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暗黒の魔女  作者: kuma383
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~暗黒の魔女~ 一章・王国の危機 「1.訪問者たち」

オリバーと仲間たちがリバー王国の悪の大臣を倒してから一年半が経ちました。リバー王国では王位に就いたヘルガ女王様のお陰で平和な日々がもたらされていました。



オリバーは自分の故郷に戻り、それまでと同じように魔術の研究をしながら二人の弟子とともに暮らしていました。そんなある日、オリバーたちのもとに訪問者が訪れます。物語はそこから始まります。

とある国のとある村、魔術師(まじゅつし)のオリバー・ローゼンハインは自分の家で夜(おそ)くまで古代(こだい)魔術書(まじゅつしょ)翻訳作業(ほんやくさぎょう)をしていました。



(ふう…。相変わらず、地道(じみち)作業(さぎょう)(ほね)が折れる…)



オリバーが首を鳴らすと、部屋の扉をたたく音が聞こえました。



「先生、言われたものを手に入れてきました。」



「ん、ハンスか。ご苦労さん。」



弟子(でし)のハンスが部屋に入ってきました。彼は(あや)しげな物がたくさん入った(ふくろ)をドサリと(ゆか)に下ろしました。



「こんな生きたトカゲやら、ネズミの尻尾(しっぽ)やら、いったい何に使うんですか?」



「以前イザベルからもらった薬の本に(のろ)(ぐすり)についての記述(きじゅつ)を見つけたんだ。機会(きかい)があったら(ため)そうと思ってな…。」



「イザベルさん…。(なつ)かしいですね。」



ハンスは目を細めました。



「ああ。…ペーターがいなくなって以来、何だか少し(さび)しくなったなぁ。」



オリバーは(さび)しそうに笑いました。



「先生が残れって言ったくせに…。それに今は俺の他にも弟子(でし)がいるじゃないですか。」



その時、扉をノックして誰かがオリバーの部屋に入ってきました。



「先生…、ハンス…、ご飯の準備(じゅんび)…できてる…。」



「おう、ありがとう、ローズ。さて、もう夜も遅くなっちまったし、(めし)にするとしよう。」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



オリバーとハンス、ローズは食卓(しょくたく)(かこ)んで談笑(だんしょう)しながら(おそ)い夕食を食べていました。すると、扉を叩く音がします。オリバーが首をかしげました。



「おかしいな、今日は特に誰と会う約束もしていないのに。」



「こんな遅い時間に…(あや)しいですね。俺が出てきます。先生も(ねん)のため用心してください。」



「ああ。」



ハンスは静かに(やり)(かま)えると、扉の方に向かって歩きました。



「こんな夜中(よなか)に、誰だ!」



「…その声はハンスだね。」



外から明るいおかしそうな声が聞こえました。ハンスは面喰(めんくら)いました。



「なっ、なぜ俺の名前を知っている!?」



「ハハッ、そんなに動揺(どうよう)するようでは、用心棒(ようじんぼう)任務(にんむ)は任せられそうにないね。」



ハンスはまごまごしていますが、オリバーはその声に()(おぼ)えがあったらしく、ガタリと立ち上がりました。



「この声…、もしかして!」



オリバーは急いで扉に向かっていきました。そしてハンスをどかすと、扉を開けました。



「やっぱりお前か!」



オリバーは外にいた人物を見て顔をほころばせました。



「久し振りだね、オリバー。一年半前にリバー王国で別れて以来だね。」



女性の声も聞こえてきます。



「お久しぶりです、オリバーさん!」



「モニカ!元気そうだな!こんなところで立ち話もなんだ、中に入ってくれ。」



「そのつもりで来たからね。フランソワは(うら)納屋(なや)(つな)いでおくよ。」



外に立っていたのは、一年半前、オリバーと一緒にリバー王国の悪い大臣たちを倒した騎士(きし)のパトリックと魔術師(まじゅつし)のモニカでした。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



オリバーは昔の仲間に久し振りに会えてとても(うれ)しそうです。



「こっちに帰ってきていたのか。」



「いや、(わたし)たちがここに帰って来たのもつい二日前だよ。少し遠くまで旅をしていたのだけど、ここへ戻るついでにリバー王国にも()ったよ。オーベルクで薬屋(くすりや)をやっているイザベルには会えたよ。」



「そうか、みんな元気にしてるのか?」



「みんな元気らしいよ。イザベルの薬屋(くすりや)もオーベルクでは(たい)した評判(ひょうばん)だね。で、ビアンカがそこに居候(いそうろう)しているんだ。」



「ビアンカか。(なつ)かしいな。」



「ローズのライバルだね。」



ハンスが言うと、ローズはほんの少しだけ口の(はし)を上げました。



(わたし)たちが行った時にはビアンカはまたフラフラと気まぐれの旅に出ていていなかったんだけど、他のみんなの様子も聞けたよ。



…ペーターはマティアスの元で衛兵(えいへい)として張り切っているらしいよ。



ラルフはトリポートに戻って大工(だいく)を続けているらしい。



北の樹海(じゅかい)に帰ったアリスとエミリーはあの狩人小屋(かりゅうどごや)拠点(きょてん)樹海(じゅかい)を見回っていると同時に、あの辺りの村の子どもたちの面倒(めんどう)を見てやったりしているらしいね。」



(なつ)かしい名前ばかりだな。」



オリバーは昔を思い出すように目を閉じました。



「レオンは(あらた)めてリバー王国から分離(ぶんり)したシーガルン王国で、兵士たちのための訓練場(くんれんじょう)再開(さいかい)したようだよ。マチルドも何だかんだでレオンの訓練場(くんれんじょう)にいるらしいんだけど、やっぱり口論(こうろん)ばかりしているらしいね。」



相変(あいか)わらずだな、あの二人は。」



オリバーは笑いました。



唯一(ゆいいつ)、ローレンツのことはわからないけどね。途中までは一緒に旅をしていたんだけど、東方世界(とうほうせかい)に一人で向かって行ったよ。」



「ローレンツならきっと元気でやってるさ。街の様子はどうだった?」



「ヘルガ女王様が統治(とうち)されて以来、国は活気(かっき)を取り戻したよ。人々も安心して暮らせているようだね。」



「そうか、それはよかったな…。俺たちの行動の甲斐(かい)があったってもんだ。」



オリバーはとても(うれ)しそうです。パトリックも感慨深(かんがいぶか)げです。



「もう一年半も前の話か…。でも昨日のように思い出されるよ。ハンスもローズも、あの時のまだ(おさな)かった様子がまるでないね。」



「モニカもしっかりとお前を助けてくれているようだな。」



「旅の(とも)としては最高のパートナーだよ。何度も魔術(まじゅつ)で助けてもらったからね。」



暴発(ぼうはつ)しちゃうこともありましたけどね…。」



モニカが()ずかしそうに言いました。



「はは、そこは相変わらずなんだな。モニカらしくていいよ。」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



いつしか、話は一年半前のリバー王国での戦いの話になっていました。



「あの一件でハンスもローズもよく成長してくれた。本当はハンスをレオンの元で修行(しゅぎょう)させようとも思ったんだが、レオンは俺には力不足(ちからぶそく)だ、って固辞(こじ)してな。」



「ええっ!?その話、初耳(はつみみ)ですよ!?」



ハンスはびっくりしました。



「ペーターをマティアスに(たの)んだのも本人にはその時までいっさい言っていなかったしな。とにかくハンスは、最近は少し手強(てごわ)魔獣(まじゅう)討伐(とうばつ)も一人で任せられるようになった。」



パトリックは目を丸くしました。



「それはすごいね。ローズの魔術(まじゅつ)の方はどうなんだい?」



「まだ戦いで通用(つうよう)するレベルではないが、ものすごい(いきお)いで上達(じょうたつ)している。一年半前はほんの少しだけイザベルに仕込(しこ)まれただけだったが、今ではイザベルがくれた初歩(しょほ)魔術(まじゅつ)の本に書いてある中でも簡単なものは完全に身につけた。



別に、俺やモニカのように生まれつき魔力(まりょく)(そな)えていなかったとしても、必死に修行(しゅぎょう)さえすれば誰にでも魔術(まじゅつ)は身に付くが、ローズはもともと潜在能力(せんざいのうりょく)が高かったらしいからな。



とはいえ、やっぱり魔術(まじゅつ)習得(しゅうとく)には体力が必要だからな、せいぜい週に二回程度しかやらせていないが。()いた日にはハンスと一緒に武器で戦う訓練(くんれん)をさせている。」



「ローズ、相変わらずあのスプーンで訓練(くんれん)してるんですよ。どれだけ先生のことを…痛ッ!」



ハンスがからかうように言うと、ローズがハンスの足を思い切り蹴飛(けと)ばしました。パトリックは笑っています。



「ハハハ…。ハンスは魔術(まじゅつ)修行(しゅぎょう)はしないのかい?」



「俺は敵に向かって自分で突撃(とつげき)していく方が好きですから。」



ハンスはそう言って自信たっぷりに(むね)を張りました。



「ハハッ、君らしいな。ローズの方は、昔のモニカのように、魔術(まじゅつ)暴発(ぼうはつ)したりはしなかったのかい?」



「最初の頃はひどかったですよ。初めから先生の得意な(のろ)いの魔術(まじゅつ)(ため)そうとしてそれが暴発(ぼうはつ)して、俺は全身に痛みを味わうと同時に、三日間も悪夢(あくむ)にうなされました。他にも間違って魔獣(まじゅう)召喚(しょうかん)したり、物置(ものおき)を吹っ飛ばしたりしたこともありましたしね。」



(のろ)いの魔術(まじゅつ)は難しいもんね…。まずは簡単な(ほのお)魔術(まじゅつ)から入るべきでしたよ、ローズさん。」



モニカが言うと、ローズは口をとがらせました。



「モニカだって失敗してたくせに…。」



「も、もう大丈夫ですよ!ねっ、パトリックさん!」



「まあ、一緒に旅に出てからは二、三回しかないかな。食料を全部燃やしてしまって三日間飲まず食わずで旅をしたときは死ぬかと思ったけど…。」



「…やっぱり、変わってない…。」



ローズは()(ほこ)ったように言いました。



「そんなぁ!だって、少なくとも飲み物は、(こおり)魔術(まじゅつ)で作った(こおり)()かして何とかなったじゃないですか!」



「お(たが)い、魔術師(まじゅつし)弟子(でし)には苦労(くろう)してる、ってことですね。」



「ハハハ、モニカは弟子(でし)というわけではないけれどね。」



ハンスの言葉にオリバーとパトリックが大笑いしたので、ローズとモニカは(ふく)れっ(つら)をしました。



「これからどうするつもりなんだ?」



オリバーは改めてパトリックにたずねました。



「しばらくはどこへも行くあてはないから、当分はここにとどまろうと思うよ。もし何か手助けが()(よう)なときは声をかけてほしい。」



「そうか。それなら気が向いたときでいいからここへ来てハンスの訓練(くんれん)相手をしてやってくれないか?どうも最近、俺では物足(ものた)りなくなってきたみたいだからな。」



「そうか。(わたし)で相手になるかはわからないけれど、ハンスがどれだけ成長(せいちょう)したのかも見てみたいしね。」



「モニカも時々ここへきてローズの話し相手になってやってくれ。男ばっかりの環境(かんきょう)でつまらないだろうからな。」



「ローズさんはオリバーさんさえいれば…あ、いえ、何でもないです。わかりました。では時々お邪魔(じゃま)させていただきます。」



モニカは視線(しせん)を感じ、(あわ)てて訂正(ていせい)しました。



その時でした。入り口の扉がドンドンという音を立てています。誰かが強く扉を叩いているようです。



「…今度こそ、(あや)しいんじゃないですか?もう一度行ってきますね。」



ハンスは先ほどのように(やり)(かか)え、扉の前まで行きました。



「誰だ!こんな夜遅(よるおそ)くに!」



「頼む!開けてくれ!一大事なんだ!」



外から聞こえてくる切羽詰(せっぱつ)まった声は、ハンスの耳に(おぼ)えがあったようです。



「こ、この声、もしかして!」



ハンスが驚いて扉を開けました。ボロボロの(よろい)を着た兵士が(ころ)がり込んできました。



「ペーター!ペーターじゃないか!」



「ひ、久し振りッス、先輩(せんぱい)…。先生も、ローズも、あ、パトリックさんたちも…。」



リバー王国の衛兵隊長(えいへいたいちょう)、マティアスのところに(あず)けたオリバーの元弟子(でし)、ペーターでした。オリバーもびっくりしています。



「ペーター!どうしたんだ!(きず)ついているじゃないか!ローズ!手当ての準備(じゅんび)だ!」



ローズは(あわ)てて(うなず)くと、奥の部屋に入っていきました。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



ベッドで手当てを受け、ペーターはようやく落ち着きを取り戻したようです。



(なつ)かしいなぁ、この家。先生によくしごかれていたっけ…。」



「ペーター、一体どうしたんだ?こんなボロボロになって帰ってきて…。」



オリバーは本当に心配そうです。



「そうでした…。実は、リバー王国が侵略(しんりゃく)されているんです。」



「何だって!?」



ペーターの言葉に、オリバーは(おどろ)きました。パトリックも動揺(どうよう)しているようです。



「リバー王国と敵対(てきたい)する国は近隣(きんりん)にはないと思うけれど…。」



他国(たこく)()められたわけではありません。(こと)発端(ほったん)はリバー王国の南部、ナンジューマ地方の中心都市であるダナラスフォルスへの侵略(しんりゃく)です。生き残って逃げてきた兵隊たちによれば、ダナラスフォルスを(おそ)ったのは人間ではなかった、ということでした。」



「人間じゃなかった、だって?」



オリバーは(まゆ)をひそめました。何か(いや)予感(よかん)がしているようです。ペーターはさらに続けます。



「その翌日、キンフィールドの王宮(おうきゅう)襲撃(しゅうげき)されました。押し寄せて来たのは…武器を持った無数の動死体(どうしたい)でした。」



動死体(どうしたい)だって!?」



ハンスが思わず大声を上げました。オリバーも唖然(あぜん)としています。



「つまり、魔術師(まじゅつし)がどこかで動いている…?」



「そういうことかもしれません。とにかく俺はマティアス隊長(たいちょう)に言われて、先生に救援(きゅうえん)要請(ようせい)に来たんです。衛兵(えいへい)や王国軍だけではこの相手は手に()えない、と…。無我夢中(むがむちゅう)隊長(たいちょう)から借りた馬を走らせ、五日でここへやってきました。この(きず)動死体(どうしたい)たちの()れを突破(とっぱ)する時につけられたものです。」



(わたし)たちが二週間ほど前に行った時には何事も起こっていなかったのに…。」



モニカも信じられないと言った表情をしています。オリバーは意を(けっ)したように言いました。



「…わかった、ペーター。すぐにリバー王国に向かって出発しよう。パトリック、モニカ、一緒に来てくれるか?」



「ああ、もちろんだよ。」



「行きましょう。」



二人ははっきりと言いました。



「ハンスとローズも来てくれるな?」



「当たり前でしょう!な、ローズ?」



ローズもコクンと(うなず)きました。



「パトリック、悪いがフランソワに乗って先にリバー王国に行って様子を見てきてくれ。」



「わかったよ。モニカ、行こう。」



「はい!」



パトリックとモニカは外へ出て行きました。そして()け声と馬の走る音が聞こえました。



「俺たちもすぐに出発しよう。俺たちに馬はないが、歩きに船を乗り継いで急いで行けば、十日でリバー王国のキンフィールドに着ける。」



「ありがとうございます、先生。」



ペーターはオリバーに感謝(かんしゃ)しました。



「お前は(きず)()えるまでここで休んでいろ。後から追いかけてこい。」



「そんなわけには行きませんよ。一刻(いっこく)も早くマティアス隊長(たいちょう)の所へ戻って報告(ほうこく)をしないと…。」



「…ちょっと待ってて…。」



ローズがペーターに向かってつぶやきました。



「リカバリー…。」



すると、ペーターの傷口(きずぐち)がスッとふさがりました。



「あれ?(きず)(なお)った!」



「成功…。」



ローズは(うれ)しそうです。ハンスは目をまん丸にしています。



「ローズ!いつの間に回復術(かいふくじゅつ)を身につけたんだ!?」



「まだ途中段階(とちゅうだんかい)…。一か八か…。」



オリバーは少しだけ顔をしかめましたが、すぐに表情を引き締めました。



「身に付けきっていない魔術(まじゅつ)をいきなり使うのは感心しないが、とにかくこれですぐにリバー王国へ向かえるな。よし、支度(したく)をしよう。」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



人物紹介


~オリバー・ローゼンハイン~

・「高名(こうめい)魔術師(まじゅつし)

・26歳。

魔術(まじゅつ)のほか、突剣(とっけん)で戦うこともある。

・一人称は「(おれ)

・このお話の主人公。(のろ)いの魔術(まじゅつ)専門家(せんもんか)。今までに多くの依頼(いらい)をこなしてきた。悪の大臣を倒したのもそのうちの一つ。豊富(ほうふ)知識(ちしき)と強いリーダーシップで仲間たちを引っ張る。もともとは「(やみ)魔術師(まじゅつし)」で、その過去(かこ)は今でも後悔(こうかい)している。その分人の役に立とうと一生懸命(いっしょうけんめい)



~ハンス・アルノルト~

・「一番弟子(いちばんでし)

・15歳

(やり)で戦う。(けん)も少しだけなら(あつか)える。

・一人称は「(おれ)

・オリバーの一番弟子(いちばんでし)。当然オリバーとともに()ごしてきた時間は一番長い。かつて(やみ)魔術師(まじゅつし)によって荒廃(こうはい)させられた村からオリバーに引き取られた。最近は戦いの腕前(うでまえ)急上昇中きゅうじょうしょうちゅうで、オリバー(ゆず)りの指揮力(しきりょく)も上がってきている。女性メンバーからの信用度(しんようど)も高い。



~ローズ・ミニエー~

・「三番弟子(さんばんでし)

・20歳

短剣(たんけん)で戦う。魔術(まじゅつ)(あつか)える。

・一人称は「(わたし)

・オリバーの三番弟子(さんばんでし)。一年半前のリバー王国での戦いをきっかけにオリバーの弟子(でし)になる。もとは貴族(きぞく)末娘(すえむすめ)。相変わらず内気(うちき)で人と話すのが苦手だが、それでも以前よりは口がなめらかになったし、かわいい笑顔もよく見せるようになった。オリバーのことがずっと好きだが、当の本人がまったく気づいてくれないので最近とても(あせ)ってきている。



~ペーター・ヘルマン~

・「衛兵(えいへい)

・17歳

(けん)で戦う。(やり)も少しだけなら(あつか)える。

・一人称は「(おれ)

・オリバーの元・二番弟子(にばんでし)。今はリバー王国の衛兵(えいへい)。オリバーの死んだ親友(しんゆう)の弟。一年半前のリバー王国での戦いをきっかけに衛兵隊(えいへいたい)に入る。平和なリバー王国での日々に()れすぎて(うで)が落ちてしまっているし、よく油断(ゆだん)するようになってしまった。でもいざという時は手がつけられないほどに強くなる。でも女性メンバーからの信用度(しんようど)はまだ低い。



~パトリック・ティボー~

・「鉄血(てっけつ)騎士(きし)

・26歳

(やり)で戦う。馬から降りると(けん)で戦う。

・一人称は「(わたし)

・オリバーとは古くからの知り合い。高名(こうめい)騎士(きし)、と周囲の人は理解(りかい)しているが、実際には馬に乗って戦っているだけなので厳密(げんみつ)な意味での騎士(きし)ではない。しかし、その紳士的(しんしてき)な立ち()()いや人との(せっ)し方は、(なみ)騎士(きし)よりもずっと騎士(きし)らしい。普段は愛馬(あいば)フランソワに乗ってあちこちを旅し、見聞(けんぶん)を深めている。仲間に、特に女性に対しては紳士的(しんしてき)だが、敵に対してはいっさいの容赦(ようしゃ)がない。



~モニカ・クラウス~

・「暴発魔女(ぼうはつまじょ)

・16歳

魔術(まじゅつ)で戦う。

・一人称は「(わたし)

(こおり)魔術(まじゅつ)()けていて、リバー王国の戦い以来パトリックとともに旅をしている。(うち)()められた魔力(まりょく)があまりにも膨大(ぼうだい)なため、よく魔術(まじゅつ)暴発(ぼうはつ)させてしまう。その回数は()ったとはいえ、そこは相変わらず。それでも大好きなパトリックの前では緊張(きんちょう)するのか、成功率(せいこうりつ)がグンと上がる。パトリックとともに旅をしてきたおかげで、少々のことではひるまない勇気(ゆうき)が身についた。

平和な暮らしが続いていたオリバーたちの前に飛び込んできた新たなわざわいのしらせ、それはあまりに突然訪れました。はたしてリバー王国の、そしてオリバーたちの運命は…?



次話ではオリバーたちがリバー王国に到着します。峠を登ったオリバーたちの足元に広がっていたのは、炎に包まれたキンフィールドの街並みでした。そしてオリバーたちの目の前で…。どうぞお楽しみに!



ちなみにローズは何度も回復術を動物で練習してきましたが、ネズミをオオカミに変成させてしまったり、猫の足を三メートルほどの長さにしてしまったりと失敗の連続でした。ハンスに言わせてみれば、ペーターの傷を一度で治せたのは奇跡といっても過言ではなかったのです。



では次話をお楽しみに!

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