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【規格外の男】


 『まーさか、1人で来るなんてね〜♪』


 「……」


 巨大なピリオドの手が迫り来る丸い星をバックに黒と金色の日本甲冑を身に纏い“宇宙”で仁王立ちをしている【勇者】


 『そう言えばアナタに会うのは本当に久しぶりね♪……勇者ヒロユキ♡』


 「……お前なんて知らない」


 ヒロユキはどこからともなく聞こえる声に耳を傾ける。


 『あれ?ユキちゃんから何も聞いてなかった?私の事』


 「……知らん」


 『そんなぁひど〜い』


 ヒロユキは日本刀をピリオドに向ける。


 『なんのつもりかなー?』


 解っているのにあえて煽る様に聞いてくるピリオド。


 「……お前を斬る」


 『キャハッ!何その冗談おもしろーい♪私を斬る?そーんな小っちゃいのに?私の小指を斬るのにも何年かかるかなー?』


 「……」


 『そんな事より、私と一緒に新しい世界に行かない?』


 「……新しい世界?」


 『そうよ♪私は今お腹の中で新しい世界を作ってるの、そこにはリュウトくんも居るしヒロユキくんの望みは何でも叶えてあげる』


 「……俺の望み……」


 『そう!何でも叶えてあげるわよ♡超人の力を持ったスーパーマンになりたい?それとも超絶モテモテになりたい?それとも法律に引っかからない様に?お金持ち?全部?なーんでもいいわよ?♡』


 「……兄さんを返せ」


 『……』


 「……俺は兄さんさえ居ればそれでいい」


 『あんな人間のどこに魅かれるのよ?今みたいに私が容姿を変えてあげなかったらただの頭がハッピーなおバカちゃんじゃん?寧ろ、あんな兄弟を持って恥ずかしくないのー?』


 「……言いたいことはそれだけか?」


 『あれ?言葉設定間違ってるかな?通じてない?質問してたんだけどぉ?』


 「……兄さんは確かに他の人から見れば馬鹿だろう、馬鹿だから損ばかりしてて兄さんの人生は決して勝ち組とは言えない負け人生だった……だが」


 ヒロユキは太刀を構える。


 「兄さんはそれでも前を向いて、上を向いている!」


 『!?』


 日本刀を振ると星を襲おうとしていたピリオドの巨大な腕が斬れた。


 『そんな!?【神の力】は封じてるはず!』


 「……これは、俺の力だ」


 『まさか……自分で辿り着いたと言うの!?神の領域に!』


 「……」


 『……なるほど……』


 斬られた腕の切り口から大量の血の手が伸び繋がり再生される。


 『どうやら勇者3人の中で1番見ておかないと行けなかったのはアナタだったみたいね』


 「……」


 『良いわ、全力でアナタを倒してあげる、最後の勇者!』


 



 周りの星という星がヒロユキに向かっていくのを皮切りに闘いの火蓋は切られた。






 

 

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