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1出会い1

書ききれなかった

投稿方法まちがってないよね?

その日、マリーローズはたまの散歩をいつものように楽しんでいた

大通りに限った行為だが幼いマリーローズには十分楽しい

普段は見ることの無い商品が並ぶ店先

宝物を見ているように目をキラキラさせて通りすぎる


「マリーローズ様、おさんぽですか?ちょうどパンが焼き上がったから食べて行きませんか?」

「うん!」


散歩を初めて一年に満たないが幼いゆえに気さくで、生まれながらに美しく、愛嬌のあるマリーローズはいつしかこういう声かけを受けるのが自然だ

マリーローズはフワリとレースの付いたワンピースタイプのドレスを揺らして声をかけてきたパン屋に駆け寄る


「少し熱いですから気をつけて下さいね」

「ありがとう」


マリーローズは満面の笑みをパン屋の主人に返す

それだけでお代以上のモノをもらった気持ちに慣れるから主人もうれしく思う

このタイミングで焼き上がったパンに感謝を言いたい気分だ


「おいしい!これ、お母様にお土産にしてもいいですか?」

「もちろんです。好きなだけ持っていって下さい」


マリーローズの愛らしい姿に大通りに店を連ねるものは虜だ

マリーローズはパンを袋に入れてもらい嬉しそうに顔を綻ばす

勿論代金は後ろの執事が払う

これは店と大公の取り決めだ

もらってばかりいてはつい贔屓をしてしまう

それを無くすための処置

マリーローズはまだプレゼントだと思っているが、それはもう少し大きくなって学べばいい

お金を払っているのだから後ろめたい事など無いのだから


店主がマリーローズにパンを入れた袋を手渡そうとしたとき、二人の間に風が通った

余りの一瞬の出来事に大人達が目を丸くしている中、マリーローズは素早く風を追った


「それはお母様の分なの!返して!」


マリーローズはいち早く何が起きたか理解した

自分が受けとろうとしていたパンを自分と同じくらいの子供が奪っていったと

マリーローズからしたら代金など関係ない

母親に贈ることもだが、それは贈り物だった事がマリーローズをすぐに追わせた理由だ

人から受けられた善意を、自分を、自分の母親を思って贈られたパン

幼いマリーローズには価値などわからない

わからないからこそ取り返したかった


本来ここで怒るべきは店の主人だ

商品を奪われたものとして

しかし、怒る前に飛び出すようにマリーローズが追いかけ出してしまったので虚を突かれた形になり出遅れてしまった

マリーローズに着いていた執事は追おうがタイミング悪く通行人に進路妨害をされた一瞬で見失ってしまった

執事とパン屋の主人は顔を青くしたのは当然の結果だった


「まっ待って!おね、お願い」


マリーローズは必死に目の前の小さな盗っとを追った

子供であり、普段から走り回るという行為をしないマリーローズは息も絶え絶えだ

それでも諦めたくなかった

人からの受けとった優しい気持ちの象徴となるそれを

何度曲がったかわからなくなったとき、マリーローズは小さな盗っとと薄汚い路地で二人っきりだった


「なんでついて来るんだよ?!」


小さな盗っとはいう

声からしてまだ幼い

いや、背丈もマリーローズと大きく変わらない少年だった

ボロボロの汚れた布を頭から被り、中に見える洋服も同じくボロボロであり、サイズもあっていなさそうだった


「かっかえ、返して、そ、それ、おかあ、お母様、の」


マリーローズは必死に息を整えながらいう

すでに座り込んでしまいたい程の疲労がある

上がってしまっている息は中々落ち着かない


「また買ってもらえば良いだろ?」

「かう…?」


マリーローズは首を横に折る

買うという意味がわからない事は一目瞭然だった

どれほど世間知らずなのかと目の前の少年は顔を歪めたが、頭から被った布でマリーローズには表情がわからない

少年は苛立ちの吐き場として盗んだパンを無造作に袋から出すとマリーローズの前でかぶりついた


「あっ!」


少年は一口かじったパンを飲み込みマリーローズをチラリとみた

これで諦めろ、これでこれは俺のだ

子供らしい八つ当たりだった

だが、少年はギョッとした

マリーローズはその綺麗な碧い瞳に涙をこれでもかと貯めながら、必死に泣きまいと唇を噛みドレスを握って耐えていた


マリーローズはただショックだった

取り戻したかった物はもう少年の物になってしまった

袋の中にはまだ新しいパンがあるが、そんなことは関係ない

一つ食べただけで袋ごと所有権が移ってしまった錯覚は仕方がなかった


流石に少年も罪悪感が募る

マリーローズと自分がかじったパンを交互に見て深く息を吐くと少年はドカリと音が立てるように座り込んだ

開き直ったのだ

少年はマリーローズに無視を決め込み無心でパンにかじりつく

数日ぶりの食事

これを逃すことなどできない

少年は自分の力で生きなくてはいけない

誰かに心を砕いて優しくするほど余裕がある生活でもない

だから占有権が移ったならと無心で胃に食べ物を詰め込んだ

美味いという感想など持つ余裕も無い

例え吐きたくなる程まずくとも、食事は少年にとって等しく胃に何かを詰め込む作業でしか無いのだから


出会い2は多分そんなに間を開けない予定

同じくらいのペースでいきたい


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