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幼女に転生した腹いせに狙撃チートで戦場を荒らしてやる!  作者: オリオン
第3部、第6章、戦争後の長い息抜き?
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徹夜の後

…目が覚めると、俺はベットの上で眠っていた。

ボサボサだった髪の毛は綺麗に整っており

乱れていた私服はいつの間にか寝間着に替わっている。

臭いがそこそこキツかったと思うが、その臭いは完全に消え

口の中にあった気持ちの悪い感覚も綺麗さっぱり消えている。

……俺は確か部屋に戻ろうとして、途中で力尽きたと思うんだがな。


「…んー」


あぁ、まだ頭がボーッとする。

確か昨日は…13日だったかな。


「おや、リオさん、お早いですね」

「…アルル? 何でここに…」

「リオさんの護衛が私の役目ですからね。

 ミロルさんに事情を聞いた後、こっちに来ました。

 と言っても、忙しそうでしたから声は掛けられませんでしたが」

「はぁ…後、今日は何日だっけ?」

「14日です」

「…俺って何時間寝てたん?」

「そうですね、私の記憶が正しければ4時間です」

「なんでそれだけしか眠れてないの!?」

「規則正しい生活が身に染みているからじゃないでしょうか。

 今は普段リオさんが起きてる時間ですしね」


普通は何日か時間が経って目が覚めるだろうに。

それなのに…まさか4時間しか眠ってないとは。

あぁ、通りで頭がボーッとしてるのか。


「…分かった、寝る」

「え? いや、私が目の前にいるのにですか?」

「知らん、寝る…」

「はぁ…まぁ、別に眠ってるリオさんを襲ったりはしませんけどね。

 昨日も別に手は出してませんし…信頼されてるという事で良いのでしょうか」

「昨日? あ、俺の身なりが妙に整ってると思ったらそう言う」

「はい、眠っている間に髪も洗いましたし、身体も洗いました。

 歯も磨きましたから大丈夫ですよ」

「…眠ってる間に良く出来たな」

「歯を磨くのには苦労しましたけどね、身体や髪の毛は簡単に洗えますよ」

「ふーん」

「因みに下の方を洗うときは非情に徹しました」

「下の方? 足か?」

「あ、はい、そうですね」


……ん? まぁ良いか、眠いしどうでも良い。

別に何もないだろう、そこら辺は信頼してるし。

正直、こんな状況じゃ冷静な判断とか出来ないだろうな。

頭もかなりボケーッとしてるし…とりあえず昼まで寝よう。


「まぁ良い、おやすみ」

「あ、はい」


もう一度布団に横になり、布団を掛けた。

あぁ、なんか布団に優しく抱擁されてる感じ。

なんかゆっくりと意識が溶けていくような…はぁ、幸せぇ…








「うへへ、リオさーん」

「……なんだアルルか」


目の前にアルルがいたけど、別にいつもの事だろう。


「いやちょっと待ってくださいよ! なんで無反応!?」

「……ん? 何でも良い」

「えっと、リオさん、本当に冷静な判断が出来なくなってますね…」

「んぁ?」

「ふ、普段のリオさんなら全力で殴ってきそうな物ですけど…」


…あー? なんかまだ頭はボーッとするな。


「やっぱり徹夜は辛かったんですね」

「徹夜じゃない、10徹だ」

「え、えっと…良く生きてましたね…」

「あぁ、怪我をするより辛い気がした」

「ま、まぁ…10徹なんて私には未知の領域でしょうね…

 徹夜をする事もありませんし…」

「健康的な奴め…まぁいいや、さっさと…ん?」


あれ? おかしいな身体が動かないぞ。


「…ありゃ?」

「どうしました?」

「あ、いや…なんか身体が動かなくて」

「え? いや、そんなはず…」


アルルは俺の布団をどかしたが、特に何も無い。


「…別に何もなってませんけど」

「え? なんで?」

「…多分きっとあれです、金縛りですね」

「な、何でだよ! 幽霊でも居るのかよ!」

「いえ、多分身体が寝てるだけですよ。

 脳は起きていても、身体が眠っているという感じです。

 恐らくリオさんの場合、身体がまだまだ眠ってますよ」

「起きて結構時間も経って、会話までしてるのに?」

「はい、それだけ身体が休みを欲してるんじゃないでしょうか」


うーん、そうなのかなぁ…まぁ、いいや。


「でも、身体が動かないなら襲い放題ですね!」

「……あ、そ」

「なんでそんな!」

「いやもう何でも良いし…正直どうでも良いし…」

「睡眠って大事ですね…でも何故でしょう。

 否定されてないと言う事は襲っても良いのかも知れませんが

 この…えっと、否定されないとむしろやる気が削がれると言いますか。

 元々襲うつもりはありませんでしたが、余計に削がれるというか。

 でも、襲っても良いなら襲った方が良いのかな~とか」

「…どっちでも言いだろ、好きにしやがれ」

「え? それは良いって意味で…でも、なんかなぁ!

 なんか違うと言いますか! やっぱりリオさんはほら!

 私の愛を口では拒みながらも何だかんだで側に置いてくれるとか

 そう言う、ツンデレ的な優しさが素晴らしいと言いますか!」

「知らねぇよ」

「いや、そこは誰がツンデレだ! とか言うのが正解と言いますか」

「正解ってなんだよ…」


なんか普段とは違うのか? でも、なんかそこら辺を考えるのも面倒くさい。


「ま、まぁ、もうしばらく眠った方が良いかと思いますはい。

「ん…分かった」


あぁ、やっぱり寝不足が原因なんだろうな。

とりあえずもう少し眠ろうか。

それから、また布団に入るとすぐに意識が溶けるように消えた。

あぁ、なんというか極楽だな、これ。

そして、次に目を覚ましたのは翌日の朝だった。

冷静になって後からあのセリフを思い返してみると

非常に危険な事をしたと言うことを理解した。

あれ、最悪アルルが暴走してたら俺ヤバかったじゃん!

アルルが自分で言うとおり、変態と言う名の淑女で助かった…

でも、結局変態だけど。


「今日は冷静でしょうか?」

「…あぁ、昨日のことを思い返してゾッとするくらい冷静だ」

「ど、何処にゾッとする要素が…いや、私は確かに変態ではありますが!

 弱ってるリオさんに手を出したりはしないと言いますか!

 ああいう言葉を言われても、冷静じゃないと判断すれば手は出さないような!

 超絶健全な女の子なんです!」

「手を出そうという思考が少しでも出る地点で健全じゃねぇよ!」

「は! これでこそ! これでこそこれでこそリオさん! リオさんです!

 私があれな発言をしたら全力で怒鳴る姿こそリオさんなのです!

 私がお嬢さん、スケベしようや、とか言ってふざけんな! がリオさんです!

 私がすけべしようやと言って、いくらで? とか言ったり

 別に良いよ、って言うのはリオさんでは無ーい!」

「変な事を言うんじゃねぇよボケ!」

「あぁ、これでこそリオさん! 私! 大! 感! 激!」

「だまれやぁ!」


く、クソ、朝っぱらから散々だ…もう夜更かしはしない。


「まぁ、この話はここまでにして、食事の用意できました」

「…あ、あぁ、そうか」


俺は食事を取った後、また10日前の夜と同じ様に予定を考え始めた。


「んー…うーん…」


一応、ある程度呼ばれている予定はあるんだよな。

こっちの都合で構わないと言われてた仕事だけども。

最優先項目は子供達なんだけど、そこ以外も一応仕事はある。

そこら辺はアルルがたまに依頼って感じで教えてくれたり

無線とかで報告されたりもする。

予定は主にメア姫やリサ姫、ギンス軍団長からの項目が多い。

子供に関係する話は大体メア姫からの依頼。

リサ姫からは大体国興しに関係する依頼。

レギンス軍団長は兵士達や軍に関する依頼だ。


「うーん」


今ある依頼は5つ、一応、メモ帳には書き留めてる。

まずはレギンス軍団長の報告書を時間が合ったら書いて送って欲しいかな。

そこら辺の報告は大体アルル達が行なってくれてはいるが

1度は俺が兵士達の状態を確認して報告が欲しいと言う物だ。

正直、あの書類地獄の後でこれを書くのはしんどい。

でも、書類の整理の事を覚えている間にやった方が良いかも。

俺はその依頼をこなすために、ミストラル王国の兵士達に合流した。




「よし、今日は訓練を見ようかと思うから、いつも通りやってくれ」

「は、はい!」

「なんで緊張してるんだ?」

「い、いえ、英雄たるリオ様に訓練を見られると思うと…」

「英雄じゃねぇよ、と言うか緊張されたらいつも通りが見れないじゃ無いか」

「も、申し訳ありません!」


兵士達は動きにキレが無い様に見える。

俺に見られているからと緊張している証拠なんだろう。

だが、正直こんな風に緊張されるといつも通りが見れないから困るな。

やっぱり俺の活躍を知ってるミストラル王国の兵士達は

俺に見られている、となると緊張してしまうと言う事なんだろう。

嬉しいような、あまりそうでもないような…

やはや、小さな子供相手に緊張か…最初に出会った時のアルルみたいだ。


「そんなに緊張しないでくれよな、俺は訓練にケチは付けないぞ?

 別に怒りゃしないし、怒鳴りもしないし、手を出したりもしない。

 だから、いつも通りやって欲しいんだけど」

「も、申し訳ありません!」


うん、少しだけマシにはなったようには見えるが、やっぱり違うな。

まぁ、これでも及第点だろう。


「ん、ありがとさん、じゃあ、俺は戻るけどこの後も頑張れよ」

「はい!」


まぁ、戻らないんだけどな、俺が居たらあまり訓練に力が入らないみたいだ。

殆どが俺の方を見てるし、やっぱり邪魔なんだろう。

だから、一旦帰ると見せかけて、遠くから観察だ。


「うぅ…リオ様に見られていると思うと緊張したな」

「あぁ…小さいのに何だかオーラがあるからな、あの人」

「しかし、あんな小さな子供が戦場に出て、いつもボロボロで帰ってくる。

 俺達が生き残ってるのはあの人のお陰だというのは分かる」

「…だな、俺達が弱いからあの人はいつも怪我をするんだろう。

 小さな子供に無茶をさせてたら、大人として恥だからな!」

「おぉ! もっと鍛えて強くなろう!」

「でも、あの人が強いのは魔法のお陰なんだろう? なら」

「お前、魔法だけで強い人が、無血で国1つ落とせると思うか?

 それに、リオ様よりも魔法が強力だった子供達は

 小さな戦士達にも居る、だが、それを倒して味方に引き入れてるんだ。

 魔法だけで強いわけないだろ」

「…そうだったな」

「でも、なんでそう思ったんだ?」

「ちょっとだけ、魔法が妬ましいと思って、魔法があれば楽が出来るのに」

「お前馬鹿だろ、小さな戦士達が楽だと思うのか?」

「あぁ、そうだな、ごめん、俺達の方が安全だな」


うーん、なんか恥ずかしいな…


「なぁ、お前ら」

「ん?」

「そのリオさんって人や小さな戦士達の事、教えて欲しいんだが」

「あぁ、そうか、お前はファストゲージの人間だからあまり知らないのか」

「あぁ、なんであんな子供がお前達兵士に慕われてるのか疑問で…」

「そうだな、少しだけ話すか」


しばらく俺の話をしてるけど…恥ずかしい! 超絶恥ずかしい!

そう言う会話を聞くって言うのはなんか恥ずかしい!


「なる程、慕われてる理由が分かった、じゃあ踏ん張らないとな! 俺達も!」

「あぁ! 今日も一緒に訓練だな! やるぞ! 根性入れろ!」

「っしゃ!」


…うん、訓練の内容と兵士達の士気、ポテンシャルとかも考えてと。

…そうだな、悪くないというか、むしろ前よりも向上しているように思う。

ファストゲージの兵士達も訓練に混ざっていたりするところから考えて

こっちの兵士達との仲も悪くは無いというのは分かる。

当たり前の様にファストゲージの兵士達とミストラル王国の兵士達が

会話をしているしな。

でも、その士気の根底にあるのはどうやら俺の存在みたいだ。

嬉しくないと言えば嘘になるが…こう言う会話を聞いていると

自分の存在がどれだけ大きな物か分かるな。

やっぱ、色んな意味で俺は死ねないか。

元々、死ぬつもりは毛頭無いんだけどな。

自己犠牲は自分を滅ぼすだけじゃなく仲間も滅ぼすだろうし。


「よしっと、後は報告書を書くとしようかな」


しんどいけど、やろうかな、今日はよく寝たし。

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