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看病と捜索の両立

「…ほら、アルル」

「あ、リオさん…ありがとうございます」


敵の潜伏を探しながら、こいつらの看病もしないと行けない。

正直、結構面倒くさい状況である事は間違いないだろう。


「ほら、口開けろ」

「…まさか、あーんをしてくれると! ケホ!」

「興奮するな! お前これから治るまで飯無しが良いのか?」

「ご、ごめんなさい…」

「ほら、良いから口開けやがれ」

「あ…ん…美味しいでふ」


アルルの飯を食わせた後はフレイ達にも食べさせないとな。

スティール達の世話はウィングに任せたが

こいつらの世話は俺がしないといけないからな。

問題は兵士達の看病なんだよな、俺達2人だけじゃちょっと手が回らない。

今は当番制にして、まだ症状が軽い兵士達や料理人達がやってるみたいだけど

そいつらが動けない程の状態になったらかなり不味い状況に陥るな。


「…やっぱり急いで共通点を見付け出して、ある程度の目星を付けないとな」

「その様子だと…ケホ、まだ」

「そうだ、あいつらには言うなよ? 不安になると困るし」

「私は大丈夫なんですか?」

「お前みたいなダイヤモンド位頑丈なメンタルなら余裕だろ」

「一応、ダイヤモンドって衝撃に弱いんですけどね。

 私の場合だと、リオさんに何かあったら木っ端微塵になります」

「そうかい、でも、お前なら大丈夫だろ? 一応相談もしたいんだ」

「それって、私の事を信頼してるって言う…えへへ」

「良いから! えっと、動ける奴らの特徴を少し書いたんだけど」


俺は朝の捜索で動けている子供達の特徴を書いた紙をアルルに見せた。

俺1人で考えても、答えに行き着かない場合は頼るのも良いだろう。

こいつに頼るのは何かあれだけど、実際こう言う場面で1番信頼してるのは事実だ。

ハッキリと言うのは嫌だけどな、何だかんだで優秀なのは認めてる。

次にシルバーかな、大人組では。


「色々と書いてますけど、この二重線は?」

「あり得ないと俺が断定した特徴だ」

「男の子、女の子は関係なくて、髪の色も目の色も服の色も関係ない。

 ケホ! えっと…ケホ! 魔法使いも当然関係なくて、出身もケホ、関係ない」

「大丈夫か? やっぱり辛いなら無理しなくても」

「いえ、期待には応えたく、ケホケホ!」

「…悪かったな、もう良いよ、ありがとう」

「ま、待ってくだ、ケホ!」

「休んでいてくれよ、無理するなっての、ほい、ご飯の続きだ」

「うぅ……でもリオさん、私、思うんですけど」

「ん?」

「自分達の特徴を調べた方がいい気もします」

「確かにな…明日少し考えてみるよ」

「はい、あん」

「ほい」

「あむ…むん、でも、こんな風にリオさんに看病して貰えるなら

 病気になるのも良いですね」

「こんな状況じゃ無けりゃ、わざわざお前の看病はしない」

「ですよね~、でも、内心だとかなり心配してくれてたり」

「す、するわけ無いだろ!」

「顔が赤くなりました~、私は幸せ者です!」

「この! ……はぁ、まぁ、心配はする…だがアルル

 それはお前だけじゃ無いぞ、分かってるか?」

「分かってますよ、リオさんは友達想いですから…ケホ!」

「うっせ、ほら食えよ」

「あはは、ありがとうございます」


…まぁ、辛い状況に居る奴を心配しないわけが無い。

周りも俺が調子崩したら心配してくれてたしな、それが普通なんだろう。

普通であり続ける事って難しいのかも知れないけど。


「それにしてもリオさん、お料理上手ですね」

「これでも先生の手伝いで料理作ってたからさ」


くたばる前は料理なんて作ろうとすら思わなかったんだけどな。

だけど今は多少は出来る…と言っても、そこまで積極的に作らないけどな。

あまり料理も上手く出来ないし、やっぱりしんどいからな。

そもそも、俺が作った料理よりもアルルの作った料理とかの方が

圧倒的に美味しいし、わざわざ作る必要性が無いんだよなぁ。

でも、こう言う場面では覚えて居てて良かったと感じるけど。


「と言っても、お前に料理上手いって言われてもおだてにしか聞こえないが」

「いえいえ、凄く美味しいです! もうケホ! 食べただけで幸せになって!」

「あまり興奮して喋るな」

「あはは、すみません」

「まぁ、料理の腕は俺よりもウィングの方が上だぞ」

「いえ、料理の腕とかは関係なく、リオさんのお料理だと言う事が素晴らしいのです!

 こう、なんて言うんでしょうか、愛情! そう、愛情がこもってて!」

「お前! ウィングの料理に愛情がこもってないとでも言うのか!?」

「怒るところそこですか!? 

 いえ、ウィングさんのお料理に愛情がこもってるのは分かるんですけど

 私が言いたいのはリオさんの愛情がこもっていると言う事で、げふぁ!」

「どうしたよ! 今までに無い咳だぞ!?」

「いえ、我慢してて喋ってたら…まぁ、とにかくですよ

 私はリオさんの手料理が食べられて幸せです!

 どうせならこのまま病気が治らなくても良いと思えるほどに!

 でも、やっぱり治らないと料理をリオさんに振る舞えないので治したいです」

「しんどいからじゃ無いのかよ、治したい理由」

「そりゃぁね、私の行動基準はリオさんですから」

「キモい」

「ありがとうございまげふ!」

「変なタイミングで咳をするな、全く、ほら、さっさと残りを食え」

「ありがとうございます、この幸せを噛みしめていきます!」


はぁ、こいつの相手をするのは本当にかったるいな。

とりあえず、今日の晩はアルル達に飯を食わせた。


「さてアルル」

「はい、何でしょう」

「全員にご飯を食わすのが終わったからな」

「あぁ、お疲れ様です」

「と言う訳で脱げ」

「はい! すぐ脱ぎます! 瞬で脱ぎます! 速攻で脱ぎます!」

「いや、少しは何でそんな事を言うのかを疑問にだな」

「…反射的に口が動きました…えっと、何でですか?

 まぁ、理由が何であれ、私は全てにはい! と応えますよ」

「体を拭くんだよ、全員汗かいてるだろうし、まず最初はお前だ」

「おや何でですか?」

「練習台には丁度良いだろう? 何かあってもお前なら問題無いし」

「みょ、妙な信頼ですね、まぁ勿論良いんですけどね!」


アルルは嬉しそうにしながらも、少ししんどそうに座った。


「待った、やっぱり俺が脱がそう」

「良いですよ!」

「何かしんどそうだし、ほら、抵抗するな」

「待って! まだ心の準備が!」

「普段は滅茶苦茶な位に積極的なのに何か随分と消極的だな」

「い、いえ、自分からアクションするのは良いんですけど

 リオさんの方からアタックされると、何か心臓のドキドキが止まらず…

 ハッキリ言います、恥ずかしいです」

「…はは! お前から恥ずかしいなんて言葉が聞けるとはな!

 恥の遙か外側にいるようなお前が恥ずかしいだと!?

 冗談きついぜ! 母親がゴリラだって言うくらいに信じられねぇ!」

「いえ! 私だって女の子! 恥くらい」

「いつもあんなに恥ずかしい言葉を連呼してるのにか?

 はは! 明日世界が終わるって言われるくらいに信じられねぇ!」

「粉微塵も信じてませんね!?」

「そりゃそうだ、お前普段の行動を思い返してみろよ。

 お前みたいな恥という感情が完全に抜け落ちてるような奴が

 恥ずかしいだなんて、信じられるわけ無いだろ?

 ほら、さっさとしろ」

「あ、待ってください! 止めて! 乱暴しないで!

 服が乱れます! 汗をかいてるのも相まって大変な事になってる様に見えます!」

「自分で服を脱げない奴を脱がすための練習みたいな感じだって

 結構しんどそうにして、動けない奴が多いからな。

 シルバーとか殆ど動けそうに無いし、その練習」

「待ってください! あ、止めて! ケホケホ! ひゃー!」


よし、脱がせた。


「うぅ…私、穢されました、もうお嫁に行けません。

 なのでリオさん、責任を取って私のお婿さんに」

「馬鹿か、後、変なポーズするな、俺が悪役みたいだろうが

 何で胸を隠す? 風呂に入るときとか隠さねぇくせに」

「隠しますよ、と言うかリオさんは中身男の子なんでしょ!?

 お、女の子の裸を見て興奮とかしないんですか!? しますよね!?」

「しない、少なくともお前の裸で興奮はしない」

「酷い!」

「俺は中身が重要だと思ってるたちなんだ、お前は中身変態だし」

「あ、良かったです、おっぱいが無いから興味が無いとかそう言うのじゃ無くて」

「後、巨乳派だし」

「もう駄目だ!」

「ったく、ほら、体拭くぞ」

「あ、前は自分で出来ます」

「分かった」


うん、とりあえずアルルの体を拭くことが出来たな。

後は、アルルの着替えを用意して、これで完了。


「おしっと、ほら、着替えろ」

「分かりました…しかし、本当に体を拭くだけだとは」

「俺が変な事をすると思ったのか? 馬鹿かよ」

「分かってたんですけどね、でも、何だかドキドキして。

 リオさんが私にこんな事をしたの初めてですし

 嬉しかったというか…」

「こんな事で喜ぶなよ」

「何かリオさん、普段より優しいですね」

「うっせ、ほら早く着やがれ」

「…着せてくれます? 怠いんで」

「……はぁ、分かったよ」

「まさかのOK!? じょ、冗談です! 自分で着ます!」

「何だよ、自分で着れるなら最初から着ろよな」

「うぅ、何だか調子狂います…余計に惚れてしまいそうですよぅ」

「良いから着ろ、酷くなっても知らないぞ?」

「ご、ごめんなさい…」


アルルが顔を赤くしながら俺が用意した服を着た。

普段だったらこんな表情はマズしないだろうにな。

いや、顔を赤くすることは何度かあるんだけど

その時はいつも気持ち悪いにやけ顔だ。

でも、今回顔はにやけてない。

俺から目を逸らしているし、何か普段と違うな。


「何つうか、お前って変態って所が無ければ結構理想の女だよな」

「にゃ! り、りり、リオさん、どうしちゃったんですか!?」

「いやほら、料理も出来るし、家事も出来るし

 前々から思っては居たけどな、早く直せば良いのに」

「あ、あぁ、あ、あ…あぁ」


俺の言葉を聞いたアルルが更に顔を赤くしてベットの上に倒れた。


「おいアルル!? アルル-!」


き、気絶してやがる…へ、変な事を言いすぎたかも知れない!

何か今更恥ずかしい! 言うんじゃ無かった!

これでまた調子に乗ったらどうすれば…とにかく服を着せるか。


「……はぁ、何か普段とペースが違うからか調子狂っちまったな。

 まぁいいや、とにかく全員の体を拭かないと」


しかし…3人しか動けないって言うのは厄介だなぁ。

この状況だと着替えも料理も俺達3人でこなすことになる。

トラは向こうに行って貰ってるし、ウィングはスティール達の世話。

俺はこいつらの世話と調査か…何だかこれから大変そうだ。

とにかく明日はアルルのアドバイスに従って

俺達だけにスポットを絞って捜索と行こうか。

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