かくれんぼ
ブックマークが増えているのを見て土下座しました
本当に感謝です
前話での宣言を嘘にしないように頑張ります(*^▽^*)(*^▽^*)
二人は息を潜め、繋がれた手の温もりだけを心の支えに時が経つのを待つ
時間がたてば優秀な大公の家、もしくは国の者がマリーローズを見つけに来る
これは確信
王家には王子しかいない
先日、王太子に生まれた子供も男の子
現国王の実弟であり、大公の地位にあるマグノリアルの唯一の子であるマリーローズは王家唯一の姫なのだ
親子ほどに歳離れた王太子は勿論、祖父と言われても違和感を持たない国王すら溺愛している対象であるマリーローズの一大事に私情で兵を動かす愚かな行いは普段こそしないが誘拐となれば違う
少年はマリーローズと王家とのつながりまでは知らないが、貴族の力というものが自分が想像するものより大きいことぐらいは理解している
日常的に誰かを従えているように見たマリーローズの立場なら確信心を持って答えを出せる
何度も部屋の扉が開けられ閉められる
マリーローズ達が隠れるソファーの周りを歩く姿もあった
心臓が壊れると錯覚するほど煩くなる鼓動が聞こえるのではないかと不安にもなった
だが、その度に握られた手から伝わる温もりと、力強さにマリーローズは堪えることが出来た
同じくらいの大きさしかない手
でも大きいと感じるのは何故か、マリーローズはまだ理由を思いつかない
男は機嫌がよかった
部下のうち二人が動けなくなったが、戦力としては問題ない
いた方が助かるが、現状は子供二人の捜索
問題ない
マリーローズを再び捕らえて今度は自分の足元に転がしておけばいい
そして少年は
手懐けるつもりだった
子供ながらに機転もきく上に頑丈
部下にできれば数年後には心強い味方になる
男は不適に笑う
ガキ共はもう捕らえたも同じだ
さて、どう料理するか
男は二人がいる場所を理解していた
応接の間
子供が隠れそうな場所ではないが埃が一部だけ薄くなっていた
それだけだが、ソファーの下なら子供がはいつくばって隠れるには十分の場所だ
それにかけられた布だけがヨレていたのも後押しになる
見つかっていないと嵩をくくれば出てこない
出てくるほど少年は馬鹿ではないと思えるし、マリーローズは度胸があるようには見えない
「おい」
「へい」
「俺は此処にいる。お前らはガキを捕まえる奴と周辺を警戒する奴に分かれてろ」
「了解ッス」
男は部下の一人に指示を出してマリーローズ達のいる部屋に入っていく
マリーローズ達が隠れるソファーの反対側に腰掛け、膝を組み余裕を持って二人の様子を観察することにした
布の隙間から男の足先が見える
この部屋で自分たちが見つかるのを待つ気なのは大きな声なので聞こえていた
どうしたらいいのかなどマリーローズは思いつかず少年を見る
少年は奥歯を噛み締めて布の隙間から見える男の足を睨んでいる
少年にも思いつく手はない
こんなに近くで待たれたことはない
そもそも少年の経験は盗みをして追いかけられたり、浮浪者だった少年をいたぶる少しやさぐれた青年からいたぶられたときの対応だ
いつ、どれを、どう盗むか
失敗すれば追いかけられる
逃げきれなかったら捕まる
捕まったら抵抗しなくてはどうなるかわかったものではない
だから身につけた逃走術
理不尽な暴力にも対応する術を身につけなければ下手をすれば死んでいたからこその反撃術
そのどちらも今の状況では役にたたない
ドクドクと大きな鼓動が二人の耳に響く
マリーローズを助けに来る大人はまだかと少年は焦る
繋いだ手はどちらからも力がこもっていく
二人に出来るのはただ、自分たちの味方が助けに来てくれることを祈るだけだ
それでも恐怖に負け体が震え出したのは仕方がないことだろう
隠れているソファーに体が当たりソファーがあげる小さな悲鳴は二人にはとてつもなく大きな音に聞こえる
男は笑いをこらえる
面白い
子供の二人が考えていることなどお見通しだ
恐怖で震えることは想定範囲の真ん中だった
手の平で想像通りに動く二人に男は笑いを浮かべながら追い討ちをかけることにする
「おい、ガキ」
少年は息をのむ
ばれていた
まさかと思いたいが低く、自分たちにしか聞こえないと思えるほど声は小さい
「助けてほしいか?」
当たり前だ
「助けてやろうか?」
「?!」
少年は思わず頭を上げ思いっきりソファーの床面に頭をぶつける
これで言い逃れが出来ない
もう、少なくとも自分が此処にいることを自白したも同じだ
「出てこい。話をしようじゃないか」
男の声に少年は考える
自分はいい
此処に来たときから全てを覚悟してきた
殺される
それだけの反撃もしたことも自覚している
「出てこないなら出てこないでも構わん。……ガキお前は見所がある。仲間になれ、そうすりゃ命まではとらねぇよ」
マリーローズは少年に視線を送る
まさかと思いたい
今繋がれている手を放して行ってしまうのだろうかという不安がマリーローズの表情に出る
しかし、少年の表情は違った
少しだけ悲しそうに眉を下げマリーローズを見ていた
だからマリーローズは声の出ない口で思いを伝えた
『行かないで』
繋いだ手をもう片方の手も使って包む
祈るように、縋るように、放さないでと願いを込めて
行ったら少年は死なないと男はいう
それでも少なくとも少年が反撃した男たちは少年になんかせずにはいられない
そこまで分からずとも少年が無事にいられる保障が無いことは直感だった
都合がいいことを男が言っているということもわからない
それでも、今伝えなければもう会えなくなるとしか思えなかった
少年は少し驚くと握られていない手で
マリーローズの頬を撫でる
そしてマリーローズにだけ聞こえるように顔を寄せて小さく囁く
「絶対にお前を守る。もう二度としくじらない」
そういうと少年はソファーの下から身をさらけ出す
少年は男とテーブルを挟んで対峙した
考えるんだ
あいつを守る手段を
俺が、俺が絶対に守ってみせる!!
読み直しながら投稿してはいます
でも、自分の脳内ではどうも設定が分かっているせいか見つけきれません
おかしかったら教えてください!
訂正しまふ