制圧の下準備
物乞いの振りをして、何とか奴隷として忍び込むことが出来た。
あの奴隷少女の情報通り、敵の奴隷調教は
総司令の地下深くに点在していたようだった。
そして、予想以上に規模が大きい、これは酷いと思えるほどに。
激しく鞭で叩かれて、ゆっくりと希望を失っていく少女もいるし
反抗し、すぐさま制圧、調教と言う名のただの暴力を食らわされてる
男の奴隷達もいた。
後、地下深くだと言う事もあってか、無銭で穴を掘り続けている
男の奴隷が多い、いや、男の奴隷の殆どはその穴を掘っている。
なんの為に? もしかして爆弾か? でも、爆弾をここに作るか?
もしも爆弾の穴が掘られているとすれば、制圧すれば良い感じか?
…どうするかな、とりあえず総指揮官を何とか拘束して吐かせるか。
「おら、きょろきょろするな、お前らの部屋はここだ」
「あぅ」
「う」
「うぅ…」
痛ぇ、何も蹴ること無いじゃないか。
しかし、拘束具も何も付けないんだな、普通は付けるだろうに。
にしても、これが牢屋か、便所は露出した小さな便器が1つ
風呂なんて言う小粋な場所は無し。
寝床は小さいベットが1つあるだけだから、3人では眠れない。
いや、無理に詰めれば眠れるか? かなり寝苦しいだろうな。
「調教は今夜の9時からだ、精々それまで休んでろ
まぁ、休める空間なんぞ何処にも無いがな、クソガキ共」
「何で…何でこんな事するの!? 私達は何もしてない!」
「は! この状況で怯えながらでも聞いてくるのか
そのメンタルだけは褒めてやるよ、まぁ、その反抗的な目が
いつくらいの調教で消えるか楽しみだな、クソガキ」
「許さないんだから! 絶対に妹たちは私が守る!」
「お、お姉ちゃん…」
「お、落ち着いて」
「はは、良いぜ、じゃあ、今日はテメェの調教だけにしてやろう
その妹2人分の調教も合わせてやってやるよ」
え? マジで? ヤバくない? 何か俺ヤバくない?
で、でもまぁ、2人が痛い思いをしないで済むなら…
でも、痛いの嫌だな、慣れてるとは言えキツいもんはキツい。
一応演技のつもりだったんだけどなぁ。
「精々楽しみにしてろ? 1回目の調教でぶっ壊れるなよ?
俺達は反抗してくる奴をじっくりと壊していくのが好きなんだからよ
1回目の調教でぶっ壊れるなんて言う興醒めな結果だけは避けろよな」
「わ、私は負けない! 2人の為にも負けない!」
「くく、そう強がる事が出来るのも今日までだろうな
まぁ、可愛い悲鳴を上げて苦痛の表情を見せてくれよな」
何なんだろうか、こう言う奴はロリコンなんだろうか。
いや、もしかしたらロリコンじゃなくてドS?
どっちにせよただの変態野郎だ、関わりたくないな。
で、そんな事を言った後にあいつは牢屋前から消えた。
「…お、お姉ちゃん…な、何だかヤバそうだよ
大丈夫なの? 私達の分まで…お姉ちゃんが」
「まぁ、大丈夫だろう、この中で1番痛みに強いのは多分俺だし」
「でも、リオ…」
「何、気にしないでくれ、俺がぶっ倒れても作戦の重要なポジションである
お前ら2人が動ければ、それだけで十分だろうよ」
「また…無茶をするの?」
「今回は事故だ、全員一切反発しないのは違和感があると思ってな。
で、一応長女という事になってる俺が反発する演技をしたんだけど
まさかそれで全員の調教というか拷問を肩代わりするはめになるとはな」
これは予想できなかった、まぁ、結果オーライだろう。
今回の作戦で俺がぶっ倒れても問題は無いはずだからな。
「でもまぁ、一応言っておかないとな、今回の作戦、
制圧する前に総大将を拘束して爆弾の場所を吐かせてくれ。
これは重要な事だ、爆弾の位置が分らないと被害が拡大するからな。
もしも俺がぶっ倒れた場合、ちゃんと聞いててくれよ?」
「分かった」
「でも…倒れないでね? お姉ちゃん」
「大丈夫、何とかするさ」
で、調教の時間が来た、俺はやって来た看守に引っ張られて
拷問部屋と思われる部屋まで連れて行かれた…何かヤバいな。
拘束具は赤く染まっていて、地面や壁にも何カ所も血の跡がある。
雰囲気的に血しぶきか…で、拘束されている椅子も当然真っ赤だ。
「こ、これは…」
ヤバいな…これはマジの調教…いや、やっぱり拷問だな。
普通の子供がこんな拷問を食らえばすぐに発狂するだろう。
いや、子供相手の拷問だし、何か違うかも知れない。
きっとこの血は大人を調教する時に付いた血なんだろう、きっとそうだ。
そうなんだよな? そうだよね? 子供相手に酷い拷問はないはず。
「本来、子供相手なら軽ーく調教するだけなんだが
お前は特別に大人にする拷問で行ってやるよ、3人分だからな」
……何てこった、俺、死ぬかもしれない…へまったな。
「まぁ、お前は商品だ、顔には傷を付けねぇよ、隠せねぇからな」
「な、何をする気?」
「まずはこうだ!」
「うぐ!」
は、腹殴られた! 全力とかマジで勘弁してくれ…まぁ、悶えるほどじゃない。
リーシャの変装してた時に全力で腹を蹴っ飛ばされたからな。
あの時と比べればまだ優しい方だろう…あの時は死ぬかと思った。
「おらおら!」
「あぅ、あふ! けふ!」
い、一撃一撃が軽くても、何発も食らうとなると超痛い。
あぁ、無茶するんじゃなかった…死ぬかもしんねぇ、何か吐きそう。
「はぁ、はぁ」
「ふーん、結構頑張るな、ま、椅子に座ってる奴を殴るとなると
あんまり力入らねぇし、でもまぁ、痣にはなるんだな」
「……うぅ」
腹部に目をやると、確かに痣が出来ていた、結構痛いな。
鋭い痛みというわけではなく、鈍い痛みか。
「じゃ、次は」
今度は小さな針を出した、何あの針? たこ焼きを返す時の針かな?
…で、それを今、この場所で出したと言う事は…その…つまり…そういう…
「ほら!」
「痛い!」
痛ぇ! 手の甲に刺しやがったぁ! 超痛い! でも、左…まだ左だ。
これで右に刺されてたら結構ヤバかった気がする!
「へ、大分痛そうだな」
「う、うぅ、うぅ…」
頼むから刺した奴をグリグリしないで欲しい…ただでさえ痛いのに。
と言うか、調教というかただの拷問だよな、これ。
でも、まだ大丈夫だ…木が腹に刺さった時の方がもっと痛かった。
あれ? こう色々と思い返してみると、何か涙出てくるくらい
俺、怪我ばかりしてるよね? 殆ど大怪我してる気がする。
何故だろう、何か本当に悲しくなってくる。
「次はここだ!」
「あぅ!」
こ、今度は左の肩なのか、やっぱり超痛い、マジでヤバい。
死ぬ、血がスゲー出て来て死ぬ! って、焦るほどでもないか。
いや、これ位の出血は結構してるからな、問題は無いだろう。
ただ痛いのは勘弁して欲しい、俺はMじゃないんだ。
どっちかというとSなんだけどなぁ。
まぁ、俺は多分SでもMでもなくN何だけどさ。
「はは、どうだ? 辛いだろう?」
「こ、この位で私は…ま、負けない…もん…」
「へぇ、結構根性据わってるガキだよな
奴隷にしておくのが勿体ないくらいに、だが、奴隷は奴隷
まだまだ行くぜ? まだ1人分程度の調教しかやってないからな!」
「あぐ!」
その後も何分か調教が続いた、でも、掛かった時間は1時間程度。
でも、ボロボロなんだよな…ケホケホ…腹が超痛い。
後、胸も何発かぶん殴られたからやっぱり超痛い。
で、明日は性的な調教をするとか言ってたな、おぉ、怖い怖い。
まぁ、明日はないけどな! 畜生、舐めやがって!
絶対に明日復讐してやる! ぶちのめしてやるし!
地面を舐めながら命乞いをさせてやる! 待ってやがれよこんちくしょう!
「は、ま、明日は俺じゃないが、精々頑張れよ、クソガキ」
「ぜ、絶対に…絶対に殺してやる!」
「おぉ、怖い怖い、ガキから殺してやるなんてよ!
まぁ、やれるもんならやってみろよ、何も出来ないガキにゃ無理だろうがな!」
その気になればいつでも殺せるんだよな、今、このタイミングで
俺が狙撃銃を召喚して頭をぶち抜けばそれで全部ケリが付く。
いつでも殺せる、だが、やらないのは作戦のためだ。
精々明日までのうのうと過ごしてやがれ!
「じゃあな、ガキ共、他のガキ共よ、ま、お前らの姉に感謝することだな。
で、ゆっくりとぶっ壊れて行く姉を見て後悔する事だな。
自分達のせいでお姉ちゃんが壊れちゃったってな、くははは!」
笑いながらあの男は目の前から消えた。
「あの男、リオに酷い事をした、死んで償うだけじゃ許さない。
痛めつけて殺す、まずは全身の関節を外して、全身の毛を一気に抜く!
その後、爪を全部剥いで、次に全部の歯を1本1本気絶しないよう抜いてやる」
「こ、怖い事言うな、お前…大丈夫だよ、俺は結構問題な、いつぅ…」
うくぅ、腹が痛いし腕も足も痛い…完全に拷問だよ、これは。
「リオ…やっぱり、私があいつに報いを」
「止めとけって…大丈夫だからよ、あんな雑魚1人に
そんなに時間を掛けててたら大事な事を仕損じる」
「…お姉ちゃん、お腹が…」
「んぁ? あ、痣だらけだな、でも、大丈夫だからよ
だから、泣かないでくれよ、これ位はよくあることだ」
「で、でも…私達のせいで…こんな…事に…」
「だから、あれは事故だ、お前が気にすることじゃない」
「うぅ、お姉ちゃん…無茶、しないでよ…」
「しないしない、今回はしないから」
「……今回は? じゃあ、別の時にはするって言うこと!?」
「お、怒るなよ、目立つから」
「う、うぅ…」
大分悪い事をしてしまったようだな…俺も反省しないと駄目か。
はぁ、性分だとは言え、怪我ばかりするのはやっぱり嫌だね。
本当あまり酷い目には遭いたくないな…今日遇ってしまったけど。
でも、これは仕方のない事だ、だから、堪えるさ。
そして、その日が終わり、次の日の朝となった。
作戦は順調に進んでいる、拘束具が無いからより楽に遂行できる。
「おい、餓鬼共、朝飯だぞ?」
「…待って、美味しいの?」
「あぁ? 知るかよ、奴隷の飯なんぞ食う気にもなれねぇよ
で? お姉ちゃんよ、傷はどうだ? お? 痣はそのままだな」
「お前のせいで付いたんだから」
「自分で酷い目に遭わされに来ただけだろ?」
「お前が悪いんだ!」
「うっさいな、ま、今日の分の拷問をキツくしてやってくれって
今日の奴に…言って…お、く…」
「リオ、時間稼ぎありがとう」
「まぁ、余裕だな、俺達の事を無力な子供なんて思い込んでた奴が悪い」
「うん」
「よし、ウィン」
「分かった」
「じゃあ、私は鍵を開けさせておく、違和感ないように」
「あぁ、頼むぞ」
そのままフランはあいつを操って鍵を開けさせて。
ウィンはフレイ達をこっちに連れてきた。
「り、リオちゃん! その怪我!」
「んー、ま、いつもの事だ」
「無茶しないでって! むぐ!」
「待て! 叫ぶな! まだ準備は整ってないし
近場はあいつ1人とは限らない、準備が整う前にバレると怠いぞ?」
「う、うぅ…」
「まぁ、その…無茶したのは…謝るからよ」
「うぅ…ごめんね、リオちゃん」
「お前が謝るな、まぁ、その…ごめんな、無茶して…」
それから少しして全員をこっちに移動させることが出来た。
全員、連れてくる度に俺の怪我の事を聞いてくる。
心配してくれてるのと、見た目はスゲー痛そうだからな。
「これでよしですわ」
「ありがとうよ」
とりあえず、やって来たシルバーが軽く手当をしてくれた。
その後、ウィンに連れられて元の場所に戻る。
やって来た理由はウィンが連れてきたかららしい。
俺が怪我をしたからって事で手当で来たそうだ。
やっぱり大分心配掛けてしまったようだな。
「さてと、じゃあ、そろそろ」
「うん、やろうか」
それじゃあ、作戦開始と行くか、あの馬鹿共に目に物見せてやる!




