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幼女に転生した腹いせに狙撃チートで戦場を荒らしてやる!  作者: オリオン
第3部、第2章、勝利後はのんびりと
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一時的な平穏

勝利宣言の後、ファストゲージ国の活気は一気に回復した。

敗北続きの弱小国が勝利したのだ、当然と言えば当然か。

敗北の苦みしか知らなかった兵士達に取って勝利の味は極上だろう。

更にだ、この勝利に続き、今度は援軍の到着、活気は最高潮だな。


「まさか、1人で勝利に導くとはね」

「馬鹿言え、1人じゃねぇよ、ただチャンスを作っただけだ

 そのチャンスをつかみ取ったファストゲージ国が凄かったんだよ」

「そのチャンスを作れず、私達は今まで敗北してたんだけどね」


俺とミロルが会話をしていると、丁度スティールがこっちにやって来た。

どうやら、公務が終わってすぐみたいだな。


「公務が終わったか? にしても、随分とハードな公務だったみたいだな

 何で汗だらけなんだ? 折角のドレスがべちゃべちゃだぞ?」

「そう言うあんたらもでしょ? 暑いのよ」

「確かにそうですね、ミストラル王国と比べると大分暑い…でも、汗をかくと言う事は」

「アルル、何故こっちを見ている」

「…ふ、眼福です」

「何を見た!」

「透けてる、ち、あだぁ!」

「クソ! 透けてるのか!?」

「透けてるわね、ブラを付けないからよ」

「ブラなんぞ付けるか!」

「付けないからああなるのよ?」


ミロルが指をさした方向を見ていると。

まぁ、透け透けの状態で楽しそうに走り回っているフレイの姿があった。


「あはは! 広い!」

「…良いのか? あいつを放置してて」

「良いのよ、城は広いし」

「迷子になりそうだが」

「大丈夫だと思うわ」

「フレイさん! 走り回らないでください!」

「マナ! 遅いよ!」

「フレイさんが速いんですよ!」


…まぁ、楽しそうだから良いか。


「それにしても、本当に暑い…何とかならないの?」

「暑いなら服を脱げば良いんだよ!」

「フレイさん止めてください! 服を脱ごうとしないで!」

「良いじゃん! 暑いから脱ぐの!」

「駄目です! 脱いで行動するのは部屋だけにしてください!」

「…良いのか? あいつを放置してて」

「えっと、急いで部屋を用意するわ」

「…リオも脱ぐ?」

「脱がねぇよ」

「でも、そんなに透け透けなら裸と大差ないでしょ」

「じゃあ、お前が脱いだら脱ぐわ」

「当たり前の様にセクハラ発言するわね、通報するわよ?」

「じゃあお前もだろ、中身は知らんが、外面的には同性なんだから」

「全く」


とりあえず、フレイの暴走を止める為に、城内に俺達用の部屋を用意して貰った。

結構広いんだが、ベットの数が少ないぞ…1つのベットに4人くらいは眠れそうだが

ベットの数は3つ、12人しか眠れない…俺達は14人だ。


「ベットもう少し用意してくれよ」

「いや、流石にここ以上の部屋がなくて…」

「…はぁ」

「まぁ、問題は無いと思いますわ」

「さて、とりあえずどのベットに誰が寝るかを決めないとな

 3つの内、2つは5人、1つだけ4人だ、4人枠が1番楽だろうな

 他の枠はオーバーしてるから、誰か落ちるかも知れないし」

「ふふ、ふふふ! 勿論もうすでに!」

「くじ引きで決めましょう」

「な!」

「そうだな、それが良い、じゃあ、用意するか、待ってろ」

「安心しなさい、私がいるわ、ほら」


ミロルが左手を前に出し、右手で指を鳴らすと

左手に神社でくじ引きをする時に使う、六角形の筒が出て来た。

何か言いにくいし、みくじ筒って言った方が楽かな。

筒だし、おみくじする時に使うし。


「この中に14本の棒が入ってるわ、その棒に、数字が書いてある。

 当然、書いてある番号は1~3、3番は4つしか入ってないわ。

 後、私がしようと思えばインチキも出来るかも知れないけど

 下手な小細工なんてしてないわ、安心して頂戴。

 信用出来ないなら、最後に引いて貰って構わないわよ」

「いや、信用しないわけないだろ」

「まぁね、さて、ルールだけど、一応、投げたり落とすとやり直しで」

「だな、投げるのは危ないし、そうした方が良いだろう」

「そうですね、壊れたり怪我になったら大変ですし」

「そう言うこと、それじゃあ、最初は誰が引く?

 と言っても、最初はほぼ決まってるでしょうけどね」

「誰だよ」

「そりゃあ、最初は当たりを用意していないと盛り上がらないでしょ?」

「当たり枠? 誰だよ」

「ほら」


ミロルは手に持っているみくじ筒を無造作に投げた。

その投げられたみくじ筒は1直線に俺の方に飛んで来る。


「俺!?」

「そりゃそうよ、ほら、早く引きなさい」

「いや、何で俺…う゛!」


な、何だろう、アルルとフランから異常な程の視線が…

やっぱりあいつら…狙ってる? く、くぅ! お、落ち着け!

こ、これは運ゲーだ! 14分の2で外れなんだ!

いや、7分の1? 結構確率が高い気が…

い、いや! 落ち着け俺! 7分の1なんて

15%程度だし…感覚だけど。

15%を引くなんて事は無いはず!

は! ち、違う、15%じゃない!

33%は…あるんじゃ無いか!? 3つしか無いし!

違う、33%じゃない…そこに2人だから66%!?

待て待て待て! 外れ確率高すぎだろ!

34%を引かないと駄目なのか!? お、落ち着け俺!

34%、結構な確率じゃないか!

俺は自分の運に全てを賭ける!


「よ、よし! 行くぞ! 俺の運なら引ける!」

「フラグ? フラグならあの2人が同時ってパターンね」

「最悪のパターンだろそれ! み、見てろよ! やってやる!」

「あなたが張り切っても、あなたが最初だしね」

「そうだけど…でぇい! ままよ!」


俺が引いた数字は…3番! 来た! 4人のベットだ!

これで俺のベットにあの2人が来るためには3枠に入らないと駄目!


「く! まさか…そっちに行くなんて…」

「冷静に考えてください、フランさん、人数が少ないと言う事はつまり!

 もしも3番を引いたとき、リオさんを他よりも強くペロペロ出来ると言う事!」

「そうだね、3を引いてリオをペロペロする」

「ふざけんな!」

「さて、それじゃあ次は誰かしら? 結構な心理戦になるわよ

 残り物には福があると言う理論で引くか

 枠が3つある内に賭けていくか。

 後半に引けば、他が3を出さない場合、引く可能性が上がるわ

 でも、3を誰かが出した場合、可能性が1つ減るわよ」

「では、私が引きましょう、私は何番が出ても構いませんわ」


俺の次にクジを引いたのは一切の躊躇も見せなかったシルバーだった。

俺としてはこいつが3番の枠に来てくれると大分助かるんだよな。


「はい」

「な、何番ですか!?」

「……2番ね」

「やった!」

「く…」


不味い! 2番だと!? クソ…これであいつらが来る可能性が増した!


「ふ、ふふ、このままネバネバ作戦で行くべきか、勝負を仕掛けるべきか…」

「今度は誰が引く?」

「……え、えっと、わ、私が!」

「今度はウィングね、はい」

「ウィング…私の理想だと3番を引いて欲しい」

「待ってください! それだと可能性が!」

「可愛い妹とリオに挟まれて眠れるなら天国」

「い、いくよ…3番、お願い!」


ウィングも俺と寝たいのか…何か嬉しいな。


「番号は…1番」

「そ、そんなぁ!」

「まぁ、しょうが無いわよ、うん」

「く、ウィング…私のハーレム計画が…でも、逆に考える

 これで当たりが1つ増えた、私が行く!」

「しょ、勝負に出るのですか!?」

「うん…当たりが出る確率が高い、行くよ」

「はい、何番かしらね」

「…………」


みくじ筒を受け取ったフランだが、冷や汗をかいたまま動かないし

完全に沈黙状態だ、その手も何となく汗ばんでるように見える。


「……お願い!」


覚悟を決めたフランはみくじ筒を強く振り下ろすが。


「あ!」


強く振り下ろしすぎたせいか、みくじ筒が地面に叩き付けられ

そこから3と書かれた棒が出てくる。


「3番!」

「ま!」

「やった! 私はついに勝利者となった!」

「マジかよ畜生!」


嘘だろ!? マジかよ!


「……えっと、本当に言いにくいんだけど」

「何?」

「みくじ筒、投げたらノーカンよ?」

「はぁ!? そんな事言ってない!」

「最初に言ったわよ、投げたり落としたらやり直しって」

「そんな!」


よっしゃぁ! ルール様々だぜ! 危なかった!


「はい、もう一度ね」

「ぐ、ぐぐぐぅうう! え、えりゃぁあ!」

「はい…1番ね」


よ、良かった! 1番だ! あ、危なかった。


「あぅ…でも、ウィングと眠れるならそれでも良い

 お姉ちゃんとして、一緒に眠る」

「うん…えへへ、何だか一緒に寝るの…初めてだね、お姉ちゃん」


ウィングはフランの手を握り、フランの顔を見てにこりと笑って見せた。

客観的に見ても凄く可愛い行動だ。

あれを主観でってなると、もっと可愛く見えるだろう。


「……可愛い! ウィングは私の嫁!」

「い、妹だよ!」


よっぽど嬉しかったのかフランはウィングを強く抱きしめた。

その表情には普段はあまり見せない爽やかな笑顔があった。

やっぱりあの2人、仲が良いんだな。


「1番は残り3本、2番は残り4本、当たりである3番は残り3本。

 あの筒の中には残り10本の棒が入っている。

 その内、当たりは3本、確率で言えばおおよそ3分の1…

 まだです、まだその時ではありません」

「えっと、じゃあ、次は私が」


今度はマナがみくじを引く。


「…2番ですね」

「来ました! これで可能性は33%!」

「次は私が…えい!」


その流れで今度はマル、次にメルがくじ引きを引く。

マルの番号は2番、メルも2番だった。


「1番は残り3本! 2番は残り1本! 当たりは3本!

 7本のうち、おおよそ50%は当たり! よし! 今度は!」

「私が引く! 早く引きたいよ!」

「え!? フレイさん! つ、次は私が!」

「私が引くの-! 早く引いてみたい!」

「…く、い、良いでしょう」

「よーし…ねぇ、どうやって引くの?」

「振るのよ、見てたでしょ?」

「分かった! 振るんだね! えい!」

「あ!」


フレイがみくじ筒を強く振った…が

みくじ筒は地面に力強く叩き付けられ、バラバラになった。


「げ! 壊れた!」

「……え、えっと、ご、ごめんなさい…」

「まぁ、大丈夫よ、いくらでも作れるし、ほら」


ぶっ壊れたが、ミロルが再び指を鳴らすと、再び手元にみくじ筒が出た。


「おぉ!」

「はい、あまり強く振らないでよ」

「うん! ゆっくりと…あ」


みくじ筒を振ろうと振り上げた瞬間、番号が出て来た。

番号は3番だ。


「なぁあ! 3番!? い、いえ! 今のは振ってません! ノーカンです!」

「いや、投げたり落としたらノーカンってルールだから

 振らないで出た場合はこの限りじゃないし、カウントするわよ」

「そんな!」

「やった! リオちゃんと同じ布団だ!」

「ベットだ」


まぁ、アルルのアホと一緒に眠るよりは何千倍もマシだ。


「な、何て事でしょう…こんな…こ、こうなったら、様子見しか…」

「えっと、じゃあ、次は…私が」

「今度はウィンね、はい」

「お、お姉ちゃんと一緒のベットで眠りたいから…お願い!」


少し震えながらウィンが筒を振る、そんな震えなくても。


「はい!」

「……3番ね」

「やった!」

「なな、な、何という!」

「やったよお姉ちゃん! 一緒に眠れる!」

「おい馬鹿! 飛びつく、うあぁあ!」

「お姉ちゃん! やったよ! 凄く嬉しい!」


う、嬉しいのは分かった、俺だって嬉しいからな。

だが、飛びつかないで欲しい、確かに俺が姉でこいつは妹だが

身長、体重的には俺よりもウィンの方が大きかったり重いんだから…


「く、くぅ! な、何という! これで…1番が3つ、2,3番が1つずつ…

 ど、どうする私、しょ、勝負に出るべきか…でも、可能性はかなり低いですし

 いや、でも20%…だけど…」

「じゃあ、次は私が」


残りは5人、トラ、ノエ、ミロル、メルト、そしてアルルだ。

次にクジを引こうとしたのはノエだった。


「…えっと、はい…あ、1番です」


残りはトラ、ミロル、メルト、そしてアルル。

4分の1、つまりは25%の可能性で3番だ。


「次は誰?」

「じゃあ、次は私だね、っと、あ、1番だ」

「やった!」


これで残りはトラ、ミロル、アルルの3人か。


「さて、次は誰かしら?」

「……」


トラとアルルはどちらも行動を起そうとはしない。

まだ様子見なのか、結構面白い状況だな。


「…そう、じゃあ、私が引くわ…これで私が3とか出したら色々と悲惨ね」

「下手な小細工はするなよ?」

「しないわよ、私も何が出るかは分からないし、それに、私は何処でも良いしね」


そう呟きながら、ミロルはみくじ筒を振る。

出て来た数字は……2番!


「2番ね、3番じゃなくて良かったわ、ネタ的に」

「……これで…50%」

「……」

「トラさん、どっちが…引きますか?」

「さて、それならこうよ」


2人の会話を聞いていたミロルはみくじを投げ、消した後

自分の手元に棒を召喚していた。


「はい、リオ」

「な、何で俺?」

「当たり枠があなただし、だから、ね?

 因みにどっちがどっちかは見えないようにしてあるわ。

 棒に付いてるシールを剥がさないと番号は分からない

 もしもリオがどっちが3番か分かったら、出来レースにしそうだし」

「まぁ、するだろうな、確かに」

「だから、今回はこう言う手を取らせてもらったわ

 さぁ、選びなさい、右か左か…私もどっちがどうか知らないわ」

「……」


トラとアルル、そして俺はくじを集中してみていた。

固唾を呑みながら、どっちがどっちを引くか

どっちが3番かを分からないのに考えながら見ている。

……どっちだ、どっちが3番で…どっちが1番だ?


「私は選びました!」

「私も」


アルルは左を、トラは右のクジを引いた。


「…そん…な…」


クジを強く引き、シールを剥がしたアルルはその場で膝を付いた。

手に持ってある棒に書いてあった数字は…1番だった。


「私の勝ち」


逆にトラは手に持ったクジのシールを取り

そのクジを天に掲げ、周りに見せ付けている。

番号は当然ながら3番だった。


「いえーい!」

「う、うぅ…い、いつも同じベットで寝てるのに…」

「ウィンとフレイは良くベットに忍び込んでるが、トラはそんな事無いぞ」

「く! わ、我が大願が! 我が楽園が! 我が理想郷がぁ!

 堂々とリオさんと同じ布団で眠れるチャンスがぁ!」

「やはり天は俺の味方をしてくれている!」

「くぅううぅうう!」

「…アルルと一緒はいやだな」

「フランさん! 傷心の乙女に対してそれは酷いです!」

「メルトとノエは良い、でも、アルルはいやだ」

「何でですか!? 同じ人を愛した者同士じゃないですか!?」

「何か嫌だ」

「くぅうう! 良いですもん! 3番のベットの下で寝ますもん!」

「来んな」

「じゃあ私何処で寝れば良いんですか!?」

「1番のベットの下で」

「ベットの下に行く必要無いじゃないですか!

 上で眠らせてくださいよ!」

「と言うか、3番は大人1人も居ないし、もう1人くらい眠れそうよね」


ミロルのつぶやきに反応したアルルの目の色が変わった。


「じゃあ!」

「選ぶのはリオに任せましょうか」

「え゛!?」

「だったらシルバーで」

「何でですか!? 永遠のパートナーである私をどうして選んでくれないんですか!?」

「誰がお前みたいな永遠の変態をパートナーに選ぶか!」

「じゃあ決まりね、アルルは2番で」

「うわぁあああ!!」

「…たらい回しですわね、アルルさん」

「うーん、私はアルル先輩と一緒に寝たかったんですけど…」

「じゃあ、私と変わる? ノエちゃん」

「くじ引きの結果をそう易々と何度も変えて欲しくないからそのままでお願いするわ」

「分かりました」


はぁ、ま、これで今日は平和に夜を明かすことが出来るな。


「……何かあんたら、本当に仲が良いわね

 何処で寝るかってだけでこんなに盛り上がるなんて」

「まぁ、大体はあの2人が原因だがな」

「主な原因はあなたにあると思うけど、まぁいいわ、ゆっくりしてて頂戴」


そう言い残し、スティールは俺達の部屋から出ていった。

何だかんだであいつもずっとここにいたわけだし、律儀だな。

それとも興味があっただけか、ま、どっちでも良いけど。

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