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スキル創造で異世界無双!?平凡高校生、運命の旅に出る  作者: 風森ルナ
第5部:闇を統べる者と光の継承
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第4章:光の神殿と覚醒の試練

1節 神殿への到達



遺跡の門を抜けた俺たちが目にしたのは、想像を超えた壮大な光景だった。


目の前には、純白の輝きを放つ巨大な建造物――まさに“神殿”と呼ぶにふさわしい場所が佇んでいた。その建物は荘厳で、古代の職人が魂を込めて作り上げたような美しさを持っている。それなのに、どこか冷たくもあり、神聖さの裏に試練の厳しさを感じさせた。


「ここが……光の神殿……。」


シアが呟く。その声には緊張と期待が入り混じっていた。彼女の手の中に宿る光も、神殿に反応するように一層強く輝いている。


「間違いないわ。この場所こそ、光の核を覚醒させるための神聖な地よ。」


ティリアが弓を肩に背負いながら神殿を見上げる。その表情には、これから待ち受ける試練への覚悟が滲んでいた。


「神殿って言うけど、なんかただの建物じゃないよな。何か“生きてる”感じがするんだが……。」


俺は剣の柄を握りながら周囲を警戒する。確かに神殿から放たれる魔力の波動は、まるで意思を持っているかのように感じられた。


「そうね。神殿そのものが試練を課してくる可能性があるわ。」


ティリアが頷く。


「試練ね……俺たち全員に課されるのか?」


「いいえ。」


ティリアは少し考え込んでから答えた。


「試練を受けるのは、あくまで“光の核を宿す者”……つまり、シアだけだと思う。でも、私たちもサポートできる場面はあるかもしれないわ。」


「シアだけか……。」


俺はシアの方を見る。彼女は不安そうに足元を見つめていたが、やがて顔を上げ、強い意志を込めた目で俺たちを見た。


「……私、やるよ。」


「シア……。」


「怖いけど、この光を持ってるのが私なら、私がちゃんと向き合わなきゃいけないと思うの。大地やティリアみたいに、戦う力はないかもしれないけど……この光の力で、誰かを助けたいって思うから。」


その言葉に、俺とティリアは一瞬言葉を失った。彼女の中にある強い覚悟――それを感じ取ったからだ。


「よし、わかった。お前がやるって決めたなら、俺たちは全力でサポートするだけだ。」


俺は剣を腰に戻し、彼女の肩を叩いた。


「ありがとう、大地。」


シアは少し照れたように微笑む。その笑顔を見て、俺も自然と力が湧いてきた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

神殿の入口

神殿の扉は巨大で、まるで誰かが侵入するのを拒むような威圧感を放っていた。だが、シアが扉に手を触れた瞬間、光が溢れ出し、重々しい扉がゆっくりと開き始める。


「やっぱり……シアにしか反応しないみたいね。」


ティリアが言う。その言葉に、俺は改めてシアの力の重要性を感じた。


「行こう、シア。お前が前を進め。俺たちが後ろで支える。」


「うん……。」


シアは少し緊張した面持ちで頷き、ゆっくりと神殿の中へと足を踏み入れた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

神殿内部

中に入ると、外とはまた違った異様な雰囲気が広がっていた。純白の壁や柱が神秘的に輝いているが、その空間全体が、俺たちを試しているかのような圧力を放っている。


「これが……光の神殿の内部……。」


シアが驚いたように周囲を見渡す。その時、神殿の中央に浮かぶように設置された“光の台座”が目に入った。それは黄金に輝く円卓のようなもので、その中心には水晶のようなものが鎮座している。


「光の核……あれがそうなのか?」


俺が呟くと、ティリアが頷いた。


「ええ、間違いないわ。でも、簡単に触れられるわけじゃない。この空間そのものが“試練”の舞台になるはずよ。」


「やっぱり、そう来るか……。」


俺が剣を握り直したその瞬間――


――ゴォォォッ!!


突然、神殿全体が光に包まれ、床が震え始めた。そして、中央の台座の周囲に純白の霧が巻き起こり、その中から現れたのは――


「な、なんだあれ……!?」


それは、人型の姿をした巨大な“光の騎士”だった。全身は鎧で覆われ、目の部分だけが眩い光を放っている。その手には長い剣を握り、俺たちを無言で見下ろしていた。


「光の……守護者……!」


ティリアが驚いた声を上げる。


「守護者だって!?味方じゃないのかよ!」


「いいえ……“試練”を課す存在として現れたのよ。つまり――」


「敵、ってことか……。」


俺は剣を構え、光の騎士を睨んだ。だが、その時、シアが一歩前に出た。


「待って、大地……これ、私がやらなきゃいけない試練だと思う。」


「シア、お前――!」


「大丈夫。大地とティリアがいるから、私、きっと負けない。」


彼女はそう言い切ると、手の中に輝く光を強く握りしめた。その光は、神殿全体を照らし出すほどの眩しさを放ち始める――。


こうして、シアは“光の核”を覚醒させるための試練に挑むことになった。俺たちはその後ろで、彼女を全力でサポートする準備を整える。


これが、彼女自身と俺たち全員に課された、最大の試練の始まりだった――。



2節 光の守護者との激闘



神殿の中心に立つ“光の守護者”は、静かに剣を構えた。その巨体から放たれる光の波動は、ただそこにいるだけで空間を圧倒し、俺たちをじわじわと追い詰めてくる。


「これが……神殿の試練ってわけか。」


俺は剣を握りしめ、守護者の鋭い視線に応える。だが、この戦いの主役は俺じゃない。――シアだ。


「シア、大丈夫か?」


俺が振り返ると、彼女は震える手で胸の前に光を宿していた。その瞳には不安と決意が入り混じっている。


「うん……怖いけど、やるよ。これが、私の力を覚醒させるための試練なんだよね?」


「そうだ。でも、無理はするな。俺とティリアが必ず守るから。」


「うん……ありがとう、大地。」


シアは小さく頷き、台座に向かって一歩踏み出した。その瞬間――


――ゴゴゴゴッ……!!


光の守護者がゆっくりと動き出す。巨体から放たれる衝撃波が神殿内を揺るがし、その足取り一つ一つが地響きを生み出していた。


「ティリア、援護頼む!」


「任せて!でも……これは普通の魔物とは違うわね。油断しないで、大地!」


ティリアが弓を構え、俺も剣を強く握りしめた。


第一の衝撃――光の斬撃

「来るぞ!!」


光の守護者が大剣を振り上げた次の瞬間――


――ズバァァァァッ!!


鋭い光の斬撃が神殿を縦断し、床を切り裂きながら一直線に俺たちへと襲いかかる。


「シア、下がれ!」


俺はシアを抱き寄せ、光の軌道から外れるように転がった。その刹那、斬撃が床を割り、衝撃波が空間を震わせる。


「な、なんて威力だよ……!」


「大地、こっちも援護する!」


ティリアが矢を放つ。しかし、矢は守護者の鎧に弾かれ、傷一つつかない。


「くそ、硬すぎる!」


「ただの物理攻撃じゃ効かないわ!この守護者、純粋な“光の力”そのものみたい……!」


「じゃあ、シアの力が必要ってことか……!」


俺はシアを見た。彼女は必死に光を集めようとしていたが、その力はまだ安定していないようだった。


「シア、焦るな!お前ならできる!」


「わ、わかってる……!」


彼女は震える手を握りしめ、再び光を集めようと集中する。


第二の試練――防壁の突破

「ティリア、また来るぞ!」


守護者が再び剣を振り上げた。今度は空間全体に光の防壁を張り巡らせ、俺たちの動きを制限しようとしている。


「この防壁……強いわね。大地、時間を稼いで!」


「任せろ!」


俺は剣を構え、守護者の前に飛び出した。剣を振るい、守護者の注意をこちらに向ける。だが、その攻撃一つ一つが重く、受け止めるたびに腕が痺れる。


「ぐっ……硬ぇ……!」


「大地、後ろ!」


ティリアの声と同時に、光の槍が俺の背後から飛来する。咄嗟に身を捻り、槍を回避するが、その隙を守護者は見逃さなかった。


――ガキィンッ!!


巨大な剣が俺に迫る。防ぎきれず、衝撃で地面に叩きつけられた。


「ぐあっ……!」


「大地!」


シアが駆け寄ろうとした瞬間、彼女の中の光が一層強く輝き始めた。その光はまるで彼女自身を守るように広がり、神殿全体を包み込む。


シアの覚醒

「シア、今だ……!」


俺は地面に倒れたまま叫ぶ。彼女は目を閉じ、心の奥にある力を解き放とうとしていた。


「私の中にある……この光……。守りたい。大地と、ティリアと……みんなを!」


彼女の叫びと同時に、強烈な光が神殿内を満たした。守護者が一瞬動きを止め、その隙を逃さず、俺は再び立ち上がった。


「これで終わりだ……!!」


剣を振り上げ、守護者の胸部に突き刺す。シアの光が剣に流れ込み、その刃は守護者の鎧を貫いた。


――ズガァァァッ!!


守護者は眩い光とともに崩れ落ち、その場には静寂だけが残った。


「……終わった、のか?」


俺は剣を地面に突き立て、息を切らしながら呟く。


「大地……やったよ……!」


シアが俺の隣に駆け寄り、涙を浮かべながら笑顔を見せた。その手の中には、完全に覚醒した“光の核”が輝いていた。


「お前、すげぇよ、シア……!」


俺は彼女の頭をくしゃくしゃと撫でる。ティリアも駆け寄り、満足げに微笑んだ。


「これで、光の核は完全に目覚めたわ。でも、ここからが本当の戦いよ。」


「だな。闇の勢力もこれに気づくだろうし、次は……」


俺が言いかけたその時――


――ズズズ……。


神殿の奥から、再び重々しい気配が漂ってきた。それは、これまでのものとは違う、底知れぬ“闇”の気配だった。


「……来るな。今度こそ、“闇を統べる者”が。」


俺たちは武器を握り直し、神殿の奥へと歩を進めた。シアの覚醒と共に、物語は次の章へと進んでいく――。



3節 闇を統べる者との対峙



光の守護者を倒し、シアが“光の核”を完全に覚醒させた瞬間、神殿の空間は静寂に包まれた。しかし、それはほんの束の間の静けさに過ぎなかった――。


――ズズズ……ゴゴゴゴ……!!


神殿の奥から、再び重く鈍い震動が響き渡る。空間が軋み、まるで神殿そのものが悲鳴を上げているかのようだった。


「……来るぞ。」


俺は剣を握りしめ、神殿の奥に目を向ける。その空間には、見えない何かが渦巻いている――そう感じた瞬間だった。


――カッ……!


闇の中から、一筋の深紅の光が閃き、空間の中心に黒い霧が渦を巻く。その霧の中から、ゆっくりと一つの影が現れた。


全身を黒い鎧で覆った男――その背後には闇の翼のような霧が揺らめき、全身から圧倒的な魔力を放っている。


「ようやく……目覚めたか。“光の核”よ。」


低く、重たい声が神殿に響く。


「……お前が、“闇を統べる者”か。」


俺は剣を構えながら睨みつける。男はゆっくりと歩を進め、その深紅の目をシアに向けた。


「そうだ。そして、貴様らが覚醒させた“光の核”は、我が闇を完成させる最後の鍵でもある。」


「鍵……?ふざけんな!お前の好きにはさせない!」


俺は一歩前に出て剣を振り上げるが、男は軽く手を振っただけで、黒い霧が俺の足元を絡め取る。


「ぐっ……!」


「大地!」


ティリアが弓を放つが、その矢も黒い霧に弾かれてしまう。


「……無駄だ。この空間では、我が力が絶対なのだ。」


闇を統べる者が剣を抜き放ち、ゆっくりとシアに向けて振りかぶる。


「この光の核、今ここで奪う――」


「させない!!」


シアが叫び、手の中から放たれた光が神殿全体を包み込む。男の剣がその光に弾かれ、動きを一瞬止める。


「この光……想像以上か。」


男は小さく笑った。


激突――光と闇

「大地、立てる?」


ティリアが駆け寄り、黒い霧を矢で打ち払ってくれる。俺は剣を杖代わりにしながら立ち上がった。


「なんとかな……でも、こいつ、今までの敵とは桁違いだ。」


「ええ……でも、負けるわけにはいかないでしょ。」


ティリアが微笑み、矢をつがえる。その言葉に俺も力が湧いた。


「だな。シア、準備はいいか?」


「うん……私、この力を使う!」


シアの手の中で“光の核”がさらに強い輝きを放つ。その光に呼応するように、神殿の空間が震え、闇と光がぶつかり合い始めた。


「お前たちの力がどれほどのものか……見せてもらおう。」


闇を統べる者が再び剣を構え、俺たちに向かって突進してくる。


決戦

「大地、援護する!」


ティリアが矢を放ち、俺はその隙に剣を握りしめて突進する。闇を統べる者の剣を弾き、その鎧に渾身の一撃を叩き込むが――


――ガキィンッ!!


「硬っ……!」


剣が弾かれ、逆に押し返される。


「大地、下がって!」


ティリアの矢が再び放たれ、男の動きを封じる。しかし、その矢も闇の霧に飲み込まれてしまう。


「これじゃキリがねぇ……!」


その時、シアの光がさらに強さを増し、空間全体に広がった。


「この光……使える……!」


俺は剣をシアの光に向け、剣全体にその力を宿す。すると、剣は純白の輝きを放ち、闇を切り裂く刃となった。


「これで、終わりだぁぁぁ!!」


俺は全力で剣を振り下ろし、闇を統べる者の胸部を貫く――


――ズガァァァンッ!!


その瞬間、神殿全体が眩い光に包まれ、男の体は霧となって崩れ落ちた。


闇の消滅、そして…

「終わった……のか?」


俺は剣を鞘に収め、シアの方へ振り返る。彼女は疲れ切った表情ながらも、光の核をしっかりと抱きしめていた。


「うん……大地、ありがとう。」


「お前のおかげだよ、シア。」


ティリアも近づき、微笑む。


「でも……これで完全に終わったわけじゃないわよ。闇を統べる者を倒したけど、残された闇の力はまだこの世界に漂ってる。」


「その通りだな。」


俺は剣の柄を握り直し、決意を新たにする。


「でも、希望は繋いだ。シアの力があれば、闇に勝てる。」


「うん……これからも、頑張る!」


シアの笑顔は、神殿の光に負けないほど眩しく輝いていた。



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