黄泉の国(2)
この世界に来てから始めて遭遇する人間(?)に思わず固まってしまう。
しかも、いくら注意深く足元を見ていたとはいえ、こんな、少し近づいて腕を伸ばせば届くような距離になるまで気が付かないなんて。
年齢は同じくらいだろうか。少なくとも20代であることは間違いないと思う。
前半に見えるといえば見えるし、後半と思えないことも無くはないような、絶妙な感じだった。
顔立ちは整っているように思う。
というか正直曖昧なのだ。
見えているはずなのに、しっかりとは認識できないような初めての感覚だった。
やはり今の私は死んでいるわけで、つまりは魂だけの状態なのだろうし、魂だけではこういう風になるのかな?と勝手に自己解決することにした。
「あなたは誰ですか??」
とりあえず相手のことを聞いてみないと始まらないだろう。
『僕?あ、いや、俺の方がいいかな?
俺はね〜、君たちの世界で言う神様ってものになるのかな(*・∀・*)』
思ったより明るく答えられて驚いた。
「はい??ん??神様??
神様っていうと、なんか、こぅ、もっと神々しくて、威厳のある感じじゃないんですか?」
思わず本音で答えてしまった。
失礼だったかなと思ったけれど、まぁもう死んでいるし多少の失礼くらいいいでしょう。
『あははは!君めっちゃ正直に言うねぇ!
そもそも、君たち人間が神様と呼ぶ俺たちには決まった姿があるわけじゃないんだよ。
その人とか、その場所とか、場面とかに合わせて自分の姿形を変えて現れるのさ!(*`・ω・´)』
顔が上手く認識出来ないけれど、誇らしげな雰囲気は伝わってくる。
「じゃあ神様は、私が1番話しやすいような姿で現れてくれてるってことですか?」
『あー、今のこれはね、気分かな!!
最近ちょっと年季入った系の神の姿でばっかり現れてたから気分転換っていうか(´>∀<`)
』
、、なんか少しアホっぽいけどこれほんとに神?
『あ、君今俺の事神っぽくないって思ってるでしょ!?』
バレた。さすが神様。こころがわかってしまうのかもしれない。
『君凄くわかりやすいね!気持ちがそのまま顔に出てくるタイプだから心読むまでもないよ(*≧∀≦*)』
ただ私が顔に出しすぎてただけみたいだ。
なんかノリも軽いしいよいよ神だと信じられなくなってきた。