看病2日目
リオさんの看病を始めて2日目が経過しました。
リオさんの体調はあまり良いと言う感じではありませんね。
昨日よりも体調は悪くなっていますし
風邪薬はちゃんと飲んで貰ってるんですけど。
やはり最終的にはリオさんの体力次第…と言う事になりそうですね。
「リオちゃん、まだ治らないの?」
「はい」
今日の看病担当はフレイさんですね。
少し不安要素も多いのですが、フレイさんもリオさんが大好きですし
きっと大丈夫でしょう、ちゃんと言うことは聞いてくれるはずです。
本人も自分のせいでリオさんがこうなったと思ってるみたいですし
自分勝手な行動はしないはずです…多分ですけどね。
「リオちゃん…凄く辛そう…私がリオちゃんを連れ回したから…
ごめんね、リオちゃん…本当にごめんね…」
「フレイさん、リオさん、今寝ていますよ、話しかけても聞えないと思います」
リオさんは少し辛そうにしながらも眠っている。
何だか汗も凄いですし、辛いのは明白ですね。
熱も昨日から引いていません、むしろ上がってるかも?
「フレイさん、新しいタオルをお願いします」
「分かった!」
私の指示を聞いて、全力疾走でタオルを取りに行った。
「ひゃぁ!」
「フレイさん!?」
大きな物が地面にぶつかるような音が連続で響いた!
まさか、フレイさん階段から落ちたんですか!?
ここは2階ですし、可能性はあります!
「ふ、フレイ…」
「リオさん!?」
その物音と悲鳴でリオさんが目を覚ましてしまった。
「ケホ…あいつ…ケホ、ケホ! 怪我、を、ケホ!」
「リオさん! 起き上がろうとしないで! 眠っててください!
フレイさんは私が見に行きますから!」
「うぅ…」
リオさんは辛そうに片目を瞑り、汗を流しながらこちらを見ていた。
呼吸も荒いし、咳も昨日よりも多く出ている気がする。
体調はよくなっている、とは言いがたいですね。
「アルル…ケホ、ケホ…フレイ…を、頼む、ケホ…」
「分かってます! 寝ててくださいね!」
リオさんを寝かせた後、すぐに階段を降りてフレイさんの状況を確認した。
「フレイさん、大丈夫ですか!?」
「痛たた…腕ちょっと擦りむいちゃった」
「フレイさん!? 頭とか打ってませんか!?」
「だ、大丈夫だよ、頭は手で守ったから、腕は痛いけど」
腕を何カ所か擦りむいているようですが、頭部は打ってないようですね。
急いでいるのは分かりますが、焦りすぎですよ。
やはりリオさんに対する罪悪感があって、つい焦ってしまうのでしょう。
「はぁ、フレイさん、気を付けてくださいね?」
「う、うん…あ、急いでタオルを!」
さっき怪我をしたと言うのに、フレイさんはすぐに走り出し
台所でタオルを冷やし、すぐに戻ってきた。
この短距離では怪我などはしないでしょうが
さっき怪我したばかりで走り出すのはちょっとよろしくありませんね。
「フレイさん、焦るのは分かりますが、先ほど怪我をしたのですから
少しは反省して、ゆっくりと行動してください」
「でも、リオちゃんが大変なのに…」
「フレイさんが怪我をする方が、リオさんは辛いと思いますよ?
リオさんはそういう人ですからね、自分よりも皆さんを優先しますし」
「うぅ…そうだね…リオちゃんだもん…」
流石に反省したようで、少しだけうなだれた。
「反省出来るなら、安心です、さぁ、フレイさん、リオさんの所に行きましょう」
「うん」
私はフレイさんの手を握り、ゆっくりと階段を登って、リオさんの元に着いた。
「あぁ、フレイ、怪我、してないのか」
部屋に入ると、リオさんは起き上がり、心配そうにこちらを向いていた。
ずっと私達が戻ってくるのを待ってたと言う事ですか。
はぁ、リオさん、自分が辛いというのに人の心配をするとは。
何処まであなたはお人好しなんですか。
「リオちゃん!? な、なんで起きてるの!?」
「あ…あんな馬鹿でかい、ケホ…音と叫び声が聞えたら、けほ、ケホ
そりゃ、誰だって、ケホケホ! うぅ、ケホ!」
「リオちゃん! 大丈夫!?」
やっぱり咳をする頻度がかなり上がっています。
大丈夫なんでしょうか……
「大丈夫だ、ケホ、で、ふ、フレイ、頭、打ってないか?」
「う、うん、大丈夫だよ」
フレイさんの言葉でリオさんは少しだけ安堵の表情を浮かべた。
でも、すぐに少しだけ馬鹿にするような表情に変わる。
「そ、そりゃ、残念だな…ケホ、頭打ってたら、賢くなってたかも
ケホ、しれないのに、よ」
「リオちゃん」
そのからかうような言葉を聞いて、フレイさんは少しだけ嬉しそうにした。
やっぱりリオさんは優しいですね、酷く心配させないように
辛くても普段通りに振る舞う…それがリオさんの優しさ。
本当にそういう所が大好きですよ、私は。
一生付いていきたいと思えるほどに。
指揮官としても、女の子としても、私はリオさんの事が大好きです。
まるで男の子みたいに不器用で男の子みたいに強く、乱暴で
男の子みたいに素直になれないで、男の子みたいに友達思い。
あれ? 女の子ですよね? リオさん、女の子ですよね?
何だか女の子的な要素があまり無いんですけど。
「アルル…ケホ、とりあえず、ありがとうな」
「は、はい!」
ありました! リオさんの女の子要素! 超可愛い所!
後、恥ずかしがり屋さんな所です! いやぁ、可愛いですなぁ!
普段は男の子でも、たまに見せる女の子の一面が最高なのです!
あぁ、ギャップ萌えと言う奴ですね! ギャップ最高!
「アルル…表情が気持ち悪、ケホ」
「は! も、申し訳ありません! つい!」
「はぁ、本当、お前は、ケホ!」
「リオちゃん、駄目だよ、寝てないと」
「うぐぅ」
リオさんがフレイさんに押さえ込まれて強制的に寝かされた。
「フレイ…ケホ、重い、あと、ケホ、近いぞ…ケホ、ケホ…
風邪…移っても知らない、ケホ!」
「押さえてないとリオちゃん起きるし、それとさ!
馬鹿は風邪引かないってよく言うし大丈夫だよ!」
「それ、自分で言うなよな」
うん、仲良きことは美しきかな! いやぁ、最高ですね!
リオさん、普段フレイさんには超厳しいのに
やっぱり何だかんだ言ってフレイさんの事も大事にしてるんですから。
本当にツンデレさんですね、リオさんは!
「とにかく、フレイ…どいてくれよ」
「駄目! リオちゃんが寝るまでどかないもん!」
「ケホ…重くて寝られん」
「あ、そうなんだ、ごめんね」
フレイさんがリオさんから降りてしまいました。
まぁ、あのままでは確かにリオさんは眠れませんしね。
やっぱりリオさんにとってはフレイさんは重たいのでしょうか。
私とかだとかなり軽々と持てますが、まぁ、同じくらいですし
重いんでしょうね、フレイさんはリオさんの事、軽々持てますけどね。
「ふぅ、まぁ、とりあえず俺は寝るよ、ケホ…フレイ」
「何?」
「ちゃんと、アルルの言う事、聞けよ? ケホケホ!
そうじゃないと、け、怪我、するからな…ゴホ!」
「リオちゃん…」
「アルル」
「は、はい」
「フレイの面倒…ケホ! ちゃんと、みて、くれよ?」
「お任せください、ですから、リオさんは安心して眠っててください」
「……頼むぞ」
「はい」
リオさん、やっぱり凄く心配してるんですね、今回残った理由も
フレイさんの心配をしてたからと聞きましたし。
本当に優しい人です、いやぁ、頬が緩みますよ。
でも、その優しさのせいでいつかリオさんが死んじゃいそうな気がして
私は何とも不安なんですけどね…ちゃんと私がしっかりしないと!
だって、死にかけた理由の殆どが優しさ故なんですもん。
1回目はマルさんのご両親の為に無理して魔法を使いすぎて。
2回目だって自分達はすぐに撤退すればよかったのに
少しでも早く街の人達に助かったことを告げたいからという理由で
あの場に滞在した結果、大怪我をして。
3回目は私達の為に命懸けで囮になってくれたのが理由でし。
4回目はウィンさんを助けるために大怪我をして…
このままだと、本当に優しさのせいで死にそうです。
「……リオさん」
「リオちゃん、もう寝たよ?」
「え? あの短い間にですか?」
「うん、目を瞑って少ししたら寝てた」
そんなに辛かったのに、フレイさんが心配だったから起きてたのですか。
無理しすぎですよ…はぁ、リオさんに何とか自分を大事にして貰わないと
本当に…私の嫌な予感が的中してしまいそうです。
もしも今度次の敵基地に侵入しろという命令が下ったりしたら
多分、一緒に行動するのは私、ウィンさん、フランさんの3人。
大事が無ければ良いのですが、もしもの事があったら。
例えばリオさんの事ですし、困ってる人を助けるために無理をして
正体がバレちゃったりして死にかけたりするかもしれません。
…いえ、それを何とかするのが私の役目ですね!
リオさんの優しさを奪うわけにはいきませんし、奪えるわけもない!
だったら、その優しいリオさんを全力でお守りするのがこの私の役目!
何だかテンション上がってきましたよ! 何だってこいや-!
「アルル、次は何をするの? 私、何をしたら良いか分からないから」
「え? あ、はい、そうですね、では、リオさんの汗を拭いてください
リオさん、凄い汗かいてますし、そろそろ拭いてあげないと
汗が冷えて、余計に体調を崩してしまいますし」
「分かった!」
フレイさんは働き者ですね、すぐにタオルを取りに行きました。
「あ、そうだフレイさん、その前に手当てしましょうか」
「ん? 大丈夫だよ、大したことないって」
「怪我をしたら手当てしないと、ばい菌が入ってきますよ?」
「むー」
そう言えばリオさん、フレイさんの腕の怪我に気が付いていませんでしたね。
もしかして、あまり目が見えてないとか? いや、違いますね。
フレイさんに両肩を押さえられていたから見ることが出来なかったんでしょう。
ですが、あまり目が見えていない可能性もありますし、見てみましょう。
でも、それよりも今はフレイさんの傷の手当をして、出来た。
「はい、出来ましたよ」
「ありがとう、じゃあ、リオちゃんの汗を拭いてくる!」
「はい、分かりました」
それじゃあ、私は急いで蒸しタオルを作りましょうかね。
目が見えにくい可能性も考えて、目を癒やす為にも。
熱が出ている間にするのは別に大丈夫でしょう。
頭は冷えてますし、それよりも視力が悪くなる方が大変です。
リオさんはまだまだ小さい女の子、この風邪で
目が悪くなったりしたら、将来的にも可哀想です。
「よし、やりますか」
まずはタオルを半分に折って、端からクルクル巻いて。
この状態で水に濡らして、水が垂れないように絞って。
後は火を使って蒸して、っとと。
うん、後は火傷しないようにタオルを広げて、完成!
さて、後は程よい温度になるまで待って
程よい温度になったらリオさんの目の上に掛ける。
「フレイさん、どんな感じで!」
「あ、今拭いてるよ」
はわわぁ! リオさんの服が脱げています!
「ふ、フレイさん、な、なんで服を脱がしてるのですか!?」
「だって、服を脱がさないと汗を拭けないよ」
まぁ、考えてみれば確かにそうですね
服を脱がさないと体の汗は拭けません。
「と言うか、リオさん、起きてないんですか?」
「うん、起きないよ」
あ、あんなに体を強く動かされたりして拭かれてるのに
起きないんですね…絶対に大きな物音がするよりも
目が覚める可能性が高いでしょうに…
もしかして、あの時リオさんが目を覚ました理由って
フレイさんの悲鳴だったんでしょうか。
「よいしょ、よいしょ、次は下の方も拭かなきゃ」
「あぁあ!!」
駄目駄目! 駄目なのです! 見てはいけないのです!
うぅ、もし見てしまうと、私は暴走してしまうかもしれません!
「ふ、フレイさん! お、お、終わったら呼んでください!」
「え? うん、分かったよ」
ふ、ふぅ、何とか部屋の外に逃げ出しました…
でも、なんで逃げだしたんでしょうか、私!
こ、この扉の向こうは私の、私の桃源郷がある!
ジロジロ見てもリオさんに殴られることもない!
一緒にフレイさんと拭けば、リオさんに触れる事だって出来る!
そう、色々と触れる事が出来る! 今なら誰にも咎められない!
リオさんも起きないですし! フレイさんも別に何も言わないでしょう!
少しだけ、少しだけ自分の欲望に素直になれば、私は桃源郷へたどり着ける!
この扉を開けて、フレイさんにやっぱり私も手伝いますね、と言えば!
その一言を発することが出来れば、私は桃源郷を手に入れ!
最高のヘブンをこの手で感じることが出来る!
「……ぐ、ぐぐ、ぐぐぅ!」
じゃ、邪魔をするな! 私の良心! な、なんでこのチャンスの邪魔をする!
体調が悪く、辛い思いをしているリオさんにそんな酷い事をするのは駄目なんて
そ、そそ、そ、そ、そんな、良心を捨てることが出来れば!
いえ、でも…そう言うのは、やっぱり駄目ですよね、駄目です、うん。
リオさんは辛い思いをしている、それなのにどさくさに紛れて
自分の欲求を満たすのは間違っています、私はリオさんの幸せが大事なのです。
もしそんな事が出来るとすれば、私はリオさんに受入れて貰ってやらないと。
無理矢理は私のポリシーに反しますからね。
やはりリオさんが幸せで無くてはいけないのです!
「アルル、終わったよ!」
「あ、はい」
よし、ようやく終わりました、はぁ、落ち着いて入りましょう。
「む、むぅうぅ!」
部屋に入って、ベットに寄ると、そこではリオさんが裸のままだった。
「え? あ、あ、え? な、なんで裸なんですか!?」
「服を着せようと思ったんだけど、べちゃべちゃでリオちゃん風邪引くかなと」
「そ、そそ、そ、そ、そそ、そ、そ、そう、そうで、でで、すねね!
い、い、急いで、き、着替えを!」
「アルル、どうしたの? 凄い動揺してるけど」
駄目だー! こ、こんな、こんな至近距離でリオさんのあ、あられも無い
姿を見てしまったら! 理性が! 理性を保て無いかもしれません!
あぁ、普段なら全力で拒絶してきたり、殴ったりしてくるリオさんが
今はこの姿で私の眼前で眠っている! しかも起きる気配は無い!
「あ、服とってくるね」
「えぇ!?」
更に隣に居たフレイさんは部屋から出ていき、服を探しに行った!
今は、この姿のリオさんと私が2人きり! 手を出し放題!
私の邪魔をしているシルバーさんも居ませんし
リオさんは目覚めない、いくらでも手を出すことが出来る!
「り、り、リオさん…」
わ、私の手が無意識のうちにリオさんの方に引き寄せられていく…
あと少しで私の桃源郷に手が届く…そう、私の桃源郷に…
い、いや! 待て私! 落ち着け…それが私の桃源郷なんですか?
わ、私の…桃源郷はこんな感じじゃない筈です。
そう! 私の桃源郷はリオさんとイチャイチャすること!
辛い思いをして眠っているリオさんを襲うことではない!
「ふ、ふー、ふー、ふー」
冷静になる事が出来た、大きな間違いを犯す
あと1歩の所で私は踏みとどまることが出来た。
とにかく、私はリオさんの目の上に蒸しタオルを乗せ。
ゆっくりと部屋の外への移動を始めた。
「…うぅ」
何だか凄く後ろ髪を引かれる思いですが、我慢なのです。
ふ、しかし、何だか妙な達成感がありますね。
私は私自身に勝った! ですが、何でしょう、この勝利…
素直に喜べません…あぁ、本当に惜しいことをしてしまった気がします。
ですが! 私は私の欲望に勝てたのです!
そう! 私の愛は私に勝つことが出来た! 素直に喜ぶべき事です!
「リオちゃんの服、もう無かったから私の服にしよう
でも、リオちゃん怒らないよね? 可愛い感じの服は着ないし
私のうさちゃんが書いてあるピンクのフリフリが付いた服と
凄く短いフリフリのスカートだけど…大丈夫だよね?
私のお気に入りなんだけど、気に入ってくれるかな?
うぅ、ちょっと怖いけど、多分大丈夫だよね? 多分…」
な、何ですとぉぉぉぉー!? 兎が書いてあるピンクの可愛い系の服!
更に凄い短いフリフリのスカート!? リオさんがぁ!?
ど、どんな姿に…どんな姿になってしまうのですか!? リオさん!!??




