表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキル創造で異世界無双!?平凡高校生、運命の旅に出る  作者: 風森ルナ
第5部:闇を統べる者と光の継承
13/17

第2章:闇の祭壇と新たな敵


1節 扉の向こうに広がる異空間


重厚な扉を押し開けた瞬間、まるで空間そのものが変わったかのような感覚に襲われた。足元が揺れ、冷たい風が顔に触れる。だが、それ以上に異様だったのは、目の前に広がる光景だった――。


「……なんだ、ここ……!」


目の前には、闇と光が交錯する奇妙な空間が広がっていた。床は黒い石畳で覆われているが、ところどころに赤い光の紋章が浮かび上がり、怪しく脈動している。そして、空間全体には黒い霧が漂い、何かの低い唸り声が響いていた。


「大地、気をつけて。ここは普通の空間じゃない……“結界”の中みたい。」


ティリアが弓を構えながら言う。


「結界ってことは、ここで何かを守ってるか、封じてるってことか?」


「ええ、可能性は高いわ。それに、この魔力……ただ事じゃない。」


ティリアの目は鋭く、周囲を見渡している。その表情から、この場の異常性がさらに伝わってきた。


「シア、大丈夫か?」


俺は後ろを振り返り、シアの様子を確認した。彼女は緊張した面持ちで空間を見渡していたが、手の中から再び微かな光が漏れ始めている。


「……この光、私に何かを伝えようとしてる気がする。」


「伝える……?」


俺が聞き返すと、シアは少し戸惑った様子で頷いた。


「うん……ここに来てから、光が強くなってるの。何か、すごく大事なものがこの先にある気がするの……。」


「大事なもの……か。」


俺たちは言葉を交わしながらも、慎重に足を進めた。空間の奥には、祭壇のようなものが浮かび上がっている。その上には巨大な黒い結晶が鎮座しており、それが周囲に不気味な魔力を放っているのがわかる。


「……あれが“闇の祭壇”か。」


俺が呟くと、ティリアは険しい顔で頷いた。


「間違いないわ。この場所が、魔晶核を作り出した中心地よ。」


「じゃあ、こいつをぶっ壊せば全部解決するってことか?」


「そう簡単にいくかしらね……。大地、気を抜かないで。」


ティリアがそう言った瞬間――


――ズズズ……!


祭壇の黒い結晶が脈動し、空間全体が揺れ始めた。床に描かれた赤い紋章が光り輝き、黒い霧が一気に濃くなる。


「また来るぞ!」


俺が剣を構えると、祭壇の周囲から黒い霧が渦を巻き、その中から新たな敵が現れた。


それは、巨大な鳥のような姿をした魔物――翼は闇そのものでできており、目は血のように赤く輝いている。その羽ばたき一つで空間全体が震え、魔力の風が吹き荒れる。


「……ナイトメア・ハーピー!」


ティリアがその名を叫ぶ。


「ナイトメア・ハーピー?聞いたことないぞ!」


「それもそのはずよ!この魔物は普通の魔物じゃない、“闇の祭壇”が生み出した魔晶核の具現化――つまり、この空間自体が生み出した“化身”よ!」


「化身……!?じゃあ、こいつを倒さないと祭壇も壊せないってことか!」


「そういうことよ!」


ナイトメア・ハーピーが鋭い叫び声を上げ、空間全体に黒い羽を撒き散らす。その羽は触れるだけで魔力を奪うようで、俺たちの周囲に降り注いだ。


「くそっ、厄介すぎる!」


俺は剣で羽を弾きながら叫ぶ。だが、羽は次々と襲いかかってきて、一向に止む気配がない。


「ティリア、援護を頼む!」


「わかってる!だけど、飛んでいる相手は厄介ね……!」


ティリアが矢を放つが、ナイトメア・ハーピーの羽が盾のように矢を弾き返してしまう。


「これじゃ埒が明かない……どうする!?」


俺が焦る中、シアが一歩前に出てきた。


「大地……私が光で動きを止めてみる!」


「シア!?危ないぞ!」


「大丈夫……信じて!」


彼女は手を前に突き出し、目を閉じて集中し始めた。そして――


――眩い光が彼女の手から放たれた。


その光はナイトメア・ハーピーの黒い羽を焼き払い、その動きを一瞬止める。


「今よ、大地!」


ティリアが叫ぶ。俺はその声に応え、剣を握りしめてナイトメア・ハーピーに向かって突進した。


「これで終わりだ……!!」


剣を振り下ろし、ナイトメア・ハーピーの胸部――核があると感じた場所を狙う。


――ズバァァァッ!!


剣が命中すると、ナイトメア・ハーピーは激しく鳴き声を上げ、その体が黒い霧となって崩れ落ちていった。


「やった……のか?」


俺が剣を鞘に収めながら息を整えると、ティリアが近づいてきた。


「ええ、よくやったわ、大地。それに……シアも。」


ティリアがシアの肩に手を置くと、彼女は少し疲れた表情で微笑んだ。


「私……役に立てた?」


「ああ、十分だよ。お前の光がなければ、こいつには勝てなかった。」


俺が笑いながら言うと、シアはほっとしたように小さく笑った。


ナイトメア・ハーピーを倒したことで、空間全体の揺れが収まり、祭壇の黒い結晶が脆く崩れ始めた。


「これで……全部終わりか?」


俺がそう呟いた瞬間――


――ズズズ……。


祭壇の奥から再び低い唸り声が響いた。その音は、先ほどのハーピーとは比べものにならないほど強烈で、空間全体を震わせるほどの威圧感を放っていた。


「……まだよ!これが本番みたい!」


ティリアが弓を構え直す。俺も剣を握りしめ、気を引き締めた。


闇の祭壇――その真の力が、俺たちの前に姿を現そうとしていた。



2節 祭壇の守護者との激突

闇の祭壇が低く唸り声をあげ、空間全体が再び震え始めた。俺たちは立ち尽くし、そこに漂う圧倒的な気配を感じ取るしかなかった。


「……ヤバい。今までの魔物とは、明らかに次元が違うぞ。」


俺は剣を握りしめ、震える足を無理やり止めながら前を睨む。祭壇の奥――黒い結晶のあった場所から、何かが“こちらを見ている”感覚がした。


「これは……“祭壇の守護者”かもしれない。」


ティリアが弓を構えながら低く呟く。その目は鋭く、油断する隙を一切見せていない。


「祭壇の守護者?それって、今までの奴ら以上ってことか?」


俺が聞き返すと、ティリアは小さく頷いた。


「ええ。この祭壇が中心にある以上、それを守る存在がいるはず。そして、この感じ――相当手強い相手よ。」


「おいおい、勘弁してくれよ……!」


俺が汗を拭いながら呟いたその瞬間――


――ゴゴゴゴ……!!


闇の結晶が完全に崩れ落ち、その中から巨大な影が現れた。


「な、なんだあれ……!?」


俺たちの目の前に姿を現したのは、全身が漆黒の鎧で覆われた巨人だった。その体は鎧そのものが生きているかのようにうごめき、体中から黒い霧が立ち昇っている。手には巨大な剣を持ち、その剣からも闇の力が滲み出していた。


「……ダークロード!」


ティリアが驚きと恐怖の入り混じった声を上げる。


「ダークロード!?何だそりゃ!」


「闇の魔晶核によって作り出された“究極の守護者”よ。普通の手段じゃ倒せない、まさに“動く災厄”みたいな存在!」


「動く災厄だと……!?」


俺は剣を構え直しながらダークロードを睨む。巨体から放たれる圧倒的な気配に、全身が震えるのを感じたが、それでも逃げるわけにはいかなかった。


「行くぞ、大地!」


ティリアが矢を放ちながら叫ぶ。その矢はダークロードの胸部を狙ったが――


――ガキィンッ!


「弾かれた!?」


矢は鎧に弾かれ、まったく効果がない。


「くそっ、どうすればいいんだ……!」


俺が焦っている間に、ダークロードがゆっくりと剣を振り上げた。そして――


――ゴォォォォッ!!


剣を振り下ろした瞬間、空間全体に衝撃波が広がった。俺たちはその圧力に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。


「ぐっ……強すぎる……!」


俺はなんとか立ち上がりながら剣を握り直したが、その力の差を痛感せざるを得なかった。


「普通の攻撃じゃ歯が立たない……大地、何か考えがある!?」


ティリアが叫ぶ。その声には焦りが滲んでいた。


「考えって言われても……くそっ、どうすりゃいいんだよ!」


俺が叫ぶ中、後ろで立ち上がったシアが小さく呟いた。


「……大地、私の光を……信じて!」


「え?」


俺が振り返ると、シアの手から再び眩い光が放たれた。その光はこれまで以上に強く、空間全体を照らし出すほどだった。


「この光……!?」


ダークロードはその光を浴びた瞬間、動きを鈍らせた。鎧の一部がひび割れ、その下から赤黒い核のようなものが見え始める。


「光が効いてる……!シア、そのまま頼む!」


「うん……でも、長くは持たない!」


シアが必死に光を放ち続ける。その間に俺とティリアは攻撃の準備を整えた。


「大地、核が見えた!そこを狙うのよ!」


「わかった!」


俺は全力で剣を握りしめ、ダークロードの胸部――核がある部分に向かって突進した。


「これで終わりだぁぁぁ!」


剣を振り下ろし、核に全力で攻撃を叩き込む――


――ズガァァァンッ!!


剣が核を貫いた瞬間、ダークロードの体が激しく震え始めた。そして、黒い霧が一気に噴き出し、巨体が崩れ落ちていく。


「やった……か?」


俺が剣を鞘に収めながら息を整えると、ティリアが駆け寄ってきた。


「ええ、終わったみたいね……本当にお疲れさま、大地。」


「いやいや、俺だけじゃないだろ。シアの光がなかったら、こんなの倒せなかったよ。」


俺は笑いながらシアの方を見た。彼女は疲れた表情を浮かべながらも、小さく微笑んでいた。


「私も……やっと役に立てたかな。」


「十分すぎるほど役に立ったよ。ありがとう、シア。」


俺は彼女の肩を軽く叩き、ティリアと共に祭壇の方を振り返る。


祭壇の結晶が完全に崩れ落ち、空間全体が静けさを取り戻していた。だが、そこには新たな手がかりが残されていた――祭壇の中心に現れた古びた魔導書だ。


「これは……?」


ティリアが魔導書を手に取り、中を開く。そこには赤黒い文字で、魔晶核や闇の力に関する詳細な記述が書かれていた。


「この書物……どうやら、“闇の魔晶核”を作る術式が記されているみたいね。」


「つまり、これを使えば誰でも魔晶核を作れるってことか?」


「ええ。でも、術式は非常に複雑で、相当な魔力と知識が必要みたい。」


「それって……ヴァリオみたいな奴がまだ他にいるってことかよ。」


俺は頭を抱えながらため息をついた。


「この本を持ち帰って、ギルドで詳しく調べてもらいましょう。それが、次の手がかりになるはずよ。」


「わかった。これで闇の祭壇の件もひとまず片付いたな。」


俺たちは魔導書を手にし、新たな冒険に向けて歩き出した――闇を統べる者の謎を追う旅は、まだ始まったばかりだ。




3節 光の力と闇の真実



闇の祭壇を破壊し、ダークロードを倒した俺たちは、ギルドに戻るために廃坑を後にした。しかし、手に入れた魔導書の中身には、次なる大きな謎が記されていることを予感していた。


「この本……本当に危険なものね。」


ティリアが魔導書を抱えながら呟く。その声には緊張感が滲んでいた。


「術式が細かく書かれてるのか?」


俺が隣で歩きながら尋ねると、ティリアは頷きながらページをめくる。


「ええ、書かれている内容は非常に詳細だわ。闇の魔晶核を作るための方法、その材料、そして力をどう使うかまで。これを手にした者が知識と魔力を持っていれば、どんな災厄でも生み出せるわね。」


「最悪だな……じゃあ、これを手に入れようと狙ってた奴がいる可能性が高いってことか。」


俺は深いため息をつきながら剣の柄を握った。この本が何か大きな争いを生む可能性があると考えると、胃が痛くなってくる。


「でも、もっと気になることがあるの。」


ティリアが少し険しい顔で続けた。


「この本には、魔晶核を作る術式だけじゃなく、“その力を超える存在”についての記述もある。」


「その力を超える存在……?」


俺は眉をひそめた。その言葉が指し示すものが、何か途方もないものに思えた。


「“光の核”――それが記されているわ。」


「光の核……!?」


俺が驚きの声を上げると、後ろを歩いていたシアが反応した。


「光の核って……もしかして、私が使っているこの光と関係があるのかな?」


彼女の手から微かに漏れる光。それは今まで数々の危機を救ってきた力であり、俺たちの戦いの鍵になっている力だ。


「その可能性はあるわ。」


ティリアは静かに頷きながら魔導書の一節を指差した。


「ここには、“光の核”は闇の魔晶核を打ち消す唯一の力だと記されている。そして、その力を操る者は“光の継承者”と呼ばれる存在になると書いてある。」


「光の継承者……。」


俺はシアの方を見た。彼女は自分の手の中の光を見つめながら、何かを考えているようだった。


「でも、私は……まだこの力がなんなのか、どうやって使えばいいのかもわからない。」


彼女の声には不安が混じっていた。その気持ちは理解できる。突然自分が特別な力を持っていると知らされ、それが世界を左右するような力だとしたら、普通なら戸惑うだろう。


「大丈夫だよ、シア。」


俺は彼女に優しく声をかけた。


「これから一緒に調べていこう。お前の力がなんなのか、そしてどうやってそれを活かせるのか、俺たちで探していけばいいさ。」


「……ありがとう、大地。」


シアは少しだけ安心したように微笑んだ。その笑顔を見て、俺も自然と力が湧いてきた。


ギルドへの帰り道、ふとした瞬間に背後から妙な視線を感じた。


「……誰かが見てる。」


俺が立ち止まって周囲を見回すと、ティリアも弓を握りながら警戒の目を向ける。


「気づいた?私も少し前から感じてたわ。」


「まさか、追っ手か?」


俺が剣を抜いて周囲を見渡すが、姿を見せる気配はない。ただ、確実にどこかから視線を感じる。


「誰だ!?出てこい!」


俺が声を上げたその瞬間、木の影からゆっくりと人影が現れた。それは、黒いローブを纏った男だった。顔はフードで隠されているが、その全身からただならぬ威圧感が漂っている。


「……ずいぶんと厄介なものを手に入れたようだな。」


低い声が響き渡る。その声はどこか冷たく、感情を感じさせない。


「誰だお前は!」


俺が剣を構えると、男はゆっくりと手を広げた。その手のひらには、小さな黒い結晶が浮かんでいる。それはまさに、闇の魔晶核だった。


「……まだ名乗る時ではない。ただ一つ言えるのは、その本をこちらに渡してもらう必要がある。」


「渡すわけねぇだろ!」


俺が一歩前に出ると、男はフードの奥で微かに笑ったようだった。そして――


「そうか。それならば仕方ない。」


彼が手を振り上げた瞬間、周囲の空間が歪み始めた。黒い霧が一気に立ち込め、その中から魔物が次々と出現する。


「またかよ!?」


「これは……普通の魔物じゃないわ!」


ティリアが矢をつがえながら叫ぶ。その目の前に現れたのは、さっき倒したナイトメア・ハーピーと似た形の霧の魔物たちだった。


「時間は与えない。選択の余地もない――。」


男が冷たく言い放ち、黒い霧を操り始める。


「ティリア、シア!行くぞ!」


俺は剣を握りしめ、目の前の敵に突っ込んだ――。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ