表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/12

未莉の思い

家に着いてからはまた色んな人にバタバタされ、大慌てでお風呂に入れられお医者様も結局呼ばれ、まぁいろいろあったけど、私が無事だと皆理解してようやく落ち着いたにはもう夜になっていた。


自分の部屋でやっと1人静かに過ごせる時間になったのはいいものの、今日一日のいろんな面での疲れが一気に押し寄せてきて正直今すぐにでもベッドに伸びこんでしまいたい。


だけど、少しでも記憶が鮮明なうちにわかることを全て記しておかないと、という使命感で自分を奮い立たせてなんとか机に向かってペンを握った。


未莉としての記憶の中にある、思い出せる限りの情報を、ひとつずつ思い出しながら書き記していく。



まずはこの国『ユウェール帝国』に関する情報から思い出しながら、ライラの記憶で今まで教わってきたこの国の情報と照らし合わせていく。


ーーーーうん。間違いない。やっぱりこの国こそがあのゲームの舞台なんだ。ーーーーー


情報が一致していくことで、改めてゲームの世界のキャラに転生したのだと実感してくる。


その後も自分のキャラや主人公について、攻略対象のキャラたちについて一通り書き出して、ひたすら動かし続けていた手に痛みを感じたところでようやくペンを置いた。



ーーーーはぁ。なんでこんな面倒なことになるんだろうーーー



こういう転生シリーズの漫画は未莉だった時に時々息抜きとして読んでいたが、まさか自分が体験することになるなんて思いもしていなかった。



今まで読んだ中で悪役令嬢として転生したどの漫画も、

本来ならば大きな罪を犯したりで断罪され、

良くて永久追放、だいたいが何らかの形で死を迎えるところを、

前世の記憶を活かしながら苦難を乗り越え、最終的には沢山の人に愛されめでたしめでたしのパターンで終わる。


私が転生したこのゲームの悪役令嬢、ライラ・グラナティス・ヴィニエーラも、例に漏れずシナリオ通りに進むと、ほとんどのエンディングで死を迎えている。




この感じで行くと、私も死なないための方法を考えながら主人公の座を奪いに行くような行動をするのが筋なんだろうけれど、今までの悪役令嬢に転生した子達と私とで大きな大きな相違点がある。


私は、転生したところで、生き抜きたいなんて微塵も思っていないのだ。


生きることに疲れ果てて、全てを投げ出して無に帰りたかっただけであって、

復習したいとか、リベンジしたいとか、今度こそ幸せに、とか、そんな思いは少しも浮かんでこない。


こんな生存意欲ゼロで、ただでさえ周囲に悪印象で受け取られやすい悪役令嬢としてどう戦っていけと言うんだろうか、あのクソ神は。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ