容赦の無い迎撃攻撃
冗談じゃない! クソ! 戦争は終わったと思ったのに!
「リオさん!」
「お前らは避難誘導してろ! 迎撃は俺とミロルでやる!」
「でも!」
「お前らにゃ何も出来ないだろ!? メルは誘導してる時に
砲弾が飛んで来たとき、魔道兵を利用して攻撃を防げ!
これ以上、細かい指示は出さない! 後は各自判断だ!」
「分かりましたわ、誘導を始めますわ!」
「ミロル! 迎撃用意だクソッタレ!」
「共闘なんてすることは無いと思ってたけど…幸か不幸かって奴ね」
「どう考えても不幸だよ」
飛んで来た砲弾を迎撃するのにバレットM99は分が悪い。
ここは少々時間がかかっても、バレットM82を召喚するか。
「少しの間、迎撃は頼む、ちょっと時間がかかるから」
「分かったわ」
ミロルは足下にトロフィーシステムを展開した後
自分の足下にXM806を召喚した。
まさかの重機関銃、しかも大口径を使うタイプか。
「さぁ! 行くわよ!」
けたたましい爆音に近い銃声が激しく生じた。
「そんな物を出せるなら、何で対決中に出さなかった」
「おらおらおら!」
あぁ、聞こえてないな、そりゃあ、こんな爆音の中じゃ、声は聞こえないか。
と言うか、超うるさいんだけど。
「でもまぁ、あまり当ってないな」
流石に乱射しても、あまり当らない、反動も相当だろうしな。
狙ったときの勝手も違うだろう、だが、その欠点をカバーするだけの
連射速度があるし、問題は無いがな。
「うおおぉおおおお! テンション上がってくるわぁ!」
「完全に乱射魔だな、っと」
そんな事をしてる間に、こっちもバレットM82を召喚出来た。
俺はミロルから距離を取り、海岸近くの森
そこの木にもたれかかり、バレットM82を構える。
これなら、まだ反動で吹っ飛ばされないだろう。
流石にこの状況で伏せうちは難しいだろうしな。
「そこ!」
バレットM82から放たれた弾丸は正確に砲弾を貫いた。
貫かれた砲弾はその場で爆発、何か爽快だな。
ま、正直砲弾を撃ち落としていても、状況は改善しないけど。
「だから」
俺はスコープの倍率を100倍ほどに拡大し、遠くの船に狙いを定める。
船に乗っているのは何人もの兵士、兵士達はひたすらに砲撃を行なっている。
まさか、自分達が狙われてるとは思って無いだろうな。
自分達は絶対の安全地帯から一方的に攻撃をしている。
そんな風に感じているかも知れないが…残念ながら俺の狙撃魔法。
この魔法に距離は一切の障害物にはならない。
「…そこだ!」
大砲が放たれそうになった瞬間、俺はその砲塔を狙い引き金を引く。
引き金を引いたと同時に、船の大砲は爆発し、周りに甚大な被害を出した。
「何だ!? 何があった!」
「暴発したのか!? クソ! 装備くらい安全な物を用意してくれよ!」
「無茶だっての! 俺達に安全を気にする余裕があるかよ!」
魔法の特性で船に乗っている船員達の会話が聞こえてきた。
やはり混乱しているようだ、だが、暴発だと考えているみたいだな。
まぁ、そりゃあそうだろうけど。
砂浜からの超長距離射撃が来るなんて予想出来ないだろう。
しかも海だからな、普通に狙撃しても届かないし当らないだろ。
俺の狙撃魔法は普通じゃ無いがな。
「次だ! 撃て! う、うわ!」
次の砲塔も破壊、その流れで1隻船を沈めた。
「何だ! 何が起ってるんだ!?」
「動揺したな、攻撃の手が緩んだ」
「分からないが…正体不明の攻撃を受けているのは間違いない!」
「馬鹿言え! 何処から攻撃がくるってんだよ!
まさか、あの島からとか言うなよ!? 攻撃出来る距離じゃない!」
「だが! 現に1隻沈められたんだ! ここは撤退する!」
「く! そんな余裕があるのか!?」
「……我々が敗れたら本末転倒だ、撤退する!」
何だ? よく分からないが、向こうは意地でもここを落としたいらしい。
「ふーん」
「いやぁ、スッキリしたわ」
「ミロル、楽しんでたな」
「あぁ、今は装弾中よ、どうしたの?」
「あいつらは撤退した、早速で悪いが指示を出すが潜水艦を用意してくれ」
「ん、分かったわ」
どうやらミロルは俺の意図を理解してくれたようで
何も聞かずに潜水艦を召喚してくれた。
「で、追うの?」
「そりゃそうだ、その為にわざわざ潜水艦を出して貰ったんだから」
「2人で追うの?」
「まさか、2人じゃ心細いだろ」
「私達2人なら問題無いんじゃ?」
「慢心は油断を生み、自らと仲間の死を呼ぶ。
俺達は自分達の重要さを自覚すべきだ」
「ん、んー、なんかさ、リオって」
「何だよ」
「なんでこう、普段は異常なくらいグータラしてるくせに
こう言う場面だと妙に格好いい事言うわけ?
ちょっと前まで涎垂らしてソファーで乳首見せながら寝てた奴とは思えないわ」
「……えっと、2つほど聞きたいことがあるんだが…特に最後、ど、どういうことだ?」
「まぁ、気付いてないわよね、いやほら、あなたってTシャツ1枚で
過ごしてたじゃない? その時、見えてたわ、いつもね」
「……ま、マジで!?」
「えぇ、だから、アルルはいつも鼻血を噴き出してたのよ」
「……何で早く言わないんだよ!」
「いやぁ、楽しそうだったし、問題無いかなと」
「問題しか無いだろ! 色々とヤバいっての!」
「だってほら、見た目は小さい子だし、別に問題無いかなと
後、中身男でしょ? 別に恥じらいとかないでしょ?」
「いやまぁ、別に問題は無いんだが、あ、あいつがいるし…」
「結局今まで無事だったわけだし、問題無いでしょ?」
「問題しかねぇよ…」
見えてたのか、いやうん、俺としては割と好きなんだけどさ
こう、Tシャツ女子の胸がチラリと見えるって、結構憧れるシチュだし。
でも、自分がするとか嫌でしかない…
「本当、あなたって良く分からないわ、どっちが本当のあなたなの?」
「どっちもだろ、自分でも意識した記憶は一切ないし
ま、きっと素の性格はぐうたらなんだろう。
で、ゲームの影響を受けた俺が真面目な俺。
そのどっちも俺自身だ、使い分けた記憶なんて無いしな」
「ふふ、本当、あなたと一緒にいると自分を本気で受入れる事が出来る気がするわ」
「そうかい…でまぁ、そんな真剣な話をしてるところを裂くが
…俺、寝てるとき、涎垂らしてる?」
「えぇ、とんでもない間抜け面でいびきをかいて涎を流して寝てるわ
で、右足をソファーの上に掛けたり、本当に見てて飽きないわ」
「……ま、マジかよ…」
「でもまぁ、毎日じゃ無いわ、半々位の頻度でめっちゃ可愛い寝顔をしてるわ
多分、最初に酷い体勢で寝なかったら普通なんじゃ無いの? よく知らないけど
詳しい話はアルルかフランに聞いたら? 見る度に周りに集まってるし」
「あいつら!」
「まぁ、ソファーなんかで無防備に寝てる方が悪いと思うけどね
あなただってタイプの女の子がソファーで無防備に寝てたら襲うでしょ?」
「お前女だろ、平然とそんな事言うなよ」
「確かに女だけどオタクだし」
「良いのかそれで」
「良いのよそれで、で、襲うでしょ?」
「襲わない! 優しくソフトに布団を掛けてあげて隣に座る!」
「似たような感じよ」
ま、マジか…いやまぁ、今まで平気だって事はそう言う事だよな。
「何やら楽しそうですね、攻撃は止まった見たいですし、流石ですね!」
「アルル、誘導は?」
「問題無く…それよりも寝顔の事を言ってましたね! 良いでしょう! 教えましょう!」
「いや、教えなくても良い!」
「まずはリオさんがぐうたら寝相になる条件ですが、
暑い時間であると時、次にかなり汗を欠いている時
ソファーで眠っている時、おへそが出ている時です!
この4つが揃った時にリオさんはぐうたら寝相になります!」
「なんでそんな事を知ってるんだよ!」
「ふ、愚問ですね」
「後、異常に汗を欠いてる時は見えるわよ、Tシャツ1枚だしね
その度にアルルは鼻血を出して気絶してるわ」
「いやだってほら、透けるとか…興奮するじゃ無いですか!」
「ふざけんじゃねぇ!」
「ソファーで寝てるリオが悪いと思うけど」
「ぐ、と、トラに言われると…でもほら、ソファーって眠りやすいし…」
「それでも、前までのリオさんなら眠らなかったのではありませんの?
兵士を止めてからと言う物、いつもグータラしてましたし」
「…いや、ほら、自由になったって感じでつい…」
兵士という立場だとどうしても体面とか考えないといけなかったし。
それを止めて、学生に戻った後は今までの反動が…
ゲームがあったらゲームばかりやるのかも知れないけど
ゲームが無かったらもう、寝るしかないだろ。
「私としてはあのグータラリオさんも好きですけど
やっぱり格好いい感じのリオさんも好きです!
ワイルド系幼女! 素晴らしい響きだと思いませんか!?」
「うっさい黙れ」
「相変わらず辛辣な…でも、そこも、あだ! ま、股は駄目でしょ!?
いや、私は女の子ですから、そこまで致命的というわけではありませんが!」
「……うん、俺も今更だが後悔した」
前もこんな事をやった気がするが…やっぱりやった方もキツいというか…
「おぉ、痛い…まぁ、問題はありませんが!」
「ぶれませんわね、アルルさん…」
「あっと、楽しく会話をしてるところ悪いんだけど
追うならそろそろ追った方が良いと私は思うわよ?」
「そ、そうだな、さっさと行くか!」
「あ、あの、リオさん、私、着替えても良いですかね?」
「何でだよ」
「いや、あの私、水着ですし…」
そう言えばノエ、水着だっけ。
「…子供みたいにはしゃいだせいだ、諦めろ」
「えぇ!?」
「そもそも着替えはあるのですか?」
「あります!」
「じゃあ、それを持って潜水艦は入れ、そこで着替えてろ」
「あ、はーい」
全く…真面目なんだけど何処か抜けているというか
いや、うん、考えてみればノエってそんな奴だったな。
メルトに騙されてメイド服を着たりしてたし。
なんかこう、真面目な間抜けって感じだな、うん。
「じゃあ、急いで追いかけましょうか」
「で、潜水艦ってなんですか?」
「この塊」
「…浮くんですか? この鉄の塊」
「まぁ、あんたらが心配する必要は無いわ、だって、私の魔法よ?」
「そう言う事だ、急ぐぞ」
「まぁ、リオさんが大丈夫だというなら問題無いでしょう」
「お姉ちゃんの言うとおりにするよ」
「なーんでこう、あなたって異常なくらいに信頼ある訳?」
「その質問は愚問だと思いますわ」
「はぁ、ま、それもそうね」
まぁ、うん、嬉しいけど、なんか…まぁ、良いか。




