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幼女に転生した腹いせに狙撃チートで戦場を荒らしてやる!  作者: オリオン
第2部、第8章、大都市での諜報活動
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重要な情報

少しの間時間が経って、彼女は少しずつ落ち着きを取り戻してきた。

今も幸せを噛みしめてか涙が流れているが、ほぼ回復だろう。


「なぁ、お前、名前は?」

「名前…名前、何だったか、覚えて無くて

 ずっと38番って呼ばれてたから…」

「いつ頃からだ?」

「確か…2歳の時から…」

「2歳の時に何が? あ、辛かったら言わなくても大丈夫です」


2歳の時に何があったかが気になるのは俺も同じだからな。

親が彼女を売ったから…という可能性は捨てきれない。

だが、もしそうじゃないとすれば、その時に別の勢力が介入する。

この子はきっと、元々はリ・アース国の国民では無いと思われる。

勢力を拡大していったリ・アース国に飲まれた何処かの国の子供。


「…た、確か…騎士、みたいな人が…来て、お、母さん…と、お、父さん…を、こ」


彼女はその事を震えながらしてくれた、涙も流し続けて

顔も真っ青…これ以上は彼女にとっては拷問にしかならないだろう。


「わ、分った、それ以上は大丈夫だ…辛い事を思い出させてしまってすまないな」

「ぜ、全部…言わせて…僕は皆の役に立ちたいから…」

「駄目だよ、辛い思いをしてまで」

「…何なら、私が催眠術で操って、記憶を聞き出す

 そうすれば、あなたは話したことを全部覚えてない、辛い思いもしない」

「だい…じょうぶ…僕は大丈夫…」


彼女がそんなに無理をしてでも話そうとしている理由は何だ?

自分の口から伝えたいことがあるのか?

でも、だとすれば止めるのは良くないのかも知れない。

彼女の意見を尊重し、彼女の意思を無駄にはしない方が良い。

辛くても話したいことがあるのだとすればな。


「お、父さん…達は…騎士に…こ、ころ、された…お兄ちゃんも殺された…

 まだ、赤ちゃんだった…僕の妹は…一緒に攫われて…きっと、今も…

 あの、辛い思いを…してる…助けたかった…でも、僕には…何も…」

「妹?」

「うん…お姉ちゃんも…でも、お姉ちゃんは…もう」

「買われたとか?」

「……うん、5歳の時…買われて…それで…」


…これが奴隷達の状況か、何とかしてやりたいところだが

正直、何処が奴らの本拠地か分らない今は難しい状況だ。

本拠地が分かりさえすれば、そこを叩けば良いんだけどな。


「…その、騎士達って、どんな連中か覚えてますか?」

「良く覚えてる…どんな記憶よりもハッキリと…」

「指揮官とかの名前は?」

「…確か、指揮官の名前は…ケビンって言ってた」

「ケビン!?」

「うん…あと1人は…クラインド…だったと思う」


2人いるのか? それ以上にケビン…いや、騎士なんだし

戦争の時は参加するのは当然かも知れないが。


「そのケビンさんは…どんな人…でした? 姿は見ました?」

「少しだけ…燃えさかる僕の故郷を見て…笑ってた、あの笑顔は…忘られない」

「……笑ってた?」


燃えさかる街を見て笑う? そんな事…普通はあり得ない。

燃えさかる街何て、正直、見るだけでゾッとする。

いや、見るどころか考えるだけでも恐ろしいぞ。

あの悲惨な光景を見たからかもしれないが、どちらにせよ

街が燃えているのを楽しんでみるのは精神異常者くらいだろう。


「……じゃあ、あいつは」

「…国民の前で良い顔をしてるだけで、本来は…」

「……クソ!」


少しだけあいつに希望を抱いてた俺が馬鹿だった!

国を良い方向に変える可能性がある奴じゃない!

ただのクソ野郎かよ! 畜生が! マジでああいうタイプは嫌いだ!

表面上は真面目そうにしてても、本来はクソ野郎! 最悪すぎる!


「…でも、もう一つ大事な事がある」

「あぁ、分ってる、あの部隊にあいつ以外の指揮官相当がいることだ」


あの部隊、まぁ、騎士団とでも言っておこうか、そんな騎士なんて言う

崇高な集団ではないことは間違いないだろうがな。


「あの部隊を壊滅させるにはその2人の指揮官を押さえる必要がある

 あの部隊はリ・アース国を潰す為には邪魔でしかないからな

 何とかして殲滅したいところだが…残念ながら俺達だけじゃ無理がある」

「ですね、相手は何千、こっちは4人ですから」

「あぁ、やりようによっては潰せないことはないが

 正直、かなり危険な賭となるだろう、だが、そんな無謀は出来ない

 より確実に潰すには、やはり本隊と合流することだが

 こうなると1つ面倒な事がある…奴隷達が囚われてる場所が分からない事だ」


下手に攻め込んで、奴隷達の場所も分らないままだと

奴隷達が殺されるか、見付けることも出来ずに餓死するか。

そのどちらかだろう、運良く見付けることが出来るかも知れないが

やっぱり可能性に賭けると言うのはあまり得策じゃない。

確保が確実になったときじゃないと、勝負には出られない。


「そうですね、じゃあ、あの、奴隷達が囚われてる場所は覚えてます?」

「…少しだけ、確か…場所に連れて行かれた記憶がある」


彼女は窓から外を見て、指を刺してくれた。

その方向はこの都市の総司令がある場所。

あの方向? まさか、あの総司令の中で奴隷調教とかが行なわれてるのか?

じゃあ、襲撃が割れてしまったら、すぐに逃げられちまうじゃないか!


「最悪だな、あの場所となると奴隷の確保は難しいぞ」

「はい、でも、襲撃が来て捨てるという可能性もありますが」

「その可能性は捨てきれないが…だが、国王が絡んでるであろう商売だ

 国王の命令に逆らうのは無理だろう、だから、連れて逃げる可能性もある

 それか、奴隷を奪われるのが嫌で、奴隷全員を殺す可能性もある」

「そうなったら救えませんね…ですが、あんな場所…どうやって」


警備が厳重な敵の司令塔、そう簡単に侵入できるとは思えない。

フランの催眠術で侵入しようとしても、フランが使える対象は1人だけ。

1人を操作していても、別の奴にバレてしまって捕まるかも知れない。

だったら総指揮官を催眠術で操って自由に動かすか?

でも、総指揮官の姿はここからは見えない、何処にいるかも不明

誰が総指揮官なのかもさっぱり分らない。


「…どうする?」


バレないようにあの中に入って奴隷の場所を見付け出すのはどちらにせよ困難。

あの中の警備は外の警備の比じゃないくらい厳重なはずだしな。

このままだと八方塞がり…潜入も出来ないし、攻撃も出来ないか。


「……」


いや、1つだけ方法がある、それは奴隷として侵入することだ。

そうすれば違和感無く、確実に奴隷達が囚われている場所に行ける。

だが、問題はそこからの脱出方法だ、魔法が使えるのだから

魔法を使って脱出することは出来るかも知れないが

正直言って、魔法で脱出が出来るのはこの中だとウィンとフランの2人だ。

俺は拘束されているであろう状況で拘束具を壊すことは出来ない。

ウィンはテレポートでの脱出が可能だが、テレポートだと

敵を倒すことは出来ないだろう。

フランの場合は催眠術で看守とかを操って

鍵を開けさせれば良いが、1人1人しか操れない状況では

脱出は困難極まりない…どちらにせよヤバいんだよな。

1番ある可能性は俺達3人が同時に捕まることだ。

そうすればフランの催眠術で看守を操って拘束を解かせ

俺が敵を1人1人殲滅しながら進み。

ウィンはその場所でテレポートを使い、行ったり着たりして貰って

奴隷達を1人1人解放していくことが出来る。

だけど、かなり危険な賭になるのは間違いないだろうな。

でもまぁ、ウィンにフレイ達を連れてきて貰えば大丈夫か。

その間に外からの攻撃サインを出す。

そうすりゃあ、内と外からの同時攻撃が可能だ。

でもまぁ、そうなったら俺が行く必要は無いかも知れない。

外から敵を撃つ方が的確で確実かも知れんな


「だが、危険か」


正直この作戦は初日がキツいと思う、奴隷として潜入するんだから

俺達は調教とか受けるかもな、初日はどうしても行動出来ない。

理由はウィンのテレポートをその監獄に置けないからだ。

ウィンは1日その空間にいないとテレポートが出来ない。

だから、絶対に初日は動くことは出来ないと言うわけだ。

この作戦の重要なポジションはウィンなんだからな。

俺は行こうが行くまいがどっちでも良いんだけどよ。

一応、命令を出す立場としては行った方が良いのかも知れない。


「何が危険なんですか?」

「あぁ、口に出たか、そうだな、ちょっと説明するか」


俺は3人にさっき俺が考えた作戦を話してみた。


「あの、それ、私は?」

「外から攻める部隊と合流して戦う感じかな」

「いや、それ、いります?」

「じゃあ、門番を倒して内側から門を開けてゴーサインを出して

 外の部隊を進ませろ、それなら良いだろ?」

「あ、確かに重要かも知れません、でも、リオさん

 潜入する方はかなり厳しいのでは? それに、そちらのサインはいつ?」

「ウィンを向わせてお前にやれと言って貰おうと思ってる

 で、お前は門番を撃破して外門を開けろ、一応言っておくと

 お前、結構キツい立場だぞ? 1人で敵の門番殲滅できるのか?」

「……えっと、大丈夫です」

「不安だな、やっぱりお前は外から攻めてくる味方と合流して」

「いえ! やはり私は!」

「…はぁ、だったら今からウィンに頼んでシルバー達をこっちに連れてきて貰う

 確実に事を運びたいからな、お前はシルバー達と一緒に門を開けろ」

「何か、無能扱いされてるようで…」

「確実に事を運ぶためだ、人数は多い方が良い

 お前に死なれちゃ困るからな」

「り、リオさん!」


うぐわぁ! こいつ! いきなり抱きしめてきやがった!


「この馬鹿! ウザったい!」

「あぅ! でも、愛の鉄拳なのですね!」

「はぁ、ったく」

「いやぁ、リオさんは本当ツンデレですよね、何だかんだ言ってて

 私の事を大事にしてくれてるってのがまさにそれです!」

「やっぱりお前1人で行って死んでこい」

「い、いやほら、か、確実に事を運ぶ方が良いとリオさんも!」

「だったら最初から素直に従え!」

「ひゃい!」


本当にこいつは嫌だな…まぁ、死なれちゃ困るのは間違いないが。

一応何度も助けて貰ってるんだし。


「でもまぁ、大事なのはやっぱりウィン達の意思だな

 勝手に話を進めるわけには行かない…で、どうだ?

 一応危険な部分も話したし、それをあわせてどう思ってるか」

「…大丈夫、仲間がいるなら痛い程度我慢できる」

「私も、お姉ちゃんの為なら何だってやるもん!」

「…そうか、結構キツいが、2人が良いならやるか

 じゃあ、ウィン、早速で悪いが俺を城まで運んでくれ

 その後、シルバー達をこちらに運んで、その往復の間に彼女を城に」

「分った」

「後はフレイ達もここに運んでおいてくれ、すぐに移動できるようにな」

「うん!」


俺はウィンに運んで貰って、レギンス軍団長に今回の作戦を話した。


「その作戦はお前達がかなり危険な立ち位置になるぞ?」

「いつもの事です」

「は、ガキが無理するんじゃねーよ、それに奴隷は放って置けば良いだろ?

「そうは言っても、やらないとこっちの被害が広がるだけですよ?

 この作戦なら門の突破は容易で内側からも崩壊を狙える。

 外と内の同時攻撃、敵の総指揮官も仕留めきれる可能性だって見る」

「そうかもしれねぇが、テメェらガキにそんな真似が出来るか?」

「今まで何度かやってきましたよ、子供だからと言って侮らないでください」

「…は、ガキのくせによ、本当馬鹿だぜ」

「…私も出来れば避けて欲しいのですが…ですが、彼女の策が最も効果的でしょう

 外から全勢力での攻撃だと突破に手間取って指揮官に逃げられますが

 内と外から速やかに攻撃が出来れば、その騎士の指揮官2人も倒せる可能性があります」

「…私も同意見です、無理はして欲しくはないんですけどね」

「私達はサポート、皆様の意思に沿って行動します」

「…では、この作戦は決行しよう、軍の準備にしばらく掛かるだろうから

 その間、待機していてくれ」

「はい」

「それともう一つ…俺達が奴隷として侵入すると言う事は内密に

 全部隊には門の突破をする為に総攻撃をするとお伝えください」

「何故だ?」

「心配事がありまして、杞憂なら良いんですけどね」


前回、サンズ地方に侵入したときのあの不自然な情報漏洩。

俺達が侵入したと誰も知らなかったはずなのに流れた噂。

俺達の侵入、それに特徴まで一致…あの時は

エナさんのお陰で大事は避ける事が出来たんだがな。

そうなると内通者がいるという心配事が出来た。

だから、今回は全部隊にはデマ情報を流し、流れを見ることにした。

杞憂である事を祈るばかりだが、その祈りは届かない。


「…敵軍が慌ただしくなってますね」

「あぁ、明らかにおかしい…まるでこっちの襲撃に感付いてるかのようだ」

「まさか…私たちの中に内通者がいたと言うことですの?」

「それを心配して軍団長達には作戦の詳細を全体に伝えないで欲しいと言った

 まぁ、俺達小さな戦士達の中に内通者がいないのは間違いないけどな」

「少し疑ってたりしました?」

「まさか、確信してたよ」

「はぁ…それにしてもこの状況は…」

「ほぼ内通者がいると言うことで確定…誰かはまだ分からないが

 しかしまぁ、詳細を伝えないでくれと頼んだのは正解だったな

 あいつら、内側を一切探ってない、ま、侵入もあまり大っぴらに言ってないしな」

「何故?」

「内通者を警戒してだ、知ってるのは最高幹部達だけだ」


だから、別に警戒されることなく日々が進んでいったという感じだな。


「よいしょ、お姉ちゃん」

「ウィン、かえってきたと言う事は」

「うん…準備、出来たって」

「よし、じゃあ、行くか」


とりあえずは物乞いのフリをして親を失った子供という感じで行くかな。

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