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幼女に転生した腹いせに狙撃チートで戦場を荒らしてやる!  作者: オリオン
第2部、最終章、長い戦いの終りへ
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戦争後

国中を探した、瓦礫の山も探した…だが、あいつらの姿は見えない。

…何でだよ! 何で誰もいない!? おかしいじゃないか! そんなの!

あいつらまさか、自分達がああいったくせに、自分達は守らないのか!?

ふざけるなよ! ふざけるな! 絶対に見つけ出してやる!


「アホ共! 出て来やがれ!」

「…何で出て来ないの?」

「知るか! 畜生! で、出て来やがれ!」


あいつら…ぜ、絶対に…絶対に!


「リオ…声が」

「あぁ!?」


…どうして何処にも…何処にもいないんだよ! 何処なんだ!

出て来てくれよ! 頼むから出て来てくれよ!


「頼むから…出て来てくれよ! …お願いだから…出て来てくれよ…

 俺に出来る事なら、何だってやってやる…無茶な遊びにだって付き合ってやる!

 だから……出て来てくれよ…置いてくなよ…頼むから!」


…何で、涙なんて出てくるんだよ…何で、何で…そ、そんな事は無いはずなのに!

あ、あいつらが…こんな…くたばるなんて、あ、あり得ないのに…何で!

何で…何で涙が止まらない…視界も涙で歪んで見えにくい…クソ…クソぉ…


「……お願いだから…」

「んー、じゃあ、もし出て来たらキッスとかしてくれます?

 あ、ハグでも良いですよ?」

「…え?」


後ろの方から聞き慣れた声が聞こえ、少し唖然としながら

その方向を向いてみると、そこには服はボロボロ

体中傷だらけの埃まみれのアルルが立っていた。


「リオちゃん!」

「…お、お前ら…」


アルルに続いてフレイ達も姿を見せてくれた……


「生きてるなら…さっさと出て来いよ…馬鹿共が…」

「あはは! 私達がそう簡単に死ぬわけ無いじゃん! と言うかリオちゃん!

 何も泣くこと無いじゃん! 泣くこと…無いじゃん…嬉しいことでしょ?

 泣かないで…笑ってよ!」


そう強がっているフレイの目にも涙が溜まっている。

何でフレイが涙を溜めているのか分からないが…


「……うぅ」

「うふふ~、さぁ! リオさん! 私の胸に飛び込んで来て下さい!」

「……はん!」

「あだ!」


本当この状況でよくまぁ、平常運転で行動出来るな。

…本当、馬鹿な奴だよな、全くよ。


「もぅ、再会してすぐに跳び蹴りを喰らわしてくるなんて、容赦ないですねぇ」

「うっさい!」

「えへへ、いやぁ、喜びを隠せてないですよ? 本当ツンデレさんですね!」

「黙れゴラ!」

「あだ!」


……本当、馬鹿な奴だ、本当に馬鹿な…馬鹿な奴だよな、こいつは。

普通、こんな再会なら、もうちょっと感動的な感じだろ。

でも、こいつは再会したのに、いつも通りに振る舞いやがる。

俺が泣いてるのが、馬鹿みたいに感じるじゃないか。


「…リオ」

「え?」


俺がアルルを踏んづけていると、背後からトラが近付いてきて

静かに俺を背中から抱きしめてきた。


「な、何だよ」

「…何でも無い、でも少しこのままで…」


トラは涙声で答えた、泣いてるのを隠してるつもりなのかも知れないけど

この声を聞いて、泣いてないなんて思う奴はいないだろう。


「リオちゃんにもう一度会うことが出来て…本当に嬉しい」

「俺に会えることが出来て?」

「…うん、リオちゃん、死んじゃうかもって思ったの

 私達も死ぬかもって思った…でも、誰1人欠けないで

 こうやって会えて…嬉しい!」


ウィングが俺の胸に顔を埋めながら、涙声で答えてくれた。

そうか、こいつらも俺と再会できないかもって思ってたのか。

俺が死んじまうかも知れないって。

更に城が爆発する直前に、自分達も死ぬかもと思ったのか。

だから、こうやって再会できて…安心感で泣いてるって事か。


「お姉ちゃん……ありがとう」

「なんでお礼を言うんだ? 俺は何もしてないぞ?」

「戻ってきてくれて嬉しいから…もう、会えないかもって

 思ってたから…だから…帰ってきてくれて、嬉しくて」


ウィンが涙を溜めた後に、俺に抱きついてきた。

……本当、俺ってかなり心配されてたんだな。

申し訳ないと思う反面、嬉しいとも思っちまう。


「……」

「ん?」


そして、下を向いたフランが無言のままで俺の手を握ってくる。

普段キツい言動ばかりなのに、今回は無言なんだな。

俺に抱きついてるのがウィングとウィンだからかもしれないが。

もしも抱きついてるのがフレイとかなら調子は変わらなかったかも知れない。


「…あぁ、本当に皆無事で良かった」

「っと、えぇ、そうですね、それに何だか仲間も増えたみたいですしね」


アルルがミロルの方を見て、軽く微笑んだ。

ミロルの方はアルルが自分を見ていることに気が付き

少しだけ動揺した後、下を俯いてバツが悪そうにそっぽを向いた。


「おや? どうしたんですか? 何もそっぽ向かないでも」

「…いや、だって…あなた達は私のせいでそんなボロボロに」

「その様子では、あの国王に利用されただけなんでしょう?

 大丈夫ですよ、誰もあなたは責めませんよ」

「…そもそも、私がいなければ、こんな事にはなってないのよ?

 何人もの国民が死ぬこともなかった」

「そんな事」

「過去の過ちを後悔するだけでは意味がありませんよ?

 過去は変わりません、だったら未来を変えるべきです。

 その過ちがあっても、未来が平和で明るい物ならば

 その過ちは無駄ではありません。

 大事なのは過去ではなく、未来をどのような物にするか、だと思います」

「……」


へぇ、アルルのくせに良い事言うじゃ無いか、少しだけ見直したぞ。

だが、そのどうですか? 見直したでしょ! って感じの表情で

こっちを見るところはイラッとする、本当変な奴だ。

こう言う言葉がすらすらと出てくるのだから

こいつが本気で思ってる事なのかも知れないけど。

やっぱりその得意げな表情はイラつく。

そして、無言でこちらに向けて手を広げるな。


「……リオ、あなたの周りは、変な人ばかりね」

「確かにな、特にそこの変態は1番変な奴だ」

「な! 私ですか!? いやいや! 私は完全なる淑女ですとも!

 仮に変態だとしても! 変態と言う名の淑女です!」

「そう言ってる地点でただのクレイジーな変人だ、間抜け」

「ゴフ! そ、そもそも、こう言う場合、中心にいる人が

 1番変わっている物です、ほら、類は友を呼ぶとか言いますし」

「何!? お前、俺が変わってると言いたいのか!?」

「はい、そもそも、普通の女の子はそんな乱暴な口調じゃありません

 子供だというのに異常なくらいに頭良いですし

 子供なのに妙にカリスマ性があるのも変な所です。

 命を平然と捨てようとしたり、子供とは思えない達観した口調

 後、犬が大っ嫌いなのもちょっと変かなーっと」

「おま! 犬は怖いだろ! あいつらは化け物だぞ!」

「え? そこ? そこを最初に突っ込みます?」

「あいつらは化け物だ! あいつらは死神だぁ!」

「死神に死神とか言われる犬って、本当凄まじいわ…

 マジで何? 何があったの? あなたと犬の間に」

「思い出したくもない…けどまぁ……いや、何でもない」


考えてみれば、あの時、犬に殺されてなけりゃ、俺はここにいないんだよな。

ミロルとも出会えてないし、フレイ達にも出会えてない、先生にだって…

今までずっと、死神だと思ってたが、こう考えてみると

俺にとって、あの犬はターニングポイントだったのかも知れない。

あれがなけりゃ、俺はひたすらにゲームをするだけの日々。

今みたいに、他人の為に命を賭けようとか、未来をよりよい物にしようとか。

そんな事を考えないで、自分だけが良ければ良いと言う考えのままだったかも知れない。

……でも、やっぱり犬は嫌いだ、噛んでくるし、何より恐ろしい!


「ん? まぁ、とりあえず犬が異常に嫌いなのはよく分かったわ」

「犬は嫌いだ、とか言っていても、犬を飼ってますけどね

 しかも、大っ嫌いな犬を餌付けしてペットにしてますし」

「違う! あれは死にかけだったから、仕方なくバナナをあげたら付いてきて」

「嫌いな犬でも、目の前で死にそうになってたら助けるんですね

 本当! 天使ですね! 流石私のリオさん!」

「きっと、そんなリオさんだから、私たちは付いてきてるのだと思いますわ

 トラさん達も、そんなリオさんだから大好きなのでしょう」

「嫌そうですけど、フレイさんの遊びには付き合ってますしね」

「いや、あれは無理矢理…」

「ウィンさんの面倒もよく見てるしね」

「あれは仕方なくだな」

「嫌そうにしても、フランさんを突き放したりしませんし」

「いや、まぁ…ほら、大事な仲間だし…」

「後、アルルさんの事もそうですわね」

「あ、こいつは優秀だから置いてるだけだ」

「そこ冷静に返さないでくれます!? あれですよね!

 何だかんだ言って、私の事を大事にしてるからですよね!?」

「……馬鹿な変態でも、能力自体は優秀だから」

「悪口追加しないで下さいよ! 嘘でもそうだよ、とか!

 いや、まぁ、うん、とかにしといて下さいよ!」

「ウザくて気持ち悪い変態だろうと、能力があるから仕方なく」

「悪口を追加した上に更に渋々感が!」


……まぁ、こいつは弄ってて案外面白いからな。

反応も結構面白いし…それにまぁ、何だかんだで命は助けて貰ってる。

面倒くさいと思ってたとしても、少しだけ楽しいと思ってたりもする。

…でもまぁ、言わない、言ったら調子に乗るからな、こいつは。

そもそも、素直になれるわけが無いじゃないか、恥ずかしい。

フレイの遊びに付き合ってるのも、あんな怪我ばかりしても

あいつがクッソ楽しそうにするから嬉しいんだ。

ウィンの面倒を見るのも、あいつが俺が言ったことをやって

成長出来たとあいつが実感したときの嬉しそうな笑顔が好きだからだ。

フランを突き放さないのも、すぐに暴走しそうになっても

大丈夫と信じてるからだ。

あんな風に言っても、俺はあいつらの事、全員気に入ってるし

大丈夫だという絶対的な自信があるからなんだ。

まぁ、今回は大分焦ったけどな…死んだんじゃないかって。

でも、やっぱりこいつらは大丈夫だったな、いらない心配だった。


「しょぼぼーん、やっぱり私の扱いは変わらずですか…

 まぁ、いきなり愛してるよ、アルル、とか言われたりしたら

 色々と訳が分からなくなりますし、やっぱりこの扱いが1番かもです」

「やっぱり変な人ね、あなた、いい人なのにリオには妙に」

「私の天使ですからね、リオさんは」

「…リオ、本当妙なのに好かれるわね、同情するわ」

「代わりにこいつの相手しててくれね?」

「無理ね、だって、この手のタイプって一途なのが多そうだし」

「その通りです! 私は何があってもリオさん一筋なのです!」

「俺がゴミみたいなカス野郎になってもか?」

「その時は無いと思いますが、もし仮にそんな事になったとすれば

 私は死力を尽くして、リオさんを元に戻しますとも。

 それが愛って奴です!」

「…あぁ、そう」


……はは、本当に馬鹿らしく感じるくらいに…いつも通りだ。

でも、このいつも通りがとても嬉しいけどな。

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