表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

1-6 そうだ、そうだ!


「信じらんない! 夏生なつきのクセに、生意気。」


わぁ、ウルサイ。


「何を言い出すかと思えば、春奈。」


呆れられてるよ。


「なぁに、たける兄さん。」


ドコから声、出してんだ?



葬儀やら何やらを終え、遺産の話になった。




祖父、田中将司。『田中貿易』会長。投資の才能を生まれ持ち、ガッポリ貯めこんでいた。


祖母、田中静江。祖父とは政略結婚だったが、夫婦仲は良好。資産家令嬢として生まれ育った、まさに貴婦人。多くの人に愛され、財を成した。



祖父母も終活していた。それでも結構な額が、残される。ボクと違って、事故死だったから。


で孫、田中夏生。東都大在学中に、アッサリ病死。死期を悟り、イロイロ整理済み。






「夏生は立派だ。兄として、誇りに思う。」


尊兄さん、ありがとう。嬉しいよ。


「兄なら妹に、タンマリ残すモンじゃない?」


「ハァ。オマエ本当に、オレらの妹か?」


あきら兄さん、ひどぉいっ。」


いやいや。ボク、旦兄さんに一票。



遺産が手に入らないと知った春奈は、大騒ぎ。祖父母の遺産がダメでも、兄の遺産なら入る。そう思ったのに、入らなかった。で、また大騒ぎ。




「春奈ちゃん、諦めなさい。」


「だって、ママ。」


「夏生のコト、嫌ってたでしょう?」


「夏生は嫌いだけど、お金に罪はナイ!」


・・・・・・。




「いい加減にしなさい。」


「パパは、悔しくないの?」


「悔しいよ。まだ二十歳なのに、早すぎる。」


父さん。


「そうだ、女もどきぃ。お金、ちょうだいっ!」


「は?」






育て方を間違えた。末娘だからと、大目に見過ぎた。


仕事仕事で、家庭を顧みない。そんな父の言う事なんて、聞かないか。それにしても酷すぎる。なぜ、こうなった。


学校から何度も、連絡が来た。


授業態度が悪い。難を言えば、性格が少々。このままでは進級が等等などなど。勉強も運動もダメ、芸術センスなし。特技など皆無。


容姿は整っているが、いつか衰える。控え目な性格なら、政略結婚させられる。しかし、難しいだろう。



外に出せば、恥をかく。兄も姉も、優秀なのに。




「ねぇ春奈、解るように説明して。嫌いな双子に、なぜたかるのか。私たち、アンタに何かした? たった一年、早く生まれたダケで、イロイロ我慢させられた。迷惑かけられた。」



年子の兄が、キモ男。年子の姉が、女もどき。尊兄さんにも、旦兄さんにも、そんなコト言わない。ねぇ、なんで?



「はぁ? コッチの方が、迷惑だってぇの。」


「私たちが何度、母さんの代わりに、呼び出されたと思ってんのよ!」


そうだ、そうだ!


「何だって? いや、すまない。」



私の所に、連絡が来るくらいだ。美弥子が聞き流したか、無視したんだろう。情けない親で、申し訳ない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ