表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
身分を隠して逃亡中の公女ですが、他国で逆ハー築いてます。  作者: 専業プウタ@コミカライズ準備中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/56

50.魅了の力が消えたら伝えたいことがあります。

私は誕生日のダンスにしても、アカデミーの生活にしても接触を禁じられているフィリップ王子と接触してしまった。


自分の彼への好意が彼を呼び寄せているのだろう。

でも、噂がたってフィリップ王子の評判が落ちることはなかった。


いつもレイモンドがなんとか噂を消していくれていたのだ。


婚約者である彼が、不誠実な私のフォローをどんな気持ちでしていたのだろうか。

いつも自分勝手に見えた彼だけれど、本当に彼は自己中心的で自分勝手なのか分からなくなった。


本当に自分勝手なのは自分の欲求を全く抑えられず、危険な力を乱用ししている私なのかもしれない。


♢♢♢


「エレノア、王宮に行きましょう。待ち侘びていたものがきましたよ」

アカデミーの卒業式を終えた私を待っていたレイモンドが、私をいつものようにエスコートして馬車にのせた。


「もしかして、魅了の力を消す薬ですか?」

私が恐る恐る尋ねると、彼は微笑んで私を優しく抱きしめてきた。


本当に私が16歳までに魅了の力を消す薬を間に合わせてくれた。


来週には私は16歳になり、サム国では結婚できる年齢になる。

きっと私の結婚する前までに、真実の愛を理解できるように間に合わせてくれたのだろう。


魅了の力があると、相手の好意を信じられなくなる。

でも相手の好意が信じられなくても、私は自分の好意が誰に向いているかは知っていた。


サム国はまだ国として形を保っているが、国民の9割が帝国領になることを望んでいる状態だ。

国王陛下がサム国を帝国に明け渡さないのだ。


そんな不安定な時期に、王太子であるレイモンドが結婚式を挙げるわけにいかないので私たちの結婚式は保留ということになっている。


「良かったですね。これで、怖がらずにフィリップと話せますよ」

私は彼がいつからか私のことを心から愛していることに気がついていた。

その気持ちを利用して、能力のある彼を活用し自分の失態のフォローをさせ続けていたのだ。


私の初恋の人エレナ・アーデンが私が魅了の力を使いこなせるのは人に期待していないというより、人を道具のように見ているからだと言っていた。


彼女に言われた言葉がショックで自分は人に期待できないような可哀想な人生を送ってきたから、人に期待せず魅了の力を使いこなせると思い込もうとしていた。


でもエレナ・アーデンの言うことはやはり正しかった。

私は人を道具のように見ていたから、魅了の力を使いこなしてきた。


しかし、自分の欲求のままに魅了の力を使ってしまうようになると、能力が高く自分に惚れ込んでいる婚約者の男を道具のように使い自分の失態を覆い隠した。


「レイモンド、私の魅了の力が消えたら伝えたいことがあります」

私は大好きな彼の海色の瞳を見つめた。

どうして、今まで気がつかなかったのだろう。


彼の瞳に映った私の姿がどうして可愛く見えるのかに。

私が彼にときめいていたからに決まっているではないか。


私にはない自信を持っている彼に最初から惹かれていた。

でも、明らかに利用されているのがわかって気持ちに贖おうとした。


フィリップ王子にも惹かれた。


自分の失った純粋な心を持っていたからだ。

彼は私を利用することがないと思い、安心して思いを募らせた。


「エレノア、私はあなたがどんな決断をしてもあなたの1番の味方です」

彼の言うことにはいつだって嘘がなかった。

彼は正直すぎて、彼の言葉は私にとって引いてしまうものばかりだった。


でも、私だって心の中では結構ひどいことばかり考えていた。

それを外に出して発している彼と、取り繕って嘘をいう私。

彼は嘘をつかないから、私に嘘はつかないで欲しいと言ってきたのだ。


本当のことばかりを言う彼のことが苦手だったけれど、彼は傷つけられても本当の言葉を向けて欲しい人だったと言うことだ。

だから私に侮辱されても、それが私の本当の気持ちだったから怒らずに受け止めてくれていた。


「覚悟していてくださいね。レイモンドを驚かせますよ。予告しておきます」

私はそういうと彼の表情を見ないように、彼の胸に顔を埋めた。


見なくてもどうせ驚いていると分かるから、今は見る必要がない。

彼は王族のくせに感情が表情にですぎるしょうもない男だ。


少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマーク、評価、感想、レビューを頂けると嬉しいです。貴重なお時間を頂き、お読みいただいたことに感謝申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ