静かな目覚め
この詩は作者が日常感じたことを書き綴ったものです。
私は朝の散歩が好きだ。
特に冬の朝が好き。
ぴんと張り詰めた様な、冷たい洗練された空気
全ての音を吸い込み沈黙するここは、
まるでこの世界に存在するのは自分ひとりだという錯覚に陥る。
そんな冬の朝。
まだ、誰も目覚めていない静かな一時を。
私はただ歩く。
冷たい空気が肌を撫で、息を吸うごとに眠っていた脳が覚醒していく。
絶えず聞こえてくる車のエンジン音も、この時ばかりは活動を停止している。
早起きの鳥達の声が町中に響き、ゆっくりと町を目覚めさせるのだ。
私は行きつけのコンビニで新発売の珈琲と明太子と鮭のおにぎりを買い、のんびりと来た道を戻る。
空は赤紫から青へ徐々に色をかえていく。
どんなに才のある画家でもこの微妙な色合いを再現する事はできないだろう。
いや、して欲しくない。
沈黙に慣れた聴覚に、
遠くで線路を走る始発電車のガタゴトンという音が入ってくる。
私の横を忙しなく走行っていった一台の車。
次第に騒がしくなっていく町。
そんな中、
今日も、私はゆるやかな朝を迎える。
2016.2.4 改稿
2016.2.6 他サイト様に同ユーザーネームで投稿
2016.2.10 一部表現を修正