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戦車の操縦訓練

散々だったが、最終日も一応やることはやらないとな。

この場所はミストラル王国でもかなり広い。

まぁ、俺達の訓練場も兼用しているからな

広くなけりゃ、俺達の戦闘訓練は出来ない。

俺達の魔法範囲は異常な位に広いからな。

それ相応の範囲が無いと民間人に危害が及ぶし。

後はサバイバル訓練もやったくらいだからな。

ここは広い土地で街からかなり離れているから

俺達の戦闘訓練には最適ってね。

折角だしここでしか出来ない事をするか。


「よしっと、とりあえずここでしか出来ない訓練をするかな」

「何をするんですか?」

「そりゃあな、ミロル、戦車出せ」

「ん? 戦車? まぁ出せるけど」


ミロルが指を鳴らすと、近場に戦車が姿を見せた。

戦車の型式はティーガ、メジャーな戦車だな

やり合ってるときも何台かあったし。


「はぁ、やっぱり凄いですね、鉄の塊」

「でも、簡単に壊れるじゃん」

「あなたが異常なだけなのよ…普通は歩兵で勝てるわけが無いのに…

 しかも近付く事が出来れば単機でも勝てるとか訳が分からないわ」

「そうだな、フレイは異常だ」

「1人で何十台も破壊できるあなたほどじゃないと思うわ」

「いや、接近されたら無理だし」

「いや、結構余裕で倒せそうじゃん」

「無理だ」


流石に接近されたら無理があるというか…うん、無理だな。


「まぁ、謙虚な奴は良いとして」

「流石に無理だろ」

「今回は何で戦車を召喚させたの?」

「いやぁ、だってほら…お前に戦車の知識与えたし

 もしかしたら中の構造が変わってる可能性が」

「た、確かにその可能性はあるわね、ちょっと見ましょうか」


俺達は戦車の中を確認…案の定、戦車の構造は

実際の戦車と同じ構造になっていた。

予想通り…やっぱりイメージが投影されるみたいだな。

戦車の内装をミロルに教えてしまったから戦車の内装も変わってしまった。

こうなると、1人で戦車を操縦することは出来ないだろう。


「…やってしまったわ」

「まさか戦争が再度起るとは思って無かったからな…誤算だった」

「これじゃあ、1人で運用することが出来ないわね…」

「そうだ、だから今回は戦車を操縦する訓練をしようかなと」

「…あなた、分かるの?」

「俺はそれなりのミリタリーオタクでもあるんだ、操縦は理解してる」


半分以上アニメで得た知識だがな!

だが、それは言わない…言っちまうとこう説得力が無くなるからな。

ミロルに色々と教えるとすれば、説得力の有無が大きく影響を与える。

それがそう言う物だと信じて貰えなかったら、戦車は教えた通りの挙動で動かない。

だから今回はアニメで得た知識だと言う事は控えておこう。

でもなぁ、やっぱり戦車って言うと…こう、燃えるな!

男のロマンというか! 超火力は男のロマンだぜ!

敵対してたときはそんな事を思う余裕は無かったけど

味方としての戦車だと燃えてくるな!

しかもだ! 今回は複数人で入る! まさに戦車だ!

1人でゲームと同じ様に操縦すると

どうしてもゲームという感覚が出て来てしまうが

今回は実際の内装…なんてリアリティー!

いやまぁ、コントローラー運転するときもリアルなんだけどさ

でもこう、リアリティーはあまり無いというか、操縦してるという感覚が無い。

ゲームリモコンで車を走らせるゲームよりも

ゲーセンにある機体でやる方が楽しいとかそう言う感じだ。

今回のこれはその2つと比べものにならないレベルでリアルだけど。

だって現実だからな、リアリティーとかそこら辺じゃ無くて現実だからな。


「まぁ、そう言うわけだから、今回は戦車操縦の訓練をしたい

 こう言う訓練項目を考えるのはお前らお世話組だが、どうだ?

 お前らが良しと言わずにやるとちょっと面倒な事になると嫌だし」

「駄目という理由はありませんわね、問題ありません」

「そうですね、かなり強力な武器ですから

 使うときに使えないと不便ですし」

「私も異存は無いよ」

「私も…です」

「私は先輩達が良いと言うなら」

「じゃあ、決まりだな」


これだけの戦力をいざ使えないってのは不味いからな。

かといって、向こうで練習というのも難しいからな。

俺達の奥の手を敵軍にバレると大変だからな。

奥の手は可能な限り隠すべきだからな。

まぁ、奥の手なんて隠すな、なんて言葉もあるけどな。

どっちにせよ、奥の手が使えないってのは不味すぎるし。

……そう言えば、この奥の手ってもうすでにケミーにバレてる可能性が…

だけど、あいつが周りに言いふらしていない可能性もあるし

可能な限り隠して練習した方が良いか。


「じゃあ、練習をするぞ」

「分かった!」


俺はすぐに戦車の中に入り、中を堪能した。

良いね、この砲弾の数々、デカいし…お、重い!

持てるかこんなもん! 重すぎて殆ど動かねぇよ!


「…装弾するの、超大変そうだな…」

「リオちゃん、これ持てないの?」


フレイはちょっとした荷物を持つかのように砲弾を持ち上げる。

いつ見てもマジでやばいな、まさかの片手って。

こんな小さな体の何処にこれほどの怪力があるのか…


「普通は持てねぇよ、お前は異常だ」

「そうなの?」

「っと、まぁ説明するかな、えっとこれが戦車の内部だ

 まずはここが操縦席だ、ここで戦車を動かす。

 戦車の運転方法は…まぁ、この見た目だと普通の車と同じだな」


本当は違うんだろうけど、ミロルのイメージではこうだったんだろう。

流石にそんなに細かくは教えてないからここら辺までは影響がないか。

普通の戦車の運転って面倒くさいからな、車の運転って方が良いのか?

この構造なら、ドリフトとかも出来るかも知れない。


「先生質問!」

「何だよ、後なんで先生?」

「いやぁ、その方が良いかなと…えっと、普通の車って何ですか?

 そもそも車ってな~に?」

「……」


そうだった! ミストラル王国には車なんて走ってない!

ファストゲージですら走ってないのにミストラル王国で

車が走っているわけが無かった!


「…え、えっと、簡単に言えば鉄の馬車だ…馬がいない」

「それって馬車じゃ無いじゃん」

「とにかく鉄の塊だ! 前にミリターク国と戦ってたときに

 ミロルが出してた奴だ!」

「…覚えてない」

「うん、そうだよな、お前が覚えてるわけ無いよな…

 とりあえずだ、車のことは良いけど運転は教えないとな

 と言っても、俺達だと足が届かないだろうから

 アルル達に知って貰わないと駄目だろうけど」

「はい、何でもどうぞ!」


俺はアルル達に車の運転方法を教えた。

この知識とかも正直殆どゲームで得ている物だ。

いやだってさ、死ぬ前は免許採ってなかったし

そこら辺を細かく教えるのは無理がある。

でも、アクセルとブレーキとギアチェンジとハンドル操作を

教えれば殆どは同じだろう…別にこの戦車はミッション車じゃ無いし。

普通はそうなのかも知れないけど…と言うか、戦車にミッションとかあるのか?

殆どがアニメで得た知識だから、詳しいところまでは分からねぇ。


「ほぅほぅ、こんな感じなんですね、分かりました!」

「運転してみるか?」

「えぇ、お任せください!」


アルルはハンドルを握り、俺が教えたとおりに運転を始めた。


「こんな感じですか」

「割と揺れるな…」

「実戦だともっと揺れそうね」

「じゃあ、もっと走らせてみます!」


アルルがアクセルを強く踏み、戦車は更に加速した!


「ぬぉお!」

「ここで減速して」

「危なぁ!」

「ハンドルを切る!」

「痛! 少しくらい安全運転をしろよ!

 と言うか、しれっとドリフトするな! 飲み込み早すぎだろ!」

「銃を扱うよりは簡単ですね!」

「そっちの方が普通は簡単だろ!」


…アルル達は異常な程の飲み込み速度を見せ

全員、あっさりと車の運転をマスターした。

こいつらのスペック高すぎだろう。

俺が軽く口頭で教えただけでこれだからな…

色々と規格外な連中だとは思っていたが、これほどとは。


「まぁ…車の運転はアルル達に任せるとしてだ。

 次は砲撃についての話をしよう」

「うん!」

「戦車の砲撃は1発1発装弾して行なう。

 戦車の砲撃を行なう場所、射撃を行なう所はここだ

 ここで狙う場所を決め、ここを押すと砲弾が射出される。

 砲弾は重力の影響をかなり受けるからよく考えて撃たないと駄目だ。

 まぁ、射撃は俺とミロルのどっちかが担当するだろうから

 細かい事は覚えなくてもいいが、一応練習はしていた方が良いだろう。

 ちょっと待ってろよ、ミロル一緒に行くぞ」

「ん? 何するの?」

「練習用のターゲットを出して貰わないと困るし」

「あぁ、そうね」


俺はミロルと一緒に練習用ターゲットを配置した。

距離はそれなりにある。

重力の影響を観察するにも丁度良い距離だろう。

ただ狙いを定めて撃つだけじゃ、絶対に当らない。

狙いを定め、重力の計算を行ない撃たないと駄目だ。


「よしっと、じゃあ戻るか」

「えぇ」


ターゲットを一通り配置して、俺達は戦車に戻った。


「よし、準備完了だ、これで射撃訓練を行なうわけだが

 その前に1つ教えておかないといけないことがある」

「何?」

「それは装弾方法だ。 さっきも言ったが戦車は1発1発装弾して撃つんだ。

 物によっては自動もあるが、これは手動式だ。

 装弾する場所はここだ、1度砲撃を行なうと

 ここが自動的に開く。中から薬莢…まぁ、デカい鉄の塊が出てくるから

 そいつを外に捨てた後に戦車内の戦車長か砲手の言う弾丸を

 ここから取りだし、この中にぶち込んで扉を閉めろ。

 砲弾の種類は2つ。1つは徹甲弾これは装甲をぶち抜くときに使う。

 簡単に言えば超硬い相手に使う砲弾だ。

 もう一つは榴弾、多数の敵をなぎ払うときに使う砲弾だ。

 この戦車内で言えば、これが徹甲弾、こっちが榴弾だ」

「違いはあるの? 両方似たものに見えるけど…」

「榴弾は尻が黄色になってる。徹甲弾はグレーだ」


この場にある砲弾はこの2つの違いしか無いからな。

そこで判断して貰うしか無いだろう。


「ちょっとやってみろよ、フレイ」

「分かった!」

「まずは砲撃するぞ」


俺はスコープを覗き、ミロルと置いたターゲットを狙い

重力の計算をした後に引き金を引く。

引き金というのか分からないが、これが1番分かりやすい。


「うわぁ!」


引き金を引くと、戦車全体が大きく揺れた。

反動があるんだし、当然なんだけどな。

そして、薬室が開き、中から薬莢が飛び出す。


「次! 徹甲弾だ!」

「うん!」


フレイはすぐに徹甲弾を取りだし、薬室に入れた。

この間には殆どの時間が経過していない。

もしかしたら、自動式よりも早いかも知れない。


「よし、こんな感じだな、スゲー早かったじゃねぇか!」

「えへへ!」

「じゃあ、次は動いてる間にやってみるかな、アルル」

「分かりました!」


アルルは戦車の運転を開始する。

戦車は全速力で移動を始め全体が酷く揺れた。

俺はその間にターゲットを狙い、引き金を引く。

戦車全体が大きく揺れ、薬室から薬莢が出て来た。


「次! 榴弾!」

「えっと、黄色!」


フレイは激しい揺れも物ともしないで榴弾を薬室に詰めた。

停止時と殆ど変わらない装弾速度だ…やるな。


「よし! アルルストップ!」

「分かりました!」

「…ふぃ、フレイかなり凄いじゃないか

 走ってる戦車の中で装弾が出来るなんて」

「やったー! リオちゃんに褒められた!」


フレイは俺に褒められたことがよほど嬉しかったのだろう

飛んで喜んだ…まぁ、こんな狭い戦車内で飛んだりしたら。


「あだぁ!」


当然、頭を強くぶつけるよな…


「そりゃそうなるだろ」

「うぅ…」

「よしっと、じゃあ次は射撃の練習にするか」

「は、はい…」


俺は射撃に必要な技術を口頭で教え、全員それを把握して

射撃の訓練を開始した。

俺は戦車のハッチを開け、そこから外の状況を確認することにした。


「狙いは定めたか?」

「うん!」

「なら、撃て!」


俺の言葉と同時に戦車全体が揺れ

砲弾は射出された。

砲弾は榴弾だったが、残念ながらターゲットには届いちゃいない。


「は、外れた…」

「やっぱり計算は難しいか」

「ま、まだ!」


トラはまだまだやる気だったよう。


「ねぇ、トラちゃん」

「何?」

「どの砲弾を入れるの? 黄色いの? 灰色の方?」

「…え?」

「だって、言ってくれないと私は何を入れたら良いか分からないし…」

「…えっと、じゃあ、灰色を」

「分かった! 徹甲弾…だったかな? よーし! 入れちゃうよ!」


薬莢が戦車外に投げ出され、次の装弾が完了したようだった。

砲塔はゆっくりと動き、ターゲットに狙いを定めた。


「今度こそ!」


トラは俺の指示を聞く前に引き金を引き、砲弾が射出される。

だが、ターゲットにその砲弾が届くことは無かった。


「どうして!」

「闇雲に撃っても駄目だ、どれだけ砲弾が落ちるかを確認して

 どれ位の高さに合わせると当るかって言うのを考えて撃て」

「…まだまだ!」


砲塔が動く…だが、装弾はされていないはずだった。


「そこ!」


だが、装弾もされていない状況で弾が出るはずも無かった。


「出ない!」

「トラちゃん、次は何を入れるの? 言ってくれないと私分からないよ…」

「うぅ…」


どうやらトラは少し熱くなりすぎてしまい、手順を忘れているようだ。


「えっと…前と同じで」

「分かった!」


そのままトラは10回繰り返し、10回目でようやく砲弾がターゲットに着弾した。


「や、やった!」

「よく出来たな、これを安定して出来るようになれば完璧だぞ」

「うん」


その後、全員順番に10発ずつやったが、当てる事が出来たのは

シルバー、トラ、ウィン、ミロルの4人だけだった。

ミロルは1回、トラは10回、ウィンは6回、シルバーは3回で当てた。

アルルは狙うのは苦手らしく、50回やらしても当らなかった。


「こんな感じだな、しかし…随分とボコボコになったな」

「合計で100回以上は撃ちましたしね…」

「殆どお前のせいだぞ? アルル」

「…あ、当らないのが駄目なんです!」

「当てないのが駄目なんだよ! 50回もやらせたのに擦る気配も無いとか! 

 やっぱりお前に狙いを定めて引き金を引くってのは無理なんだな」

「…申し訳ありません」

「まぁ良い…次は総合訓練だ」

「お?」

「次は5チームに別れて模擬戦闘を行なう。

 ミロル、5台戦車を出してくれ、砲弾は模擬砲弾で」

「分かったわ、と言うか、模擬砲弾なんてあるのね」

「あるぞ、戦闘訓練用に」

「へぇ、そうなのね」


よく知らないけど、あるという事にしておこう。


「チーム分けは3人ずつだ、丁度良いだろ?」


マーシャの参加で俺達の人数は15人になったからな。


「リオさん、その場合1つ問題が」

「何だよ」

「えっとですね、その場合リオさん、ミロルさんが参加したチームが

 異常なくらいに強くなって、参加していないチームは勝ち目が無いんじゃ」

「……た、確かに」


戦車の砲撃能力は俺とミロルがダントツだからな。


「…ど、どうする?」

「どうって…ハンデを付けるしかないんじゃね?」

「どんなハンデを付けるの?」

「そのチームは2回までは被弾OKとか」

「割といけるかも知れないわね」

「じゃあ、そう言うことにしよう」

「は、はぁ…」

「じゃあ、次はチーム分けと行くか、くじ引き!」


チーム分けの結果、第1チームは俺、アルル、フレイになった。


「ちょっと待った! リオのチーム強すぎでしょ!?

 装弾最速のフレイに精度100%のあんたに運転最強のアルルて!」

「いやぁ、くじ引きだし」

「インチキよインチキ!」

「お前が出したくじ引きなんだからインチキもなにもなくね!?」

「く! まぁ良いわ、5チームもいるんだし」

「良いのかよ」


第2チームはミロル、シルバー、トラ。

第3チームはウィン、ノエ、メル。

第4チームはメルト、マーシャ、フラン。

第5チームはマナ、ウィング、マルだ。

1番心配なチームは第5チームだな。


「と言うか、この場合装弾が難しいんじゃ無いの?」

「…多分何とかなるんじゃね?」

「どうするってのよ!」

「…じゃあ、俺達以外は自動にするか?」

「そうね、それは」

「いえいえ、第2チームも問題無いと思いますわ」

「え? そうなの? まぁ、あんたが荒唐無稽な事は言わないでしょうし

 あなたが良いと言うなら別に良いけど…」

「第3チームも問題無いと思う、私がいるしね」

「メルが?」

「第4チームも…大丈夫、任せてください」

「はぁ…」

「第5チームは…流石に無理だと思うのでお願いします」

「了解よ」


さて、これでとりあえず準備は出来たな。

しかし模擬戦闘か…良いね! 楽しみだ!

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