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潜入方法

「ステルス迷彩ね、確か潜入ゲーの道具だっけ」

「あぁ」


ひとまず、道具を召喚出来るかをミロルに聞いてみた。


「召喚出来ないなら無理にとは言わないけど」

「でも、私が召喚出来なかったら潜入する手段はあるの?」

「ちょっと難しいかも知れないが、ひとまずはフランに頼もうかと。

 あいつは複数人に幻覚を見せることが出来るらしいから

 その力を使って俺達を道具に見える様にしようかと。

 と言っても、あいつの魔法がどれ程か分からないんだけどな」

「だから私に話したわけね」

「あぁ、召喚出来ればお前に頼んだ方が効果的だし確実だからな」

「分かったわ、試してみましょう」


ミロルが目を瞑り、両手を合せ、開くとそこにはマントが。


「うん、召喚出来たわ」

「はぁ、便利だな…所でミロル」

「何?」

「その動作…必要だったのか?」

「…………格好いいでしょ!?」

「必要無いんだな」

「何よ! 気分って重要だと思わない!? 大事でしょ!?」

「そ、そうだな」

「そりゃあ、指でも鳴らせば召喚出来るけど! やっぱり気分が乗ってる方が!」

「分かったって! わ、悪かったよ、ごめん変な事言って」

「謝らないで! 何か悲しくなるわ…」


確かに錬金術みたいで格好いいと言えば格好いいんだけどな。


「と、この話はここまでにして、この道具はどう使うんだ?」

「んー、簡単に纏えば消えるわ」

「そんなに簡単なのか?」

「ステルスマントよ、迷彩は知らないし、と言うか迷彩でしょう?」

「そうだけどな…じゃあ、ちょっと纏ってみるぞ」


とりあえずミロルに言われたとおり、このマントを纏ってみた。

何だか毛布みたいな肌触り、眠くなりそうかも。


「どうよ、内側は毛布よ!」

「うん、確かに良いんだけど…移動しながら使えるか?」

「…は!」

「あー、うん、何かゴメン」

「い、いや! 使えるわよ! こう、纏った状態で歩けば!」

「こんな感じ?」

「…ゴメン、かなり揺れるから思いっきり違和感あるわ…」


やっぱりそうだよな、動きながら使えるステルス迷彩ってあれば良いのに。


「でも、これ位しか召喚出来ないわよ…」

「…じゃあ、馬車に乗って使うか、それなら大丈夫だろ」

「そうね、でもそれだと運ぶ役が…後、1つしか用意できないわ」

「そうなのか?」

「しかも、使い捨てなのよね、1度使って出て来たら消えるって言う」

「ふーん、でもまぁ、1度使えればそれで」

「…リオ」

「何だ?」

「察しなさいよ、私も一緒に連れて行きなさい!

 ありもしない弱点を捏ち上げて付いてきてくれって言わせようとしたのに」

「いや、なんで?」

「気になるのよ、何より心配だし」

「大丈夫だって、アルルもいるし」

「何かあったとき、私も一緒に行った方が色々と便利良いでしょ?」

「まぁ、非常時には確かに…」

「だから、一緒に行きたいのよ」

「でも、ウィンが同時に転移させられるのは2人でな。

 非常時に逃走する場合は3人じゃ無いと」

「でも…もしも何かあったら」


心配してくれているのは分かるんだけどな。


「リオさん」

「アルル、何処から湧いた」

「私はリオさんの近くにいつも居ます!」

「いい加減にしろよ、ストーカー」

「見守ってるのです!」

「うっせ、で、何だ? 何で湧いてきた」

「えっとですね、ミロルさんも連れて行った方が良いと私も思いますよ」

「何でだ? 逃げるときの事を考えると」

「その場合は私が残って時間を稼ぎますんで」

「ちょっと! それじゃあなたが!」

「大丈夫ですよ、そもそもそんな事態にならないように動きますし。

 それにですよ? 私達には資金繰りが必要になってきます。

 その間、私はリオさん達のカバーも出来ませんからね。

 もしもの場合、戦える戦力は多い方が良い。

 リオさんは確かに強いのですが接近戦には弱いでしょう?

 ですので、ミロルさんも一緒にいた方がいざと言う時戦えます」

「資金繰りか…確かサンズ地方に潜伏したときは」

「えぇ、人に恵まれて何とかなりましたが、今回はどうか分かりません」

「何か手があるのか?」

「えぇ…ただ一般人の参加が許可されるなら…手はありますが」

「何をする気だ?」

「リリスちゃんと一緒に料理店を出して」

「危険すぎるだろ! 1人で出来ないのか!?」

「流石に私1人だとお客さんを捌くのも難しいでしょう。

 リオさん達に協力して貰うとしても、料理の作り手が足りませんからね」

「金の為に一般人を巻き込むのはよろしくないぞ」

「ですよね、他の手を考えた方が良いかも知れません」


でも、なんでアルルがこんな突拍子も無い事を閃いたんだ?

こいつは馬鹿だが、それは大体俺に対する行為だけだろう。

そんなこいつが俺以外に関して馬鹿な事を考えるとは思えない。

きっと何かしらの理由があると考えるのが妥当だ。

その場合は何だ? こいつがこんな意味の分からない馬鹿をする理由。

……思い出せ、リリスさんと初めて会ったときの会話を。

…何で料理店なのかを考えてみろ。

……あ、確かリリスさんはアルルと一緒に料理店を出したかったって!


「……もしかしてアルル」

「はい、何でしょう」

「リリスさんと料理店を出したいのか?

 そうじゃ無いとそんな事は言わないだろ?

 お前は俺に対しては馬鹿だが、俺以外に対しては賢明だ。

 そんなお前が突拍子も無い発想をするとは思えない。

 だから、何か理由がある筈だと思った。

 だから色々と考えて、リリスさんはアルルと料理店を出したいと言ったのを思いだした。

 それはお前も本当は考えていたことで、それを少しでもやりたいからって事か?」

「……はい、その通りです、すみません、公私混同ですね

 私もリリスさんと料理店を出したいと思ってます、ですが兵士を止めるつもりは無い。

 だけど、1度でもやってみたいと…だから、こんな強引な手を考えたんです。

 でも、リオさんが駄目だと言うならやりません。

 確かにリオさんの言うとおり、一般人を巻き込む訳にはいきませんしね。

 ありがとうございます、一時の気の緩みで親友を危険な目に遭わせずにすみました」

「…なぁ、お前って何で兵士をやってるんだ? そんな夢があるなら

 兵士を止めて、親友と料理店を開いて一緒に過ごせば良いじゃ無いか。

 それでお前ら2人の夢は叶うだろう? それなのに兵士をやってるのは」

「私は誰かの為に料理を振る舞いたいんです。

 不特定多数じゃ無く、大事な人達に、だから」

「だったら、その親友の夢を叶える為に

 料理を振る舞えば良いじゃ無いか。

 そうすれば、その料理を食べるのは別の人でも、

 料理を振る舞う理由は大事な人の為に振る舞ってる事になるだろう?」

「……」


アルルが少しだけ驚いた表情を見せた。

きっとそんな発想には至ってなかったんだろう。


「その発想はありませんでした」

「じゃあ、兵士を止めて、そんな理由で料理を振る舞えば良いだろ。

 その方が安全だし、きっとお前は幸せだろう。

 …後、俺もお前みたいな奴が居なくなって気が楽だしな」

「リオさん、顔を背けて言われても…」

「はん、で、どうすんだ?」

「…私はその夢を目指したいと思います」

「そうか」

「でも、兵士は続けますよ、全部が終わるまで」

「いや、それは!」

「そして、料理店にリオさんをスカウトして一緒に過ごすのです!

 一緒に料理を作って、一緒に働いて、今までと変わらず。

 これは私の夢では無く目標にします。

 夢は叶わないことが多いですからね。

 だったら、絶対に叶えないといけない目標にします」

「……好きにしろよ」


夢じゃ無く目標ね、悪くない。

アルルと一緒に料理店で働くのも、それはそれで良いかもな。


「じゃあ、その予行練習として、リリスさんを連れて行ってみるか?」

「でも、危険だと…」

「そうなると、余計にバレない様に立ち回る事になるわね。

 最優先の避難対象はリリスって人になるのかしら」

「そう言えば、お前はリリスさんに会った事無かったっけ」

「無いわ、どんな人か楽しみね」

「と言うか、しれっとお前も付いてくるつもりなんだな」

「何か会ったとき、戦力は大いに越したことないでしょ?

 それに料理店というのは良い考えだと思うわ。

 お客さんも来るでしょう? そこから情報も聞き出せるかも知れない。

 下手に動き回って違和感を抱かれるよりは

 居て当たり前の場所に待機して情報を仕入れていた方が

 違和感もあまり無く調査が出来るでしょう。

 お金も手に入って、一石二鳥ね」

「問題はその店屋を開く資金を何処から持ってくる?」

「そこよね…まぁ、私の魔法で屋台くらいは出せるけど」

「お前、何でも召喚出来るな」

「何でもじゃないけどね、知ってる物だけよ、私が出せるのって」


それでもかなり色々と出せるし、利便性は凄まじいな。


「まぁ、何にせよ、リリスさんの了承を得ないとどうしようも無いけどな。

 ひとまずはリリスさんにこの話をしてみるか」

「はい!」


俺達はウィンの魔法で一旦ミストラル王国に戻り。

事情をリリスさんに話し、この事を軍団長にも話してみた。

軍団長は結構な間悩んでいたが、確かに店を開くという手は悪くないと言ってくれた。

だが、やはり一般人が参加するというのにはかなり悩んでいたようだが

リリスさんが自分は大丈夫だと言う事を強く話し、根拠も話したら

何とか了承をくれた、だが、最終判断は国王様。

国王様にも同じ様に事情を話すと、何とか了承。

その後、スティールにもこの事を告げた。

スティールもやはりかなり悩んだが、あなた達に任せると言って許可をくれた。

結構な時間が掛かったが、それでもこれで調査に向かえる。

俺達は計画通り、馬車に色々な荷物を積んで門に向う。

俺達子供はその中に入り、ステルスマントで身を隠した。

予想通り、馬車の中も見られ、多少探られたが何とか騙すことが出来た。

そのお陰で辛うじて侵入することに成功。

後はミロルの魔法で台車を召喚した。


「よし、これからが本番だな」

「馴染みあるお店になれば、それだけ情報も仕入れやすいですし

 違和感もあまり無くなるはずですからね。

 ここは情報を仕入れやすい環境にしましょう」


少し時間が掛かりそうだが、情報を安全に仕入れるためには仕方ないだろう。


「ある程度お金が稼げたら、屋台じゃ無くてお店にするんでしょ?

 何だか楽しみだよ! それに、アルルと料理屋を出来るなんてね!」

「そう言えば、店の方はどうしたの?」

「お客さんに事情を説明して、しばらくの間休業だよ」

「良く了承してくれたね」

「私がやりたいことにチャチャは入れないって言ってくれてね

 いやぁ、良いお客さんばかりで、本当に嬉しいよ。

 でも皆、絶対に戻ってきてくれって言ってくれてね。

 あはは! 待ってくれてる人もいるし、絶対に戻らないとね!」


やっぱりあの店に来てるお客さんはいい人ばかりなんだろうな。


「そうだね、頑張ろう」

「うん! で、今回は2人ほど多いけど…どっちかがお嫁さん?

 それとも全員? まさかのハーレム体勢?」

「誰がこんな奴の嫁よ!」

「うん、私はお姉ちゃんのお嫁さんで」

「妹が嫁とかあり得ねぇよ」

「そうそう、私のお婿さんはリオさんだけ!」

「お前の婿とかぜってぇ嫌だね! それならウィンを嫁に貰うわ!」

「な! 姉妹愛って確かに尊いですけど!

 と言うか、ミロルさんは?」

「ミロルを嫁に貰うって言うの恥ずかしいじゃん」


うん…曉美時代のミロルを知ってるから余計に…

向こうも男だったときの俺を覚えてるし。


「ハーレムもありだと思いますよ!」

「俺は純愛派なんだ」

「リオさんを巡る熾烈な争いが始まりますね! 女子力を上げねば!

 まずは料理と炊事洗濯と裁縫や従順さとか可愛さとかですね!

 可愛さではちょっと皆さんには劣るかも知れませんが

 そこ以外には絶対の自信があります!」

「料理の訓練とかした方が良いのかしら」

「私、頑張って料理とか全部出来るようになるよ! お姉ちゃん!」

「モテモテだねぇ、女の子にモテる女の子ってまた変わってる気がするよ。

 と言うか、口調が完全に男の子だね、ギャップって言うのかな。

 見た目が異常に可愛いのに口調が男勝りって言うね。

 何となく女の子にモテるのも分かる気がするよ。

 逆に男の子にはモテそうに無いね、口調が強すぎて」

「男にモテる気は毛頭無いんで大丈夫です」

「男の子にモテないでも良いの?」

「良いんです! 男にモテるとか鳥肌物ですし!」

「ふーん、そう言う物なのかな、まぁ良いけどね。

 それで? 早速何を作るか考えようよ」

「そうだね、最初は無難にかけうどんかな

 比較的安い材料で作れるしね、材料もあるし」

「おっけーい! 作っちゃうよ!」


根を張るまで時間は掛かるのは間違いないが

まぁ、こんなテンションでしばらくの間待機なら問題無いかな。

まず間違いなく飽きないだろうしな。

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