【ラストスパート駆け抜けろ!』
【行くよ!2人とも!』
【【あぁ!】】
『死になさい!勇者!』
もはやピリオドに余裕はない。
全力を出して3人を殺しにかかる。
【死なないもんねー!』
まず初めに勇者達の前に現れたのは本物の巨大なブラックホール。
【ヒロ!』
【……】
その掛け声と共にヒロユキは心の剣でブラックホールを真っ二つに斬った。
“ブラックホールが斬られる”
単純に斬っただけだが、そこにはいくつもの魔法が一瞬にして重ねがけされていて可能になっている。
『っ!?それなら!』
次にピリオドは宇宙の中でも最上級に大きな星を巨大な矢に変形させ空間を捻じ曲げリュウト達に向かって放ってくる。
【リュウト!』
【矢か……それなら!】
リュウトが前に出てレイピアを構え突き出すと星1つで作成された矢は先端から真っ直ぐに風穴が開き塵となり砕け散った。
【俺の良く知ってる奴の方がもっとすごい矢を放ってくるぞ】
『っ!』
そのままリュウトの攻撃は貫通して行ったのだろう、ピリオドは他の攻撃を止め、一点に何重もの魔法陣を展開し見えない攻撃を防いでいる。
【?、何してるんだ?】
【まぁ、分かりやすく言うとリュウト君の“当たり判定”って奴だね、直線上に居たから貫通するはずなんだけどそれを止めてるみたい』
【……だが奴は攻撃を受けても再生するはず】
【うん、もちろんするよ……だけどアイツはさっきと今とじゃ1つ、状況が違うんだ』
【……?】
【ピリオドは“痛み”を恐れてる、だから必死になって止めてるんだ』
【……それなら、俺もリュウトに続く__』
【待って』
【っ?】
【どうせ斬るならちょっと待ってね、構えてて』
【……】
ヒロユキは何も言わずに構える。
【……分析』
アオイの目に蛇の紋章が浮かび上がる。
【なるほど』
移り出したのはピリオドの詳細。
そして、身体の中を移動している小さな丸。
【目押しって奴だな、店員さんに頼んでたくらい下手だけどいいかな?』
【……?】
【ヒロ、俺が今!って言ったらそのまま真っ直ぐ頼むよ』
【……了解】
ヒロユキは構え、集中する。
そして____
【今だ!』
【……】
ヒロユキは横に見えない剣を振ると巨大なピリオドの身体が腰で真っ二つに斬れた。
『う……』
その瞬間、ガードしていたリュウトの攻撃も通り切り離された上半身に風穴が空く。
『ぎゃぁぁぁぁぁあああああああああ∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴!!!!』
ピリオドの叫びと共に周りの星々が爆発し消えていき無になる。
【っ】
【……】
ピリオドの断末魔はテレパシーを通じて脳に直接響く。
耳を塞いでも意味がないのだがそれを本能的にするほど脳が揺れる。
【いやー、キールさんの魔法が発動してないとマジで危なかった』
そう言いながらアオイは目をこらし一点を見据え____
【そこだ!』
魔法陣から大量の糸がピリオドの斬り口に入り込み引っ張りだした物。
『っ!?』
それは血で染まった赤い月だった。
大量の血が腕の形になり月を取り戻そうとするが先ほどの“痛み”で判断が遅れ、アオイの魔法陣の中に入っていき勇者達の頭上に現れる。
【一度言って見たかったんだよね……』
アオイは厨二くさいポーズを取り。
【全ての条件はクリアされた、これで__』
手に出てきたのはエスの弓と先がハートになったピンクの玩具みたいな矢。
【チェックメイトだ』
矢が放たれた。
『÷€%〒」|÷*☆<°々\〜/〒$+__』
もはや言葉にならない声を出すしかピリオドは出来ず、星からしたら本当に小さい矢は赤い月に命中した。