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異世界転生したら女になっていました!  作者: しぇいく
第一章

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神級魔法!


 「はぁ…はぁ……」


 「大丈夫かキーさん!」


 「あぁ!まだいける!」


 あれからどれくらい経ったのだろう。

 全身が痺れ呼吸するのも意識しないと出来ないくらいキツくなってきた。

 

 転送魔皮紙から魔力回復を活性化させる《シクランボ》と《ルモン》という果物を特殊な調理法で作成した液をがぶ飲みする。


 「まだまだ!」


 私がクリスタルの鱗を焼き斬り。

 剥き出しの肉の部分にオリバルが攻撃をしてダメージを与える。

 そして、私とオリバルが【限界突破】により無理矢理動かしている筋肉の繊維や骨折をクロエの回復魔法により治しながらコンビネーション攻撃を続ける。


 言葉にするとかなりよく聞こえるが1番問題なのは相手が“規格外の大きさ”なのだ。


 まるで街一つくらいある大きな畑に1人でクワを持って耕しているかの様に……


 「ぜぇ……はぁ……」


 「キーくん……」


 「大丈夫だオリバ……まだ、まだ!」


 

 クリスタルドラゴンは謎の鎖により拘束されている!その間に少しでも早く____





 バチン




 

 そう思った矢先、何か大きな物が引きちぎれ弾ける音が聞こえた。




 「ま、まさか!」



 バチン……バチン……バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ!



 そこまで来ると目視でも確認出来る。





 鎖が引きちぎれたのだ!



 




 「おいおい、キーさん……」


 あのクロエからか弱い女の声が聞こえるほどまずい状況。


 「総員!退避!!!!」


 「ーーーーーーーーー!!!!!!!!!」


 バカバキバキと古い巨大な歯車が息を吹き返し力任せに回り出す様な音を轟かせながらクリスタルドラゴンは埋まっていた大きな足を出し地面から出てきてその全貌が明らかになった。

 

 立派な足には大きな爪と鱗、お尻から生えている大きく刺々した尻尾は何キロも先まで続いている。

 



 さらに____




 「ーーーーー!!!!!!!」




 「な!?」


 「まじかよ!」


 「うそだろ……」




 クリスタルドラゴンが声のない咆哮を放った瞬間、背中から大きな……いや、言葉じゃ表せない程の巨大な翼が出現した!



 そして羽があると言う事はつまり____


 「おいおいおいおい!この巨体っで空を飛ぶって言うのかよ!?」


 「ーーーーーーーーー!」


 クリスタルドラゴンが翼を羽ばたかせると、辺り一面に竜巻が何個も発生し、近くにある物全てを飲み込み武器と化す。


 


 この光景を例えるのなら災害……その言葉が正しいだろう……



 竜巻の中に大きな木や岩も軽々しく浮いてクルクルと回っているものがそこら中に発生しているのだ。



 「危ない!!!」


 私は近くにいた冒険者パーティーに叫んだが彼らは後ろから飛んできていた岩に気付かずぶつかり自らも竜巻の中へ吸い込まれていった。


 彼等の安否は確認しなくても解る……竜巻に巻き込まれた瞬間身体は細切れになり一瞬で竜巻が赤く染まったのだから……



 周囲の竜巻が次々に赤くなっていくのが確認出来る。



 一体どれほどの人間を………くそ!!!!




 「くっ!!!」


 

 周りのそんな光景で気を抜いてしまった!



 「キーくん……!」


  

 巨大な岩が飛んできたのをオリバルが粉砕する。



 「すまない!」


 「あぁ……」


 「キーさん!オリバ!」



 クロエも此方に来て3人で背中合わせになり気付く。



 「こんな事が……ありえるのか!?!?」



 まるで意思を持っているかの様に赤い竜巻が私達の周りに寄ってきて退路を絶ったのだ!


 「なぁキーさん、一個、提案があるんだがよ」


 「なんだ?」


 「俺とオリバが特攻して竜巻を1つ消す、その間に一人で逃げてくんね?」


 「は?」


 クロエの言葉にオリバルも言葉に出さないが同意している。


 彼女はいつも考えに考えて提案する、だがそんな彼女が言ったのだ……“一人で逃げろ”と……



 「そんな事出来るわけ__」


 「__行くぞオリバ!【限界突破】!!!」


 「うん……!」


 



 「ま、まて!!」




 悪い意味で彼女のタイミングは完璧だ。

 ここで1つ消えれば全力を出せば結界の外まで1人で出れる。

 だが目の前で親友達を見捨てるのか?

 だがここで止めれば3人とも死ぬ?

 魔皮紙は何かあるか?

 時間が足りない!

 いっそ私も一緒に死ぬ。

 娘はどうする?

 まさかクロエはそれを思って私を!?

 だがアイツらだって今後の未来がある!

 なんで身体は動いていない?

 自分の意思はどれなんだ!



 

 頭の中で様々な考えが一瞬で入ってくる。


 



 諦める?




 思い出すのはあの時の感情____


 生け贄志願者リストに我が妻の名前があり、絶望したあの時____


 「もう遅い」「間に合わない」「知りませんでしたじゃ済まない」




 あの日、私は全てに絶望した。





 あの時の私は諦めた。




 あの時はもう動いても無駄だった!全て終わった後だった!











 だが今は!!!!!!!!!



















 諦めない!




 








 頼む!神が見ているのなら今だけ......今だけでもいいから!力を貸してくれ!




























 【良かろう】

























 頭の中に響く一つの魔法の言葉。







 諦めない!!



 



 


 「【目撃護】!!!」





 私の盾が光を放ち、黄金の装飾が華やかに姿を現した。

 それはまるで神々の贈り物のように、その輝きは周囲を包み込み、この瞬間は、まさに魔法の頂点。




























 「もう、私の目の前で大事なものを失ってたまるか!!!!!」




 __________________



 ____________



 ______


 スロー村は騒がしく、ギルドも人手が足りていないので宿屋を借りてユキはヒロユキを看病しながら話を聞いていた。

 

 「メルピグの異常個体ですか?」


 「......そう」


 ヒロユキの状態は命が助かったのも奇跡と言うほどヒドイ有り様だった。


 「ルカおばさん…………」


 「……ルカおばさん?」


 「あ!何でもないです!さ、私たち《ゴールド冒険者》はやれることはもう無いんですからゆっくりしましょう!ギルドから支給してくれた《シクランボ》とかありますよ!赤くて甘くて美味しいんです!」


 「......サクランボみたい」


 「はい、あ〜んです!」


 「…………」


 「あ!無視しないでください〜」


 クリスタルドラゴンの出現……だが、ヒロユキは動けなくなってるので何も出来ない。

 

 「......」

  

 「もしもーし?聞こえますか~?」


 「......」


 「あれ?ほんとに寝てます?」


 「......」


 実際、ヒロユキはウトウトしていて半分夢を見始めてる頃だった。


 「……」


 「……」


 ユキも黙ると次第にヒロユキからスゥースゥーと軽いイビキが聞こえてきた。


 「……」


 「……す、少しなら」


 ユキはヒロユキの寝顔に顔を近付ける。









 そして______









 「ヒロユキ!大丈夫か!」


 誰かに勢いよくドアを開けられた。


 「ひゃぅ!?」


 変な声を出しながらユキはすぐさま体勢を整える。


 「ヒロユキ!死んだのか!?」


 「……うるさい、リュウト」


 空気も読まずに扉を開けたのは【勇者リュウト】


 その隣には紅い目とおしりの方まで長い艶やかな白い髪が印象的なユキと同じくらい幼い女の子が居た。


 その女の子はヒロユキの視線に気付いたのだろう。


 綺麗なお辞儀をしながら__


 「初めまして、リュゥトの妻ですっ」


 と、堂々と躊躇なく言い切った。


 「ちょ!?」


 「......おめでとうリュウト」


 「おめでとうございます」


 「二人して悪のりするなよ!?違うからな!同じパーティーメンバーの『みや』だ!」


 「......なんだ違うのか」


 「当たり前だろ!俺はアオイさん一筋なんだ!ってそんな事はどうでもいい!」


 “アオイ一筋”その言葉を聞くと隣の子は少し複雑そうな顔をする。


 「……リュウト、そう言うのは大声で言う事じゃない」


 「え?どうしてだ?えーっと、ヒロユキその子は?」


 「......パーティーメンバーのユキ」


 「【勇者リュウト様】ですね?よろしくです!」


 「よろしく!......ってどうしてその事を?」


 「え、あ!えーっと、私はヒロユキさんのですね......」


 「......ユキはグリード城から派遣された俺のお世話係もかねてる」


 「あぁ、なるほど、それなら俺たちの事情を知ってるのか!」


 「ふぅーーーーーーーーんっ?」


 「な、なんでしょうか?みやさん」


 みやは少し疑っているがそれ以上追求する気もないみたいだ。


 「それよりヒロユキ!大丈夫か?お前がやられたって聞いて飛んできたぞ!」


 「......そこまで仲良くなった覚えはない」


 「相変わらずだな!まぁ冗談が言えるくらいなら大丈夫そうだな..................後は俺に任せろ」


 「......任せるって?」


 「クリスタルドラゴンは俺が倒す。」


 「......」


 「安心しろ?お前をこんな目にした奴は生かしておけねぇ、準備が出来たらすぐ出発する」


 「......い、いや、俺は」


 クリスタルドラゴンにやられた訳ではないと言おうとしたがリュウトは全く聞こうとしない。


 「それ以上言わなくていい!安心しろ!男として当然の事だ」

 

 「リュウト、ギルドの人が特別にクリスタルドラゴン討伐に行って良ぃって......ぃこっ」


 「てわけだ!仇はとってくる!」




 そういって二人はクリスタルドラゴン討伐に行ってしまった……





 「行ってしまいましたね......」


 「......台風みたいな奴だったな」





 

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