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アイドルが恋をした時

作者: うずらの卵。

「ねぇねぇ剛志、私は将来アイドルになるの。

そしてね、可愛い洋服を着て沢山のファンの前で歌うの」

「えぇー、亜衣がアイドル?無理無理、おまえ歌もダンスも下手っぴじゃん」

「何よー、私これから頑張るもん」

「はいはい、せめて恥かかないようにな」


私の幼い頃からの夢はアイドルだった。

そして、歌にダンスに頑張って遂に17歳の時に、オーディションに受かりアイドルの道が開けたのだ。

勿論何度もオーディションは受けて落ちまくってたから、親からはこれで受からなければ諦めなさいと言われていたのだ。

剛志は隣に住む幼馴染みで、幼稚園から高校までずっと一緒だった。

剛志は口は悪いけど、私が転んで怪我をした時とか、悩んでいる時はいつも助けてくれて、相談に乗ってくれていた。

今ではクラスも同じで、男らしくなった剛志に恋心を抱いていたのだ。

でも、私がオーディションに合格したと伝えた時は何故か素っ気なかった。 

それからの私は学校に行きながら、ダンスや歌のレッスンと忙しく、剛志とは殆んど話をしなくなっていた。

勉強とアイドルの仕事を両立させるのは、とても辛かったけど、

夢を叶える為に必死に頑張った。

そこから、毎日学校とレッスンに追われた。

寝る時間も殆んどなく、毎日くたくたで授業中に居眠りをしてしまう始末だ。

最初は応援してくれていたクラスメイトも、

陰で「アイドル様は忙しくて大変みたいだよ」

「授業中に居眠りとか受験勉強しなくて良いからね」と言われるようになっていた。

皆受験勉強でイライラし始めていたのだ。

そして、私は徐々に精神的にも体力的にも疲弊して学校を休みがちになって行った。

後からオーディションで受かった子が先にデビューして、私は中々デビュー出来なかったのだ。

家族からは、アイドルを諦めて勉学に集中したらと言われ、段々アイドルへの夢も自分の中で冷めて行った。

そんなある日曜日、レッスンも休みで部屋に籠っていると、部屋のドアをノックする音がした。

「どうぞー」と私はどうせ母親だろうと思い声をかけると、中に入って来たのは剛志だったのだ。

「久しぶり、元気か」と言いながら剛志はクッションにドカッと胡座をかいて座った。

私は驚いてしどろもどろになりながら、

「急に勝手に来てビックリするじゃん」と言うと、

「おばさんに入って良いと言われた、

亜衣、アイドルをこのまま目指し続けるのか?」と聞かれた。

私は自分自身アイドルを目指し続ける気力が失せて来ていたのだが、剛志に言われて何故か苛立った。

「勿論続けるに決まってるでしょ、何よ中々デビュー出来ないから諦めろとでも言いに来たの?」と私は八つ当たり気味に叫んだ。

「何もそんな事言ってないだろう」と剛志は言うが、

「もう、帰って、ほっといてよ」と言い私は剛志を無理やり追い出した。

それからは、剛志と全く顔を合わさなくなった。

お母さんから聞いた話によると、

剛志はやりたい事が見つかり頑張っているらしい。

そして、私は何とか学校を卒業してアイドルを目指し毎日レッスンに励んだ。

そして、夢が叶い遂にデビューが決まったのだ。

そして、事務所の人に呼ばれ部屋に行くと、

「デビューおめでとう、こちらが亜衣のマネージャーだ」

そこには背広を着た剛志が立っていたのだ。

私は驚いて呆然と立ち尽くしていた。

「亜衣、俺もまだ新人だけど二人でこれから頑張って亜衣の夢を叶えて行こう」と手を差し出して来た。

私は「宜しくお願いします、マネージャー」と言い剛志の手を強く握った。

そして、アイドルとマネージャーの二人三脚で亜衣と剛志は走り抜けた。

その後二人は仕事のパートナーから、

人生のパートナーになる事に。

それはまだまだ先のお話。








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