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暗黒の魔女  作者: kuma383
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~暗黒の魔女~ 一章・王国の危機 「3.ペーターの依頼」

目の前でキンフィールド城と塔の牢獄が崩れていくのを目の当たりにしたオリバーたちは、迎えに来たアリスとエミリーに連れられ、『隠れ家』と呼ばれる場所に連れて行かれるようです。

オリバーたちはオーベルクにやってきました。アリスは小さな店の前でカトリーヌの足を止めました。



「ここが()れらの『(かく)()』だ。」



「イザベルの…薬屋(くすりや)じゃないか。」



オリバーは小さくつぶやきました。



「でも俺たちがキンフィールドへ行く時には人の気配(けはい)なんかなかったよ?」



ハンスが悲しそうな顔をしています。しかしエミリーはそんな様子がまったくありません。



「とにかく入りましょう。」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



中に入っても人の気配(けはい)はまったくありません。物音(ものおと)一つしないのです。



「本当に…誰もいない…。」



「本当にみんないるのかなぁ?」



ハンスとペーターは心配そうですが、アリスが笑って言いました。



(あん)ずるな。エミリー、入り口をあけるのだ。」



「はいっ、お姉さま。」



エミリーは返事をすると、置いてあった(つくえ)の角を三度コンコンコンと叩き、それから慎重(しんちょう)にある部分の(ゆか)の板をはがしました。そこには地下へ下りる階段がありました。オリバーは(おどろ)きました。



「おおっ…。これは…地下への入り口?」



「ここが『(かく)()』です。イザベルさんによって()られた、(たと)魔術師(まじゅつし)でも気配(けはい)(さと)られないように強力な魔力線(まりょくせん)防護(ぼうご)されているそうです。」



エミリーが少し得意そうな顔で言いました。



「イザベルもすごい魔術師(まじゅつし)になったなぁ…。」



オリバーは感心(かんしん)したように言いました。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



階段(かいだん)を下りてゆくと、やがて地下(ちか)の部屋に着きました。



「ああっ、師匠(ししょう)!着いたんだね!」



「ご無事でなによりです、オリバーさん。」



奥の方からイザベルとビアンカが(うれ)しそうに()()ってきました。表情からは(なつ)かしさも読み取れます。



立派(りっぱ)地下室(ちかしつ)だな…。」



オリバーは辺りをグルッと見わたして言いました。



「ラルフさんにつくってもらったんですよ。」



すると、ラルフもひょっこりと顔をのぞかせました。



「どうも、オリバーさん。」



「ラルフ!久し振りだなぁ。すごい地下室(ちかしつ)じゃないか。」



「パトリックさんにも()めてもらえましたよ。」



その言葉を聞いてオリバーはハッとしました。



「…そうだ、パトリックだった!パトリックはどこにいる?」



「奥の部屋で横になっています。」



オリバーは大急ぎで奥の部屋へと入っていきました。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



パトリックはベッドで眠っていました。横でモニカが泣きそうな顔をしています。



「モニカ…。怪我(けが)はなかったか?」



「パトリックさんが守ってくれたので…。でもパトリックさんが…。」



混乱(こんらん)しているモニカに、オリバーは(はげ)ますように言いました。



「大丈夫、パトリックはこんなことで死ぬようなやつじゃないよ。その時のことを(くわ)しく教えてくれ。」



モニカは一言一言を()みしめるように語り始めました。



(わたし)たちは三日前にキンフィールドに到着(とうちゃく)しました。その時はすでに王宮(おうきゅう)の周りで兵士と動死体(どうしたい)との戦いが始まっていました。



(わたし)たちはマティアス隊長(たいちょう)たちの衛兵(えいへい)さんたちと合流(ごうりゅう)して一緒に戦っていたんですが…多勢(たぜい)無勢(ぶぜい)でした。マティアス隊長(たいちょう)(わたし)たちやヴォルフさんにヘルガ女王様をパカロンまで逃がすように言って…動死体(どうしたい)をひきつけるために生き残った衛兵(えいへい)さんたちと残ったんです。



女王様の脱出(だっしゅつ)は無事に成功して、今はパカロンのオットー様たちのもとへ身を()せておられます。(さいわ)いにも王宮(おうきゅう)近くまでオットー様の軍が来て下さったので女王様を(あず)け、ヴォルフさんと一緒にここまでパトリックさんを運んできたんです。」



「そうか…大変だったな。ヴォルフは?」



「パトリックさんたちを連れて来てくれた後、すぐにシーガルンに向かいました。オットー様から様子を見てくるように言われたらしくて…。」



イザベルが答えました。



「シーガルンか…。確か動死体(どうしたい)大群(たいぐん)は西の方に向かったはずだな?レオンとマチルドも無事だといいが…。」



オリバーは心配そうです。それにはビアンカが答えました。



「見つけ次第(しだい)ヴォルフがここに連れて来てくれることになってるよ。あの二人ならそうそうやられたりしないって。まずは師匠(ししょう)たちも一休みした方がいいよ。」



「ああ…。そうさせてもらうよ。」



「オリバーさんたちの部屋は左の部屋です。一人でこの地下室(ちかしつ)を作るのはなかなか大変でしたよ…。」



ラルフが苦笑いしながら言うと、ビアンカが口をとがらせました。



「あたしたちだって手伝ったでしょ?」



オリバーは笑いました。



「はは、ビアンカ、ラルフの言いたいのはそういうことじゃないさ。そうだろ?」



「ええ…。親方(おやかた)、元気にしてるかなぁ?」



ラルフは(さび)しそうに言いました。



「今頃カヤクとやらの研究(けんきゅう)をしてるんじゃないのか?」



その時、ペーターが思い出したように言いました。



「そうだ…。先生、気になることがあるんです。」



「どうした?」



「最近、数は少ないのですが、魔獣(まじゅう)目撃(もくげき)報告(ほうこく)されるようになって…。」



するとイザベルも言いました。



「そう言えばそうですね。この前お薬の材料(ざいりょう)採取(さいしゅ)しに行った時に(わたし)(おそ)われました。魔術(まじゅつ)で切り抜けましたが…。ここしばらくはまったく見なかったんですけどね…。」



それを聞いてオリバーは不安そうにしました。



「まさか、(きん)じられた洞窟(どうくつ)封印(ふういん)()かれたわけじゃないだろうな?」



しかし、アリスが答えました。



「それは心配無用(しんぱいむよう)だ。最近北の樹海(じゅかい)にも魔獣(まじゅう)(あらわ)れるようになったため一度あの場所を確認(かくにん)しに行ったのだが…あの時のままだったな。」



「さすがだな。だとしたら、動死体(どうしたい)(あやつ)っていた魔術師(まじゅつし)が国の中に微弱(びじゃく)魔力(まりょく)を送り込んで(けもの)たちを魔獣(まじゅう)変性(へんせい)させた可能性も出てくる。だとするとかなり危険だな…。」



「どのように危険なのですか?」



エミリーの問いに、オリバーは深刻(しんこく)な顔で言いました。



「リバール王の秘宝(ひほう)を探していた時に、エーベル・ブラッハーという魔術師(まじゅつし)のことを話しただろう?」



「ええ。忘却術(ぼうきゃくじゅつ)でリバール王の悪政(あくせい)を人々の記憶(きおく)から消した、という魔術師(まじゅつし)でしたよね?」



「そうだ。俺の仮説(かせつ)が正しかったとして、今は送り込まれている魔力(まりょく)(けもの)程度のものにしか作用(さよう)していないものだが、もし相手の魔術師(まじゅつし)がエーベル・ブラッハーのように強大な魔力(まりょく)を持っているとすれば…。」



それを聞いてラルフは思わず身震(みぶる)いしました。



「リバー王国中の人々を意のままに(あやつ)ることができる、ということですね…。」



しかしビアンカは別のことを考えたようです。



「でもさ、それは極論(きょくろん)だと思うよ。だってあたしがそんな力を持った魔術師(まじゅつし)だったとしたら、あちこちの街を(おそ)ったりしないでいきなり国民を(あやつ)るもん。労力(ろうりょく)無駄(むだ)、ってやつだよ。」



「ああ、そう、確かにその通りなんだ。だが(ぎゃく)のことも考えられる。」



今度はエミリーが青ざめた顔で言いました。



「自分の力に()いしれ、あえて力を制御(せいぎょ)し、人々の(おそ)れおののく(さま)を見て楽しんでいる、ということですね。」



「そうだ。まあ、これはあくまで俺の仮説(かせつ)だ。」



「だがその仮説(かせつ)はおそらく正しい。」



上のほうから声が聞こえました。オリバーはびっくりしましたが、イザベルたちはむしろ安心したような顔をしました。天井(てんじょう)の板が開き、誰かが降りてきました。



「ほら、けが人一人追加(ついか)だぜ!」



「レオン!大丈夫か!」



パカロンの領主(りょうしゅ)、オットー様の側近(そっきん)であるヴォルフ、それにオリバーたちと一緒に戦ったレオンとマチルドが降りてきたのでした。レオンは深い(きず)()っており、ヴォルフとマチルドに(ささ)えられています。



「見ての通りさ…。手ひどくやられちまったよ、まったく…。ヴォルフが助けに入ってくれなかったらどうなっていたことか。」



「ベッドが()いています。横になってください。」



イザベルが心配そうに言いました。



「ああ、ありがとう、イザベル…。」



オリバーはレオンにたずねました。



「シーガルンはどうなったんだ?」



「メチャクチャさ。首都(しゅと)のハングリアはがれきと燃えかすの山、シーガルン王国軍も壊滅(かいめつ)だ。俺も軍の人間じゃねぇとは言え、市民兵(しみんへい)指導(しどう)をしていた身として(なさ)けねぇよ…。」



「シーガルン国王はどうなったんですか?」



ハンスがたずねると、ヴォルフが答えました。



「シーガルンのセザール王はパカロンへと脱出(だっしゅつ)された。」



「シーガルンとリバーは友好国(ゆうこうこく)だからな。」



レオンが言うと、マチルドが()やかすように言いました。



「まったく、いい気なもんだぜ。この間まであれだけリバー王国のことを(きら)っていたくせに。」



マチルドの言葉に、いつもなら反論(はんろん)するレオンも、力なく笑うだけでした。そして話を続けました。



「さっき魔術師(まじゅつし)の話をしていたがな、魔術師(まじゅつし)かどうかはわからねぇが、動死体(どうしたい)たちを指揮(しき)している人間を見たんだ。何だか見たこともねぇような格好(かっこう)をしていた。遠くだったから顔もよく見えなかったが…だが明らかにアンデッドを指揮(しき)していた…ぐっ!」



「おい、無理をするな。イザベル、早く手当てを。」



「はい。今から回復術(かいふくじゅつ)をかけます。」



オリバーは()(どく)そうにレオンを見た後、ヴォルフの方を見ました。ヴォルフも深刻(しんこく)そうな顔をしています。



「…もう一つだけ事件が起こった。(とう)牢獄(ろうごく)警備兵(けいびへい)たちが壊滅(かいめつ)していた。」



「俺たちも(とう)牢獄(ろうごく)(くず)れて行く瞬間(しゅんかん)を見た…。つまり、中に()らえられているギル大臣は…。」



オリバーは(きび)しい顔をしましたが、ヴォルフは首を振りました。



「逃げ出したと思うだろう?あるいは、逃がされたか。だが、(おどろ)いたことにギルは牢獄(ろうごく)の中で(ころ)されていた。」



「何だって!?」



オリバーはびっくりしました。ヴォルフが続けます。



「ギルが牢獄(ろうごく)の中から何らかの形で指揮(しき)をしていたのかと思ったが…どうやらそうではなかったらしい。…俺もここで語りあいたいところだが、すぐにナンジューマのダナラスフォルスに向かって調査(ちょうさ)をしなければならない。」



ヴォルフはそう言って荷物(にもつ)をまとめ始めました。オリバーはヴォルフに声をかけようとしました。



「そうか、気をつけて、」



オリバーの言葉は誰かの大声で(さえぎ)られました。



「先生!いえ…オリバー・ローゼンハインさん!」



突然ペーターが叫んだので、オリバーとヴォルフは(おどろ)いてペーターを見ました。



「どうしたんだ、ペーター。」



ペーターは荷物の中から重そうな(ふくろ)を出しました。中には金貨(きんか)銀貨(ぎんか)銅貨(どうか)がたくさん()まっていました。オリバーは怪訝(けげん)そうな顔をしました。



「…どういうことだ?」



ペーターは確固(かっこ)とした表情でオリバーに言いました。



「俺が衛兵(えいへい)として(はたら)いてもらった給料(きゅうりょう)です。このお金で俺は先生に依頼(いらい)します。この国に起きている一連(いちれん)の動き、調査(ちょうさ)していただけませんか?



そして…もしその原因(げんいん)がこの国を(つぶ)そうとしているのならば…排除(はいじょ)していただきたいのです。」



オリバーは目をまんまるにしてペーターを見ていましたが、やがておかしそうに笑って言いました。



「まさか、自分の弟子(でし)に仕事を依頼(いらい)されるとは夢にも思わなかったな。…よし、わかった。その依頼(いらい)を受けてやろう。ただ…この金は…、」



「足りないのはわかっています。必ず必要(ひつよう)な分は一生を()けてでもお支払(しはら)するつもりでいます。」



しかしオリバーは笑って言いました。



「ハハッ、何を勘違(かんちが)いしてるんだよ。俺はこんなにいらないよ。」



そう言ってオリバーは金貨(きんか)を二枚つまみあげました。



「これで十分さ。欲しい魔術書(まじゅつしょ)があるんだ。



…みんな、俺はペーターからの依頼(いらい)を受けることにした。可能であればみんなにも手伝って欲しい。だが、今回はもしかすると一年半前のあの戦いよりももっと危険な状況である可能性がある。だから無理強(むりじ)いはしない。それでも俺を手伝ってくれる、というなら…この(ふくろ)から好きなだけ金貨(きんか)なり銀貨(ぎんか)なりを持っていってくれ。」



みんな(だま)ってオリバーの顔を見ていました。やがてビアンカがおかしそうに笑って言いました。



「やっぱり師匠(ししょう)はペーターの先生だね。(ほう)っておけないんだから。」



そう言ってビアンカは銀貨(ぎんか)を二枚取りました。



「欲しい本がたくさんあるからね。これで全部買えるかな?」



「では…お薬を()る大きな(なべ)は、これで足りますね。」



イザベルが銀貨を三枚取りました。



「じゃあ僕はこれで道具を買おうかな。」



ラルフが銅貨(どうか)を十枚取りました。



「すまぬが、()れらは少し多く取らせてもらうぞ。森の近くの村に住む孤児(こじ)たちに食べ物を(あた)えなくてはならぬ。」



「これだけもらっていきます。」



アリスとエミリーは金貨(きんか)を二枚ずつ取りました。



「まったくみんな水臭(みずくさ)いよなぁー。まあ、あたいは欲望(よくぼう)忠実(ちゅうじつ)に取らせてもらうよ。…と思ったけど、みじめなペーターを見てると()(どく)になったから、これで(ゆる)してやるよ。」



マチルドは銀貨(ぎんか)を五枚取りました。



「俺の治療費(ちりょうひ)がどのくらいになるかわからねぇが…まあ、これだけとりあえずもらっておこう。」



レオンは銀貨(ぎんか)を一枚取りました。



「え、ええーっと…。多分パトリックさんもオリバーさんと行動すると言うと思います!だからこれがパトリックさんと(わたし)の分。」



モニカが銀貨(ぎんか)を四枚取りました。



「じゃあ、俺は残りを全部いただくぜ!」



ハンスがニヤニヤしながら言いましたが、ビアンカに蹴飛(けと)ばされました。



「こらハンス!空気を読め!」



「イテッ!冗談(じょうだん)だよ、冗談(じょうだん)…。」



ハンスは銅貨(どうか)を五枚取りました。そしてローズにたずねました。



「ローズはもらわなくていいのか?」



ローズはコクンとうなずきました。



(わたし)は先生がするといったことに(したが)うだけ…。」



「みんな…ありがとう…ございます…。」



ペーターは(なみだ)をこらえながら言いました。ビアンカはおかしそうにしながらペーターの背中をポンポン叩きました。



「ほら、泣かない泣かない!」



それを見て笑いながらオリバーは言いました。



「とにかく、情報収集じょうほうしゅうしゅうが必要だ。明日、キンフィールド経由(けいゆ)でシーガルンに行ってみよう。ただし、明日に関しては(かぎ)った人数で行こうと思う。…アリスとエミリーは馬を出してくれるか?」



「うむ、任せておけ。」



「アンヌたちなら、急げば一日でシーガルンにたどり着けます。」



「よし。あとは…ハンスとペーター、ビアンカも来てくれ。ペーターも自分の馬を出してくれよ。他のみんなはここで待機(たいき)していてくれ。すまないがイザベル、パトリックとレオンの手当てを(たの)んだぞ。」



「ええ、任せておいてください。」



イザベルが答えました。するとマチルドがオリバーにたずねました。



「おいオリバー、ローズは連れて行ってやらないのかよ?」



「パトリックとレオンには悪いがいい機会(きかい)だ。ローズはイザベルについて回復術(かいふくじゅつ)徹底的(てっていてき)に習え。」



ローズは連れて行ってもらえないことを残念に思ったようですが、他に思うところもあったらしく、コクンと(うなず)きました。



「よし、出発は明日の明け方だ。シーガルンに向かうやつはしっかり休んでおいてくれ。」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



人物紹介


~イザベル・ローラン~

・「笑顔(えがお)魔女(まじょ)

・22歳

魔術(まじゅつ)で戦う。

・一人称は「(わたし)

・いつも笑顔を()やさない魔女(まじょ)(どく)魔術(まじゅつ)十八番(おはこ)。その知識(ちしき)を生かして、今はオーベルクで薬屋(くすりや)を開いている。その薬屋(くすりや)地下(ちか)は『(かく)()』として使用可能。曽祖母(そうそぼ)同名(どうめい)で、『伝説(でんせつ)魔女(まじょ)』と呼ばれた有名な魔術師(まじゅつし)。本人も彼女を目標(もくひょう)にしようとしているが、あまりの実力差(じつりょくさ)に少しだけ自信をなくしている。とはいえ、攻撃魔術(こうげきまじゅつ)のほかに実用魔術(じつようまじゅつ)も広く使いこなすことが出来るので、仲間たちは心から(たよ)りにしている。



~ビアンカ・ヴァルトシュタイン~

・「()まぐれ女剣士(おんなけんし)

・22歳。

突剣(とっけん)で戦う。

・一人称は「あたし」

・基本的に気まぐれで行動を起こす女剣士(おんなけんし)。とはいえ、空気は読めるので重大なことが起こった時はみんなに(したが)う。元気印(げんきじるし)。オーベルクの豪商(ごうしょう)、ヴァルトシュタイン家の三女で、今はイザベルの薬屋(くすりや)居候(いそうろう)している。趣味(しゅみ)は気まぐれな旅と読書(どくしょ)。力は強くないものの、とても素早(すばや)く頭の回転も早いため、戦いの中での敵との()()きがとてもうまい。



~レオン・ブーランジェ~

・「訓練場師範(くんれんじょうしはん)

・27歳。

斧槍(おのやり)で戦う。(けん)(あつか)える。

・一人称は「(おれ)

・シーガルン王国の首都(しゅと)ハングリアで市民兵(しみんへい)訓練場(くんれんじょう)師範(しはん)をしている。人よりも少しだけ(めぐ)まれた体型(たいけい)をしているだけだが、ものすごい怪力(かいりき)()(ぬし)。彼が使っている斧槍(おのやり)はほとんどの仲間が持てない。よくバカ(あつか)いされるが、訓練場(くんれんじょう)師範(しはん)をしているだけあって、武術(ぶじゅつ)を教えるのが非常にうまい。もっとも、普段の行動の中でその頭脳(ずのう)発揮(はっき)されることはあまりない。



~マチルド・アルヌール~

・「元山賊(もとさんぞく)

・18歳。

短剣(たんけん)などの小型武器(こがたぶき)で戦う。

・一人称は「あたい」

・レオンの訓練場(くんれんじょう)居候(いそうろう)している少女。もともとはランダール(とうげ)山賊(さんぞく)(した)()だった。仲間にちょっかいをかけたり、からかったりするのが大好きで、特にローズとレオンはよくその標的(ひょうてき)になっている。(いま)だに時々オリバーに「仕返(しかえ)し」しようと(こころ)みるが、相変わらずローズに(はば)まれている。みんなが落ち込んでいるときに軽口(かるくち)をたたくのは、彼女なりにみんなを元気づけようとしているため。



~ラルフ・ハーシュ~

・「港町(みなとまち)大工(だいく)

・21歳。

突剣(とっけん)(あつか)えるようになる。

・一人称は「(ぼく)

・ロンドランド地方の港町(みなとまち)トリポートで大工(だいく)をしている。優しい青年。その人柄(ひとがら)腕前(うでまえ)からか、彼に家の修理(しゅうり)(たの)む人々が後を()たない。一年半前の戦いのときに親方(おやかた)とあがめていたローレンツが東方世界(とうほうせかい)に旅立ってしまったことをとても(さび)しく思っている。薬屋(くすりや)地下(ちか)の『(かく)()』を設計(せっけい)、完成させたのはもちろんラルフ。



*ヴォルフ・ザックスの紹介は後の話で行います。

『隠れ家』にてようやくオリバーを始めとするかつての仲間たちが勢ぞろいしました。オリバーはペーターからの依頼を請け、この国で起こっている異変について調査することを決めたようです。



次話では調査のためにシーガルンに向かったオリバーたちが道中で動死体に遭遇します。そしてハングリアに着いた時、彼らを待っていたのは…どうぞお楽しみに!



ちなみに『隠れ家』をつくる時にはアリスとエミリーもわざわざノーザリンから手伝いに来てくれましたが、基本的に女性メンバーばかりなので、土運びなどはほとんどイザベルの魔術とラルフに頼りきりだったそうです。



では次話をお楽しみに!

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