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憧れは恋へと

「先輩、私と付き合ってくれませんか」


「は?」


 遡る事30分前

 春が過ぎ、夏に差し掛かろうという日に俺は校舎裏に呼び出されていた。別に虐められている訳ではない、確かにこの学校は異常に変人が多いが、俺は人間関係は良好に築いていると自負している。ならば何故こんな所に居るかというと靴箱に紙が置いてあったからである。


 現在ではあまり見ない靴箱をパカパカできるタイプの靴箱を開けるとすると、ヒラヒラと一枚の髪が落ちてきてその紙に校舎裏に来て欲しいという旨の言葉が綴られていた。ただそれだけである、虐めや冷やかしであればそれはそれでいい、明日知り合いと話すネタが一つ増えるそんだけだ。そんなふうに考えながら俺は校舎裏に向かうとある程度、見知った顔の人物がそこにはいた……


「……っなんであいつが」


 俺の目の前には黒に青が少し混じった髪を漂わせている。そんな女がいた……


 俺はその女を知っている。加賀 花苗かなえ 学年1の美少女、入学して2ヶ月が経過したが100を超える告白をされ、その全てを振り、それでもなお好感度が変動しない、ファンクラブができるほどの美少女。


 まるでアニメや漫画の世界でしか見ないような美少女が誰かを待っている様にいた、俺に手紙を出した犯人が花奏だと思い声をかけようとするが、不用意に声を掛けるとファンクラブに殺されると思い、俺はまだ死期を悟るには速いと思い、少し身を隠そうとすると、物音で気付かれて声を掛けられてしまった。どうやら俺のステルススキルはゴミカスらしい。そんなことを考えながら、俺は花苗に恐る恐る声を掛ける。


「よ、よう、久しぶり? だな」

「久しぶり……ですね」


 気まずい、この状況はとてもよろしくない、昔に関わりがあったからと言ってラフな感じで言ったらこんな地獄を見ることになってしまうとは……


「手紙はお前が入れたのか?」

「そ、そうです」

「一応理由を聞いても、いいか?」

「人前だと恥ずかしいから、人気のないところに来て欲しくて、ごめんなさい、すぐ終わらせますので……」

「いや、暇だからいいぞ、焦らなくても」

「そ、そうですか」


 なんだ、何をされるんだ、花苗は目を点にさせたようにあたふたしている、明らかに焦っている。なんなんだ










 そんなこんなで今の状況に至る。


「え、え〜と、色々質問したことがあるんだが、まず俺のどこに惚れる要素があるんだ」

「先輩への憧れと尊敬とかそのほかにも沢山あります!!」


 ふんっというように鼻息を荒くしながら語ってくる。俺はそんなに尊敬されるような立派な人間ではない、それに俺が一年早く合気道の教室を通っていただけで先輩って、同学年だろうに……


「俺はそんなに尊敬される様な人間じゃないと思うんだが……」

「そんなことないです、少なくとも自分は先輩のことを尊敬してます!!」

「そ、そうか、ありがとう」

「いえいえ……その、返答を聞いてもいいですか……」


 何度も考えるがどうしよう………花苗はハッキリ言って可愛いだが、この告白を俺が受けてしまっていいのだろうか、花苗にはもっといい男がいると思う、別に自分を卑下しているわけじゃあない、相対的な話だ。だから断りたいのだが、一つの懸念点がある、それは花苗がショックを受けるのではないかという点だ。


 俺は好きや嫌いではなく、花苗がショックを受けるだろうという気持ちの悪い勝手な思い込みで、そんな傲慢な理由で俺はその告白を………


「よろしく頼む…」





 受けるのだった………

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