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極上の朝食

凄く気を遣ってしまった、そりゃな、お姫様だからな。

仮にも1国のお姫様が兵士と一緒の部屋で寝るとは色々と異常だな。


「さてさて、真夏の海をエンジョイってね」

「何も居ませんわ、素晴らしいですの」

「ふふ、メアったら嬉しそうね。

 私も少し嬉しいのだけどね」

「…え、えっと」


お、お姫様3人がこの場に揃うとは…こりゃ凄い光景だな。


「お、お城以外でお姫様お三方がここに揃うとは…

 しかも、この場には見張りの兵士も居ませんし」

「見張りの兵士なら居るじゃないの」

「え? 何処かに近衛兵でも」

「まさか、こんな女の子しか居ない空間に近衛の兵など不似合いよ

 あんな甲冑とか着て」

「まぁ、確かに暑そうですし」

「では、見張りは?」

「勿論、あなた達よ!」

「…いやまぁ、予想はしてたんですけどね」

「リオ達という小さな戦士達の精鋭も揃ってるし

 万が一の事があれば、アルル達、元特殊精鋭部隊までいるのよ?」

「その名称は、随分と…でも、そう言えばアルル達が何処まで出来るかは詳しく」

「あぁ、そうですね、私達はサバイバル術も完全に心得てます。

 当然、水泳も出来ますよ? 遠泳だってドンと来いです。

 兵士としては必要はありませんが、サバイバルなどの場合は必須です。

 学力等も最高レベルの教育を受けていますので

 自分で言うのもなんですが結構頭が良いと思ってます

 応急手当は当然ながら、道具の製作等も可能ですよ。

 サバイバル術を心得ているのですから当然ですけどね」

「…やっぱりハイスペックだな」

「この子達の教育は我々王族と同等と言っても良い程の教育を与えていますからね

 その他、全てを合せれば我々よりも高度な教育を受けているかも知れません」

「政治等は詳しく学んでませんが、シルバーさんから詳しく教わっています」


俺達の指揮下にいるのはおかしいんじゃないか?

と、思っちまうくらいに優秀なんだな。


「まぁ、その事はそろそろ良いのですわ、それよりもお腹が空いたのです」

「メアは食いしん坊さんね」

「り、リオ達とご飯を食べようと思って朝ご飯を食べてないからですわ」

「あらあら、仲が良いのねぇ、羨ましいわ。

 私なんて、この子達が会いに来てくれることも無いもの。

 理由は分かるんだけど、少し寂しいわ」

「も、申し訳ありません…」

「えっと、料理ですよね、そろそろ…しかし、ここには

 高級食材等はないので、お口に合う物が出来るかは」

「は!? 高級食材とか無いの!? 嘘でしょ?

 あ、昨日の晩ご飯が最後だったとか、そう言う感じ?」

「え? いえ、昨日も普通の食料で料理を」

「…う、嘘…え、えっと、作ったのは誰?」

「私です」


昨日の料理担当はアルルだったな。

しかしだ、高級食材? そんな物、この場にはなかったし

なんでそんな事を思ったのか…いつも通りの味だと思ったけど。


「アルル? でも…え? 高級食材がないって嘘よね?」

「嘘は付いてませんよ、冷蔵庫を見てみます?」

「え、えぇ…えっと、普通の鶏肉に豚肉…使いかけのカボチャ。

 玉ねぎと人参、ジャガイモ…あれ? 普通の食材」

「おい待てアルル! なんでカボチャがある!」

「それは勿論、使ったからですよ? 昨日」

「何! え!? カボチャなんて入ってたのか!?」

「勿論ですよ~」

「なん…き、気付かなかった…まさか、昨日以外も…」

「そうですね、たまに入れてましたよ? リオさんにバレないように」

「はぁ!?」

「待って待って! 人参!? 私、人参はそこまで…」

「流石に今日は隠せませんけどね、カレーの予定ですし」

「か、カレー? カレー粉は?」

「スパイスは1から作りますよ」

「ほ、本格的ね…と言うか朝からカレーって」

「いえ、これは今日の晩ご飯の食材です」

「じゃあ、朝ご飯は?」

「えっと、昨日用意していたフレークですね、薄い破片ですけど」

「買ってきたのか?」

「いえ、作りました、栄養バランスは最高ですよ?

 味にも自信がありますし、お腹いっぱい食べられるだけの量はあります」


フレークか、そう言えばたまに朝食で出て来てたな。

確かにあのフレークは美味しいけど、王族の口に合うか?


「少し待っててくださいね」


アルルはそそくさと準備をして、フレークを俺達に出した。


「貧乏くさい朝食ですわね」

「そんな事言ったら駄目よ、メア」

「ですが…まぁ、仕方ないのでしょうね、兵士の食事なのですし」

「貧乏くさいのは認めますが、自信はありますよ? 作るのに苦労しました。

 3日間はかかりましたし」

「3日間も掛けたのか」

「勿論です。皆さんには美味しいお料理をお出ししたいですしね。

 当番が回ってくるまでの3日間に頑張って用意しました」

「ふーん」

「うーん、まさか高級食材が一切ないとは驚いたわ。

 昨日の料理、どう考えても私達が毎日食べてる料理より美味しかったのに」

「え!?」

「そうなんですか!? 宮料理人よりも美味しい料理!?」

「そうよ! 驚いたわ! ほっぺが落ちるかと思った!」

「光栄です。最高の出来、と言う訳ではありませんでしたが

 喜んでいただけたようで嬉しいです」

「あれで最高の出来じゃなかったっての!?」

「えぇ、まだリサ姫様の好みのお味は把握していなかったので」

「す、凄まじいわね…まぁ、流石にこのフレークじゃ昨日程じゃ無さそうだけど」


そう軽く悪態をつきながら、リサ姫はアルルのフレークを口に運ぶ。


「…な! こ、これ…美味しい!」

「そうなの? じゃあ、私も」


シャル姫は口を隠しながらフレークを口へ運んだ。


「この味は!」


フレークを食べたシャル姫は口を押さえて驚いた。


「なんとも上品なお味…こ、こんな破片がこれほどにまで美味しいとは」

「ほ、本当ですわ! お城で食べる料理よりも美味しい!」

「ありがとうございます」

「お、王族の舌さえも唸らせるほどの味なのか」

「3日間頑張って作りましたからね、愛情たっぷりです。

 栄養バランスも考えてますしね」

「な、なんでアルルが宮料理人じゃないのよぉ…」

「スカウトしたいわ、アルル、兵士を止めてお城で料理を作ってみない?

 兵士の仕事をしている時よりもお給料を弾むわよ?」

「いえ、それはちょっと…」

「うーん、今の3倍とかどう?」

「いえ、私はこのままで大丈夫です」

「さ、3倍でも駄目なの?」

「私は今の状況に満足してますから」

「いや、行った方が良いんじゃねぇの? その方がほら……安全だし」

「いえいえ、私はリオさんと一緒に居る方が幸せですから」

「じゃぁ、戦争が終わった後とかなら」

「いえ、私はお料理を仕事にするつもりはありませんから」

「そう…悪くないと思うんだけど…」


アルルはシャル姫様の誘いをことごとく躱す。

そう言えば、リリスさんに誘われたときに色々と言ってたな。

お姫様達まで驚くほどの料理の腕を…俺達だけで独占するって言うのはなんか…なぁ。


「ごちそうさまですわ! 美味しかったです!」

「ありがとうございます」

「じゃあ、急いで海に行きましょう! 海に!」

「メアは元気ねぇ、そうね、私も行こうかしら」

「あ! 待って! 私も行くわ!」


メア姫達はフレークを食べた後、すぐに家から出ていった。


「それじゃあ、俺達も行こうか」

「……リオさん待ってください!」

「な、なんだよ!」

「リオさん! 水着を着てませんよ!」

「あぁ!? それがどうしたよ、シャル姫もリサ姫も着てないだろ!?」

「メア姫は着てたじゃ無いですか! フレイさん達も!」

「え? メア姫もう着てたの?」

「えぇ、少し水着が見えてました」


フレイは分かるんだけどな…思いっきり水着だったし。

よっぽど楽しみだったんだろうな…

あいつ、前に海に行くって言ったとき、スゲー嬉しそうだったし。

その後、何だかんだで遊べなくなったけどな。


「とにかくだ、俺は水着は着ない」

「何でですかぁ!?」

「海に入る気無いし、砂浜でパラソルでも開いて寝転がって過ごす」

「そんなお金持ちのお嬢様みたいな遊び方を!」

「良いじゃん、何も休みの時まで体力使わないでも」

「なんで海を泳がないんですか!? 夏の海ですよ海!

 普通はこう血がたぎるとか!」

「ねーよ」

「むぅう! 何故ですか!」

「だって、俺は泳げないからな」

「ならば余計に行きましょう!」

「何でだよ!」

「手取り足取り教えてあげます! ほら、海も渡りますし泳げた方が良いです!」

「やだね!」

「問答無用!」

「バカバカ! 引っ張るなぁ!」

「ふふふ、これは訓練、そう! 訓練なのです! 

 訓練に関する権利の場合、私はリオさん以上の権利があるのです!

 つまーり! 訓練というていにすれば、リオさんは私に従うしかないのです!

 抵抗したりすると、命令違反みたいな感じに!」

「お前だっていつも命令違反してるだろうが!」

「せ、戦場では従っているのでセーフです!」

「実生活でも従わなけりゃアウトだろうが!」

「とにかーく! これは訓練なのですよぉ!」

「止めろぉお! 服を脱がそうとするなぁ! 触るな変態がぁ!」

「ふへへ、ふへへ、やはり珠の様な肌ですね!」

「はなせぇ!」

「…アルルさん」

「ふへ? げ! し、シルバーさん…いえ、こ、これは」


ち、力が弱まった! 今のうちに逃げる!


「あ!」


俺はすぐにシルバーの後ろに隠れた、ここが1番安全だ。


「シルバー! こいつ変態だ! 捕まえろ!」

「まぁ、変態なのは知ってますわ」

「い、いえ、私は変態ではなく変態と言う名の淑女で」

「くだらない物言いは不要ですわ、さて、説明してくださりますよね?

 今日はお三方のお姫様もいらしています。

 その場でこのような行動…当然ながら極刑レベルですわ」

「い、え、えっと…で、ですが、り、リオさんが水着を…」

「確かにリオさん、あなたにも否はありますわ」

「え!?」

「お三方のお姫様がいらしているこの場で1人水着を着ないというのも

 何処か失礼ですわ。私の予想ではメア姫様はリオさんと遊びたがっています。

 水着は着た方が良いでしょう」

「でも…ま、まぁ、そうだよな…うん…水着を着た方が良いのか…?

 でもなぁ、どうせ泳げないし…」

「お三方はその場に相応しい装いをして欲しいと考えていると思いますわ

 なので、この場は水着を着る、と言うのが正解でしょう。

 恥ずかしがることはありませんわ、どうせ女子しか居ませんから」

「でも、アルルが居るしなぁ」

「ご安心を、アルルさんは罰として私と一緒に行動して貰いますので」

「えぇ!?」

「あぁ、それなら…」

「暴走されても困りますからね。

 では、リオさん、この条件で水着を着てくださりますか?」

「そうだな、アルルが暴走しないって言うなら…分かった、着るよ…

 着ないで行ったら姫様達に文句言われそうだし」

「ご理解感謝いたしますわ」

「なんでシルバーさんの言うことはすんなり聞くんですかぁ!?」

「リオさんは聡明な方ですからね、ちゃんと理由を話せば聞いてくれますわ」

「それは分かってるんですけどねぇ…でも、私が説明しても絶対に言う事を…」

「お前は信用ならないし、こう言う場面では」

「ぐふ! しかし! ポジティブに考えれば!

 こう言う場面以外では信用してくれているという意味ですね!」

「あぁ、そうだよ? こう言う場面以外では信用してる」

「ありゃ、凄くあっさりと」

「こう言うのんびりとした場面ではお前は信用ならないがな」

「酷い!」

「日頃の行いですわ」

「まぁ、そうでしょうね~」

「自覚があるなら直してください」

「無理です!」

「はぁ…そんなんだからこう言うときは信用出来ないんだよ、お前って」


戦場に出てるときはかなり頼りになるのに…温度差が激しい奴め。

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