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異世界転生したら女になっていました!  作者: しぇいく
最終章

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638/644

【これが僕の最高で最強の魔法』

 

 とある商人はミクラルに逃げ遅れ、洞窟に避難していた。


 「く!このままじゃ結界が!」


 売り物の魔皮紙を何枚も使い結界を発動させ耐えていたが魔物は次々と増えていき終わりを迎えようとしていた。


 「こうなったら!」


 だが彼は諦めない。

 最後の抵抗をしようと売り物の攻撃魔皮紙を洞窟内に貼り詰めていく。


 「……」


 御守りのクリスタルを握りしめる。


 「神様……」

 

 そして____



 パリン



 結界にヒビが入り一気に砕けた!



 「うおおおおお!!!」



 叫びながら魔法を発動させ迎撃を始めるが


 「くそ!くそくそ!」


 焼石に水、尋常じゃない魔物の数を処理できず追い詰められていき__


 『ガルルルガァァア!』


 ついに一番前の魔物が飛びかかってきた!


 「っ!」


 反射的に顔を庇い攻撃を受け………


 「…………?」


 なかった。


 


 …………



 ……



 それどころか先程まで聞こえていた様々な魔物の鳴き声や足跡が聞こえなくなり周りは静寂に包まれる。


 「……」


 ゆっくりと構えて固着してしまっていて震える腕を目の前から退けると。


 「なんだ、これは……」


 洞窟の上下左右四方八方には“クリスタルに急所を貫かれた”魔物達が大量の血を流しながら死んでいた。


 「っ!?」


 クリスタルは生きているかの様に地面や壁、天井に戻り、洞窟の入り口から光が指し人影が現れる。


 「あ、あなたは?」



 



 「まったく、お主も本当に運がいいやつなのじゃ」




 洞窟の入り口に立っていた美人はそれだけ言って美しいクリスタルの翼で飛び去っていった。



 「今のは一体……」


 

 ______



 ____



 __



 「まさか、人間達から災害と言われたワシが本当に災害と戦うようになるとは……なのじゃ!」


 空を飛んでいた彼女の身体はバキバキと音をたてながら変形、肥大化を始め……


 

 「ーーーーーーーーー!」


 

 巨大なドラゴンが姿を現した。


 「ーーーーー!!!」


 そのまま彼女は隕石を天高くから落ちてくる隕石の破壊を開始した。


 ____________



 ________



 ______



 ____


 

 《アバレー王国 跡地》



 ボロボロになった町に次々と獣人達がテレポートされて来る。



 「ここは!?」


 「え!?私達、確かミクラルに避難していたはずじゃ……」


 「俺は……魔物に襲われて死んだはず……」


 困惑している獣人達の頭上には数々の隕石が接近しているのが見えた。


 「あ、あれは!」


 「何だあれは!」


 「どうなってる!いったい!」


 混乱の中、アバレー中の“鏡”や窓ガラス、さらに水たまりの表面に映る“不気味な仮面の男”…………だが、その姿はアバレーの獣人達にとっては英雄だった。


 「あれは!ムラサメ様!」


 「うそ!ムラサメ様!?」


 「生きてらっしゃったのですね!」


 彼の生存に喜ぶ獣人達の前でムラサメは語りかける。


 {アバレーの国民、獣人達よ……今、この星は滅亡の危機にあるですぞ}


 空には無限とも言えるのではないかと思うほどの隕石。


 間から見える巨人の影。


 過去にないほど崩壊した町。



 ムラサメの言葉を聞いて信じないものは居なかった。


 {だが運がいい……我らには勝利の女神がついているですぞ!}


 

 その瞬間画面はムラサメから宇宙に居るアオイに切り換わる。



 「女神」


 「女神……様」


 「女神」


 「女神」


 女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神女神!


 

 アオイ




 【全てのアバレーの民達は魅了された』




 

 「さぁ、力を合わせてあのお方のためにこの星を守るのですぞ!」




 そう言うと空の隕石が連鎖的に爆発していく。




 「「「「うおおおおお!全てはアオイ様の為に!!!!!」」」」




 そして、アバレーの民達の心は一つになりムラサメの後に続いた。



 __________




 ____




 __



 《グリード城跡地》


 

 「…………」


 「起きろ、タソガレ」


 気絶しているタソガレは起きない。


 「……」


 「それでも私の後を継いだ騎士か!起きろ!」


 「っ!!!」


 ドスン!と耳元で聞こえ本能的に飛び起きる。


 「!?、キール様!?」


 「……」


 割れたメガネから見えるのは瓦礫と化した城の跡地とキールの姿だった。


 「私は……確かミクラルに……ふぁ!?あ、ぅ、ぁ」


 周りを見る前に自分のボロボロの装備で下着が見えているのを見てタソガレの顔は一気に赤くなった。

 

 「…………とりあえず早く着ろ」


 「は、はい」


 魔皮紙から転送した装備を着ていくのをキールは見ないようにしてくれている。


 「空は見たか?」


 「空?…………!?」


 「この状況を見て、何を思う」


 「何を……」


 不思議と恐怖は無かった。


 「諦め、です」


 これが普通の反応だ。

 すぐそこまで大きな隕石が何個も……一つだけでも着弾すればこの星は終わるだろう。


 「……そうか」


 「キール様」


 「何だ?」


 「こんな事を、今言うのは間違っていると思います、だけど……いえ……やはり何でもありません」


 「なんだ?言え」


 タソガレは複雑な気持ちになりながらもキールに思っている事を告げた。


 「好きです」


 「……」


 「私が冒険者の時、救ってくれた事を覚えていないでしょうが、あの時からずっと好きでした」


 キールはタソガレを見る。


 普段の淡々とした性格からは思えないほど彼女は感情をあらわにして泣いている。


 「こんな……こんな状況でしか言えない私を許して」


 「…………タソガレ」


 「……はい」


 「その返事なんだが」


 キールは黄金の盾を武器召喚し空に掲げると、空高くから降ってくる隕石の先に巨大な魔法陣が発生し隕石は魔法陣に衝突した瞬間、それ以上先へ行けず砕ける。




 「これから先、ゆっくりと考えさせてくれ」




 __________




 ______




 __


 どうなってるの。


 どうして!何がどうなってるの!?


 今のだけじゃない、こんなのが世界各地で起こってる!


 止めなきゃ……今すぐに!


 。』


 ____________




 ______




 ____


 《神の使徒 教会》



 『…………え』


 ルコサ達、神の使徒達が拠点として使っていた森の中の教会。


 ピリオドが侵入したのは元グリード国王。


 だがその身体は十字架に魔法で拘束されていた。


 「ようやく来たか」


 『っ!?』


 そして、この時を待っていたかの様に前に座ってるのは【魔神】


 「他の獣人達や人間達に入れず、最後の保険にと取っておいたその男に入って来たのだろう?」


 『キャハッ、なるほど……ぜーんぶお見通しだったって事』


 黒く長い髭が特徴のおじいちゃんは笑顔を作るが心なしか引き攣っている。


 「そうだ、俺もお前も全てあの女の手のひらだったと言うわけだ」


 『……』


 「魂の吸収……人間は何かを殺すとその者の魂を吸収する能力を誰もが持っている、それを俺は経験値と言っている」


 『キャハッ、ダッサ〜そんな言い方をするのはやっぱり昔の勇者が言ってたからかなぁ?』


 「……」


 魔王は黙って胸ぐらを掴む。


 「黙れ、貴様がハルカさんにした事……俺は一生許さんぞ」


 『ハルカって、誰だっけ?♪』


 「っ……まぁいい、アオイは約束通りお前を連れてきたからな」


 『!』


 魔神はグリード元国王の胸に手を突き刺し心臓を握る。


 『っ!!!!!!!!!?!?!?』


 その瞬間____


 『ギャァァアアアア!!いや!いや!どうじで……あぁぁあがぁぁあ!』


 ピリオドは初めて____痛みを味わった。


 「クハハハハ!どうだ?これが【痛み】だ!神が決して味わうことのない最大の傲慢」


 『や、やべで……ギャァァアアアア!!』


 ピリオドがやめろと言うとさらに魔神はもう片方の手で無理やり肺を引きちぎり後ろに投げる。


 「やめろ?どうしてだ?俺が魔“神”になり、お前達に近付いたのはこの復讐の為だ」


 『ぐ、が』


 ピリオドは身体から離れようとする……否。


 『ア、オ、イイィィ!』


 最初に魔神を見た時から何度も何度も何度も何度も離れようとしたのだ。


 だが、その度に【糸』が絡みつき逃さない。


 「それともう一つ」


 『ぐ!?』


 心臓を握る力が強くなる。


 「俺の能力は経験値と縁があってな、これはその応用だ」


 『っ!?』


 吸われる、この世界で吸収していた魂が__


 「この世界はもうお前が終止符を打つ世界ではなくなった、お前のコレクションにしていた魂を返してもらうぞ」





 『@&//&&@#/&/&&#//@&#@@__/&//#@/_@』








 「苦しめ、終わりの神」







 


 














 

 








 

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