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幼女に転生した腹いせに狙撃チートで戦場を荒らしてやる!  作者: オリオン
第2章、追い込まれた国に休む余裕は無い
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もしもを考え

「軍勢はどれ位なのだ!?」

「現状は少数なのですが、潜在数は不明です」


少数でせめてくる? 何のために? と言うか、少数しかいないのにせめてくるのか?

こうなってくると、可能性が2つほど出てるな、1つは国王の守りを薄くするために。

だが、それなら大多数で攻めてきた方がバレにくいし、効果的だろう。

だとすると、もう一つの可能性、急いでこの国を攻めないといけない理由が出来た、かな。

なら、敵国の方で何か問題でも起こったのか? 急いでこの国を攻めないといけない問題が。


「どういうことでしょう、何故少数で?」

「分かりませんが、恐らく連続で攻撃を仕掛ければ少数でも問題ないという判断では?」

「その可能性があるな、なら、無駄だと言う事を教えてくるのだ!」

「は!」


兵士はその指示を受け、急いで部屋から出ていった。

きっと、軍団長に伝えに行ったんだろう・・・・にしても、なんで国王様には手薄になった所を

他の斥候部隊が攻撃をしようとしている、と言う発想に至らなかったんだ?

・・・・あ! そうか! そう言えば、相手が複数人いたのを知っているのは俺だけじゃないのか!?


「うぅ、大変・・・・」

「駄目よ、メア! 今、あなたは起き上がれる状態じゃないの!」


その事を国王様に伝えようと起き上がろうとしても、激しい腹痛とリサ姫が押えてきて起き上がれない!

じゃあ、仕方ない、こうなったらリサ姫にこの事を伝えて国王様に言って貰うしかない!


「り、リサお姉様、実は、私はお父様に伝えねばならないことがあるのです」

「何かしら? 私に教えて」

「実は斥候は6人いたのです、しかし、5人は逃走、もしも兵力総出で当たれば!」

「夢の話? 斥候は1人だけでしょう?」

「いや、他にも」

「でも、兵士達からは報告は受けてないし、きっと追い込まれていたから幻を見たのよ」


うぅ、メア姫が子供だって事もあって、信じては貰えないのか。

だが、メア姫の安全のためにも俺の正体を言う訳にはいかないし。


「それにしても、あの斥候は何故死んでいたのかしら、一体、何があったのかしらね

 傷も1箇所だけだし、何かの魔法なんでしょうけど、分からないわ」

「そうですわね、いきなり私の目の前にいた男が血を流して倒れましたの、誰もいなかったのに」

「その魔法使いさんに感謝しないといけないわね、メア」

「そうですわね」


・・・・言い出せないな、まぁ、俺がやったと言っても信じてはくれないだろうが。

だが、どうする? このままだと俺が何を言っても信じてはくれない。

この部屋の見張りも甘くなる、そうなったら、ほぼ守り無しで国王様達が殺される。

俺もあまり動ける状態じゃないし、どうしようもないぞ・・・・そうだ!


「あの、リサお姉様、お願いがあるのですが」

「何かしら?」

「私をお父様達と同じお部屋に連れて行ってくださいまし」

「なんで? ここで休んでた方が」

「いえ、お父様達と一緒に居たいのです、こんな風に弱ってると、なおさら」

「私だと駄目なの?」

「いえ、そうではありませんわ、家族皆と一緒に居たいのです」

「・・・・・・」

「もしくは、こちらに来て欲しいのですわ」

「分かったわ、それじゃあ大部屋に運ぶわ、大きなソファーもあるしそこでね」

「ありがとうございます」


俺の体を優しく持ち上げて、隣の部屋に連れて行ってくれた。

国王様達はかなり心配してくれているが、リサ姫が俺が言ったことを伝えてくれたお陰で

何とか国王様達も許容してくれて、真ん中のソファーで寝ることが出来た。

大きな布団も掛けてくれて、かなり理想的だな、本当は斥候のことを伝えてくれればなお良しだったが。


「ありがとうございます、とても暖かいですわ」

「そう、安静にしててね? 痛かったら言ってよ?」

「そうよ、甘えても良いからね?」

「はい、ですが、今は大丈夫ですわ」

「そうか、じゃあ、休んでいてくれ」

「はい」


・・・・さてと、大きな布団も掛けてくれているし、これならバレないだろう。

俺は布団で隠しながら、手元にVSSを召喚して待機することにした。

すでに召喚していれば、不意に出て来ても即座に対処できる。

大部屋の真ん中だし、襲撃が来ても瞬時に対応できるはずだ。

起き上がることが出来ないのなら、動かないで相手を倒す方法を考える。

手元に狙撃銃を出せるというのは非常に便利な物だな。


「大丈夫? 痛くなったら言ってね?」

「分かっていますわ」


しかし、リサ姫は妙に心配してくれるな、そこまでメア姫が大切なんだろう。

俺はしばらくの間、王家の人達から色々な心配をされながら、過した。

こうやっていると、家族の温もりを感じるな・・・・こっちに転生して

いきなりどっかの親に捨てられて、両親も、兄妹もいない状態で育った俺には熱すぎるほどだ。

何ならこのまま姫様として過しても良いかもしれない、そんな事すら感じてしまう、失礼だがな。

こうやっていると生まれる、安心感・・・・家族ってのは、大切だね。


「・・・・リサお姉様」

「何かしら?」

「ありがとうございます、こんな風に心配してくださり」

「何よ、あなたらしくないわね、でも、ようやく少しだけ素直になってくれたわね」

「そうですわね、こうやって心配をされて、少しだけ・・・・分かりましたわ」

「そう、良かったわ、うふふ、甘えても良いわよ?」

「それは、嫌ですわ」

「あぁ、そこは変わらないのね」


少しがっかりしながらもにっこりと笑ってくれている、優しいな。

じゃあ、あれだな、姫様の居場所を守るためにも、しっかりと俺は戦わないといけないかな。

家族を得る事が出来なかったのならせめて、誰かの家族を守ってみたいしな。

それから、しばらく経ち、状況は変化した。


「やれ!」


そんな大きな声と共に、部屋が蹴破られ、そこからあの時の5人が入ってきた。

扉の外で待機していたはずの兵士達はどうやら殺されたようだ。

あいつらが開けて見えた外に血が沢山垂れているし、男達の服や靴も血まみれだしな。


「何だ!? 斥候!?」

「そんな!」

「メア!」

「リサ姫、少しの間でも、俺の姉になってくれてありがとうございます」

「へ?」


俺は俺を庇おうとしたリサ姫をどかし、布団に隠していたVSSを出して、奴らに銃口を向けた。


「何!?」

「常に最悪の事態は想定してある」


VSSの小さく、複数の銃声と共に、敵の斥候部隊の体に穴が複数開き、全員その場に倒れた。

しかし、怪我をしてるのに両手で撃つと辛いな、あぁ、腕の傷が開いちまった。

だが、俺に掛った被害はその程度、その程度で国を守れるんなら安いな。


「メア、あ、あなた、腕から血が!」

「はぁ、ふぅ、いや、たいした事は無いですよ、それに、メア姫は無傷ですよ

 怪我をしたのは、姫様じゃないんで」

「え?」


国王様以外は状況が分からないと言う表情をしながら俺の顔を見ている。

事情を知らなかったんならそうなるよな。

でも、やることはやった、敵の斥候5人は倒したんだ。

これで、前に見た斥候共は撃破、恐らくこれ以上はいないだろう。

もし、いたというなら、確実性をあげるために同時に来るはずだしな。


「リオ、見事な働きだったな」

「お褒めにあずかり、光栄です、国王様」

「お、お父様!? これは、どういうことなのですか!?」

「うむ、話すとしよう、彼女はメアではない、新しく我が軍に出来た部隊の指揮官だ

 国に不穏な空気が漂っていたため、我々を守るためにメアに変装して護衛してくれていたのだ」

「い、いつからですか!?」

「1週間ほど前からだ」

「じゃあ、怪我をしたのはメアではなかったのですか!?」

「そうだ、怪我をしたのは、今そこにいるリオ、メアは無傷だ」

「そう、ですか」


この報告を受けて、もっと喜ぶかと思ったが、リサ姫はあまり喜んでいる様子はなかった。

リサ姫以外は少しだけ嬉しそうだったんだがな。


「どうしたんですか? リサ姫、あ、すみません、騙していた事を怒って」

「いいえ、そうではありません、私は申し訳ないんです」

「どういうことですか?」

「メアの代わりに怪我をさせてしまい、なのに、今まであなたではなくメアを心配していたことに」

「・・・・・・」

「ですが、安心してください、今はメアではなくあなたを心配いたしましょう

 私のもう1人の妹として」

「どういう」

「少しの間だけ姉になってくれてありがとうと、あなたは言いましたよね」


あぁ、あの時、ついとっさに出て来た言葉か、聞いてくれてたんだ。


「そうですね、でも、それは」

「私は6日間、あなたといました、その間に違和感は感じた、でも不思議とメアと同じ感覚だった

 だから、今まで気が付かなかったのです、私はあなたを妹だと本気で思っていた

 それは、容姿や口調が同じだからではなく、私があなたを妹としたかったからかも知れない

 血の繋がりはありませんが、私はあなたを妹と思いたい・・・・どうでしょうか?」


ありがたい申し出だな、家族なんていなかった俺に、優しく接してくれたお姫様

その姫様が俺を妹としたいなんてな・・・・だが、地位が違いすぎる。


「・・・・いいえ、俺なんかと姫様じゃ住む世界が違いすぎるんですよ、それに、今はそれどころじゃない

 今は戦争中なんですよ?」

「でも、もう戦いは」

「してますよ、外でね、アルル!」

「はい、ここに」


俺がアルルの名前を呼ぶと、扉の外からひょっこりと姿を現した。

やっぱりそこにいたんだな、姫様も近くに居る。

そりゃな、姫様に俺の真似をして貰うならここにいる方が自然だろう。

戦争をしてるのに俺の部隊だけ動かないとか不自然だからな。

だから、多分軍団長から指示を貰い、警備に回っていた感じにしたかったんだろう。

で、襲撃を止めなかったのは姫様を守るためかな、下手に戦って巻込むわけにはいかないし。


「皆様! け、怪我はしてませんか!?」

「メア!」

「アルル、俺を急いで高台に運んでくれ、俺は1人じゃ動けない」

「分かりました」


アルルは俺を背負って、国王様の部屋から出ていこうとした。


「何故、何故その体で!?」


しかし、出ようとしたときに後ろからリサ姫の切羽詰まった叫び声が聞えてきた。

俺がこの体で戦場に向おうとしている事に焦りを感じたのか。

そうだよな、腕の傷は開いて血が出てて、激しい腹痛で1人では動けない。

それに、今日長い眠りからようやく覚めてすぐに戦場だ。

普通に考えれば、正気の沙汰じゃないかな、でも


「戦場で、俺にしか出来ないことがあるからですよ

 自分が出来ることもしなければ生きてる意味が無いんで」


初めてかも知れない、自分で考えて、自分でこんな台詞を言ったのは。

本当は平和の為にとかって言う言葉を真似ようとしたんだがな。

あくまで、俺が戦場に行くのは、自分の為だからな。


「・・・・あなたは」

「アルル、急いでくれ、あいつらに何かあったらヤバい!」

「分かってます、それじゃ! 急ぎますよ!」


アルルの背中で揺られ、前回の戦場で狙撃をした高台に移動し

周囲を見渡したときに、今回はかなり有利だと言う事が分かった。

なんせ、敵兵士達は妙に疲労しているし、数も本当に少ない。

これは、最低でも敵兵を1人だけでも捕縛して情報を聞き出した方が良いだろうな。

俺は狙撃モードを非殺傷にしたウィンチェスターでの狙撃を始めた。

戦闘はすぐに終わった、俺の参戦があろうとなかろうと、この結果は変わらなかったかだろう。


「ふぅ、アルル、何とか敵兵を捕縛してきてくれ」

「分かりました、でもその前にあなたを病室に運びますよ」

「はは、頼む、動けないし、それに出血も酷いからな」


流石にちょっと無理しすぎたな、傷口も結構開いてしまっている。

もう少し、自分の体を労らないと駄目かな、子供なんだし。

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