で撫で続けている姿を見るのは最高でした!
自然と崩れてしまって出て来たような微笑み!
頬も紅くなってて、なんとも可愛らしい姿でした!」
「か、解説するな! 恥ずかしいだろ!?」
「あん!」
「み、耳を舐めないで欲しいな」
「とか言いながら楽しそうじゃないですか!」
「黙ってろ!」
「無理ですね、これは自然と出てくる言葉なのです!」
「戸を立てる努力をしろ!」
「人の口には戸は立てられないのです!」
「だから! せめて努力くらいはしろっての!」
「無駄な事はしない主義なのです!」
「ドヤ顔で言うな!」
く、クソ…あぁ、やっぱりこいつは苦手だ。
「おや、騒がしいと思えば、もうお付きだったんですね」
「シャル姫様!?」
まさかシャル姫様が来るとは…大体メア姫かリサ姫なのに。
「その表情、私がここに来たのがそんなに意外でしたか?」
「あ、えっと、いつもはリサ姫様かメア姫様だったので」
「あの2人はトロピカル地方でしてね、今は帰国の話を聞き
こっちに向ってきている状態らしいです」
「少し早く戻りすぎましたか…」
「私としては、あなた達のお出迎を出来て嬉しい気持ちはありますよ」
「え?」
「だって、リサやメアはあなた達と深く交流があるのに
私は殆どありませんからね、それはお兄様も同じですが」
レイ王子か、確かにあの人との交流は殆ど無いな。
「まぁ、お兄様は何度も女の子を変える人ですからね。
リサが警戒するのも分かりますけど」
「そ、そうなんですか?」
「えぇ、お兄様は惚れっぽいんです」
1国の王子様がそれで良いのか?
まぁ、偉い男の人って何人も側室が居る物だし、そんな物なのか。
良いなぁ、俺も王子様に転生したかったな。
沢山の女の子とイチャイチャ出来るし。
…でもまぁ、やっぱりどうせ愛するなら1人が良い気がするけどね!
…いや、多分ただの強がりだけど…そもそも、その1人すら見付からなかったし。
なんで俺は死ぬ前は誰かを好きになることが無かったんだか。
いや、ミロルの事は好きだったんだけどな、顔も本当の名前も知らなかったけど。
ボイスチャットはした気がするから、女の子だってのは分かってたし。
話しているのも楽しかったからな、漫画トークやアニメトークとかもしたし。
もしも会えたら間違いなく惚れただろうな、とか思ってたし。
だが! 言えないけどね、恥ずかしいし、こんな身体だしな。
それに、俺はもう誰かを好きになる資格は無いんだから。
「なる程、だからレイ王子様は私たちには接触してこないんですね」
「リサに釘を刺されてますし、今の彼女さんにも止められてますからね」
「危険視されてるんだな」
「はい、今の彼女さんとは5回目の交際ですからね」
「5回!?」
「えぇ、4回ともお兄様が原因です」
「そ、それでも戻ってくるんですね、よっぽど好きなんですね」
「そうでしょうね、ふふ」
…そんなに大事にされてるのに浮気をするのか、モテる男の考えは分からん。
「とりあえず、リサ達が帰ってくるまで待っててください」
「分かりました、お忙しい中、ありがとうございます」
「いえいえ、忙しくないから大丈夫ですよ、それでは」
シャル姫様は俺達の部屋の前から移動していった。
じゃあ、待機している間にレギンス軍団長に報告をしておこうかな。




