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幼女に転生した腹いせに狙撃チートで戦場を荒らしてやる!  作者: オリオン
第2部、最終章、長い戦いの終りへ
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アルル達の戦いの記憶

あの戦場の後、俺達はゆっくりと本拠地への帰路。

その帰路でアルルが嬉しそうに話しかけてきた。


「それにしても、案外初めてかも知れませんね」

「何がだ?」

「全員ボロボロなのは」


あぁ、確かに全員がボロボロなのは初めてかも知れないな。


「基本的にリオさんはボロボロでしたが、私達がボロボロになるのは

 あまりありませんでしたし」

「まぁ、そうだな…うん」


確かに俺は毎度戦争がある度にズタボロだからな。


「あ、それとリオさん」

「何だ?」

「実は国王を取り逃してしまいまして」

「あぁ、国王か、あいつなら潰したよ、俺とミロルの2人で」

「本当、みっともない最後だったわね、まぁ、当然の最後だったけど」

「ま、あいつがやって来たことを考えるとぬるすぎだったがな」


あんな畜生、本来ならもっと苦しんで罪を償うべきだった。

反省の色は一切なかった、まぁ、性根から屑だったんだろうよ。

本当、救いようのない畜生だったな。


「…すみません、私達に課せられた使命をこなせず」

「何言ってるんだ? お前らは立派にやってくれたじゃ無いか。

 しっかりと生き残ってくれたし、俺はそれだけで満足だよ。

 特に生き残ってくれた事は本当に嬉しかったよ」

「おぉ! リオさんがデレた!」

「黙れ」

「あだ!」


全く、当然の評価を口にしただけなのにさ。


「…それにしても、良く生き残ったな、あの爆発の中で」

「まぁ、皆さんもいましたし」

「えへへ」


アルルがフレイ達の方を見た後、フレイが嬉しそうに笑った。


「まぁ、殆どメルの魔法のお陰なんだけどね」

「わ、私だって頑張ったし!」


あの状況を何とか打破したのはメルの魔法とフレイのお陰なのか。


「いやぁ、とっさの判断でしたよ」

「どんな感じだったんだ?」

「まず、国王が……」






リオさんと別れて城に潜入することになったのは良かったのですけど

どうも敵の数が多いようですね、人数も多い、処理するのは厄介ですか。


「アルルさん、やはり敵本拠地となれば厄介ですわね」

「えぇ、そうですね」


何人もの敵兵は基本的にフレイさん達が倒してくれているとは言え

やはり数が多すぎますか、でも。


「どうするの!? トラ!」

「……こう言うとき、リオなら多分…皆、フランを中心に集まって!

 フランは後方、背後の敵の催眠術で相手をかく乱させて!」

「……分かった」


フランさんはトラさんの指示に少し躊躇った後に指示通りに行動した。

フランさん目が赤く光る、これが催眠術を行使してる証拠。

催眠術が成功するまで、何とかフランさんの視界を塞がないように動いて

敵兵の攻撃を受け止めるようにしないと。


「この!」


私がそんな事を考えていると、目の前から兵士が斬りかかってきた。


「うわ!」


不意を突かれたけど辛うじて反応することが出来た。

でも、あくまで防いだだけ、力では男の兵士には敵わない。

だったら、私は技術と不意打ちで圧倒するしかない。


「えい!」

「ぐ!」


私はすぐに兵士の腹部に蹴りを叩き込んだ。

兵士はその一撃で少しだけのけぞり、その隙に

私は一気に間合いを詰め、兵士を投げ飛ばす。

リオさんを守る為に極めた接近戦闘術!

力が弱い私が誰かを守るには技術しかありませんからね!


「この!」


ですが、この投げは1人1人しか同時に攻撃出来ない。

更に追撃ときたら、流石に反撃が出来ないんですけど!?

うぅ、り、リオさんには散々言ったのに

自分が駄目ってなったら、笑いものにもなりません!

な、何とかこの攻撃を避けないと! でも、どうすれば!


「アルルさん、もったっとしないでくださいな!」

「シルバーさん!?」


あ、危なかった、シルバーさんが来なかったらどうしようもなかったかも。

でも、シルバーさん槍なんて使えたんですね。


「シルバーさん、その槍は?」

「敵兵から失敬しましたわ、リーチが長いのは重要ですので」

「じゃあ、何で持ってきてないんですか?」

「そうですわね、長い槍を持っての移動はしんどいからですわ」


確かに槍は強いけど、移動の時は面倒ですからね。

だから持ってきてないんですか。


「それに、どうせ敵も槍を持っているはずですので

 正直、敵兵から失敬した方が楽ですわ」

「確かにそうですね」


ここは敵の本拠地、有効的な装備である筈の槍を持ってこない訳がない。

だから、どうせ槍を使うなら、ここで奪った方が良いと言う感じですかね。


「と言うかさ、ウィングさんに頼めば良くない?」

「「…あ」」


……わ、忘れてた、ウィングさんは基本的にトラさんとの

連携のイメージしかなかったなかったから、当たり前の使い方を忘れてました。

そ、そうですよね、冷静に考えてみれば、装備なんて持ってこなくても

何の問題も無く扱えますね…はは、何というミス…


「まさか忘れてたの? アルルはまだしもシルバーもとは意外だね」

「わ、私だって忘れることくらいありますわ!

 何だかウィングさんはトラさんとの連携が強烈すぎて

 そこばっかりに目が行ってただけですの」

「お、同じくです」

「ま、しょうがないかな、実際トラさんとウィングさんの連携は凄まじいし

 その扱い方が当たり前と感じることもあるだろうしね

 まぁ、当たり前はないと思った方が良いとは思うけど」

「そ、そうですね」

「そこだ!」

「ほい、っと」

「が!」


メルトさんは私達と会話をしている最中でも兵士の不意打ちを

当たり前の様に回避して、返り討ちにした。

これが接近戦闘能力を主席で通ったメルトさんの実力ですか、流石ですね。

何だかリオさん達が強烈すぎて忘れてますけど

皆さんも魔法がなくても凄く強いですよね…あ、あれ?

じゃあ、この中で私って、足手まとい!?


「てい! はぁ、はぁ」

「死ね!」

「あ!」


私がそんな事を考えていると、ノエさんがピンチに!


「ん」

「ぐ…ぅ」


あ、危なかった…こ、攻撃が当たる直前にマナさんが撃破してくれた。

は、はぁ、本当に危ない…やっぱりハラハラしますね、この数は。


「す、すみません、マナ先輩…足を引っ張ってしまって」

「足は引っ張ってないから安心して、仲間を守るのは当然だから

 だから、もしもの時は頼むね、ノエ」

「は、はい! 頑張ります!」


やっぱり数が多いと危険ですね、警戒して進まないと。


「催眠術は出来た」

「おぉ!」


そんな事をしている間にフランさんの催眠術が成功し

背後で1人の兵士が動き出し、後ろから敵兵を攻撃してきた。

これは敵兵も動揺したらしく、少しだけ動きが止まった。


「そこ!」


その間に私達は一斉に攻撃を仕掛けて、敵兵を撃破した。

これで邪魔をしていた兵士達は撃破、一気に進んだ。


「よし、このまま!」

「止めろ! 足止めしろ!」


うぅ、新しい兵士、数がとんでもないですよ…このままじゃ対処できない。


「攻め込め! 一気に制圧!」


私達の後からハルさん率いる攻撃部隊が一斉になだれ込んできた。

これで人数差は特になし、お互い数で押し切れる!


「おぉ! 助けが来たよ! これなら一気に行けるね!」

「うん、勝負を仕掛けよう、ウィング」

「任せて!」


ウィングさんが両手を広げると、周囲に沢山の槍と剣が現われた。

それをトラさんが同時に全て操り、一斉に敵兵に向って攻撃を仕掛けた。


「何だ!?」

「ぐあ!」


トラさんが打ち出した無数の武器は敵兵の急所を外し

動けない程度の怪我を与えた。

急所を狙わないのはきっとリオさんの言葉があるからでしょうね。


「これで道は開けた」

「しかし、何故いきなり?」

「援軍が来たから温存の必要がなくなったから」


連戦を想定して、ある程度温存していたんですね。

流石トラさん、流石は小さな戦士達の副リーダーですね。


「このまま一気に突入する!」

「うん!」


状況は私達の有利に働いている。

このまま流れに乗ることが出来れば、私達は勝つことが出来る。

…ただ、不安なのはリオさんですね。

リオさんは1人でミロルさんと戦っている。

2人の実力はきっと互角、ですが、魔法の関係上、リオさんは

ミロルさんに勝つのは難しいと考えられる。

だって、リオさんが同時に出せる武器は1つだけなのに対して

ミロルさんは多種多様な道具を出せる、戦車とか言う

大きな鉄の塊まで出せちゃうし、リオさんは不利だと思う。

…リオさんなら大丈夫だとは思いますが、不安は拭えませんね。


「テメェら! よくも!」

「ケビン…」


ここで幹部の登場ですか…実力も結構な物だったはずです。

…ですが、ここで撤退はあり得ませんよね、リオさんもいない状態ですが

実力があろうとも、私達だけで対処できないレベルではありません。


「退いてくれない?」

「ち、メルトか」


まぁ、こちらにはメルトさんもいます。

メルトさんとケビンさんの実力は互角。

メルトさんと共闘すれば勝つことは容易でしょう。

ですが…ここでのタイムロスは極力避けたいところですね。

下手すれば国王に逃げられてしまう。

そうなると、完全な勝利は出来ない。

リオさんに頼まれた任務も完遂できないですし…ど、どうしましょう。


「邪魔者は私達に任せなさい!」

「この雑魚共が! 邪魔すんじゃねぇよ!」


ハルさん率いる攻撃部隊に足止めを食らい、ケビンは動きが取れない。

これなら、ケビンはハルさん達に任せて私達は国王を狙える。


「あんたら、こいつらは私達が何とかするからその間に王をやりなさい!

 あんたらなら出来るでしょ?」

「でも、お母さん! この人は強いって」

「マル、お母さんを信じなさい」

「……行こう!」


トラさんの判断でケビンの足止めはハルさん達に任せて

私達は国王を倒すことになった。

うん、きっと大丈夫ですよね、ハルさんもとても強いですし


「はぁ、はぁ、そろそろ国王の部屋ですね」

「えぇ、で、この馬鹿でかい扉の向こうがきっと」

「はい、恐らく国王の部屋かと…」

「しかし、護衛が1人もいないとは」

「…警戒していこう」


私達は最大限の警戒をして、ゆっくりと重い扉を開いた。

…その先には、何もいなかった。

国王も兵士も、誰1人その部屋にはいない。

しかし、部屋の奥には玉座と思われる豪華絢爛な椅子が置いてある。

可能性としては、謁見室の可能性はありますが

部屋のサイズから考えて、その可能性は低いでしょう。


「一体何が…」


私がそんな事を考えていると、何処かで聞いたような音が聞こえてきた。

この音は確かリオさんと一緒に迎撃したUFOの音!?

確かリオさんはヘリって言ってた筈…まさか!


「この音は!?」

「い、急いで音が聞こえる方向へ!」


私達は急いでその音がする方に近づいた、音がしたのは窓の外。


「あぁ! ヘリだ!」

「まさか!」


窓の外でヘリが飛んでいるのが見えた。

そして、ヘリの中で不敵な笑みを浮かべている国王の姿も見えた。

国王はその表情のまま、何処からかスイッチの様な物を出し、押した。

…私は何度かリオさんと一緒に行動していたから分かる。

あれは、爆弾のスイッチ!? でも、すぐに爆発しないのは何故?

も、もしかしたら、一定の時間が経過したら爆発する爆弾!?

すぐに押して爆発したら、自分も巻き込まれる!

ミロルさんの魔法は非常に汎用性が高いですし、そういう爆弾も作れるかも知れない!


「くぅ! 遅かったのですか!」

「…い、急いでここから逃げ出しましょう! 皆さんに伝えて!」

「え? ど、どうしたのですか? アルルさん、血相を変えて」

「良いから! きっと時間がありません!」

「え? わ、分かりました」


何となくですが、時間が無い気がします!

自分が逃げる事が出来るだけの時間があれば良いのだから!

そう考えると、全員で避難してる時間はきっとない!

だったらどうする? 城の出入り口から逃げるのは困難だ!

でも、今は急いで逃げ道を確保しないと行けない!


「きっと時間が経つと爆発してしまいます! 急いで!」

「ど、何処かに爆弾があると? ですが、ミロルさんは

 もうここには手を貸していないと!」

「理由は分かりません、もしかしたら、国王に騙されてるのかも知れません!

 杞憂ならそれで良いですが、最悪が起こったら大変です!」


とにかく全員にこの危機を伝えた後、私達は窓を割り、飛び出した。

でも、この高さで飛び出すのは結構危険…それに爆発したりしたら。


「魔道兵!」

「あ!」


私達が飛び出した後、メルさんが急いで魔道兵を召喚した。

魔道兵はめいっぱい手を広げ、可能な限り兵士達を抱える。

そして、着地して少しして、大きな音が周囲に轟き

魔道兵に石の様な物が当たったような音が聞こえる。

そして、しばらくの沈黙、魔道兵は激しく損傷し

動かせる状況じゃない…でも、どうやら瓦礫に埋まっている状況。

こんな状況では、生き埋めの可能性もあります…


「本当に爆発した…」

「い、今はそれよりもここからどうやって抜け出すかでしょ!?」


ハルさんが焦りながら今の状況を打破する方法を考え出した。

ですが、この瓦礫の山から抜け出す方法は案外簡単ですよね。


「それは簡単です、フレイさん」

「ん、任せてよ!」


私の言葉の後、フレイさんは瓦礫の山を軽々と退かし始めた。

すぐに青い空が目の前に見えた。


「そんな、あっさりと」

「はい、それよりも兵士達の安否の確認を!」

「えぇ!」


しばらくの間、総動員で兵士の安否の確認を始めた。

結果、私達の兵士で生き残ったのは8割。

敵兵の生存者は0人だった、ケビンも瓦礫に埋もれ命を落としている。


「アルルさんのお陰ですね、私たちの兵士の被害が少なくすんだのは」

「いえ、素早い安否の確認が出来たからでしょうね、ただ、そうですね

 次は森の方を捜索しましょう、吹き飛ばされてる人もいるかも知れません」

「分かったわ、じゃあ、そっちは頼むわ、私達は負傷兵の手当をするために

 本拠地に撤退するわ、それじゃあ、頼んだわよ」

「はい」


その後、森の捜索は完了した、吹き飛ばされた兵士などはいなかった。

やっぱり、ここまで吹き飛ぶ事はありませんか。


「アホ共! 出て来やがれ!」


あ、あの声は…リオさん!


「リオ! リオも大丈夫だったんだ!」

「何かリオの声、震えてる」

「きっと泣いてるんですよ、こんな状況を見れば

 私達が死んでしまったと考えてしまうかのでしょうし」

「本当、心配性なんだから」


うふふ、傷心のリオさんに優しーく声を掛けてあげれば

私達との感動の再会! きっと喜びで私に抱きついてくれるはず!

うふふ~、うふふ、うふふ~、リオさん、泣かないでください

うぅ、心配したんだぞ、アルル…

ふふ、このアルルがリオさんを置いて何処かに行くはずがないでしょう?

私はリオさんの為に生きているのですから。

アルル、ありがとう、結婚しよ。

yes! マイエンジェル! ふ、ふふ、ふふふ、完璧な計画ですね!


「……お願いだから…」


…リオさんは涙を流して地面に両手をつき、小さく呟いた。

その言葉と、瓦礫の山となった城を見て、私はあんな事を言えなくなった。

でも、やっぱり私はいつも通りに振る舞いたい。

…だって、それが私ですしね、そこは変えたくありません。

リオさんが感じてる私の姿のままで、私は私のままで。


「んー、じゃあ、もし出て来たらキッスとかしてくれます?

 あ、ハグでも良いですよ?」

「…え?」


キョトンとした表情……その直後に安心したような表情になった。






「まぁ、メルさんの魔法で防御、フレイさんの怪力で瓦礫から脱出

 簡単に言えばこんな感じですね」

「そうか、まぁ、何にせよ、無事でよかった」

「私、リオさんの安心した表情、好きです!」

「うっさい」

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