黄泉の国(3)
『まぁいいや!本題に入ろうか☆
君は、どうしてここに来たんだい??』
急に真面目な話に振られてまた少し驚いてしまった。
相変わらずノリは軽いけど。
でも、、
「神様ならそういうの知ってたりするもんじゃないんですか??」
また本音が出てしまった。
だって、そうでしょう?神様なんていうのなら、なんでも知ってるものじゃないのかな?
『君なかなか鋭いね!!( •̀ω•́ )✧
確かに、ここに人が来る度に必ずその人生を読んでおく神もいるんだけど、俺はそういうのしないタイプなの。
だって、いくら相手が神とはいえ、知られたくないことの一つや二つみんなあるでしょ?』
おー、なんというか、神っぽい。
確かに、別にやましいことがあった訳では無いけど、自分の人生を勝手に全て読まれるのは抵抗がある。
「それもそうですね。助かります。」
『なら良かった☆
でも、君結構若いもんね。
もしかして病気?あるいは事故とか??』
「、、、違います。私は、自分の意思で自分の人生を終わらせてきました。」
『そうなのかい!?それは、どんな理由だったのか聞いてもいい?』
「それは、、、」
顔もよく分からない相手だし、正直神かどうかもまだ確信してない自分がいるのに、その優しい問いかけに思わずこれまでの自分の苦しみを打ち明けてしまっていた。
本当は、ずっと誰かに打ち明けたかったのかもしれない。
なんでも話せるような友人も恋人もいなくて、親にも心配かけないようにしているうちに弱音を吐き出せなくなってしまっていて、心がどんどん弱っているのに誰にも助けを求められなかった。
何年もの間、心にずっと溜めて蓋をしてきた淀みが1度溢れると止まらなくなって、
涙もどんどん溢れてきて、嗚咽で言葉をとぎらせながらも気がつけば全て吐き出していた。
『そんなことがあったんだね、、、。
かわいそうに、、。よく乗越えてきたね(*´ω`*)』
その言葉にまた涙が溢れた。
「ありがとうございます、、、。確かにとても辛かったし苦しかったですけど、最後にこうして聞いてもらえて、暖かい言葉も貰えて、少しは報われた気がします。」
そう言葉を返すと、自然と笑うことが出来た。
思い返せば、こんな自然に出てくる笑顔なんていつぶりなのだろうか。
『あーーもう君めっちゃいい子だねぇ(´;ω;`)
長い神生やってきたけどなかなかいないんだよ?君みたいな子。
決めた!!!そんな君に俺から新しい人生をプレゼントするねっ(*`・ω・´)☆』
、、、、、、はい???
「え、いや、お気持ちは凄く嬉しいんですけど、そんなもの要らないです。
私はもう生きることに疲れましたし、このまま安らかに逝ければそれでいいんです。」
『いや!それではあまりにもいたたまれないもの!
そうと決まればすぐに送り出さなきゃね( •̀ω•́ )✧
はいっ!!!行ってらっしゃーーい☆』
そう言うと神様を私を川へ突き飛ばした。
慌てて手をつこうと腕を伸ばしたけれど、さっきまで浅かったはずの川が、河底が無くなっていた。
振り返って見ると、もはや底なんて見えないくらい深く、そのまま河底へと流れる水流に飲まれていく。
『これは君へのプレゼントだから、君もよく知る世界へと導くことにするね☆』
脳内へ直接語りかけるように神(自称)の声が響いてきた。
「そんなのいらな、、、っ!
私は、、、ただ、、、終わらせたかっただけなのにぃぃぃぃいぃぃいーーーーー!!!!」
脳内で思いっきり叫んだ声は届いたのか否かは分からないけれど、水流に導かれるまま底へ飲み込まれていく私は、意識を手放した。




