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早速すぎる一大事

何とか2人で協力して3匹の魚を釣ることに成功した。

これが中々に大変で、結構力を使った。

こりゃ、明日は筋肉痛か? あまり力が無いのに無理しなきゃ良かった。


「よし、さっさと合宿場に戻って、ふろ、くしゅ!」

「リオちゃん、大丈夫?」

「んあー…大丈夫だ、ちょっとくしゃみが出ただけだし」


ふぃ、やっぱり濡れた服で釣りをするとちょっと寒いな。

でも、何も釣れないまま帰るわけにもいかないし。


「と言うか、お前もびしょ濡れだが、大丈夫か?」

「うん、リオちゃんが日が当る所を譲ってくれたから」

「んー、俺は眩しいのが嫌いなだけだから、譲ったというか押し付けただな」

「本当…リオちゃん、何処か素直じゃないよね…」

「と言うか、俺は結構風邪引かないし、くしゅ! あー、鼻水が」


流石に寒くなってきたな、さっさと合宿場に戻って風呂入ろう。


「ただいま…」


俺達2人はさっさと合宿場に戻った。


「リオちゃん、大丈夫? 何か具合悪そうだけど」

「大丈夫だ…なぁ、風呂って沸いてるか?」

「どうだったっけ、メルトが入れてた気がするけど」

「ん? あぁ、お前らと一緒に行ったのはメルトなのか」

「うん、メルトはアウトドアが好きらしくて

 食べられる野菜とかよく分かってるんだって」


まぁ、活発なあいつらしいな、アウトドアが大好きというのは。


「とりあえず見てくるか…くしゅ!」

「リオちゃん、やっぱり具合悪いんじゃ…」

「えっと…実はリオちゃんと私、海に落っこちちゃって

 私が悪いんだけど…リオちゃん、私の事気にしてくれて

 自分は日陰で釣りをしてたから」


はぁ、釣りポイント変えていれば良かったな、あの場所

1箇所程度しか日が当らないから1人しか日に当たれない。


「リオちゃん、やっぱり優しいね」

「俺は熱いのが嫌いだからウィングに押し付けただけだ」

「さっきは眩しいのが嫌だって…」

「う…ま、まぁ、眩しくて熱いのが嫌いなんだ」

「リオちゃん、日の光が熱いって感じるの? 私は温かいとしか」

「うっさい、良いから風呂だよ風呂」

「あ、わ、私も一緒に入る」

「そうだな、お前も海に落ちたし…じゃあ、先に入っておけよ

 俺はその間に洗濯して」

「一緒にはいる!」


ウィングが珍しく俺の腕を引っ張って、強引に風呂に連れて行こうとした。


「え? おぉ! め、珍しいな、お前が強引に行動するなんて」

「良いから、早く」

「分かったよ、ったく」

「何か、私が引っ張ると凄く嫌そうな顔するのに

 ウィングが引っ張ると少し嬉しそうなのは何で?」

「嬉しそうにはしてないっての」


まぁ、若干嬉しいところはあるんだけどな

あのウィングが強引に自分の意見を通そうとするとはね。

何だか嬉しいよ、引っ込み思案なこいつにもこう言う面があって。

ちゃんと自分の意見を強引に通そうという考えもあってさ。

うんうん、大人になるとたまにはこう言う積極性は大事だろう

それが今までウィングにはあまり無かったからちょっと嬉しい。

何か、成長した妹を見ている気分だ。


「くしゅ!」

「リオちゃん…やっぱり風邪を引いたんじゃ」

「く、くしゃみ位誰だってするだろ、それにだな

 ちょっと寒い思いをするだけで風邪なんて引いてたまるか

 それに、俺は割と風邪引かないんだよ、理由は知らないけど」

「でも…」

「心配ないって、ほら、さっさと風呂入ろう、その後、そうだな

 トラ達の様子を見に行こう、向こうはかなり大変だろうし

 場合によっては協力してやらないとな」

「…う、うん」


俺とウィングは2人だけで風呂に入った、フレイと2人きりで入る事は

チラホラあったんだが、何だかんだでウィングと2人きりはあまり無い。

大体全員で入るからな、たまに個別に入るとしても1人か

フレイが飛び込んできて2人で入るか、もしくはトラが一緒に入ろうと言って

一緒にはいるとか、そんな感じでウィングと2人きりと言う事は殆ど無い。

と言うか、下手すりゃ、これが初めてなんじゃ無いのか?


「ふぃ…生き返るぜ…」


寒い思いを結構したからこの風呂の温かさが極楽に感じる。

はぅ…いやぁ、かなり久々かもな、風呂が極楽と感じるのは。


「リオちゃん、本当に大丈夫? 顔が赤いよ?」

「風呂入ったら大体赤くなるだろ」

「でも…」

「大丈夫大丈夫、初日もフレイに振り回されたが風邪引いてないし

 ほんの少し海に落下した程度で風邪なんか引かないさ

 くしゃみだって、多分一時的な物だろうし、風呂から出れば収まる。

「そうだと良いけど…でも、もし体調が悪くなったら!

 私、頑張って看病するね!」

「あぁ、ありがとう」


やっぱり心配性だな、別に風邪なんか引いても死にゃあしないっての。

そもそも、2年間以上風邪引いてないんだし、別に大したことないだろ。

不思議なことに怪我は良くするけど病気は殆どしないんだよな。

しかしなぁ、孤児院にいたときは結構病気もしてたのにさ

1年に弍桁くらいは病気になってたというのに

軍に入ってから病気は殆どしなくなっている。

もしかして、栄養ある物を腹一杯食ってるからか?

そうかもな、だから本来の免疫能力が復活したんだろう。


「よし、後は頭洗って、体も洗って」

「て、手伝うよ」

「1人でも別に…まぁ、良いか、手伝って貰おう」

「や、やった…が、頑張るね!」

「気負いするな、大した事じゃ無いんだから」


俺はウィングに協力して貰い、体と頭を洗った。

その後、今度は俺がウィングに協力し、頭と体を洗ってやった。

何だか、いつぞやの銭湯を思い出す、あの時は散々な目に遭ったが

今回は大丈夫だろう、問題児のフレイもいないしフランもいない

アルルの馬鹿だっていない、一緒にいてのんびりと落ち着ける

ウィングと2人きりだ、何て事も無く平和に風呂は終わった。


「よしっと、それじゃ、さっさと着替えて」

「リオちゃん!」

「うわぁ! な、何だ!?」

「早く行こう!」

「は!? 何処にだよ!?」

「トラたちが助けて欲しいって!」

「え!? わ、分かった、すぐに着替え、あ! ま、待て! 馬鹿!」

「急いで行くよ!」

「り、リオちゃん! ふ、服が!」

「フレイ! 止めろ! 落ち着け! 俺は今裸! せめて服を着させてくれ!」

「待っててね! トラちゃん!」


聞いてねぇ! いつもの事だが全く聞いてねぇ!

焦った気持ちが先行しすぎて俺の話をまるで聞かねぇ!

ちょっと待って! 寒い! 超寒い! まだ拭いてない! まだ体拭いてない!

しかも服も着てない! なのに外は今夜! 日は照ってない!

しかもだ! 今の時期は秋! それに冬に近づいてる!

寒! 超寒い! 風邪が冷てぇ! 髪の毛が冷える! 体も冷える!

しかも基本走った勢いで俺浮いてるけど、たまに地面に体が当って痛い!

不味いって! 絶対切れた! 服ならまだしも裸とか絶対に何カ所も怪我を

いったぁ! すった! 足すった! 超痛い!


「くしゅん! うぅ、痛ぇ」

「トラちゃん! 急いで来たよ!」

「フレイ、実は狩った獲物が多くて…メル1人で運べないんだ

 命を奪った以上、捨てるわけにはいかなくて、ごめん」

「良いの! さぁ! 運ぶよ! リオちゃん!」

「リオも来て……」

「う、うえっぷ…酔った、吐きそう…しかも背中も痛い…」

「リオ! な、なんで裸なの!?」

「ふぇ?」

「うぐぅ…折角風呂に入ったのに…とにかく寒い! しかも痛い! くしゃん!」


くぅ、まだ乾いてないのにフレイが俺を引っ張ったせいで…体は泥だらけ

たまに地面に接触したときにかなりすったり斬ったりしたし。

全身が痛い…畜生、最悪だぁ…


「リオちゃん! 裸だったの!?」

「な、何度言ったと思ってる! この! くちゅ!」

「リオちゃん、可愛いくしゃみだね」

「うっさい! 寒いんだよ! とにかく寒いんだ!

 何で寒い時期にこんな、くしゅん!

 し、しかも、か、体中痛いし!」

「と、とにかく私の上着を貸すよ」

「あ、ありがとう、トラ」


うぅ…トラが来ていた上着を貸してくれたお陰で少しは暖かくなったが。


「くしゅん!」

「あ、あの、ご、ごめんね、リオちゃん、私、焦ってて」

「…もう怒る気力も無い…くしゅん! と、とにかく、俺は戻るぞ…

 こんな状態じゃ、何も出来ん…寒いし、くしゅん!」

「リオさん、大丈夫ですの?」

「大丈夫じゃない…全身が痛いし…寒すぎて何か体が震えて…

 あ、何か、寒さ感じなくなってきた気がする…これなら大丈夫だ」

「いえ、それ結構ヤバいですわ、凍えてますわよ」

「ま、まま、まさか…まだ、あ、秋だし、凍えるわけ、な、ない

 それに、まだ海に入れる時期だ、も、問題無、くしゅん!」

「背負って運びますわ、少しふらついてますし」

「は、はは、大丈、な、何だ?」

「リオさん、かなり熱がありますわ!」

「か、風邪なんか引かねぇし、引く訳ねぇし、だ、大丈夫だ、1人で帰る

 人手が、た、足りないんだったら、くしゅ!」

「無理しないでください!」

「おぁ」


シルバーに抱き上げられ、府抜けた声が口から出てしまった。

うぅ、寒い…くそう、まだ秋だろ? 何か冬って感じだ。

そ、そりゃあ、上着しか着てないなら、そ、そうなってもおかしくないか。


「くしゅ!」

「急ぎますわ!」


シルバーは俺を抱き上げて少しした後、背中の方に移し

俺を運んだ…うへぇ、何だかお腹が温かい。

と言うか…何だか意識が朦朧としてきたぞ…ヤバいんじゃ無いのか?

ん? あぁ、何かアルルの姿が見える…


「うぅ、アルル…居たんだ」

「アルルさんは何処にも」

「マジで?」

「まさか…幻覚が見えるほどの高熱ですの!? い、急がねば!」


幻覚…あぁ、あれが幻覚か、初めて見たな、幻覚って。

何か、意外と…ハッキリと、み、見えるん…だな。


「ケホ、ケホ…」

「悪化していますわね、いつから体調が悪いのですか!?」

「わ、悪くねぇし…ちょっとフラフラするだけだし…ケホ」

「もう! 変な強情は良いですから!」

「ほ、んとうだ…だから、合宿は…続けられる…」

「合宿? 今はそれどころじゃ」

「あいつらの……為だから…ケホ、が、合宿は……」


もしもの時…生き残る、術を…覚えさせて…やらない…と。

もしもの…時が、来たら…あいつら…は…死ぬ…し。

特に…フレイ…には…教え込まないと……


「最低でも…フレイには…ケホ、お、しえ、ないと…

 あいつ…馬鹿、だから…危ない…ケホ!」

「リオさん…こんな状況でも…」

「あ! し、シルバーさん! フレイちゃんが! り、リオちゃん!」

「ウィングさん! どうしました!?」

「あ、はい! あの、リオちゃんの服を! いや、それよりも!

 り、リオちゃん! 凄く顔色が悪い!」

「えぇ、かなりの高熱ですわ、急がないと」

「えぇ!? や、やっぱり、わ、私のせいで!」

「話は後ですわ! 急ぎましょう!」


あ…ぅ…風邪って…こんなに辛かったっけ……最悪…だろ…

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