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幼女に転生した腹いせに狙撃チートで戦場を荒らしてやる!  作者: オリオン
第2章、追い込まれた国に休む余裕は無い
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狙撃魔法の弱点

一日中、暗い部屋でゆっくりしていたが、斥候は来なかった。

しっかりと国王様達のいる部屋、姫様2人の部屋、王子さんの部屋も音とかで探ったが異音はなかった。

どうやら、今日は来ないようだ、やはり警備が厳重だからだろうな。


「・・・・寝るか」


俺はメア姫の部屋に戻り、グッスリと眠ることにした。

あれだな、やっぱりベットがものすごくふかふかで、眠りやすい。

だが、何なんだろうな、静かすぎる気がする。

こう、普段なら隣で寝息とか、いびきが聞えるんだが、普段は耳障りに聞えていたが

その環境が変わると、何だか寂しく感じるものだな。


「うーん」


こう言う、静かな環境で色々と考えると、少しだけ疑問が出て来た。

・・・・俺の狙撃魔法って、接近戦に超弱くね?

現状、出してきた武器は全部ボルトアクションだし、複数人と至近距離で交戦となれば

絶対に接近されて押さえ込まれてしまう、俺が相手に勝っているであろう所は魔法くらいだ。

で、その魔法が接近では非常に不利な狙撃魔法、不意打ちは出来るだろうが1人くらいしか倒せない。

相手が重なれば貫通させて何人か倒せるだろうが、そんなの運が良くないと駄目だ。


「・・・・・・駄目か」


やっぱり、アサルトライフルとかは出ないようだ、AK出て来ないし。

何ならハンドガンも試してみるか、俺は自分の手のひらに意識を集中して

とりあえず、M92の形を想像してみた、が、出て来なかった。

やっぱり、狙撃銃しか出ないんだな、ウィンチェスターは少し想像すれば出るのに。


「このままじゃ不味いな」


狙撃銃を出して、1発撃って、弾を入れ、もう一度撃つ、技術力の差があって近い相手と戦うのに

この動作は致命的だ、時間が掛りすぎる、せめてセミオートはないとな、そうだなドラグノフは出るか?


「お!」


ついビックリして声が出てしまった、少し時間が掛ったが、ちゃんとドラグノフが出て来た。

うん、これで分かったな、狙撃銃ならセミオートでも出せるって事が。

だがなぁ、ボルトアクションじゃ無いからか重たいな。

ついでに、セミオートだと少し連射も出来る、そうなると俺の魔力が大変なことになる

やっぱ、狙撃ならボルトアクションの方が良いかな、状況によるが。

そもそも、ボルトアクションの方が好きだし、扱いやすいし、マガジンが出れば良いけど。

・・・・マガジン? そうだった! マガジンって付いてるのか? 流石にセミオートを

1発1発だと、何の意味も無いぞ! うぅ、暗くて分かりにくいが、触った感触探すか。


「お、あるじゃん」


どうやら、セミオートならマガジンが付いているようだ、安心した。

そうだ、狙撃銃なら何でも出せるって言うんなら、フルオートも出せるかもな。

なら、VSSとかも出せるんじゃね? ちょっとやってみるかな。

俺は普段通りに手元に集中して・・・・中々出て来ないな、お、出て来た!

暗いからよく分からないが、確実にVSSだろう、シルエットで分かる。


「これなら、結構接近戦でも戦えそうだな、安心した、瞬間的には不利だけど」


俺は取りあえず一安心して、ベットに付いた。

で、その時にようやく気が付いたのだが、カーテンが少しだけ明るくなっていた。

もしかして、もう明け方? 時間は、4時? うーん、狙撃銃いじりに熱中しすぎた。

あぁ、ヤバいな、ん? な、何だ? 扉が開く音がした。


「・・・・・・」


もしも、姫様達が起きてきただけとすれば、銃を持ってるのを見られるのは不味いな。

ここは、少しだけ扉を開けて、見てみるかな、バレないように、ソーッとね。

俺は自分の息を殺し、ゆっくりと部屋の扉を開けた。


「ち! 起きてたか!」

「な!」


俺が扉を開けると、目の前に兵士の格好をしている男が立っていた。

男は俺に気が付くと同時に、俺に向けて攻撃を仕掛けてきた。

どうする? どう避ける! 後ろに下がる? いや、逃げ道がない!

そもそも、こいつは1人なのか? 複数人いる可能性がある。

そうなると、後ろに下がれば王家の人達が殺される!


「うわぁ!」


俺は一か八かの勝負で、剣を振り上げた兵士風の男の横を通り、大部屋に出た。


「すばしっこい!」

「予定が狂ったか、メアを殺せ!」


6人! それも国王様達の部屋の前に! そうか! やはり同時に殺そうとしたのか!

で、俺が出て来たから、予定を変えて、俺を殺そうと!

良いじゃないか、守るために囮になってやるよ!


「大声を上げる前に殺れ」

「誰か!」


とりあえず、大声で助けを呼んだが、俺を殺すつもりなのは変わってないらしい。

とにかく、さっさとVSSを召喚して、迎撃を!


「ち、恐怖で声を上げられないと思ったが、肝の据わってる奴、仕方ない!」

「がふ!」


うぅ、痛い、蹴られた、腹を思いっきり・・・・身長差があれば、蹴るよな。

畜生、VSSの召喚に手間取っちまうなんて、とにかく、今からでも遅くない、応戦を

う! けほ、けほ、う、は、腹が痛い、クソ、う、うずくまった状態で動けない。


「はぁ、はぁ、う、つぅ・・・・」

「殺れ!」


国王様の部屋の前で待機していた兵士がそう叫ぶと

周りの兵士達も俺の方に走ってきた。


「このぉ!」


俺は何とか体を回転させ、兵士の突きを回避した、が、1本だけ避けきれずに右腕に剣が刺さった。


「あぅ!」

「どうしたのですか!?」

「ち! 殺しきれなかったか、ずらかるぞ!」


その声を聞いて、6人中5人が部屋から出ていった。

しかし、俺の腕を刺した男だけは逃げ出さなかった。


「助かったと思ったようだが、残念だったな姫様よ、元々あんたを殺すのが俺の仕事だ

 殺せるチャンスを逃すわけが無い、殺してやる」


そう言って、男は俺の腕に刺した剣を引き抜き、再び刺そうとした。

しかし、1人になるなんて馬鹿な奴だ、仕事熱心が仇になったな。

ふふ、自然と笑みがこぼれちまう。


「な、何を笑って!」

「残念だったな、どっかの兵士さん」

「口調が!」

「死ぬのは、あんただ!」


俺は狙撃銃を召喚して、兵士の眉間にウィンチェスターの銃口を突きつけた。


「な!」

「死んで悔しがれ!」


俺が引き金を引くと、大きな銃声が部屋中に響き、同時に敵兵士の頭部から血が噴き出した。

その血は俺の顔と姫様の服に少しだけ掛かり、兵士はゆっくりと後ろに倒れていった。

しかしなぁ、片手で狙撃銃って、反動ヤバいな、やっぱり、反動に耐えられずに、手が離れちまった。


「はぁ、はぁ、な、何とかなった」


ウィンチェスターは後ろに飛び、上空で消滅した様で、音は聞えない。

俺の耳に聞えた音は、弱々しく自分の左手が地面に当たったのに音だけだった。

どうやら、手の感覚が麻痺しているようだな、痛くないし。

と言うか、刺された右腕の痛みも、あまり無い。


「何の音!?」

「どうした! な! ど、どうなっている!?」

「メア! メア! 血が酷いわ! しっかりして! 私が分かる!?」

「・・・・リサ、お姉様、ですわよね」

「良かった! 意識はあるわ! 急いで手当をしないと!」

「医者を呼べ! 今すぐだ!」


ま、まぁ、酷い怪我をしてしまったが、何とか、守ることは出来たか。

あ、ヤバい、ゆっくりと痛みが戻ってきた。


「うぐぅ、痛い・・・・熱い、吐き気も・・・・」


ちぃ、今更、意識を失いそうになるなんてよ・・・・だが、意識を失うわけにはいかない。

これでも、最重要な任務の最中だぞ、もしも、意識を失ってる間に襲撃なんてされたら、ヤバい!


「けほ、けほ、うぐぅ」

「あ、メア! く、口から血が!」

「だ、大丈夫、この程度で、げほ!」

「メア! 動いちゃ駄目よ!」


あぁ、立とうと思っても、力も入りゃしねぇ、重傷だな、これは。

あくぅ、何だか周りがゆっくりに見えてきたぞ、視界も歪んできた。

あ、あっちゃぁ、どうやら、ここまでらしい、痛みもすごい勢いで湧き上がってきてるし。

意識を失わないと、不味いと言う事は分か・・・・る。


「メア! メア!」

「状態は! どうなってますか!?」

「急いでメアを!」

「はい! 分かっています! メア姫をソファーへ!」

「分かりました!」


・・・・・・意識を失って、どれ位立ったか知らないが、次に俺が目を覚ましたとき。

そこはメア姫の部屋のベットの上だった、だが、あまり時間は経っていないようだ。

時間も4時だジャストだし、周囲も薄暗い。


「う、つぅ、あ、あれ?」


目を覚まし、その薄らとした意識の中で自分の状態が分かった。

右腕にはあの、骨折をしたときに付ける、何だっけ、えっと、確かギブスだ。

それが付いている、腹には包帯が巻いてある。


「・・・・触っても痛くはないか」


腹を軽く撫でてみたが、痛くはない、そりゃあ、右腕みたいに刺されたわけじゃ無いからな。

傷口もないし、精々、内出血・・・・重傷じゃん。

包帯で腹の状態を見ることは出来ないが、下手したら痛々しいアザが出てる可能性が。

それに、少し起き上がろうとすると、腹に強烈な痛みが走るし、これは、内出血確定だな

内臓とか、破裂してなきゃ良いけど、いや、破裂してたら生きてないかな。

そもそも、子供の体で破裂したら即死だろうしな、よく知らんけど、内臓破裂とかなったことないし。


「・・・・ん?」


今更周囲を見渡すと、枕元にリサ姫が寝ていた。

あぁ、何だろう、こんな光景を前にも見た気がする。

あの時はメア姫じゃなくて、俺の心配だったけどな、人も違うし。

このリサ姫が心配してるのは、俺じゃなく、メア姫だ。

それが分かってるせいか、少し罪悪感を感じる。

まるで、この人の愛を騙しているようで・・・・こう、心が握りつぶされそうだ。


「はぁ、ま、良いか」


まぁ、あれだ、こちとらこの人を助けるために命まで賭けたんだ。

そもそも、今、この人が心配してくれているのは俺だ。

なんせ、怪我をしたのも俺だ、メア姫は無事、無傷だろう。


「あ、メア! 良かった、起きたのね!」

「あ、リサお姉様、ごめんなさい、心配を掛けてしまって」

「本当よ! 5日の間! 私がどれだけ心配したか、良い? 今度から、危ない事はしないで、約束よ?」

「え? い、5日も?」


嘘! いつの間に5日も時間が経ってたんだ!? そ、そんなに長い間寝てたのか!?

マジかよ! 襲撃がなくって、本当に良かった!


「そうよ、本当に私達にこんなに心配させて! 本当にもう危ない事はしないでね!」

「・・・・えっと、それは約束できませんわ」

「何でよ!」

「私は家族が危ない目に遭っているのに、何もしないなんて、出来ませんもの」

「本当に、なんですぐ私に反発するのよ、本当に・・・・本当にメアの馬鹿」


リサ姫は押し殺したような声でそう呟き、俺を抱きしめた。

これも、罪悪感しか感じない、だが、メア姫なら、こう言うだろう。

家族思いで、不器用なあの姫様なら。


「・・・・メア、しばらくの間は、動かないで安静にしていなさいね」

「・・・・・・」

「これは絶対に約束しなさい、今のあなたは絶対安静なんだから」

「分かりましたわ、しばらくの間は、動かないで安静にしておきますわ」

「そうしなさい、そもそも、動ける状態ではないでしょうけど」

「分かってますわ」


なんせ、立とうとするとえげつないほどの激痛が走るしな、こんなの動けるかっての。

俺は、まだ死にたくないしな、だが、やることはやらないとな。


「それじゃあ、しばらくは私がここにいるわ、お父様にもそう言ってる」

「全く、お姉様はすぐに私をそうやって子供扱いして」

「子供だからね、それに、動かないようにする為よ、あなたは妙にプライドが高いからね

 私が居ないと、絶対に無理に立とうとしちゃうじゃないの」


そうか、メア姫ってやっぱりプライドが高いんだな。

こう言う状況だろうと無理矢理立とうとするくらいに、何というか結構予想通りだ。

じゃあ、こんな時にそんなプライドが高い姫様がやりそうなことは。


「ふん! ですわ」

「素直じゃないわね」


やっぱり、これが正解らしいな。

しかし、俺の演技力も侮れないものだ、現実世界でこんな幼女として生まれ変わってたとすれば

きっと、天才子役とか言われていたかもな、やれやれ、妙な才能だよ。

と言うか、あれだな、ネットとかで対戦してたら、相手の心理を読まないといけないからな。

だから、こう言う判断が出来るのかも知れない、ゲーム様々だな。

そんな状態で、部屋の外から急いでいるような足音が聞えてきた。


「国王様!」

「どうしたんだ?」

「て、敵軍が攻めて来ました!」

「何だと!?」


・・・・あぁ、内側に潜む敵の斥候に、外からの攻撃か。

これは、警備が甘くなるぞ、生半可に出して、勝てる敵じゃないだろうしな。

はぁ、もう少し休ませてくれよな、警戒を怠ることが出来なくなったじゃないかよ。

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