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行動開始

訓練を開始して、1週間ほど時間が経ったな。

そろそろ俺の体の傷も治ってきた、もう行動を開始しても良いだろう。

しかしだな、俺の弱点はまだまだ改善できていないんだよな。

少しは魔力量が増えたが、それでも致命的なほどに低いままだ。

ここをなんとか改善しないとヤバいんだけど、時間を掛けすぎるのも良くないんだよな。

俺がゆっくりしている間にも敵国は準備を進めていることだろうし。


「リオさん? どうしたんですか? かなり悩んでいますけど」

「あぁ、敵国の情報を探るか、訓練を続けるかで悩んでてな」

「私としては訓練を続けた方が良いと思いますけど?」

「でも、敵国の情報を探って対策をしないと、攻めてこられたときに負ける可能性が高すぎるからな」


だが、訓練をしなければ、魔力枯渇で動けなくなる危険性がある。

でも、そんな事をしている間に敵国が攻めてきたら、対策が出来なくて負ける危険性が出てくる。

どっちを選んだとしても確実に付いてくる大きすぎるリスク、選択をするのは厳しいな。

しかしだ、こうやって2つの危険性を照らし合わせて、どちらがヤバいかと考えれば後者だろう。

国が滅べば先生達も死ぬ、それだけは避けないといけない、前者なら死ぬのは俺くらいだからな。

情報を手に入れたアルルが撤退できれば対策も取れるし。


「・・・・よし、やっぱり捜索に向うことにしよう」

「危険ですよ? それでもやるんですか?」

「危険でもやるのさ、それだけ情報という物は価値があるからな」

「・・・・分かりました、リオさんの方針に従いましょう、私はリオさんの部下ですから」

「ありがとうな、それじゃ軍団長に報告というこう」

「そうですね」


行動の方針が決まった俺達は軍団長の部屋にまで移動した。

そして、今回俺が決めた方針を報告することにした。


「そうか、情報を確保しに向うと」

「はい」

「危険だと分かっていての判断だな?」

「はい、分かっています、それでも誰かがやらないといけない、だから、俺達がやります」

「・・・・良いだろう、許可しよう」

「ありがとうございます!」

「ただし、情報を得ればすぐに戻れ、決して攻撃などはするな、分かったな」


え? 何でそんな当たり前の事を言うんだ?

いくら何でも1人で状況を左右しよう何て思わないって言うのに。


「分かってますよ、何故そんな事を?」

「君の性格上、僅かでも状況を変えようと攻撃を仕掛けると思ってな」

「いやいや、流石にそこまで無謀じゃありませんよ」


でも、少し前にはそんな事を思っていた気がする。

自分の弱点が把握する前にはそんな事を思っていた。


「そうか、少しは成長したようだな」

「どういうことですか?」

「君は少し自分を過大評価しすぎていた、自分の魔法の弱点など殆ど気にしていなかっただろう?」

「・・・・はい」


先週の修行の時に挫折をしていなければ、弱点の重要性なんぞ気にしていなかっただろうし。


「だが、今は少し弱点を見た様だし、前までの君よりは安心して任せることが出来る」

「ありがとうございます」

「君には厳しい任ばかり与えているが、頼むぞ、情報を得なければ勝ち目は無いのだから」

「分かっています」

「それでは、頼むぞ決して無理はするなよ」

「はい」


軍団長の観察眼には脱帽だ、かなり部下を見ているんだな。

もしくは俺が簡単に見破られる位に無理をしすぎていたのか。

・・・・それじゃ行くとするかな、ステルス行動は俺の十八番だ。


「それでは、行ってきますね」

「あぁ、頼む、必ず無事に帰ってくるんだ」

「はい、分かってますよ」

「大丈夫ですよ、リオさんは私が必ずお守りいたします」

「頼むぞ、アルル」

「お任せあれ」


軍団長の許可は貰った、これで俺達は国を出て情報を探る事が出来る。

まずは下準備だな、準備が出来ていなければすぐにぶっ倒れるだろうし。

食料やテントとかの宿を取るための道具、寝具、準備するのは大変そうだな。


「さて、アルル長期遠征の準備をしよう」

「リオさん、私を誰だと思っているのですか? 準備なら出来てます、少しお待ちを」


アルルは狙撃偵察部隊の部屋に入り、少ししてから黄色と黒のシマシマのリュック、紫色のリュック

緑色の大きなリュックを持ってきた、もう用意してたのか、準備が良い。

中身を確認すると黄色のリュックは保存食、紫色のリュックは黄色と黒と同じ保存食が入っている。

緑色の大きなリュックには大きなテントと寝具が入っている。


「準備が良いな」

「そうでしょう?」

「だが、1つだけ質問良いか?」

「なんでしょう?」

「なんで縞模様のリュックと紫のリュックは中身が同じなんだ?

 それに、どうしてリュックが3つある?

 どうせなら紫色の大きなリュックに沢山の保存食を入れていれば運搬が楽なのに」

「そりゃあ、3人で移動するんですから多い保存食を分けないと大変じゃ無いですか」

「…3人?」


おかしいな、今回の遠征に向うのは俺とアルルの2人だけだ、3人目の人材なんて知らない。


「おい、何を言っている? 俺達は2人で行動を」

「2人で行くつもりだったんですか? 少なくとも敵の前哨基地まで案内してくれる人が居ないと」

「…もしかして、お前!」

「そうです、今回の遠征、私の独断ではあるのですがマルさんも同行して貰います」


少しだけ笑顔を見せた後、アルルは奥の扉に向けて呼ぶような動作をした。

すると、奥の扉から小さな足が見え、ちびちびとあの少女が姿を見せた。


「よ、よろ、し」

「はぁ!?」

「ひぃ!」


な、なんで捕まえていた元敵兵と一緒に行動する事になるんだ!?

何でだよ! わ、訳が分からないぞ!?


「おい! どういうつもりだ!? 何故こいつを連れて行く! 置いていけ!」

「えっと理由は3つほどあるので、それを聞いて最終決定をお願いします」

「3つ!?」


・・・・こいつの意見を聞かないまま完全に否定するのも失礼かも知れないな。

普段はアホなこいつだが、こう言う真剣な時に無意味な事をするような馬鹿じゃ無い。

こいつにもこいつなりの考えがあっての行動か、闇雲に部下を否定しては指揮官として失格かな。


「・・・・分かったよ、一応聞こう」

「ありがとうございます、えっとですね、まず1つ目ですけど単純にですよ

 このまま私達が長期遠征になれば、この子は餓死する危険性があるからです」


そう言えばそうだな、確かに俺達が面倒を見なければ、こんな子供すぐ死にそうだし。

そもそも、檻の中にぶち込んでいるのに自分で料理できるわけ無いか。


「でも、それはシルバー達に任せれば問題は無いんじゃないか?」

「はい、そうですね、ですのでこの程度の理由だけでは連れていきません

 次に2つ目です、それは道案内をして貰うことです

 少し前まで制圧された国の兵士だったわけですから、基地の位置などは把握しているはずです」


これは意外と理に叶っている気がする、こいつの国を滅ぼした国

その国の連中は恐らく敵の基地を修繕して利用している可能性もある。

まだ攻略が完了してから1週間程度しか経っていないわけだから他の基地を作ってないだろうしな。


「なる程な、意外と理に叶ってはいる」

「そうでしょう? で、3つ目は共に戦って貰えば、かなりの戦力になるからですよ

 指定した範囲に居る敵兵の位置を把握できる魔法なんて、最高に相性が良いです

 敵兵の詮索にも使えますし、最高のメンバーになりますよ、これは」


確かにそれは思っている事だ、こいつの魔法は使いようによっては最高の魔法だ。

俺達のメンバーに加わってくれれば、隠れている相手も見抜ける飛んでも魔法だからな。

位置を把握できると言うのは狙撃や偵察をメインにしている俺達にとって、最高の武器になるからな。


「以上が私がこの子を連れて行った方が良いと判断した理由となります、いかがですか?

 ほら、あなたからも言った方が良いですよ、どうして付いてくると言ったのかも含めてね」

「うん・・・・お願いします、私も連れて行って、どうしてあの子が裏切ったか、その真実が知りたい!

 足は引っ張らない! あなたの指示にも従う! だから! お願いします!」


さっきまで、アルルの後ろに隠れていたというのに、これを言う時には前に出て来たか。

あまり大声も出さなかったのに、大きな声で叫んでいるし、それだけ本気なのか。


「・・・・はぁ、良いだろう、俺達にも有益だしな」

「じゃあ!」

「今回の遠征はアルルの意見を受入れ、マルを作戦に参加させる」

「やった!」

「ただし変な行動を起こしたらすぐに押えろ、アルル、テメェの意見だからな、それ位はしろよ」

「お任せください、彼女の行動監視、周辺警戒は私がこなして見せましょう」


さてと、それじゃあ、そろそろ移動するとするかな。


「マル、一応釘を刺しておくが、変な行動をしたら・・・・分かっているな?」

「分かってる、それは覚悟してる」

「よし、ならさっさとリュックを背負え」

「うん!」


俺の指示に従い、マルは黄色と黒のリュックを背負った。


「うし、行くぞ」

「はい!」

「やっちゃいましょう! 私達狙撃偵察部隊のすごさを思い知らせてやりますよ!」


実際は知られない方が良いんだけどな、でも、それ位の意気込みでやるかな。


「所でさ、なんでお前は俺が好きな色を知ってるんだ?」

「そりゃあ、知ってますよ、私を甘く見ないでください」

「でも、お前の前で紫色の服を着た記憶は無いし、紫色の道具を見せた記憶も」

「リオさんの先生に聞いたんですよ、好きな色を」

「あー、あの時か」


もしかして、俺があいつらに巻込まれて遊んでいる間に聞いたのか?

やれやれ、抜け目のない奴め。


「そうか、なる程な」

「上司が好きな色を知るのは部下としては重要な問題です!」

「ふーん、そうなんだ」

「そうなんです! だって、プレゼントをあげるときとかに好きな色を覚えていないと

 困るじゃありませんか」

「あぁ、そう」


結構策略かなんだな、こいつは、予想外だ。

こいつの事だからそんな事は気にしていないのかと思ったが。


「そうかい、それじゃあ、まぁ、行くぞ」

「はい! 分かりました!」

「うん、頑張ります」


準備も整い、俺達は作戦行動を開始することにした。

なんとしてでも情報を得て、国の支援をしないとな。

確実に見付けて、状況を好転させてやる!

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