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気付かない勘違い!

 《宿屋》


 「アオイ、座りなさい」


 とりあえず部屋にアオイを連れて帰り座らせる。

 

 古来より、王子様のキスで姫は目覚める。


 ……って言うけど本当の話ね!




 まさかアオイがあの子に一目惚れしちゃうなんて!




 あの時のアオイの目、本気だったわ……これは、もしかしたら!アオイの心を取り戻すチャンスかも!

 

 「ごほん……どこが気になったの?」


 「......顔です」(リュウトの顔を思い出したからと言う意味)


 「なるほど、顔ね」


 確かに、顔は良かった。

 でも若すぎない?未成年っぽかったけど……アオイってショタコン?


 「じゃぁまず話す所からね」


 一目惚れは危険だ、私が奴隷になった理由も元を辿ればそこに辿り着く。


 「......はい」


 「どうすればいいか解る?」


 「......いいえ」


 「解ったわ......なら私がどうすればいいか教えてあげる」


 とりあえず、会話をするのなら主導権を握らなければならない、だけど今のアオイは話下手だからじゃないわ……ならアオイの魅力を活かして主導権を握る!


 「......ありがとうございます」


 「まずは、服よ」


 「......服?」


 今の服……でも充分魅力は伝わるが、あくまでもそれは抑えきれていない部分の話だ。


 だがチャイナドレスは駄目ね、あの子は見た感じ童貞。


 アオイのチャイナドレスをあの歳で間近で見たら心臓が止まる可能性があるわ……本当に、冗談抜きで。


 

 「服は私が用意するわ、良いのがあるのよ」


 「......はい」


 「それと、私は当日、場所は案内するけど行かないからね?」


 「......」

  

 アオイは黙る。


 あの子には今のアオイを見せるのが1番だろう。

 私が隣にいたら茶々入れちゃいそうだしね……それに私は私でやることがあるから。


 「返事は?」


 「......」


 「はぁ......アオイ......良く聞きなさい?」


 「……」


 「いい?私達は奴隷よ?今回の休暇だって奇跡みたいな物……だからチャンスは……自分の手で物にしなさい」


 アオイの胸を指で押す。


 「服ともう一つ、アドバイスをあげるわ」


 「……」


 「ここで感じなさい、心で……それをストレートに伝えようとしたら言葉に出るわ」


 「......」


 「言葉は考えを伝えるんじゃなくて、心を伝える手段よ」


 「……!、はい!」


 「だから、悔いが無い様に頑張りなさい!」


 残念ながら私達には時間がない。

 だからこそ、結ばれない恋でも応援してるわ……1日で恋のけりをつけなさい!


 「はい!」


 「さ、そうと決まれば明日も色々忙しくなるから今日は寝るわよ?」


 







 明日は頼むわよイケメン君!

 



  



 


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