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死線の後

トラ達が怪我をしたシルバーを運んできた。

トラ達はシルバーだけでは無く、敵の銃火器も少々運んできている。

シルバーは背中に結構なダメージを受けている。

メルトとマナは足で、致命傷では無いから後にしたと言う感じか。

シルバーは背中、腹部に受けたわけじゃ無い分、まだマシかも知れないが

それでもかなりの重体、さっさと手当をしないと、最悪…

しかも、体内に破片が入っているから、手術をしないと不味いが。

この中でそんな事が出来そうなのはアルルくらいか…出来るのか?


「なぁ、アルル、手術できるか?」

「何度リオさんの手当をやってると思ってるんですか? 余裕ですよ

 一応私、医術の訓練では主席、手術は容易に出来ますとも

 そんじょそこらのお医者さんよりも腕は良いと自負しています!」

「長ったるい口上は良いから、あまり時間も無いだろう?」

「ですね、道具は持ってきていますから手術しますよ」


アルルは大分慣れた手つきでシルバーの手術の準備を始めた。

あの医療箱の中にケースがあって、そこに手術道具一式が入ってるとは恐れ入った。

基本怪我に関する事なら何でも出来そうだな、こいつは。


「手術道具が一式全部入ってるんだな」

「えぇ、いつも清潔に手入れしています、リオさんの体に残った

 弾もこの道具達で取ってきましたからね

 覚えてないでしょうけど、この道具達、大活躍なんですよ」


俺が弾丸を受けてぶっ倒れてるときにこいつのお陰で助かったのか。

俺はてっきりマオが全部やってくれたのかと思っていたが。

そうだな、考えてみれば弾丸を体内に残して傷を癒やせても

内部の弾丸はそのままなんだし、物理的に取り出すしか無いか。

じゃあ、あの後、俺が寝てる間に手術でもしたのか?


「なぁ、いつの間に手術なんてしたんだよ」

「マオさんに治して貰って、少し経った後ですね

 寝ている間に麻酔を掛けてやりました」

「許可くらい取れ」

「熱も酷かったですし、起きませんでしたし、仕方ないんですよ」


俺にはそんな記憶が無いんだよな、もしかして昏睡してて意識が無かったのか?

まぁ、何にせよこいつのお陰で助かったと言う事か。


「さて、それではシルバーさん手術しますが…大丈夫ですか?」

「お、お願い…しますわ…このままでは、私は…死んでしまいますの

 そうなれば…トラさんが…」

「そうですね、では、始めます」


アルルが医療箱から薬を取りだし、シルバーの傷口付近に刺した。

その後、なれた手つきで手術を始める。

しかし、肉を裂くときにリアルな音が聞こえて少し恐ろしい。


「あ、案外見るのは怖い物だな」

「……」


アルルは俺の言葉には答えない、どうやら手術に全神経を集中させているようだ。

だったら、俺も変な事は言わないで黙っていよう。

と言うか、俺がこの部屋にいて良いのだろうか…ひとまず出て行こう。

一応、仮拠点の医療関係者も付いてるし、サポートも大丈夫だろう。

そう考えて、俺はゆっくりと扉を開けて、部屋から出ていった。


「…ふぅ」


部屋から出た直後、俺は妙に安堵した、あの緊張した場所にいるのは辛い。

何だか部屋から出て色々と解放された気分だ。


「リオ、シルバーは大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だ、アルルが手当をしてくれてるからな、それと、マナ達は?」

「フレイ達が往復して運んできてくれてる」


それからしばらくして、マナ、メルトがこの仮拠点に運ばれた。

それから順調に手術は進み、シルバー達は何とか無事に手術が成功した。

今はベットで休んでいる状況だ。


「よいしょっと、点滴も終わり、これで大丈夫ですね」

「結構順調だな」

「はい、シルバーさんの怪我も、リオさんの怪我と比べるとまだ」

「俺、どんだけ痛手を受けてるんだよ」

「はい、普通なら死んでるような怪我を何度もしてました」

「…マジか、この小さい体になぁ」


俺は自分の傷痕を少しだけ見てみた、やっぱりかなりの重傷なんだろうな。

本当、よくまぁ助かった物だよ。


「お姉ちゃん」

「どうした?」

「向こうから攻めてきていた騎士団、クリークさんの活躍で撃退出来たって」

「おぉ、流石クリーク、で? こっちの被害は?」

「クリークの指揮下に入った迎撃部隊は全滅、防衛軍は無傷

 被害は全体の3割相当だって」


やっぱりクリークの指揮下に入ると、生存が難しいみたいだな。

しかし、その事が分かっているのに、何故兵士達はクリークの指揮下に入るんだ?

あんな感じでもカリスマとかがあったりするのかも知れない。

まぁ、大体悪党の総司令でもそんな感じかな。

クソ野郎なのに、何故か威厳があって、カリスマがあると言うね。

それと似た感じなのかも知れない、やっぱりカリスマの方向性は違うんだろうな。


「で、向こうの大将は討ち取ることが出来たか?」

「いや、出来なかったみたいだよ、そもそも指揮官がいなかったかもって言ってた」


予想外の攻撃だったから、すぐに撤退をして指揮官の姿が見えなかったのかもな。

まぁ、何とか撤退させることが出来たんだし良しとするか。


「そうか、じゃあ…ん?」


俺達が話をしていると、嫌な音が外から聞こえていた。

ヘリの音だ、あの独特な音、クソ、まさかこっちにも飛行部隊がいたのかよ!


「クソ!」


俺は急いで仮拠点からトラ達が持ってきた銃火器の内、S&W M686とH&K UMPを取り

仮拠点を飛び出して上空を見てみた。

すると、一機のヘリだけが飛んできている。

そのヘリの中には人の姿は無い、だが、豆粒大の何かが飛んでいるのが見えた。


「まさか…」


俺はすぐに狙撃銃を構え、そん豆粒を確認することにした。

ミロルだった、ミロルの奴が空から飛び降りていたんだ。

ミロルはすぐに近くの地面に着地、もう少し早く気が付くことが出来れば

空を飛んでいる時に撃ち抜けたって言うのにさ。


「…ミロル」

「…怪我は治ったのかしら? リオ」

「まさか単身でここに来るとは思わなかったよ、死にたがりか?」

「まさか単身で私の前に出てくるとは、死にたがりかしら?」

「「……」」


沈黙の中、ミロルが何故か不敵な笑みを浮かべた。


「さぁ、楽しみましょう!」


ミロルが腰に付けている銃に手を動かしたのを見て、俺もすぐにS&W M686を抜き

狙いを定めて引き金を引いた。


「はは!」


ミロルが引き金を引いてほんの一瞬遅れ、俺が引き金を引く形になったが。

お互いが放った銃弾は空中で衝突、あらぬ方向にはじき飛ばされた。


「ふ、流石はリオ、凄まじい速度ね」

「お前の銃はコルト・パイソンか」

「よく色んなゲームやアニメで出てくるでしょ? やっぱり格好いいデザインよね

 で、そっちは?」

「何だ? S&W M686知らないのか? お前が出したくせに」

「あぁ、名前を聞いて思いだしたわ、ごめんなさいね、私、そこまで銃器に詳しくなくて」

「でも出せるんだな」

「まぁね、INWに出てくる銃なら全部出せるわ」

「それは凄まじい量だな、あのゲーム、銃の量が異常なくらい多いし

 車両の数も凄まじい」

「…ふふ、やっぱりあなたも転生者、それ程の腕となれば当然あのゲームも知ってるのね」

「あぁ、クリアするのに苦労したよ」

「は? クリア?」


まさかこいつはクリアしたこと無いのか? まぁ、あの鬼畜ゲーをクリア出来たのは

多分俺だけだからな、こいつほどの実力があってもクリアは出来なかったのか。


「じょ、冗談はよしなさいよ、あれをクリア出来たのはあの人だけ」

「あの人ってのが誰かは知らないが、ま、事実は事実だ」

「…ふ、ふざけないでよ!」


何故か怒ったミロルが両手にH&K MG4を召喚して乱射し始めた。


「冗談じゃ!」


俺はすぐにウィンチェスターを召喚し、超集中状態からの弾道計算

そこから自分に飛んでくる弾丸を予想して、その弾丸を弾く為に引き金を引いた。

俺の予想は的中、俺が放った1発の弾丸で、当たった弾丸が跳弾

別の弾に跳弾という形で跳ね返り、俺はその間に仮拠点内部に隠れた。


「リオちゃん! 大丈夫!?」

「あぁ、でも、窓から顔を出すなよ! 後、その事を仮拠点の兵士達にも言え!」

「う、うん! わ、分かった!」


ちぃ、何でいきなり発狂しやがった、何がしたいんだ、あいつは。


「リオ! 私をからかうなんて良い度胸じゃ無いの!」

「何の事だよ!」

「そのままよ!」


クソ、訳が分からない、とりあえず何とか倒す方法を考えないと不味いな。


「テメェ、本当に何がしたいんだよ! 訳が分からない発狂したり!

 ここに単身で来たりしてよ!」

「言ったでしょ? 私は国民の為に戦うの、だから、あなたを殺す!」

「は! だから、何が国民の為だよ!」

「ほら! 出て来なさいよ!」


クソ、また乱射を始めやがったな、だが、この地形ならこちらに分があるのは間違いない。

今回、俺はこの仮拠点を中心に行動すれば良いんだからな。

障害物がある状況なら、立ち回るのは容易に出来る。

問題はグレネードだあいつなら使えるはず。


「どうするかな」


ひとまず、弾丸が止んだときに少しだけ顔を覗かせた。

すると予想通りミロルは手にグレネードを持っていた。

これは破壊するしか無いだろう。


「この!」

「くぅ!」


俺はウィンチェスターでグレネードを狙撃してはじき飛ばす。

だが、大人しくしているミロルでは無い。

すぐに自分の手元にAK-47を召喚し、こちらに攻撃をしてきた。


「ち!」


危ない、頬を擦ったぞ、擦った場所から僅かながら血が滴り落ちる。

俺はその血を軽く拭い、ウィンチェスターに弾を装弾した。


「くたばりなさい!」

「げ!」


弾丸が止まったからチラリと外を見てみると、ミロルが自分の手元に

RPG-7を召喚しており、こちらを狙っていた。


「舐めるなよ!」


俺はRPG-7の弾頭が発射されて、少し経ち、その弾頭を狙撃。

弾頭は爆発し、周囲に強い爆風が吹いた。


「甘い!」

「く!」


だが、向こうは俺に弾道を狙撃されると言う事を学習していたのだろう。

あいつの手元にはカールグスタフがあった。

まさか無反動砲まで召喚できるとは、確かにINWにもあったけどさ!


「今度こそくたばりなさい!」

「ちぃ!」


俺は超集中状態を発動させ、すぐにウィンチェスターの次弾を装弾し

すぐに弾道に狙いを定め、引き金を引いた。


「くぅ!」

「うぉ!」


結構距離が近かったのもあるのだろう、俺にもかなりの爆風が襲いかかってきた。

そして、爆風が俺達の視界を塞ぐ。


「く!」


そんな時、銃声が聞こえたと思うと、爆風の向こう側が光った。

それを見て俺は超集中状態を発動、頭部を守るようにウィンチェスターで防ぐ。

反射的な物だった、その反射神経のお陰で弾丸が当たったのはウィンチェスターだった。

あの判断が無ければ、俺は眉間をぶち抜かれてたって訳だ、ち、どうやって狙った。


「ふふ、サーマルスコープって言うのも結構便利よね」

「あぁ、確かにそれなら狙えるな、盲点だった」


壊れたウィンチェスターを放棄して、M1903A3を召喚した。

損傷したし、これ以上ウィンチェスターを使うわけにも行くまい。

まぁ、たまには気分を変えてって感じだな。

それにアイアンサイトが結構似合う狙撃銃だしな。

やっぱりアイアンサイトは古い狙撃銃がよく似合う。

それと一応M110 SASSを召喚しておこう、セミオートだし。


「さぁ、リオ、今度こそ年貢の納め時よ、その命、頂くわ」

「生憎だが、俺の命はどうやら、俺1人の物じゃ無いらしくてな

 そう簡単にくれてやるわけにはいけないのさ

 まぁ、お前がこっち側に付いてくれるって言うなら

 命を差し出すことを考えてやっても良いぞ?」

「取引なんて不要よ、無理矢理奪うのだから」

「そりゃそうだ、面倒な取引をするよりも、無理矢理奪う方が楽だしな

 だが、その場合は抵抗しないとな、俺1人の命じゃ無いんだ

 奪うつもりなら、テメェも奪われる覚悟で来いよ

 言っておくが、俺はそこまで優しくないからな」

「上等、奪い取ってやるわ! まとめてね!」


さて、何とか撃破する方法を考えないとな、向こうは多種多様な銃器の召喚が可能。

俺の方は狙撃銃限定、それとS&W M686残弾5発とH&K UMP残弾30発か。

向こうの召喚だから消すことも出来るのかも知れないが、消してこないよな。

まぁ、チャンスは利用させて貰うけど。

しかしまぁ、どっかで攻勢を掛けないと不味いのは間違いないな。

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