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スキル創造で異世界無双!?平凡高校生、運命の旅に出る  作者: 風森ルナ
第6部:新たな脅威と光の継承者たち
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第2章:闇の源流と封印の鍵

1節 深淵への足音

アストレア遺跡の門が静かに開いた。


俺たちは慎重に足を踏み入れる。そこはまるで異世界のようだった。


――ザザザ……ゴゴゴ……。


奥へ進むたびに、空間が歪んでいるような感覚がする。壁に刻まれた古代文字や紋様が、かすかに光を放ち、神秘的な雰囲気を醸し出していた。


「……気味が悪いな。」


俺は剣の柄を握りながら呟く。


「ええ、ここまでくると、何が出てきてもおかしくないわね。」


ティリアが弓を構え、周囲を警戒する。その表情にはいつもの余裕はなく、神経を張り詰めているのがわかった。


「シア、大丈夫か?」


俺はシアの方を振り返る。彼女は少し不安そうな顔をしながらも、しっかりと光の核を抱えていた。


「うん……でも、この場所……何かが私を呼んでる気がするの。」


「呼んでる?」


「うん……言葉じゃなくて、もっと深いところから……心に直接響くような……そんな感じ。」


シアの言葉に、俺たちは顔を見合わせる。


「光の核が反応してるのか?」


「……かもしれない。きっと、この遺跡の奥に何かがある。」


シアの光は、今までになく強く脈動していた。それはまるで、闇の源流が近いことを警告しているようでもあった。


遺跡の第一関門

遺跡の奥へ進むと、やがて巨大な円形の広間にたどり着いた。


その中央には黒い祭壇が鎮座し、周囲にはいくつもの石柱が並んでいる。そして――


「……やっぱり、歓迎してくれるわけないよな。」


祭壇の前に立つ影――黒いローブを纏った存在が、俺たちを待ち構えていた。


「お前……!」


俺は剣を構える。そのローブの男は以前出会った“闇の使者”と同じ気配を纏っていた。


「……お前たちがここにたどり着くことは予測していた。」


男は静かに言葉を発し、ゆっくりとフードを外す。そこに現れたのは――銀色の髪を持つ男だった。その目は赤く光り、不気味な笑みを浮かべている。


「俺の名はゼヴァルド。闇の源流を守る者……そして、“封印の鍵”を握る者だ。」


「封印の鍵?」


俺が問い返すと、ゼヴァルドは静かに頷く。


「そう――光と闇の均衡を保つ最後の鍵。だが、それがこの場で解放されれば、世界は再び闇に覆われることになる。」


「そんなこと、させるわけない!」


シアが一歩前に出る。その手の中の光が、ゼヴァルドの放つ闇に対抗するように輝きを増していく。


「お前が“封印の鍵”を持ってるってことは……お前を倒せば、闇の源流を封じられるってことだな?」


俺が剣を握りしめると、ゼヴァルドは小さく笑った。


「さて、それはどうかな……?」


彼が手を掲げた瞬間、祭壇が闇の魔力を放ち、周囲の石柱が軋むような音を立てて動き出した。


――ズズズズズ……!!


石柱の中から、無数の黒い影が生み出され、ゆっくりと形を成していく。


「……シャドウゴーレム!!」


ティリアが叫ぶ。


それは黒い霧を纏いながら動く巨大な魔物だった。ゴーレムの目が赤く光り、重い足音を響かせながらこちらに迫ってくる。


「この遺跡は、闇の力を増幅させる“器”だ。」


ゼヴァルドはゆっくりと剣を抜きながら言う。


「俺を倒せるかどうか――試してみるがいい。」


試練開始――ゼヴァルドとの戦い

「ティリア、シア!行くぞ!!」


俺は剣を握りしめ、ゼヴァルドとシャドウゴーレムに向かって突進した。


「大地、ゴーレムを任せて!私はゼヴァルドの動きを封じる!」


ティリアが素早く動き、矢を放つ。しかし、ゼヴァルドはそれを片手で軽々と弾き、微かに笑う。


「……その程度では、私には届かない。」


「くそっ……!」


俺はシャドウゴーレムに狙いを定め、剣を振るう。しかし――


ガキィンッ!!


「ぐっ……硬ぇ!!」


ゴーレムの体は異常に硬く、普通の攻撃では歯が立たない。


「大地、シアの光を使って!」


「了解!」


俺はシアの方を振り返る。


「シア、頼む!!」


「うん……!」


シアが手を前にかざし、強烈な光を放つ。その光がシャドウゴーレムに当たると、一部が浄化されるように崩れ始めた。


「今だ、大地!」


ティリアが叫ぶ。


「おおおおお!!」


俺は全力で剣を振り下ろし、ゴーレムの核を叩き斬る――


ズバァァァァン!!


ゴーレムが砕け散る。しかし――


「……まだ終わらんぞ。」


ゼヴァルドが剣を構え直し、強烈な闇の波動を放つ。


「次は、貴様たち自身が試される番だ。」


闇の力が広がり、俺たちはその圧倒的な魔力に包まれた――。


闇の源流を巡る戦いは、ここからが本番だった。



2節 ゼヴァルドの真実

――ゴゴゴゴ……!


ゼヴァルドが剣を振り上げると、闇の波動が広がり、遺跡全体が震えた。


「くそっ、こいつ……!」


俺は剣を構え直し、ゼヴァルドの動きを見極める。ティリアは弓をつがえ、シアは光の核を強く握りしめながら警戒していた。


「大地、来るわよ!」


ティリアの声と同時に、ゼヴァルドが一瞬で距離を詰める。


「遅い。」


低く呟くと同時に、俺の剣とゼヴァルドの剣が激突した――


――ガキィィンッ!!


衝撃が走り、俺は後ろへと吹き飛ばされる。


「ぐっ……!」


「大地!」


シアが駆け寄ろうとするが、ゼヴァルドが手をかざすと、闇の力が壁となって彼女を遮る。


「……お前、何者なんだ?」


俺は立ち上がりながら問いかける。ゼヴァルドは静かに剣を収めると、フードを外し、その銀髪を露わにした。


「……お前たちが知るべき時が来たようだな。」


「俺は元々、“光の継承者”だった。」


「……なに?」


俺とティリア、そしてシアが驚愕の表情を浮かべる。


「嘘よ……!あんたが光の継承者だったですって?」


ティリアが弓を構えながら叫ぶ。だが、ゼヴァルドはそれに動じず、静かに語り始めた。


ゼヴァルドの過去

「遥か昔――俺は、お前たちと同じように“光の核”を宿す者として選ばれた。しかし……俺は“光と闇の本質”を知ってしまったのだ。」


ゼヴァルドの瞳が、どこか悲しげに揺らぐ。


「光は“希望”であり、闇は“絶望”だと人々は言う。しかし、それは本当に真実なのか?俺が見たものは違った。光が強くなればなるほど、闇もまた強くなる……それがこの世界の法則なのだ。」


「光が強くなるほど……闇も強くなる?」


俺が言葉を繰り返すと、ゼヴァルドは静かに頷いた。


「そうだ。俺は光の継承者として、かつて闇と戦い続けた。だが、どれだけ闇を討ち払っても、新たな闇が生まれ続けた。俺はその“終わりなき戦い”に気づき、絶望したのだ。」


ゼヴァルドは剣を握りしめながら続ける。


「もし、闇を完全に消し去ることができないのなら――いっそ、光もろとも世界の均衡を崩せばいい。そう考えた俺は、“闇の源流”を守る存在となることを選んだ。」


「ふざけんな……!」


俺は剣を握りしめ、ゼヴァルドを睨みつける。


「だからって、闇の側につく理由にはならねぇだろ!?」


「お前に、光と闇の均衡が崩れる恐怖がわかるか?」


ゼヴァルドの目が鋭く光る。


「もし今、お前たちが光の核を完全に覚醒させれば――それと同じ強さの“闇”が生まれる。それを理解した上で、お前はなお光を求めるのか?」


「……!」


俺は言葉に詰まる。確かに、シアの光が強まるほど、闇の力も増しているのは感じていた。それは、この遺跡の異常なまでの闇の気配が証明している。


「俺が守っているのは“闇の源流”ではない。“均衡”そのものだ。」


ゼヴァルドは剣を構え直し、俺たちを見据えた。


「光を求めるならば、俺を倒していけ。だが、そうすれば――お前たちが生み出す“光”の影として、さらなる闇が現れるだろう。」


「……。」


俺は息をのんだ。ティリアも、シアも、何も言えなかった。


選択の時

「……どうする?」


ティリアが俺に問いかける。


「ゼヴァルドを倒せば、俺たちは本当に闇を消し去れるのか?」


俺は自問する。もし彼の言うことが正しければ、俺たちが勝利することで、さらに強大な闇が生まれる可能性がある。


「……それでも、俺は前に進む。」


俺は剣を強く握った。


「光が闇を生むなら、それごと背負って戦い続けるだけだ。」


「大地……。」


シアが俺の手をぎゅっと握る。その光は、まるで答えを示すように柔らかく輝いていた。


「お前が言う“均衡”ってやつも理解できる。でも、それで何もしないまま闇が広がるのを見過ごすわけにはいかねぇ!」


「……そうか。」


ゼヴァルドは目を閉じ、静かに息を吐く。そして――


「ならば、俺のすべてを賭けて、お前たちを試そう。」


彼は闇の力を解き放ち、剣を構える。


「俺を倒してみせろ。“光の継承者”としての覚悟を証明するんだ。」


「上等だ!」


俺は剣を構え、ゼヴァルドとの決戦に向けて一歩踏み出した――。




3節 ゼヴァルドとの決戦

「……来い。」


ゼヴァルドが静かに剣を構える。その瞬間、闇の魔力が空間を満たし、遺跡全体が震えた。


「大地、油断しないで!」


ティリアが弓を構え、シアは光の核を強く握る。俺は剣を握りしめながら、一歩前に出た。


「お前の言う“均衡”なんて知ったことか!」


俺は剣を構え、ゼヴァルドに向かって突進する――!


第一撃――闇と光の激突

「――はっ!!」


俺が振るった剣とゼヴァルドの闇の刃がぶつかり合い、激しい衝撃波が広がる。


――ズガァァァンッ!!


その余波で床が砕け、周囲の柱が崩れ落ちる。


「ふん……悪くない。」


ゼヴァルドはわずかに口角を上げ、軽々と後退する。


「だが、光の力だけでは俺には勝てん。」


ゼヴァルドが手をかざすと、闇の波動が俺たちに襲いかかる。


「ティリア!」


「ええ、任せて!」


ティリアが矢を放ち、闇の魔力を撃ち抜く。しかし、それでも完全には消えず、俺たちの周囲を取り囲むように広がっていく。


「くそっ……!これじゃあ動きが制限される!」


「シア、光を!」


「うん……!」


シアが光の核を掲げ、強烈な輝きを放つ。


「光よ――この闇を打ち払って!」


――パァァァァァッ!!


眩い光が闇の波動を浄化し、俺たちの視界が開ける。


「ナイス、シア!」


「うん……!でも、ゼヴァルドがまだ……!」


シアが指差した先では、ゼヴァルドが静かにこちらを見つめていた。


「……やはり、お前たちにはその力があるか。」


彼は静かに息を吐き、闇の刃を掲げる。


「ならば、次は“本気”で行こう。」


ゼヴァルドの真の力

ゼヴァルドの体から闇のオーラが噴き出し、空間全体が黒く染まっていく。


「……何だ、これは!?」


俺は剣を構えながら警戒する。ゼヴァルドの周囲には黒い炎のような闇の波動が渦巻き、彼の剣にも黒と赤が入り混じる不気味な光が宿っていた。


「これが、俺の真なる力――“深淵剣”だ。」


――ゴゴゴゴゴッ!!


ゼヴァルドが剣を振ると、闇の斬撃が一気にこちらへと襲いかかる。


「くそっ、でかすぎる!」


俺はとっさに横へ跳び、ティリアも素早く弓で迎撃するが――


――ズバァァァァッ!!


衝撃波が床を裂き、周囲の遺跡が崩れ始める。


「このままじゃ遺跡が崩れるわよ!」


ティリアが叫ぶ。しかし、ゼヴァルドは冷静にこちらを見つめていた。


「……逃げるか?それとも、ここで決着をつけるか?」


「逃げるなんて選択肢はねぇよ!!」


俺は剣を強く握り、ゼヴァルドに向かって突進する――!


最終局面――光の力を解放せよ

「シア!お前の光を俺の剣に宿せ!」


俺はゼヴァルドの剣を受け止めながら叫ぶ。シアは一瞬戸惑ったが、すぐに頷く。


「……うん、やってみる!」


彼女は光の核を掲げ、俺の剣に向かって力を注ぎ込んだ。


――パァァァァァァァァァァッ!!


俺の剣が眩い輝きを放ち、ゼヴァルドの闇の波動とぶつかり合う。


「……!」


ゼヴァルドの目が一瞬、驚きに揺らぐ。


「これが、俺たちの力だ!!」


俺は全力で剣を振り下ろした――!


――ズガァァァァァンッ!!


衝撃とともにゼヴァルドの剣が弾かれ、彼の体が後方へ吹き飛ぶ。


「ぐっ……!」


ゼヴァルドは片膝をつき、剣を杖にして立ち上がった。その顔には、わずかに苦笑が浮かんでいた。


「……やはり、お前たちは強いな。」


彼は静かに剣を収めると、こちらを見据えた。


「俺の負けだ……。」


俺はゼヴァルドを見つめたまま、剣を鞘に収める。


「ゼヴァルド……お前はこれから、どうする?」


ゼヴァルドは少しの間沈黙した後、小さく笑った。


「俺は……お前たちを見届けることにしよう。光がどこへ向かうのか、そして闇がどうなっていくのか……その行く末をな。」


「じゃあ、お前も一緒に来るのか?」


俺の問いに、ゼヴァルドは首を振る。


「いや……今の俺ではまだ、お前たちと共に歩む資格はない。だが、また会うことになるだろう。」


そう言うと、ゼヴァルドは闇の霧とともにその場から消えた。


「……行っちまったか。」


俺は静かに息をつき、剣の柄を握る。ティリアも弓を下ろし、シアは光の核を見つめていた。


「これで……終わった?」


「いや、まだだ。」


俺は遺跡の奥に目を向ける。


「闇の源流が残っている。これを封じない限り、世界の均衡は戻らない。」


俺たちはゼヴァルドを倒し、新たな一歩を踏み出した。


次は、本当の決着をつける時だった。



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