私の 思いを 馳せて
『…うん。わかった。』
電話を切る。寝る。そう思いながら布団についた。
午前10時、某所
切手の買い出しに行った。ついでに便箋と、封筒も。
帰るとお昼だった。
『…余り物でも食べようかな。』
昨日残ったお惣菜を食べて、机に向かう。
透明なガラスペン、淡い紫のインク。
真っ白な、でも不思議な便箋。
インクとおそろいの色の封筒。
アンティーク調のシーリングワックスとスタンプ。
≪拝啓 佐藤様へ≫
お元気でしょうか。
私はあなたに手紙が届いているころに、もう引っ越しているでしょう。
前は電話ありがとう。でも、同窓会にはいけそうにはありません。
二次会には行けそうです。
おっと、今切手を買ってくるのを忘れました。
まぁ別の郵送方法で輸送しますが。
そうだ、あなたの好きな華とモノを手に入れたんです。
そうです。スカビオサです。
あなたの好きな華だったでしょう?
あと、あなたが欲しがっていたヒガンバナの匂いの香水も。
あとで着払いで送っておきます。
そういえば、花といえばワスレナグサが、流行っているらしいよ。
『わかっている【意味など】分かっている。』
ワスレナグサを飾って、G線上のアリアを流して、素敵ね。
G線上のアリアも好きだったよね。この前ちょうどアレンジを見つけたの、送っておくね。
じゃあ、私は手紙をここまでにするね。
【サヨウナラ】
『さようなら』
カラスに、馳せて。
シーリングワックスが、少し、風化していく。
月の明るい夜、佐藤、名前は分からない。
『ご臨終』
≪拝啓 佐藤様≫
お元気ですか。
いえ、違いますね。
【未亡人ですか。】
口角が、上がったようにか、思った。
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拝啓、貴方へ
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