1 はじまり?
初めて書く小説なのでお手柔らかに暖かい目で読んでいただけたら嬉しいです!
風を感じた。
流れるように体をなぞりながら、前髪を揺らして去っていく。
涼し気な心地よさと、包まれているような安心感に満たされていた。
閉じられている瞼の向こうには太陽の眩しさを感じる。
急な光に目が驚かないようにと少しずつ瞼を開く。
真っ白な世界が、徐々に色を取り戻していく。
見えてくるのは、透き通るような青。
そしてところどころに薄らと浮かぶ白。
まるで絵画のような綺麗な空だ。
目を開いて真っ先に空が見えるのは、私が仰向けで寝ていたからだ。
視界の端では青々とした背の低い草が風に揺れている。
外で寝ていたのにも関わらず背中が痛くないのは、体の下に生えていた草が布団の代わりになってくれていたからだろう。
ふと、疑問を抱く。
ーーーーなんで、草の上に寝転んでいるんだろう。
見ていた空は意識を失う前と変わらない。
なのに、それ以外がおかしい。
起き上がって周りを確認する。
辺りは広々とした草原だった。
絵に描いたような、広く、青く、小花が所々に咲いていて、蝶が綺麗な羽を揺らしている。
ーーーーなんで、こんなところにいるの?
私は軽くパニックを起こした。
(私はさっきまで日本の首都東京にいたはずで、周りにはビルがあって、地面はアスファルトなはずでーーー)
こんなに平和な自然溢れる場所ではないはずだ。
ーーーあぁ、そっか。私は飛んだんだったーーー
高いビルの屋上から。
最期くらいは汚れのないものを見ながら逝こうと、天を仰ぐように背中から倒れるように飛び降りたのだ。
人生最後の日に選んだのは梅雨時期で雨続きだった日々で久々の快晴の日だった。